料亭のイメージのある紀尾井町を歩く

2023/12/01 - 2023/12/01

江戸時代から一等地である紀尾井町。
永田町が近く、個人的には高級料亭で政治家が密談しているイメージの町です。
過去にも今後も全く縁のなさそうな紀尾井町を、場違い感たっぷりに散策してきました。

エリア 赤坂(東京)

• 旅行の満足度: 3.0
• 観光: 3.0
• 交通: 3.5

• 同行者: その他
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 私鉄 徒歩

東京メトロ有楽町線麹町駅から紀尾井町に向かいました。
途中のある清水谷坂。
標識の説明によると、 元禄４年（１６９１）の地図に見ると麹町通りから直接下るように見えますが、それ以後の地図は現在の地形とほぼ合っているようです。

清水谷坂 名所・史跡

清水谷坂を下りきったあたりにある日本料理店、紀尾井町吉座。
紀尾井町のイメージって、この店構えの感じです。

紀尾井町 吉座 グルメ・レストラン

清水谷坂を下りきったところから、迎賓館赤坂離宮にあたるまで、約２００mの上り坂です。
江戸時代、徳川御三家の屋敷があり、江戸の住人たちは、紀州徳川家の「紀」、尾張徳川家の「尾」、井伊家の「井」のそれぞれ一字ずつを取って「紀尾井坂」とよぶようになりました。

紀尾井坂 名所・史跡

紀尾井町の象徴、ホテルニューオータニ。
昭和３９年（１９６４）開業の老舗ホテルで、建物は日本の高層ビル時代を拓いたといわれています。

ホテルニューオータニ 宿・ホテル

ホテルニューオータニの敷地内にあった「近江彦根藩井伊家屋敷跡」碑。
この一帯は、彦根藩井伊家の中屋敷でした。
ホテル内に現在も残る池泉回遊式の日本庭園は、４００余年の歴史を誇る名園のひとつです。

ホテルニューオータニの前、一等地ながら目立たない場所にあるコンサートホール、紀尾井ホール。
客席数８００席のクラシック専用の中ホールと２５０席の邦楽専用の小ホールがあります。

紀尾井ホール 名所・史跡

ホテルニューオータニの敷地のすぐ北にあった「喰違木戸跡」の説明板。
喰違木戸は、慶長１７年（１６１２）に旧武田家臣の小幡景憲によって縄張りされたと伝えられます。

紀尾井ホールの筋向いにある小高い丘が喰違見附跡です。
慶長１７年（１６１２）に丸亀藩主生駒隆俊らによってつくられました。
江戸城外郭門で唯一、石垣ではなく土塁による虎口（城の出入口）で、江戸時代初期の形状が今に留まる貴重な史跡です。

紀尾井ホールの裏にあった「尾張名古屋藩屋敷跡」碑と説明板。
この一帯は、尾張藩徳川家の中屋敷でした。
尾張徳川家は、寛永１４年（１６３７）にこの屋敷を拝領とすると、幕末まで世嗣や隠居の住まいなどとして使用されました。

「尾張名古屋藩屋敷跡」碑のうしろの建物の１階に「紀尾井亭」というものがありました。
この紀尾井亭、元は「福田家」という料亭だったのですが、それを上智大学で買い取り、管理しているお屋敷です。
福田家は政界の大物や首相など著名人たちが会談をしたという有名な料亭です。

ホテルニューオータニの東側にある清水谷公園。
明治２３年に造られた、古い公園です。

清水谷公園 公園・植物園

江戸時代、紀州徳川家の屋敷から清水が沸き出ていたことから、清水谷公園一帯は「清水谷」と呼ばれていました。
この事実にちなみ、公園を改修する際設置された人工的な湧水です。

清水谷公園 公園・植物園

清水谷公園内にある茶室、「偕香苑」。
昭和５９年に造られたもので、茶道・華道・書道・香道など文化芸術活動等に利用できます。

清水谷公園 公園・植物園

清水谷公園の中心にある心字池です。

清水谷公園 公園・植物園

心字池の隣にある「贈右大臣大久保公哀悼碑」。
明治１１年（１８７８）に、麹町清水谷において暗殺された大久保利通を偲んで明治２１年（１８８８）5月に建立された碑です。

清水谷公園 公園・植物園

清水谷公園のいこいの広場。
近隣の幼稚園児の遊び場になっています。

清水谷公園 公園・植物園

いこいの広場の裏にあった「玉川上水の石枡」。
この石枡は昭和４５年（１９７０）に国道20号線の工事の際に麹町３丁目２番地先で発見された玉川上水施設の一部です。
江戸市中における本管の一部で、地中深く４段に積んだ大規模な構造を持っていました。

清水谷公園 公園・植物園

清水谷公園の向かい、ホテルニューオータニ内ガーデンタワー・ガーデンコートの１、２階にあるショッピングアーケード、サンローゼ赤坂です。
高級店が立ち並び、通るのも気が引けます。

サンローゼ赤坂 市場・商店街

清水谷公園から赤坂方面へやや下った場所にある、赤坂維新號本店。
高級中華料理店ですが、ランチならば２７５０円で食べられます（２０２５年９月現在）。

維新號 赤坂店 グルメ・レストラン

ホテルニューオータニのガーデンコートの向かいにある、東京ガーデンテラス紀尾井町。
西武グループの大型複合商業ビルで、オフィス、ホテル、商業施設等が入居する紀尾井タワーと賃貸マンションの紀尾井レジデンスの２棟で構成されています。

東京ガーデンテラス紀尾井町 ショッピングモール

東京ガーデンテラス紀尾井町の前にあった「紀伊徳川家和歌山藩屋敷跡」。
この一帯は、紀伊徳川家の上屋敷でした。

紀伊徳川家和歌山藩屋敷跡 名所・史跡

紀尾井町の東側から南側に水をたたえている弁慶堀に架かっている橋です。
江戸城普請の大工の棟梁であった弁慶小左衛門が作った橋であることから、弁慶橋と名付けられたといわれています。

弁慶橋 名所・史跡

紀尾井町の東側から南側に水をたたえている江戸時代の外濠、弁慶濠です。
春には桜が咲き、お花見スポットとしても人気があります。
赤坂の目と鼻の先なのに、ボート乗り場や釣堀があるのは少し違和感です。

弁慶濠 名所・史跡

青山通り沿いのお堀端にあった「赤坂門跡」の説明板。
赤坂門は寛永１３年（1636）に、筑前福岡藩の藩主である黒田忠之により築造されました。
櫓などの建築部分は明治４年（１８７１）に撤去され、石垣も明治３０年代に撤去されました。

「赤坂門跡」の隣にあったのが「赤坂御門」の説明板。
赤坂御門は江戸城の外堀にあった門です。
現在は、石垣の一部が残るのみになりましたが、説明板の写真と古地図から往年の姿が確認できます。

江戸城外堀跡 赤坂御門 名所・史跡

東京ガーデンテラス紀尾井町の中にある結婚式場、赤坂プリンスクラシックハウス。
昭和初期に建てられたチューダー様式の洋館は東京都指定有形文化財で、とても目立ちます。

赤坂プリンス クラシックハウス グルメ・レストラン

東京ガーデンテラス紀尾井町の北の住宅街の一角にひっそりとある、紀尾井アートギャラリー江戸伊勢型紙美術館。
江戸から昭和初期の伊勢型紙を紹介する世界で唯一の美術館です。

ここで紀尾井町散策は終了。
江戸時代から一等地でしたが、今も高級感漂う飲食店やホテルニューオータニなどが並ぶ、やはり庶民には敷居の高い街でした。

紀尾井アートギャラリー 名所・史跡