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2025年9月23日(火・秋分の日)午後、今年も隣町の城陽で開かれたクラシックの演奏会を聴きに行った。文化パルク城陽、城陽市寺田、墨染交響楽団に付いては前に書いたものをどうぞ。<br />https://4travel.jp/travelogue/11854418<br /><br />まずはプレコンサート。<br />(1) 弦楽四重奏 ボロディン 「弦楽四重奏曲第2番第2楽章」<br />(2) 木管五重奏 アラン・メンケン 「ホール・ニュー・ワールド 」<br />(3) 木管五重奏 チャイコフスキー 「くるみ割り人形メドレー」<br />(4) 金管五重奏 追榮祥 「キラキラ星幻想曲」<br /><br />1曲目のボロディン(Alexander Borodin)は19世紀半ばの帝政ロシアの作曲家で、民族主義的な芸術音楽の創造を志向したロシア5人組の一人。1833年11月サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)生れ。サンクトペテルブルク大学の医学部を卒業し、同大学医学部生化学の教授も務め、生涯有機化学の研究家として多大な業績を残した。ボロディン反応((Borodin reaction)にその名を残している。<br /><br />作曲に関しては1863年、29歳まで正式に学んだことがなかった。交響曲第1番変ホ長調の公開初演は1869年、35歳の時だった。「だったん人の踊り」や「だったん人の行進」が含まれるオペラ「イーゴリ公(Prince Igor)」(死後の1890年初演)は最も重要な作品と見なされている。1887年2月、53歳の時、サンクトペテルブルクで急死。<br /><br />弦楽四重奏曲第2番(String Quartet No. 2)は1881年に2ヶ月足らずで作られたもので、夜想曲(notturno)として知られる第3楽章が有名。初演は完成の翌年の1882年2月に、サンクトペテルブルクで行われた。<br /><br />ボロディンの作品の中でも特に親しまれているもののひとつで、19世紀のロシア帝国を代表する室内楽曲のひとつでもある。従来の弦楽四重奏曲の様式を踏まえつつも、楽器の持つ特性を活かしながらロシア的な要素も融合させ、親しみのある優れた作品に仕上げられている。<br /><br />第2楽章スケルツォ(scherzo):アレグロ(allegro)はヘ長調、4分の3拍子、ソナタ形式。ゆったりとしたワルツ風の楽章。第1ヴァイオリンによって奏でられる第1主題と、2つのヴァイオリンによって奏でられる第2主題の2つで構成され、この2つの主題が3拍子の軽快なリズムに乗って様々な形で現れる。終盤の10小節のヴィヴァーチェ部分を経て、元のテンポに戻り、静かに終わる。<br /><br />2曲目のアラン・メンケン(Alan Menken)は1949年7月ニューヨーク生れの作曲家でピアニスト。1967年にニューヨーク大学(New York University)の医学部に進学したが、その後、文化人類学専攻、哲学専攻、音楽学専攻へと移り、最終的には音楽学で学位を取得した。<br /><br />舞台音楽とディズニー映画の映画音楽で特に知られており、作曲賞、歌曲賞各4回の計8回アカデミー賞を受賞しており、音楽関連の部門でアルフレッド・ニューマンの9回に続く2番目の受賞回数となっている。またグラミー賞11回のほか、トニー賞など様々な賞を受賞している。<br /><br />「ホール・ニュー・ワールド(A Whole New World)」は1993年に第65回アカデミー賞の歌曲賞を受賞した曲で、1992年公開のディズニーのアニメーション映画「アラジン(Aladdin)」に用いられたバラード曲。映画ではティム・ライス(Tim Rice)作詞の曲をアラジンの歌唱担当のブラッド・ケイン(Brad Kane)とジャスミンの歌唱担当のリア・サロンガ(Lea Salonga)が歌った。2019年公開の実写リメイク版の日本語版では中村倫也と木下晴香によって歌われた。<br /><br />3曲目のチャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky)は云わずもがなだろうが、19世紀半ばの帝政ロシアの作曲家。感情豊かな旋律と革新的な管弦楽法で、ロマン派音楽の代表的存在となった。1840年5月ロシアのウラル山脈の西側のヴォトキンスク(Votkinsk)生れ。<br /><br />幼い時から音楽的才能を示していたが、19歳で法律学校を卒業し、法務省の文官となった。しかし、23歳で法務省の職を辞し、音楽に専念、ペテルブルク音楽院を1865年に卒業する。<br /><br />1866年に最初の交響曲、第1番ト短調「冬の日の幻想」を作曲(全曲初演は1868年)。以後、7曲の交響曲の他、多数のオペラや声楽曲などを残す。ヴァイオリンやピアノの協奏曲も有名。また、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の3曲はチャイコフスキーの三大バレエとして知られている。<br /><br />1893年10月、サンクトペテルブルクで急死。53歳の若すぎる死。死因はコレラに併発した肺水腫。<br /><br />「くるみ割り人形(The Nutcracker)」は2幕3場の構成で、1892年12月にサンクトペテルブルクで初演。クリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語。<br /><br />原作は、ドイツのE.T.A.ホフマン(E. T. A. Hoffmann)の童話「くるみ割り人形とねずみの王様(Nu&#223;knacker und Mausek&#246;nig)」(1816年)を、アレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)がフランス語に翻案した「はしばみ割り物語(Histoire d&#39;un casse-noisette)」(1844年)。<br /><br />最後の曲の追榮祥(おいえ しょう)は現代の日本の作曲家・コントラバス奏者。上野学園大学短期大学部卒業後、同大学の研究生を修了。ズーラシアンブラス専属作編曲家を務める。<br /><br /> 「キラキラ星幻想曲」は18世紀後半にフランスで流行していた「ああ、お母さん、あなたに申しましょう(Ah! vous dirai-je, maman)」の旋律をモチーフに作られた曲。この旋律はモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)がピアノ用の器楽曲で使っており、日本では「きらきら星変奏曲」として有名。<br /><br />元々の歌詞は少女がお母さんに自分の初恋の話を聞いてもらうと云う内容の可愛らしい曲もので、「キラキラ星幻想曲」ではこの歌詞に登場したような素朴で夢見る少女が長じて大人になり、惑星間戦争によって離れ離れになった恋人を探すために宇宙を旅し、艱難辛苦を乗り越えたのち、無事恋人との再会を果たして、ハッピーエンドと云う物語として作られている。<br /><br />今回の演奏会の指揮者やコンサートミストレス、セットリスト、曲目紹介、メンバーについては以下のアルバム参照のこと。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.31698327386477216&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><前半 約40分><br />モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart) 「皇帝ティートの慈悲」序曲(La clemenza di Tito Overtura)  演奏時間:約9分<br />ハイドン(Franz Joseph Haydn) 交響曲第104番「ロンドン」(Symphony No. 104 &quot;London Symphony&quot;) 演奏時間:約30分<br /><br /><後半 約45分><br />ドヴォルザーク(Anton&#237;n Dvo&#345;&#225;k) 交響曲第9番「新世界より」(Symphony No. 9 &quot;From the New World&quot;) 演奏時間:約45分<br /><br /><アンコール 約5分><br />ドヴォルザーク アメリカ組曲(American Suite) 第5曲 アレグロ(Allegro) 演奏時間:約3分<br /><br />アンコールのドヴォルザークのアメリカ組曲はニューヨーク・ナショナル音楽院の校長時代の1894年3月に「ピアノのための組曲」として作曲されたものを、翌1895年2月に管弦楽に編曲したもの。彼の死後6年を経た1910年にプラハで初演された。全5曲からなり、交響曲第9番と同様、アメリカ的なニュアンスが聴かれる。<br /><br />「新世界より」以外はライブで聞くのは初めてだと思う。モーツァルトの「皇帝ティートの慈悲」序曲はオペラの始まりらしい序曲。ハイドンの「ロンドン」のネーミングは彼がロンドン時代に作ったと云うだけの意味らしい。確かにオーソドックスなシンフォニーやったわ。ドヴォルザークの「新世界より」は何度も聴いているが、昔から大好きな曲。第1楽章から第4楽章まで完璧に楽しめる。「アメリカ組曲」は初めて聞いたように思う。<br /><br />今回も楽しませてもらった。<br /><br /><br />以上

文化パルク城陽 墨染交響楽団 第34回定期演奏会(Sumizome Orchestra,Bunka Parc Joyo,Kyoto)

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2025/09/23 - 2025/09/23

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ちふゆ

ちふゆさん

2025年9月23日(火・秋分の日)午後、今年も隣町の城陽で開かれたクラシックの演奏会を聴きに行った。文化パルク城陽、城陽市寺田、墨染交響楽団に付いては前に書いたものをどうぞ。
https://4travel.jp/travelogue/11854418

まずはプレコンサート。
(1) 弦楽四重奏 ボロディン 「弦楽四重奏曲第2番第2楽章」
(2) 木管五重奏 アラン・メンケン 「ホール・ニュー・ワールド 」
(3) 木管五重奏 チャイコフスキー 「くるみ割り人形メドレー」
(4) 金管五重奏 追榮祥 「キラキラ星幻想曲」

1曲目のボロディン(Alexander Borodin)は19世紀半ばの帝政ロシアの作曲家で、民族主義的な芸術音楽の創造を志向したロシア5人組の一人。1833年11月サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)生れ。サンクトペテルブルク大学の医学部を卒業し、同大学医学部生化学の教授も務め、生涯有機化学の研究家として多大な業績を残した。ボロディン反応((Borodin reaction)にその名を残している。

作曲に関しては1863年、29歳まで正式に学んだことがなかった。交響曲第1番変ホ長調の公開初演は1869年、35歳の時だった。「だったん人の踊り」や「だったん人の行進」が含まれるオペラ「イーゴリ公(Prince Igor)」(死後の1890年初演)は最も重要な作品と見なされている。1887年2月、53歳の時、サンクトペテルブルクで急死。

弦楽四重奏曲第2番(String Quartet No. 2)は1881年に2ヶ月足らずで作られたもので、夜想曲(notturno)として知られる第3楽章が有名。初演は完成の翌年の1882年2月に、サンクトペテルブルクで行われた。

ボロディンの作品の中でも特に親しまれているもののひとつで、19世紀のロシア帝国を代表する室内楽曲のひとつでもある。従来の弦楽四重奏曲の様式を踏まえつつも、楽器の持つ特性を活かしながらロシア的な要素も融合させ、親しみのある優れた作品に仕上げられている。

第2楽章スケルツォ(scherzo):アレグロ(allegro)はヘ長調、4分の3拍子、ソナタ形式。ゆったりとしたワルツ風の楽章。第1ヴァイオリンによって奏でられる第1主題と、2つのヴァイオリンによって奏でられる第2主題の2つで構成され、この2つの主題が3拍子の軽快なリズムに乗って様々な形で現れる。終盤の10小節のヴィヴァーチェ部分を経て、元のテンポに戻り、静かに終わる。

2曲目のアラン・メンケン(Alan Menken)は1949年7月ニューヨーク生れの作曲家でピアニスト。1967年にニューヨーク大学(New York University)の医学部に進学したが、その後、文化人類学専攻、哲学専攻、音楽学専攻へと移り、最終的には音楽学で学位を取得した。

舞台音楽とディズニー映画の映画音楽で特に知られており、作曲賞、歌曲賞各4回の計8回アカデミー賞を受賞しており、音楽関連の部門でアルフレッド・ニューマンの9回に続く2番目の受賞回数となっている。またグラミー賞11回のほか、トニー賞など様々な賞を受賞している。

「ホール・ニュー・ワールド(A Whole New World)」は1993年に第65回アカデミー賞の歌曲賞を受賞した曲で、1992年公開のディズニーのアニメーション映画「アラジン(Aladdin)」に用いられたバラード曲。映画ではティム・ライス(Tim Rice)作詞の曲をアラジンの歌唱担当のブラッド・ケイン(Brad Kane)とジャスミンの歌唱担当のリア・サロンガ(Lea Salonga)が歌った。2019年公開の実写リメイク版の日本語版では中村倫也と木下晴香によって歌われた。

3曲目のチャイコフスキー(Pyotr Tchaikovsky)は云わずもがなだろうが、19世紀半ばの帝政ロシアの作曲家。感情豊かな旋律と革新的な管弦楽法で、ロマン派音楽の代表的存在となった。1840年5月ロシアのウラル山脈の西側のヴォトキンスク(Votkinsk)生れ。

幼い時から音楽的才能を示していたが、19歳で法律学校を卒業し、法務省の文官となった。しかし、23歳で法務省の職を辞し、音楽に専念、ペテルブルク音楽院を1865年に卒業する。

1866年に最初の交響曲、第1番ト短調「冬の日の幻想」を作曲(全曲初演は1868年)。以後、7曲の交響曲の他、多数のオペラや声楽曲などを残す。ヴァイオリンやピアノの協奏曲も有名。また、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」の3曲はチャイコフスキーの三大バレエとして知られている。

1893年10月、サンクトペテルブルクで急死。53歳の若すぎる死。死因はコレラに併発した肺水腫。

「くるみ割り人形(The Nutcracker)」は2幕3場の構成で、1892年12月にサンクトペテルブルクで初演。クリスマス・イヴにくるみ割り人形を贈られた少女が、人形と共に夢の世界を旅するという物語。

原作は、ドイツのE.T.A.ホフマン(E. T. A. Hoffmann)の童話「くるみ割り人形とねずみの王様(Nußknacker und Mausekönig)」(1816年)を、アレクサンドル・デュマ(Alexandre Dumas)がフランス語に翻案した「はしばみ割り物語(Histoire d'un casse-noisette)」(1844年)。

最後の曲の追榮祥(おいえ しょう)は現代の日本の作曲家・コントラバス奏者。上野学園大学短期大学部卒業後、同大学の研究生を修了。ズーラシアンブラス専属作編曲家を務める。

「キラキラ星幻想曲」は18世紀後半にフランスで流行していた「ああ、お母さん、あなたに申しましょう(Ah! vous dirai-je, maman)」の旋律をモチーフに作られた曲。この旋律はモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)がピアノ用の器楽曲で使っており、日本では「きらきら星変奏曲」として有名。

元々の歌詞は少女がお母さんに自分の初恋の話を聞いてもらうと云う内容の可愛らしい曲もので、「キラキラ星幻想曲」ではこの歌詞に登場したような素朴で夢見る少女が長じて大人になり、惑星間戦争によって離れ離れになった恋人を探すために宇宙を旅し、艱難辛苦を乗り越えたのち、無事恋人との再会を果たして、ハッピーエンドと云う物語として作られている。

今回の演奏会の指揮者やコンサートミストレス、セットリスト、曲目紹介、メンバーについては以下のアルバム参照のこと。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.31698327386477216&type=1&l=223fe1adec

<前半 約40分>
モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart) 「皇帝ティートの慈悲」序曲(La clemenza di Tito Overtura) 演奏時間:約9分
ハイドン(Franz Joseph Haydn) 交響曲第104番「ロンドン」(Symphony No. 104 "London Symphony") 演奏時間:約30分

<後半 約45分>
ドヴォルザーク(Antonín Dvořák) 交響曲第9番「新世界より」(Symphony No. 9 "From the New World") 演奏時間:約45分

<アンコール 約5分>
ドヴォルザーク アメリカ組曲(American Suite) 第5曲 アレグロ(Allegro) 演奏時間:約3分

アンコールのドヴォルザークのアメリカ組曲はニューヨーク・ナショナル音楽院の校長時代の1894年3月に「ピアノのための組曲」として作曲されたものを、翌1895年2月に管弦楽に編曲したもの。彼の死後6年を経た1910年にプラハで初演された。全5曲からなり、交響曲第9番と同様、アメリカ的なニュアンスが聴かれる。

「新世界より」以外はライブで聞くのは初めてだと思う。モーツァルトの「皇帝ティートの慈悲」序曲はオペラの始まりらしい序曲。ハイドンの「ロンドン」のネーミングは彼がロンドン時代に作ったと云うだけの意味らしい。確かにオーソドックスなシンフォニーやったわ。ドヴォルザークの「新世界より」は何度も聴いているが、昔から大好きな曲。第1楽章から第4楽章まで完璧に楽しめる。「アメリカ組曲」は初めて聞いたように思う。

今回も楽しませてもらった。


以上

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