2025/01/08 - 2025/01/08
39位(同エリア956件中)
かっちんさん
房総半島の西と東を結ぶ「小湊鐵道」と「いすみ鉄道」は、五井~大原65.9kmのローカル線で、房総横断鉄道と呼ばれています。
五井~上総中野まで39.1kmの「小湊鐵道」は、大正14年から昭和3年までに開業し、駅舎などの建造物が開業当時の姿を残し、現在まで使い続けられています。
全18駅のうち、駅舎10件、機関庫、橋梁、トンネルなどの合計22件が、国の登録有形文化財として登録されています。
「小湊鐵道」にはなぜか「小湊」と言う駅名がありません。
社名の「小湊」は旧安房郡小湊町(現在の鴨川市の一部)に由来し、当初五井駅から安房小湊駅付近まで開業する予定でしたが、終点は「上総中野駅」で、小湊への延伸が実現しませんでした。
これから乗る「小湊鐵道」の列車は、五井から養老川の上流に向かって走るので、房総の里山風景と鉄道設備、駅のルーツ、各駅の見どころ等を紹介します。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・小湊鐵道のHP、駅の説明等
・いちはらの文化財
・mixi「キハ40,47系の疑問に答えます」:変直切換え
・国指定文化財等データベース「海士有木駅」
・鉄道チャンネル「同じ意匠の駅舎が続きます 上総山田駅【木造駅舎カタログ】」
・高滝湖グランピングリゾートのHP
・歩鉄の達人「廃線探索 小湊鉄道砂利採取線」
・市原市「チバニアン誕生」
・ウィキペディア「小湊鉄道」「小湊鉄道キハ200形気動車」「五井駅」「海士有木駅」「上総三又駅」「三俣駅」「上総山田駅」「光風台駅」「光風台団地」「国鉄ホキ300形貨車」「分岐器」「上総鶴舞駅」「里見駅」「飯給駅」「月崎駅」「上総大久保駅」「となりのトトロ」「養老渓谷駅」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
「サンキュー・ちばフリー乗車券」
利用する「サンキュー ちばフリー乗車券」は、都区内から「JR線往復乗車券+千葉県内フリーエリア乗り放題乗車券」です。
発売額は4,790円、2日間有効で、利用期間が2025/1/4~2/28限定です。
「青春18きっぷ」と比べ、JR以外の民鉄、バスにも乗れるのでお得です。 -
「フリーエリア」
JR内房・外房・久留里線、小湊鐵道、いすみ鉄道、JRバス、他のバスが何回でも乗れます。
小湊鐵道が当初開業を目指していた「安房小湊」の位置は外房線にあります。 -
「小湊鐵道のりば」(五井駅)
川崎からJR内房線五井駅まで移動し、これから小湊鐵道に乗ります。
小湊鐵道へはJR五井駅構内でつながっています。
ここは千葉県市原市です。 -
「お弁当屋さん」(小湊鐵道改札口前)
小湊鐵道へ行く通路で販売しています。 -
「小湊線の改札口」(五井駅)
心温まる有人改札です。 -
「路線案内図」(五井駅)
五井から上総中野まで18駅あります。 -
「小湊鐵道の鳥瞰図」(五井駅)
曲がりくねった水色の「養老川」に対し、小湊鐵道はほぼ直線的に通っています。
養老渓谷は観光スポットです。 -
「小湊鐵道の時刻表」(五井駅)
終点「上総中野」まで行くには、昼間の時間帯はほぼ1時間に1本の頻度。
朝晩は途中の駅までとなります。
これから乗る列車は9:06発で、上総中野まで1時間16分ほど。 -
「小湊鐵道の車両たち」(五井機関区)
五井駅ホームから車両を眺められます。
昭和36年(1961)から導入した気動車「キハ200形」が並んでいます。 -
これは「トロッコ列車の客車」(五井機関区)
形式は、はて何だろうと調べたら、「ハテ100形」でした。 -
「キハ200形」の横顔(五井機関区)
車内の座席はロングシート。
「K.T.K」は「小湊・鉄道・株式会社」の略称。 -
「タイル張りの水飲み場」(五井駅ホーム)
今では珍しい水飲み場です。 -
「イノシシの石像」(五井駅ホーム)
市原市には、クマではなく「イノシシ」が生息しています。 -
「上総中野行き」気動車1両(五井駅ホーム)
JR東から2020年に譲渡された「キハ40-2」。
塗装色はJR東コーポレートカラーのグリーンのまま。 -
イチオシ
「運転台」(キハ40)
マスコンとブレーキのある運転台は懐かしいです。
『「変⇒直」切換は50km/h以上で行う事』とは、車のギア変更と似たようなことです。
列車の起動時は大きな力が必要なので、ディーゼルエンジンの出力を液体変速機を介して車輪に伝えています。
スピードが上がると変速機の動力伝達の効率が悪くなるので、エンジンの回転力を直接車輪に伝える直結切換が必要となり、それが50km/h以上で行う事の意味です。 -
生い立ちがわかる「製造銘板」(キハ40)
昭和54年(1979)富士重工で製造し、その後JR東 郡山工場、日本電装で改造されています。
国鉄・JR東時代は「キハ40-2026」として東北地区で活躍していました。 -
「車内」(キハ40)
クロスシートの座席。
では、出発します。 -
最初の停車駅は「上総村上」
「上総(かずさ)」の地名は、千葉県中央部に位置する旧国名「上総国」から。
「村上駅」はJR東の羽越本線にあるので、ここは「上総村上」。
市原市役所があるので、最寄り駅になっています。 -
次は傾いてる「海士有木(あまありき)」
傾いているのは駅名標だけ。念のため・・・
開業は大正14年(1925)。
駅名と地名の由来は、海士(あま)と有木(ありき)が一つになったから。
「海士」は昔漁夫の集落、「有木」は付近の有木城(現在の泰安寺)があったことから。 -
小湊鐵道の駅舎(海士有木)
国の登録有形文化財に登録されています。
事務室と待合室からなる寄棟造の木造平屋建に、休憩所等を増築。
外壁下見板張で、正面と背面に一間隔で張り出す下屋にバージーボードをあしらうなど、さりげない意匠に時代の雰囲気をよく表しています。
(国指定文化財等データベースより) -
麦畑の中を走行中(車窓)
-
次は「上総三又」
昭和7年(1932)開業。
「三又」と同一駅名は同音の上毛電鉄「三俣駅」(昭和3年(1928)開業)がすでにあり、「上総三又」となったと考えられます。 -
ログハウス風の待合室(上総三又)
平成元年(1989)ドイツのログハウス風駅舎に改築。
その後、不審火に全焼しましたが再建。 -
次は「上総山田」
大正14年(1925)開業当時は「養老川駅」。当時の地名は「養老村」。
昭和29年(1954)に「上総山田駅」に改称。翌昭和30年(1955)「養老村」は「三和町」になり、現在は「市原市」になっています。
「上総山田駅」の所在地は市原市「磯ヶ谷」。駅の南側と西側は市原市「山田」です。
「磯ヶ谷と山田」は、明治以前からある地元の村名。
駅名の由来は、ようやく「山田」にたどりつきました。
なお、「山田駅」は京王電鉄高尾線と大阪モノレールにあります。 -
「緩やかなカーブ」(車窓)
まもなく「光風台」。 -
次は「光風台」
光風台団地造成に伴い昭和51年(1976)に開業し、最も新しい駅。 -
「光風台団地」(光風台駅から)
台地に広がる団地で、団地面積は78.5ha。 -
国鉄「ホキ800形」(馬立駅貨物線)
線路のバラスト(砂利)輸送用の「ホキ800形」貨車がいます。
保線作業に活躍する車両です。 -
次は「馬立(うまたて)」
駅名の由来は、鎌倉時代の頃、この付近で馬のセリが行われたという説と、馬の集結場の説があります。 -
イチオシ
懐かしい「今度の列車は・・・を出ました」表示板(馬立)
隣の駅を列車が出発すると、黒いアクリル板裏のランプが点灯し、アクリル板に彫られた駅名が照らし出される「接近表示板」です。
両隣に駅があるので、2つあります。
この駅舎は国指定の重要文化財に登録されています。 -
馬車のベンチ(馬立)
このベンチは、大正時代から昭和のはじめにかけて、市原市で実際に使われていた馬車の車輪と小湊鐵道で使われていた枕木をリサイクルして作りました。 -
次は「上総牛久」
後ろに停車している気動車は「キハ40-5」。
国鉄基本色「朱色」の塗装です。
「牛久駅」は常磐線にあります。 -
同じような形の駅舎(上総牛久)
国の登録有形文化財に登録されています。 -
これから登り坂(車窓)
-
田畑の中にある「上総川間」
昭和28年(1953)開業。
駅舎はなく、ホーム上に簡易的な待合室があります。
「川間駅」は東武アーバンパークラインにあります。 -
麦畑とトラクター(里山風景)
-
鉄道設備「発条転轍機」の標識部分
単線の分岐する線路の進路が原則的に定位に固定され、反位側からの列車は車輪によってトングレールを広げて通過でき、通過後は内蔵されたスプリングと油緩衝器によって自動的に定位へ戻る仕組みが「発条転轍機」です。
転轍機標識は、定位で青の円盤にSの文字、反位で黄色の矢羽根形です。 -
次は「上総鶴舞」
大正14年(1925)「鶴舞町駅」として開業し。昭和33年(1958)に「上総鶴舞駅」に改称。
「鶴舞駅」はJR東海中央線と名古屋市営地下鉄鶴舞線にあります。 -
木製の改札口(上総鶴舞)
駅舎は国の登録有形文化財に登録されています。 -
大銀杏のある「上総久保」
昭和8年(1933)に開業。
駅名標の後ろに立派な「大銀杏」があります。 -
「高滝湖」を渡ります
養老川につくられた「高滝ダム」のダム湖です。 -
気動車の宿泊施設「高滝湖グランピングリゾート」
小湊鐵道のキハ203の車両を改装した宿泊施設です。
高滝駅から徒歩10分のところにあります。 -
次は「高滝」
高滝湖に隣接し、「市原ぞうの国」への最寄り駅です。 -
キハ40のグリーン車体色みたいな建物
ドームハウスと呼ばれる建物ですが、宿泊施設かな?? -
イチオシ
「里山の踏切」(車窓)
山道と交差する踏切。 -
次は「里見」
駅名の由来は、大正14年(1925)開業当時 市原郡里見村だったことから。
現在は市原市平野です。
この駅から昭和37年(1962)まで万田野まで1kmの「砂利採取線」が延びていました。
Google mapを確認すると、砂利採石場がいくつかあります。
また、近くの加茂地区には小中一貫教育の加茂学園が平成25年(2013)に開校。
小中学生の列車通学に対応するため、列車交換の復活、無人駅から駅係員のいる駅になりました。 -
イチオシ
懐かしい「タブレットの受渡し」(里見駅)
ここから終点「上総中野」までの単線区間は、通票(スタフ)を入れた「タブレット」を持った列車だけが通行できる「スタフ閉塞区間」です。 -
イチオシ
列車は発車~(里見駅前方)
真中の線路を進みます。
Sマークの「発条転轍機(スプリングポイント)」があり、線路を見るとその仕組みがわかります。
例えば、左側の線路から真ん中の線路に列車が入る場合、通過時に車輪によってトングレールを広げて進入し、通過後は内蔵されたスプリングと油緩衝器によってトングレールを自動的に戻します。 -
次は「飯給(いたぶ)」
難読駅のひとつです。 -
トタン波板張りの待合室(飯給駅)
春になると駅前の桜の木や菜の花が咲き乱れるところです。
以前、訪れた時は冬でした。 -
冬の飯給駅(2017/12/10訪問)
冬の桜と鉄道の風景ですが、枯れ枝が白い花のようにも見えます。 -
この黒い囲いは何だろう?(飯給駅前)
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内部は「開放的なトイレ」(2017/12/10訪問)
市原市の観光振興の一環として、「世界一大きなトイレ」と称するトイレ。
広さ200㎡を杉丸太で大きく囲んだ中に「草原」を見立てたスペースを設え、その中央部に全面ガラス張りの個室トイレがあります。 -
再び山の中を走ります(車窓)
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次は「月崎(つきざき)」
月崎駅から歩いて40分のところに、国の天然記念物の地球磁場逆転地層「チバニアン」があります。
77万年前に起こった地磁気の逆転現象の前後の地層が容易に観察できます。 -
これが「チバニアン」(2017/12/10訪問)
磁石の針の北方向が南極だった時代があったので、凄いことです。
旅行記にしているので、ご覧ください。
『房総のローカル線「小湊鐵道」と地磁気逆転地層「チバニアン」見学(千葉)』
https://4travel.jp/travelogue/11310803 -
駅舎とホーム(月崎駅)
大正15年(1926)第2次開業時の駅舎とプラットホームが国の登録有形文化財に登録されています。
プラットホームは笠石(上部に載せる石)にコンクリートブロックを用いた造りです。 -
短いトンネル(車窓)
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次は「上総大久保」
ここは「大福山、梅ヶ瀬渓谷ハイキング」の最寄り駅です。
「大久保駅」は全国に4駅もあり、中央本線、山陽本線、近鉄京都線、奥羽本線など。 -
「バスを待つトトロとメイ」(上総大久保の待合所)
「メイ」がお父さんが忘れた傘を持ってバス停で帰りを待ち、その隣には傘を持ったことがない ずぶぬれの「トトロ」。
「となりのトトロ」のアニメにこんな場面がありましたね。 -
イチオシ
「雨粒の音が気に入ってるトトロ」(上総大久保の待合所)
「メイ」が、ずぶぬれの「トトロ」に傘を貸してあげると・・・
傘に落ちる雨粒の音が気に入ってる「トトロ」。
地元の小学生が描いた絵ですが、リアルな顔の表情にほっこりします。 -
次は「養老渓谷」
昭和3年(1928)朝生原(あそうばら)駅として開業し、昭和29年(1954)養老渓谷駅に改称。
ここの住所は市原市朝生原。
養老渓谷への最寄り駅です。 -
木製の改札口(養老渓谷)
駅舎は国の登録有形文化財に登録されています。
ねずみの石像は平成20年(2008)の子年(ねずみどし)に設置された「キハチュー」。
平成20年と「キハ200」、子年から「チュー」をあわせて名付けたのかも・・・ -
青い作業服で「保線作業」(車窓)
手を上げて安全確認を示しています。 -
終点の「上総中野」に到着
「いすみ鉄道」と接続しているので、右隣は「西畑駅」。
ここは小湊鐵道で唯一市原市ではなく、夷隅郡(いすみぐん)大多喜町。 -
イチオシ
ローカル線ののどかな風景(上総中野駅)
小湊鐵道のキハ40が停車。 -
時計台の駅舎(上総中野駅)
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桜と菜の花に囲まれた小湊鉄道といすみ鉄道(上総中野駅)
「なより・さとみ・なのかと行く♪房総半島の風光明媚トラベル」は、2025/3/16まで鉄道駅や周辺のスポットを対象としたデジタルスタンプラリーが開催されています。 -
上総中野駅周辺マップ
上総中野駅で、五井からの小湊鐵道と大原からのいすみ鉄道が接続しています。
この後、いすみ鉄道に乗るのですが、現在代行バスになっています。
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