2025/03/05 - 2025/03/05
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Mr.noone specialさん
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キュンパスを使い内田百閒の「阿房列車」に倣って無為の往還をした記録。
完全版は以下ブログ参照。
https://aamns2021.livedoor.blog/archives/cat_440613.html
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同じ切符で青森に来た朋輩は何としても列車に乗って中心部に出ようとするので、東京の混雑時を上回る乗車率の中、苦悶しながら行くという。そんな苦行をしに来たわけではないので、バスに乗って市中へ行くことにする。
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雪が凄いと聞いていたが、幹線道路はきちんと除雪されてノロノロ運転になることもなく進んでいく。ただ車窓から家並を覗くと、屋根に積もった雪に断層が出来ていて、順々降り積もったことがはっきり判った。その様子が豚のばら肉のように見えて、たまり醤油とざらめ・八角で煮たら、蘇東坡好みの東坡肉が出来そうに思う。口どけはこの上なく良く、東坡居士もきっと気に入るに相違ない。
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そんなぼんやりした気持ちでバスに揺られていたら、目的の古川の停留所に着いた。百閒は向こうが待ち構えている感じが気に入らず温泉を好まなかったようだが、気温は摂氏二度で寒いし狭い席で縮こまっていたから湯に浸かろうと思う。
広い浴槽に熱からず温からず浸かるに適した湯が満々と張られて、湯けむりの向こうから痩躯の老爺が現れると仙人に見えなくもない。世上では会社や学校が始まったばかりの時間に素っ裸になって湯に浸かっているというのは愉快でもあり後ろめたくもある。 -
身体も解れたので風呂上がりの一杯をしようと思う。一杯と言っても珈琲で、あまり早くから箍を外すと碌なことにならないから、珈琲で済ませるのは本望である。二度出掛けたことのあるシュトラウスは和菓子の甘精堂がやっているので、まずは下の階で名物の昆布羊羹に季節の上生菓子を買ってから、開店早々店に入る。
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開店早々というに既に三組客が入っていて、男の給仕が一人しかいないので卓を巡っては水を置き、注文を聞き聞きしている。それが終わらぬうちに続々と客が来て開店して10分でほぼ席が埋まる。そこにも巡回して忙しなく応対している。面倒をかけまいと頃合いで名物のザッハトルテとメランジェの組み合わせを注文する。
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悪いことに給仕は山系氏と同類の朦朧派の一員のようで、溢れる客を前に要領を得ない。入店して三十分ほどしてようやくこちらの席に来たところ、「注文の確認ですが」と内容を復唱しただけで去った。不安が極限に達したところに滑らかな黒褐色の肌を持つザッハトルテが漸く着到したので安堵した。
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ここのザッハトルテはあっさりとしたチョコレートの風味で、決して固からずくどからずというのが身上だ。欧州の古豪である墺太利の気品が感じられて、内装の豪壮なことといい矢張りいい店だと思う。
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さすがに中心街だから積雪が一米を超えるというのに、歩道は除雪されていて平時と変わらない。用心の為、また百閒への敬意の念も込めて防水の深ゴム靴を履いてきたが、杞憂に終わった。
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青森駅へ歩いていくと舶来の人々が多く目に映る。この後巡る東北二都と比して目立って多かった。褐色の肌を持つ人々は雪を楽しんでいる様子だったが、白皙の人々も多く荷物が馬鹿に大きいところが特徴と言える。ある女性は自転車を梱包したと思しき大荷物を列車に持ち込んでふうふう言っていた。遠い異国まで来て御苦労なことと思う。そうした人たちと青森駅から一駅乗り合わせて新青森へ出て、盛岡へ向かった。
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