2000/06/09 - 2000/06/09
97位(同エリア109件中)
4nobuさん
- 4nobuさんTOP
- 旅行記344冊
- クチコミ10件
- Q&A回答89件
- 777,261アクセス
- フォロワー37人
この町は幸いにハルツ山麓では唯一西ドイツに残されたために整備が行き届き、木骨組構造の華麗な建物のある観光地として有名だ。その豪華な町並を残した過去の繁栄はこの背景の山から採掘される貴重な鉱業産物の銀、銅、錫、鉛による。
また神聖ローマ帝国時代に皇帝の宝石箱と言われるこの資力を生かして11〜13世紀にかけてこの地で帝国議会が23回も開催され一時はドイツ、ヨーロッパの政治の中心でもあった。
商業的には皇帝自由都市、ハンザ同盟都市でもあって金属商人は諸外国へと販路を広げていった。
この町の成長の歴史を述べると
・ 鉱山は4〜5世紀頃からと見られ、その発見にまつわる逸話もある
・ 922年にハインリッヒ1世が入植によりこの地にゴスラーの町を作る。
・ 968年には鉱山を開設する。これから町を作った目的は鉱山を開設する意図と伺われる
・ 1050年ハインリッヒ3世が城を建造
・ 968〜1235年がこの鉱山の第1回の隆盛期でその後坑道の延長と排水問題で生産量が低下する
・ 1400〜1525から年が第2回の隆盛期。水力をたくみに利用した排水と人員と鉱石の運搬手段の発明。それに新しい選鉱手段の発明により他の追随を許さない優位を得る。
・ 1582年にブラウンシュバイク伯との戦いに敗れてこの地はブラウンシュバイクの所有になると衰退が加速される。
・ その後1988年まで生産が続かれた。その歴史は1000年にも及び世界最長で鉱石の採掘量は2700万トンにもなる。
・ 1992年に鉱山跡とゴスラーの町がユネスコの世界文化遺産の指定を受ける。
私のこの町についての最大の関心はこの最も早期の産業改革の模様を忠実に残したランメルスベルク鉱山の遺跡を見ることであった。
古い記録、設備を遺産としてちゃんと残す。
それを都合のいいように変に加工せず忠実にそのまま見せるようにする。
見る人が理解できるように説明資料を整備する。
それをここでは実行したところがさすがドイツ人だ。
同じように石見銀山が世界遺産に指定された。その遺産は皆さんに理解できるようになっているのだろうか。
さっそく旅行会社のツアー広告に登場しているが、これから観光に毒されずに指定に恥じない整備がなされることを祈る。
- 航空会社
- ルフトハンザドイツ航空
PR
-
ゴスラー市街の中心マルクト広場。今夜泊る民宿はこの広場のすぐ裏手にあり観光には便利だった。
この広場の周囲には町の歴史にかかわった建物がそろっている。
右手の建物は15世紀後期ゴシック様式の市庁舎でその後にあるマルクト教会の異なった形の二つの塔が見える。
左にある派手な色の建物は後期ゴシック建築でかっては仕立て屋のギルト会館で今はホテルカイザーヴォルト。 -
マルクト広場に面するカイザーヴォルト。
一時期白色に変えられていたが元の朱色に戻された。ゲーテは醜悪な建物と酷評した。 -
カイザーヴォルトの外壁には歴代の皇帝の像が合計8基立っていることからこの名がついた。ここには見えないが切妻の角にドゥカーテン親父の像が尻から金貨をひねり出していて、貨幣鋳造権を示している。
手前にあるのが広場のマルクト噴水で、水盤の中央には冠を被った黄金の帝国の鷲が羽を広げている。 -
マルクト広場から見たパン職人のギルド会館への通り。
この付近には鉱山で財を成した人々の豪華な木組み構造の家が並び。帯状の装飾とルネッサンス趣味の伝説と寓話のモチーフで飾られている。 -
マルクト通りとベルク通りの角にある16世紀の建物パン職人のギルド会館
-
パン職人ギルド会館
-
欧州最大の電機会社シーメンスの創設者の先祖ハンス・シーメンスが建てた木骨組み構造の大きな建物。
この中庭が見所と聞いたが閉まっていて入れず。
銅のゴスラーで財を成したシーメンスと足尾銅山で財を成した古河鉱業が提携して設立したのが富士電機と富士通なのはなにかの因縁?(フルカワ+ジーメンス=ふじ) -
シーメンスハウスに近づいて
-
町の中心のすぐ裏を流れるゴーゼ川。きれいな流れでこの河畔にはしゃれたレストランがある。
-
ゴーゼ川にある復元したローミューレ(水車)。樹皮をつぶして皮のなめしに使うタンニンを抽出していた。
-
ハルツ山地は魔女伝説で有名だが街頭では魔女の置物が雰囲気造りに協力
-
市庁舎の対面の建物にあるグロッケンシュピール。鉱石採掘の4つの場面を演ずる仕掛け人形の時計。日に4回の仕掛けが始まるところ
-
仕掛け時計と2基目のマルクト噴水を撮る
-
カイザープファルツ(皇帝の宮殿)の全景。11世紀に神聖ローマ帝国皇帝ハインリッヒ3世が創建。荒廃してたのを19世紀に再建される。2階のほぼ全体を占める帝国の広間がこの建物の性格を表し、ここで合計23回の帝国議会が開かれたが皇帝の生活の場ではなかった。その左に廊下で繋がった聖ウルリッヒ礼拝堂が見える。
-
カイザープファルツに近付きメイン建物、礼拝堂と前庭にある像を見る。
-
カイザープファルツの前庭には定刻を示す獅子の像と左右にヴィルヘルム1世、不リードリッヒ1世の騎上像がある。背後にマルクト教会の塔が見える。
-
獅子の像の後に8角形の聖ウルリッヒ礼拝堂が見える。ここにはハインリッヒ3世の横臥像の墓がある
-
カイザープファルツと芝生を越えて対比するところにある建物、Domvorhalleドーム入口のホール。奇妙な名の由来はハインリッヒ3世によって建てられたドーム(大聖堂)のうちで唯一取り壊されなかった、入口に相当するホールの部分。中には当時の精巧な皇帝の椅子などが展示されている。
この建物のそばから鉱山へのバスが出る。どうしてこんなところから出発し帰りはここでなく駅に着くのか不思議。 -
町の中心から約1km,標高で600m高いところにあるランメルスベルク鉱山の1000年に及ぶ歴史を展示する博物館の正面。元選鉱所の建物と巨大な排気用の煙突。
-
元選鉱所今は見学者用のホール。背後に立抗駆動用の櫓
-
選鉱所の内部に併設されてた鉱夫の着替え場所。壁際に並んだ番号のついたロープを緩めると、その番号ロープに繋がった天井にぶらさがっている鉱夫毎の作業服、帽子、靴、カンテラなどが降りてくる。このようにすることでスペースを稼げる。
-
ロープの先にぶら下がっている、上からヘルメット、作業服か通勤服をかける部分(カバーが付いている)、靴入れ
-
抗内に入るヘルメットを被った見学者。
見学コースは二つあって19世紀の坑内と15・6世紀の坑内で、幸い両コースとも見学できた。 -
坑内用の電車で坑内へ運んでもらう。すごく小さいので乗るのに苦労する。
-
坑内、立抗の人車用エレベーター前。実際に坑底深くまで運んでもらう。
-
こちらは中世の坑内。
-
中世にこの鉱山の衰退をみごとに克服した産業革命と言うべき工夫の展示。ホールに展示してあって何気なくこれを見てこの鉱山博物館の価値を見直す。同じ見学者で気が付いた人は皆無なのは本当に惜しい。そして私もそれをちゃんと紹介できる内容を把握と記録しなかったことが悔しい。もう一度行かなければと思いながら今だ実現せず。
以下は私なりに理解した内容。
長く採掘を続けた鉱山の多くが衰退し破棄閉山する。その原因は、深く掘り進むことによる湧水のくみ上げ手段、採掘した鉱石の運搬と坑夫の派遣手段を解決できなかったことによる。
素晴らしい発明(というより既存技術の組み合わせの工夫と言うべきか)によりそれを解決したことで1000年も他所の生産性を凌駕し隆盛した。
1.坑内湧水を水路でたくみに導き坑内にある大型の水車で回転動力を得る。
2.回転力をクランクで往復運動に換えて棒やワイヤーで坑内の各所に導く。これによって細い孔でも遠くまで動力を伝達できるようになる。
3.この往復運動動力で往復ポンプを駆動して排水を。
上下に往復運動する運動の位相を半周期ずらせた2つの梯子を近接させて、上下運動の上端(または下端で)もう一つの下端(または上端)の梯子に乗り移ることで脚力を使わなくて上ったり下ったり出来る。
なおこの機械工学的改善のほかに「選鉱作業に関する化学工学的改善・発明がここで1935年になされた」と書いた文献を最近見つけた。それは従来の選鉱が比重の差を利用していたのに対してその金属の表面の特性に基づく画期的な手法でいまではフローテーションと呼ばれている。
専門でなくよく理解できないので省略する。 -
坑内にある、復元した直径8mもある巨大な水車
-
巨大なてこ。これで往復運動のストロークと速度を変える。またリンクによる方向転換もなされている。
-
水車動力で鉱物を吊り上げるために使った巻き上げ機の機構。よくできている。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (1)
-
- とんちゃん健康一番さん 2012/08/20 09:25:27
- わぁ〜!!ここに行きたかったです☆
- 4nobuさんへ♪
お邪魔します☆
ランメルスベルク鉱山!!行かれてたんですね☆
いいなぁ!!
ここに行きたかったです!!
来年!ここへ行きたいと思います☆
4nobuさんの旅行記を参考にさせて頂きます!!
今日も一日楽しく過ごせますように☆
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
4nobuさんの関連旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
1
30