ファミリーで乗りたい新型やくも＆イオン岡山の地ビールで旅の仕上げ【WESTERポイント全線フリーきっぷで ほのぼのSUN-INその3】

2024/09/04 - 2024/09/04

　JR西日本の１日フリーきっぷの旅は、いよいよ今回のメインイベントへ。九州住まいだと、なかなか乗る機会のない特急「やくも」の新型車に試乗してみました。
　これまでにない色使いと、ゆとりある設備は「ウエストエクスプレス銀河」と同じデザイナーさんの作品。今後に続く列車にも、期待大です！

エリア 岡山市(岡山)

• 旅行の満足度: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 新幹線 JR特急
• 旅行の手配内容: 個別手配

　鳥取から米子まで、特急「スーパーまつかぜ」に乗車します。わずか２両編成で、１号車が指定席、２号車が自由席という布陣。
　スパっと切ったような、車両の断面そのままの先頭部分も、ごくごくシンプルな車両です。

鳥取駅 駅

　しかし山陰本線の高速化事業に伴って導入された車両なので、高性能エンジンに加えて振り子装置も装備。鳥取～米子間の表低速度は90kmを越えます。
　１号車の指定席は、ざっと４割の乗車率。自由席も似たようなもので、全体では１両分にもならず寂しいです。

　閉じられているカーテンが多いのは、車庫に留置中に高温にならないための工夫かな。薄暗くて気が滅入りますが、記録的猛暑の中で省エネのためには、やむを得ません。
　ところでWESTERフリーきっぷは、ネット予約で指定席を取れます。当たり前じゃんということなかれ、ＪＲ九州だと、ネット限定のフリーきっぷなのに、座席指定は窓口か券売機でしかできないという、信じられない商品がままあるのです。

特急 スーパーまつかぜ 乗り物

　シートマップで好みの席も抑えられるので、まつかぜでも先頭席を抑えました。１番ＡＢ席は運転席の背後で壁だけ。かぶりつき席はＣＤ席になります。
　わずか５分で、鳥取大学前に停車。片面ホームの無人駅ながら、鳥取県内では乗降客数ランキング４位につける駅です。

鳥取大学前駅 駅

　大学前を出ると、本領発揮とばかりにぐいぐい加速。早いのはいいけど、先頭は車端部ということもあって揺れる揺れる！ 乗りもの酔いに弱い人は、数分でノックダウンされそうです。
　たまに乗る分には、ジェットコースターみたいで楽しくはあります。https://youtu.be/hY4CAxddRU0

　単線なので、主要駅ごとに列車とすれ違います。コナンのキャラクター（キッドはコナンのキャラではないと主張したい世代ですが）でラッピングされた気動車は、2003年の高速化事業で、快速列車向けに導入されたキハ121系です。
　ボックス席主体で、個人的には「平成の急行型」と呼びたい車両。ただ高速化の当時に比べ、快速列車は激減してしまいました。

　「スーパーまつかぜ」も20年選手ながら、車内の清掃は行き届いていて、快適に乗車できます。
　編成１ヶ所のトイレには、おむつ交換台の設備もあり。この揺れの中、横向きの赤ちゃんの おむつ替えは、なかなか至難の業にも思えます。

　フリースペースにはマガジンラックがあり、米子到着の頃「ペーパークラフトがあるので、お子様へのお土産にどうぞ」と案内されていました。
　キハ187系はミニ編成とはいえ、４時間以上に渡り走り続ける列車もあります。道中で飽いた子どもの退屈しのぎにはもってこいで、現場のアイデアではないかな。我が子に持ち帰ったら、喜んで遊んでいました。

　１時間１分で、米子駅に到着。駅舎は昨年（2023年）に建て替えられたばかりで、鳥取駅にはなかった自動改札機も装備されています。

米子駅 駅

　改札を出れば、そこは市の所管になる自由通路。駅施設の面積は最小限、みどりの窓口も「市道」に面する形で、行列は「駅外」に伸びています。
　島根県第２の拠点都市なんだから、せめて屋内型として整備してほしかったところ。

　スクエア型の駅舎は現代的で、大手私鉄の駅みたい。米子駅の表札と同じくらいのフォントで、自由通路の愛称である「がいなロード」の文字が掲げられています。

　新駅舎の両側に、旧駅ビルの一部が残っているのはユニーク。国の出先機関の庁舎や、国立大学の校舎を思わせる「国標準仕様」のビルは見納めかと思ってたら、改築後も健在でした。

　米子から岡山までは、今回の旅のメインイベントである新型「やくも」に乗車します。今年（2024年）春にデビューしたばかりで、「令和の夜汽車」ことウエストエクスプレス銀河を手掛けた川西康之氏のデザインです。
　先頭の貫通ドアにペイントされた「やくも」のフォントは、先代の383系電車を飾ったヘッドマークと同じ。ウエストエクスプレスと同様、国鉄時代のデザインへの敬意が嬉しくなります。

特急 やくも 乗り物

　先頭の１号車は、グリーン車と普通車の合造車。グリーン車は、ゆったりした座席が３列で並びます。明るい色使いながら、落ち着きも感じられていい雰囲気。

　同じ車両の普通車がもっとも特徴的な区画で、２人用、４人用のボックス席が３つずつ並んでいます。背ずりが高くて、もう半個室といっていい設備。
　しかも座面を引き出して、足を伸ばしてくつろげる仕掛けまで施されています。これは家族旅行で乗りたいなぁ。

　テーブルが広くてお弁当を広げるのにもいいし、テーブル灯が手元を照らしてくれるので、カードゲームで盛り上がれそう。グリーン車並みのゆとりがありながら、普通料金で乗れる大サービスの席でもあります。
　ただこの列車では、最後まで乗客ゼロでした。九州の787系のボックス席も空いていることが多く、883系は普通の席に改造されてしまいました。特殊な設備が売れにくい傾向はいずこも同じです。

　デッキに、ささやかなフリースペースが設けられている車両もあります。イスは簡易なジャンプシートで、携帯電話でちょっと話すには良さそう。
　ゆったりしたソファを設置してくれれば「ミニロビー」とでも呼べそうだけど、長時間占有されると生きてこないスペースでもあり、このくらいがちょうどよいのかな。

　マガジンラックには、伯備線と山陰本線の写真集が立てられていました。
　振り子式特急が高速で駆けてしまう沿線風景を見ていると、途中下車してしまいたい誘惑にかられました。

　そしてこちらが、僕の座った４号車指定席です。緑のツートンカラーの座席に、木目調の床と暖色系の照明。今までの列車で、見たことがない配色です。しいて言うなら、東急田園都市線かな。

　やわらかい枕つき。全区間乗れば３時間超、さらに新幹線から乗り継ぐ長時間の利用客も多い列車だけに、居住性にも配慮されています。
　個人的には少し頭が押し出されて、首のおさまりが悪い気がしたけど、座高１ｍオーバーの人間の感想なので、おそらく大多数の人にとっては心地よいはず(泣)。

　車内のチャイムは、Official髭男dismのPretender。島根出身ということで、起用に至ったようです。今後数十年、新型「やくも」引退まで褪せることのない名曲と思います。
　米子駅のお土産屋さんで買った地ビールをプシュ。

　車窓左手に、大山が見えてきました。伯備線は夜行列車でしか通ったことがなく、はじめての車窓です。
　うまいビールを飲みながら、気分は上々。ただ短い旅は、もう終盤に入ってます。

大山(伯耆富士) 自然・景勝地

　なぎ倒された稲に、台風１０号の爪痕を見ます。ほぼ直撃だった福岡の被害は小さかった一方、遠く離れた地域での被害がかえって大きい台風でした。
　迷走に迷走を重ねたおかげで、この旅も２度の延期を余儀なくされましたが、まあ小さな話です。

　普通車の窓は２列に１つで、間にロールカーテンの柱が入っているのは、個人的には残念。窓の後ろの席の方が眺望が広がるので、窓割りを頭に入れて席を指定したい列車です。

　車椅子スペースが広く取られているのも、現代の特急列車らしいです。
　車内は４割程度の乗車率。たったの４両編成なのに、さみしいものです。すれ違う列車は２編成連結の８両編成のものもあり、もっと乗車率も良かったので、需要に合わせて柔軟に編成を増減させられる列車ともいえます。

　山陰と山陽を結ぶ太いパイプである伯備線。幹線でありながら山深く、中国山地の険しさを感じられます。
　かといって秘境ではなく、要衝の街の規模は大きいです。新見は姫新線と芸備線が分岐するジャンクション。ただ芸備線に関しては、いつまで走ってくれるやら。

新見駅 駅

　高梁も、山間に突如現れる都市です。教育に熱心な土地柄みたい。昔ながらの街並みも健在のようで、いつか訪ねてみたいです。

備中高梁駅 駅

　平地に降りて来て、山陽本線と合流すれば倉敷駅に到着。ドヤドヤと中国人観光客が乗り込んできました。短区間で全車指定の特急に乗るとは、レールパスの利用者かな。夕方６時台とあって、普通列車はラッシュのさなかです。
　つややかな「やくもブロンズ」の車体を輝かせ、終点・岡山に到着。

岡山駅 駅

　岡山駅から直結の地下通路を通って、イオンモール岡山に来てみました。

　地方都市の駅前モールとして注目を浴びたイオンモール岡山も、オープンからはや１０年になるんですね。

　フードコートには地ビール「独歩」のビアスタンドがあり、気軽に地ビールを味わえます。

独歩 イオンモール岡山店 グルメ・レストラン

　プハー、うまい！

　フードコートなので、チェーン店のご飯と一緒に?めます。牛角の鉄板焼きセットとペアリングしてみました。
　フードコートの地ビールスタンド、その他のイオンモールにも広がってほしいな。

　いい気分で、19時44分発の「みずほ」で帰路につきます。こんな時間からでも、岡山から余裕をもって久留米に帰れるんだから、新幹線のパワーは偉大です。

山陽新幹線 乗り物

　食堂車やビュッフェはおろか、普通車の車内販売すらなくなってしまった東京以西の新幹線。自販機も「のぞみ」にはなく、「みずほ」「さくら」で辛うじて健在です。
　ただ売り切れの商品が多く、車内放送でも「自販機はありますが、アイスコーヒーしか残っていません」と平謝りでした。

　２時間弱で久留米着。西日本のフリーきっぷでそのまま乗ってきたというと、迷いなく博多～久留米間の運賃・料金を精算してくれました。
　３ヶ月に一度、48時間の旅を夫婦相互に認めている我が家。今回の旅は、コロナ感染でお流れになった北海道一人旅の「代わり」でした。コロナの間は１週間「ワンオペ」だった上に、今日の１日の時間をくれたヨメさんに感謝！

久留米駅 駅