2011/02/15 - 2011/02/16
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世界攻略者さん
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「船でしか来れない町」ムアンゴイ。その村の奥に、「徒歩でしか行けない村」がいくつかあります。デコボコのトラクター道を進み、あぜ道を歩き..ズボンの裾を上げて川を渡り...さらに不便な山奥に入っていきます。車のないこの地では、徒歩での移動は至極当然の選択。トレッキングというよりは、ド田舎の通学路といった感じののどかな風景を紹介しましょう。
**情報は2011年2月のもの。 1万(10K)キップ = 100円で計算。
==シリーズ一覧==
[ラオス]ムアンゴイ① 桃源郷の厳しい現実
http://4travel.jp/travelogue/10552014
[ラオス]ムアンゴイ② のんびり田舎トレッキング <==
http://4travel.jp/travelogue/10552016
[ラオス]ムアンゴイ③ 万仏祭りを味わう(執筆予定)
変更:
2014/09/06 画像拡大
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==目次==
ムアンゴイでトレッキング
タム・カン洞窟
フアイセン村
バンナ村
フアイボー村
フアイボー村で一泊
フアイボー村の生活
地図
まとめ -
[ムアンゴイでトレッキング]
ラオス北部の主要な町では、ほぼ必ずといっていいほど旅行会社があり、周辺の村へのトレッキングツアーを開催しています。ここムアンゴイにも同様のツアーがあり、徒歩でラオ族、カム族、モン族などの村を回ったり、船+徒歩で少し離れた村や滝を訪問したりします。町の周辺で最も気軽にアクセスできるのが、ムアンゴイの東にある3つのラオ族の村。
- フアイセン(Ban Huay Sen)
- ナカン = バンナ(Ban Na Khang)
- フアイボー(Ban Huai Bo)。
個人でも訪問可能で、宿泊施設もあります。今回、その3つの村を回ってみたので報告します。 -
[タム・カン洞窟]
まずは、奥の村に行く途中にある、タム・カン洞窟(Tham Khang)を訪問します。船着場から上がる道をそのまま真っ直ぐ歩いて行くと、裏の集落と学校を過ぎ、奥の村に進む一本の道につながります。その土の道を20分ほど歩いて洞窟に到着です。船着場から30分ほど。すぐ手前にはチケットオフィスの小屋があります(写真右)。ここで入場料(10K = 100円)を払わないと、洞窟にも村にも行けないので、しぶしぶ払います。
このあたりまではトラクターも通れる太い道で、現地人とよくすれ違います。奥の村の人が外界に出るには、この道を通ってまずムアンゴイに行かなくてはなりません。道の途中、数羽かたまって飛ぶ喋喋をたくさん見かけました。 -
チケットオフィスの先、左奥の崖の下に洞窟はあります。中は広いものの、少し歩くとすぐ行き止まりです。この洞窟はガイドブックに紹介されているものですが、そうほど大したものではありません。ムアンゴイに限らず、洞窟や滝はハズレが多い。それらはどちらかといえば通過点で、途中の景色のほうが主目的だったりします。その辺りをよくわかっている人は、ここでムアンゴイに戻らず、さらに奥の村へと足を進めます。
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タムカン洞窟の後、竹の橋(写真下)を渡り、真っ直ぐ進みます。ここには休憩ベンチや川の対岸にレストランがあります。
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川を右に見ながら歩き続けると、5分後、左側の崖へと続く道が出てきます。ここにも小さな洞窟があります。3つある洞窟の一番奥には仏像のようなものが岩の上に座っています(写真)。
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[フアイセン村]
2個目の洞窟から8分ほど歩くと右側の川へと下りる道が出てきます。そこで川を越え、少し歩くと、目の前に一面の田んぼが現れます(写真)。この地域の米作期間は6月から10月まで。2月の今は刈り取りの済んだ土地に水牛が放牧されていました。この広い農地の大部分はムアンゴイに属しているようで、収穫時には、今日歩いてきた道をトラクターが何度も往復するのでしょう。 -
田んぼのあぜ道を歩き始めると、すぐにゲストハウスの黄色い案内看板が出てきます。ここが分岐地点で、右に行くとバンナとフアイボーへ、左に行くとフアイセンに向かいます。まずはフアイセンに行ってみることにします。あぜ道を歩き広大な田んぼを抜けた後、わかりやすい一本道が村まで続いています。途中、小川をいくつか越え、最後、小さな峠(写真)を登りきると、前方に村が見えてきます。分岐から村まで約40分。
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フアイセンはラオ族の村。村人が民族衣装を着ているわけではありません。このトレッキングは少数民族訪問が主目的ではなく、「ラオスの山奥の農村」を体験することに意味があります。椰子の木に囲まれた村には高床式の伝統的な竹の家が並び、子供や鶏が外を駆け回ります。
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村にはゲストハウスが1軒、蚊帳と布団だけの竹の小部屋(10K=100円)で一泊できます。このゲストハウスのオーナーは商売熱心で、ここからさらに奥にあるのモン族の村へのトレックを勧めてきます。私が興味を示さないと、「オピウム(大麻)吸えるぞ!」と誘惑していきますが、こちらも興味ありません。
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[バンナ村]
フアイセンを後にし、田んぼの分岐まで戻ります。そこから右手側の道を8分ほど進むと今度はバンナ村(左)とフアイボー村(右)の分岐が出てきます。ここにある黄色い道案内は遠くからでも見えているので、最初の分岐まで戻らず、最短のあぜ道を通って時間を節約することもできます。分岐の道案内に従い、すぐ近くに見えているバンナを訪問します(写真中央奥)。 -
あぜ道を4分ほど歩き、村の入り口に到着です。村に入ってすぐの場所に、1軒ゲストハウス(10K=100円,写真右)があります。ここの付属レストラン(写真左)で、田園風景を見ながら休憩するも悪くありません。私が訪問したときは、欧米人ツアーがくつろいでいました。この「田舎の村」訪問トレックは個人にもグループにも人気です。
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縦に長いメイン通りの両側に民家が並びます。空き地では、子供らがベーコマを、若者らがセパタクローをして遊んでいます。どちらも広い土地を必要とせず、道具を自作できる田舎の娯楽です。
村の売店で買い物をすると、店主がタイ語で語しかけてきました。「おっ、日本人なのかい。いいか、日本人も、ベトナム人も、ラオス人もみーんな同じだ。でも、タイ人はよくない。よくないんだな〜あの連中は」。ここは距離的にベトナムに近いとはいえ、親ベト嫌タイというのは意外でした。 -
活気のある村の通りを抜け、岩山の真後ろにある小学校(写真)に到着です。ここが村の端っこ。すぐ近くにもうひとつのゲストハウスがあります。こちらも田園ビュー。
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ゲストハウスから見えている田んぼに下りてみると、村の男達達が十数人農作業から帰ってきました。新しい農地でも開拓しているのでしょうか。小さな村では、村民による共同作業は欠かせません。この村に残った若者達は、両親同様、農家として生きていくしかありません。毎日のようにやってくる欧米人旅行者を彼らはどのような思いで見ているのでしょう。
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[フアイセン村]
バンナを後にし、2つ目の分岐まで戻ります。そこから南方向に伸びる道を3分ほど進むと川にぶつかります。ここまでのトレッキングで、いくつも小川を越えてきましたが、すべて丸太や飛び石があったりして難なく通過できました。しかし、この川に限っては、他よりちょっと川幅が広いため、靴を脱いで川を渡らなければなりません。幅5メートル、深さ膝下数センチくらい。川の後、フアイボー村への土の道が続きます(写真)。 -
川から20分ほど歩き、フアイボーに到着です。村の手前には、壁のない小学校があります。村に中学校はないので、生徒はムアンゴイまで毎日1時間かけて通います。ここまで歩いてきた道は、通学路でもあったわけです。
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村の雰囲気はフアイセンに似ていますが、なぜかこちらのほうが開放感があり落ち着きます。ムアンシンやルアンナムタ周辺の少数民族村のように、観光ずれしているわけでもなく、かといって部外者を敵視する人もいません。
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村の中に入ります。人だかりを見つけたので、行ってみます。
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人の輪の中心にいたのは、行商人でした。売り物は女性用アクセサリーや雑貨が中心。村の売店にないものを買う絶好のチャンスです。
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村の中を歩き続けると、ゲストハウスが2軒並んであります。通りの左側がコンサバンG.H.(10K=100円)で、右側がソムサヌックG.H.(5K=50円、写真)。後者はラオス最安と噂される宿です(写真)。ゲストハウスの看板に「滝(waterfall)まで5分」とやたらアピールされてるので、まずはその滝を見に行くことにします。
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村を抜け、水浴び場を右に曲がり、田んぼの中に入って行きます。手前に見えている山の右下が渓谷になっています。そこに向かう途中、再び水牛の群れに遭遇しました。50頭ほどいる水牛は、すべて村で使用するわけではなく、基本的にはルアンパラバーンに売り飛ばされます。ということは、牛くんたちは、歩いてムアンゴイまで移動し、さらに船に揺られてドナドナとルアンパラバーンの市場に運ばれるわけです。
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村から5分ほどで渓谷に合流。川沿いの道を登っていくと、突然ミニ水力発電機に遭遇します(写真)。川の水を細い木の枠に集め、装置に流し込んで発電しています。手当たりしだいに設置しているようで、道を登るにつれ6個ほど発見しました。結局、10分以上歩いても滝は見当たらず、あるのは水力発電の段差だけ。確かにこれもウォーターフォールには違い有りません。軽く騙されたのに気づいたあたりで、村に戻ります。
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ここの発電設備、6基中4基は、モーターが回転しないように木の板で水をせき止めています(写真)。後で知りますが、機械の寿命を心配して、日中はわざと発電しないようにしているのです。つまり、オーナーによっては、毎朝夕、数分-15分ほど離れた自分家の発電機まで歩いて行き、とっかえ棒を抜き差しするのを日課にしているのです。中国製の安い発電機も、住民にとっては高価な買い物です。
それでもここの住民はまだましです。近くに高低差を利用できる渓流があるのだから。バンナやフアンセンにも近くの小川に電線が延びていましたが、発電機は取り外されていました。水量に問題があるのかもしれません。 -
[フアイボー村で一泊]
村に戻ってきました。せっかくなので、ここで一泊したいと思います。通り過ぎるだけでは見えないものもあるでしょう。ソムサヌックG.H.はフランス人カップルの先客がいたので、消去法でコンサバンG.H.へ。ゲスト用に小屋が2つ、それぞれ2部屋づつあります(写真)。小屋は柱と床板の一部を除いてすべて竹でできています。サイズが小さいだけで、現地人の家屋と大差ありません。部屋の中は、ゴザの上に布団と蚊帳があるだけのシンプルなものです。
ムアンゴイの宿同様、部屋には電球と一体化したコンセントがあります。パソコンが使えるかどうか試してみると...やはり電力不足でした。家の他の電気を消してもダメ。あの発電装置は、ムアンゴイのものよりかなり非力なようです。 -
このゲストハウスのオーナーGEOさんは英語が話せます。ヨーロッパのグループがよく食事に立寄るらしく、そのためか周りの家と比べそこそこ潤っているように感じます。家の庭にはパラボラアンテナとトラクターが(写真)。トラクターは安く組み合わせても20万くらいはします。こういうややリッチな家が一軒くらいないと、村は機能しないのでしょう。
意外なことに、この村やバンナ村には携帯電波が届きます。一応ホテル・ビジネスをしており、子供をノンキャオに寄宿させているGEOさん一家も当然一台持っています。あのムアンゴイにあるバカ高いアンテナ塔は、思いのほか現地の役に立っているようです。 -
オープンテラスで夕食を取っていると、村の住民がわんさか集まってきました。おっ、私に興味があるのかな?と思ったら大きな勘違い。彼らは私ではなく、テレビを見に来たのです。
GEOさんの家では週二回、テレビ鑑賞会が行われます。村にはテレビを持っている家が2軒しかないのです。会場は家の下、高床式家屋の床下の部分を壁板で囲った空間。水力ではテレビが点かないので、鑑賞会の時間中はジェネレーターを動かします。 -
8時開始で、3時間ほどタイの連続ドラマが放映されます。観客は、子供からお年寄りまで老若男女50人の満員御礼。入り口で奥さんが入場料(1.5K = 15円)を取り、だんながチャンネルを操作します。彼はCM中、他の番組に変えるという重要な任務を負っています。
電灯のない部屋の中、みんなが20インチの画面に集中します。ドラマは、イケメンや金持ちが多数登場するありがちな内容。 それでも、高層ビルはおろか、車さえ見たことのない住民にとっては、十分新鮮です。同じ番組を見て、みんなで笑い、自由に感想を口に出す。ラオスのド田舎でもタイ語が通じるのは、こういった草の根の街頭テレビのおかげかもしれません。 -
テレビ鑑賞会の後、竹の小屋に戻り就寝します。夜は壁の隙間から冷たい空気が入ってきますが、掛け布団2枚で十分快適に眠ることができました。
翌朝は、ピヨピヨうるさいヒヨコの鳴き声で目覚め、目を開ければ、竹壁を通して朝の光が漏れ入っていました。 -
朝食の時間です。もち米(3K = 30円)と野菜スープ(10K = 100円)を注文。野菜など地元で取れるものだけを使った料理は割安な傾向があります。
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[フアイボー村の生活]
さて、せっかくここまで来ているのだから、もう少し村の生活を観察してみましょう。基本的に村人と交流することはありませんが、そののどかな雰囲気だけは伝わってきます。
自然の中で過ごせる犬も、幸せそうだ。これらの山奥の村では、当然のようにアスファルトやコンクリートがありません。 -
村にいると、時々パーン、パーンと乾いた銃声が聞こえてきます。これは村の住民が散弾銃でツバメなどの小鳥を撃つ音です。ラオスでは狩りも銃の保有も、数年前に禁止されています。もし見つかったら5万円の罰金と3年間の刑務所入りです。それでも、そんなの関係ねーとばかりに、村人は今日も銃を担いで山に向かいます。鳥がたくさん来ていれば、1時間では10-20羽は捕れるそうです。
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宿の主人GEOさんは、観光客をハンティング・ツアーに連れて行くことで知られています(一人50K = 500円)。といっても本物の散弾銃ではなく、竹の弓矢(写真)。これでは迫力不足です。ゲストハウスを始める前は、毎日のように狩に出かけていたので、腕は確かなのですが、ブログ全盛の今、本物の銃を使うリスクは犯せません。
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村では、翌日のお祭りで使用するロケット花火を作成していました。火薬を炒る人、竹を短く切る人、ナイフで外皮を削る人、筒にスリで穴を開ける人..などやることは一杯あります。
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各部品が完成したら、長い竹竿の先に火薬を詰めた竹筒を結び付けます。さらに、飾りの細い竹筒を巻きつけ、最後に色を塗って完成です。作業は男の仕事、この村では毎年5本作成するそうです。
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一泊して十分楽しんだところで、ムアンゴイに戻ります。今日から仏教のお祭り(=万仏祭)が始まるはずです
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[地図]
==目安時間==
ムアンゴイ - チケットオフィス、タムカン洞窟 35分
タムカン洞窟 - 洞窟2 5分
洞窟2 - 田んぼの中の分岐1 10分
田んぼの中の分岐1 - フアイセン 50分
田んぼの中の分岐1 - 分岐2 10分
分岐2 - バンナ 5分
分岐2 - フアイボー 40分(川越え含む)
すべての村を回ってムアンゴイに戻った場合、歩行時間は計5時間。大きなアップダウンは、ファイセン村の手前を除いてほとんどありません。基本的にフラットな道です。 -
[まとめ]
ファイボーなどの奥の集落は、ムアンゴイ同様、何泊もしたくなるようなところではありませんでした。それでも一泊したのはいい経験です。観光地化されていない田舎でありながら、ふらりと来た旅行者を受け入れる準備ができている。そういう場所は、どこにでもあるわけではありません。このムアンゴイをマナー良く開拓してくれた欧米人旅行者に感謝したいと思います。
[リンク集]
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=dm&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when
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