2024/07/05 - 2024/07/06
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funasanさん
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ドイツ・ロマンティック街道に残る人口約2万人(2023年1月)の小さな町「ネルトリンゲン」とは……
・約1500万年前の巨大隕石落下の跡地に誕生した円形城壁都市
・ドイツ・30年戦争の激戦地「ネルトリンゲンの戦い」の舞台
・ドイツ近代化に取り残されたため中世的な街並みがほぼ完全な形で保存
・第二次世界大戦中の大規模な爆撃から奇跡的に回避
これらの歴史的背景の深い町「ネルトリンゲン」をじっくり徒歩観光してきました。それはまさにドイツ・中世の時代にタイムスリップしたような感じで、とても楽しかったです。
ネルトリンゲンの歴史と街並みは人気漫画「進撃の巨人」の世界観と多くの類似点があり、ファンの間では作品のモデルとして認識されているそうです。ただし、作者「諫山 創」(いさやま はじめ)氏自身が直接ネルトリンゲンからインスピレーションを受けたと明言しているわけではありません。
写真:ネルトリンゲンの「聖ゲオルク教会」の塔からの眺め
※新著出版しました。
『シドニー発着 魅惑のニュージーランド周遊クルーズ14日間:
ロイヤル・プリンセス(ジュニア・スイート)乗船記』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DCVD7WTM/
私のホームページに著書紹介、旅行記多数あり。
『第二の人生を豊かに』
http://www.e-funahashi.jp/work/index.htm
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ネルトリンゲンの巨大クレーターがどのように形成されたかの概要です。上から順番に……
1隕石が地表に衝突してから100分の1秒後の状況
2衝突から100分の6秒後にクレーターの形成が始まる
3約10秒後に深い「一次クレーター」が形成される
4「一次クレーター」の崩壊と放出された岩石の堆積(1分後)
5クレーターの形成完了とスエヴィートと呼ばれる特定の種類の岩石の堆積(10分後)
写真:聖ゲオルク教会の塔内部にある展示パネルより -
隕石が衝突してわずか10分間で巨大なクレーターが出来上ったのです。その跡地にできたネルトリンゲンの町を空撮すると見事なまでの円形になっています。
写真:聖ゲオルク教会の塔内部にある展示パネルより -
ネルトリンゲンの円弧を描く外周は堅固な城壁によって囲まれています。鉄壁の守りです。聖ゲオルク教会の塔内部には隕石衝突によってできた岩石が展示(写真)されています。
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聖ゲオルク教会のダニエル塔の頂上からネルトリンゲンの市街を眺めると赤い屋根が連なる美しい景観(写真)が広がっています。ドイツ中世の街並みがそのまま残り、城壁の外側には緑豊かな田園風景が広がっています。
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円形の城壁の内側の赤い屋根と、外側の緑豊かな田園風景とのコントラストは見事というしかないです。今日は夏本番の7月6日、青い空と白い雲がさらにこの風景に彩りを添え、訪れる者に深い感動を与えます。素晴らしい!しかも、涼しい風が吹き抜けます。最高!
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このように非常に魅力的なネルトリンゲンですが、アクセスが悪いです。通常はミュンフェンから行きますが、ローテンブルク(写真)からネルトリンゲンに鉄道で行こうとすると大変です。両方とも幹線鉄道から外れた田舎にあり、最短ルートで行こうとしても鉄道は走っていません。
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ドイツ鉄道のHPとグーグルマップを駆使して調べまくったのですが、写真にあるように「Steinach」「Treuchtlingen」「Donauwörth」と3回も乗り換え、大回りでネルトリンゲンに行くことになります。所要時間は乗り換えを含めて約2時間半、料金は29ユーロです。
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一方でローテンブルクからネルトリンゲンへの一般道路は有名なロマンティック街道が走っていて、最短距離では80Kmくらいです。直通バスが便利なのですが現在は走っていません。そこでドイツ鉄道のHPを検索しまくっていたら(夏期限定?)次のようなバス路線が出てきました。
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ドイツ鉄道の時刻表(下記参照)には、発着の時刻、バス停、バス番号までしっかり出ています。ローテンブルクからネルトリンゲンまで乗り換えを含めて約2時間半で、鉄道と同じ時間がかかります。
◆15:45→18:12(2h 27min)1 Transfer バス2回乗車
15:45:Bahnhof, Rothenburg ob der Tauber 発
Bus 814 nach Gymnasium, Dinkelsbühl(1h 14min)
16:59:Gymnasium, Dinkelsbühl 着 乗り換え(29min)
17:28:Gymnasium, Dinkelsbühl 発
Bus 868 nach Busbahnhof, Nördlingen(44min)
18:12:Busbahnhof, Nördlingen
写真:駅の自販機で購入したチケット(料金:2人で39ユーロ) -
1日1本しかないバス路線なので、午後3時45分発のバスに乗りました。しかし、このバス移動、とんでもなく苦しかったです。バスは古くて乗り心地は悪く、道路はでこぼこなのか揺れが激しい。
写真:ネルトリンゲン駅 -
おまけにバス内はエアコンが全く効いていなくて暑くてたまらない。2時間半の苦難が続きました。もう2度と乗りません。今夜のホテルはネルトリンゲン駅前に建つ真新しい「アートホテルANAフレア」です。
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駅前の新築のビジネスホテル(写真)のような感じで、見た瞬間「good!」と思いました。何しろ物価高騰のヨーロッパのホテルです。料金は1泊2名朝食付きで17495円と安価でした。ところが…、ここでも問題発生!
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夕方6時過ぎにチェックインしようと思って玄関のドアを開けようとおもったら鍵がかかっていて入室できないのです。窓越しにフロント(写真)が見えましたが誰もいません。
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ホテルの裏側に回ってみたら勝手口のような入口があり、そこに何やら説明書(ドイツ語・英語)が張ってありました。それによると、「ここに電話して確認コードをタッチパネルに入力せよ」とあります。
写真:客室 -
私は「Trip.com」からこのホテルを予約したのですが、予約確認メールに「コード番号」が書いてありました。おそらくこの番号だろうと思って入力したのですが、全く応答なしです。
写真:バスタブ付きバスルーム -
困って右往左往していたら、偶然、このホテルの宿泊者が帰ってきました。若いドイツ人女性でした。彼女に助けを求めて、この苦境から脱出できました。
写真:ネルトリンゲンのマルクト広場にあるイタリアンレストランで夕食(巨大ピザ:12.9ユーロ) -
要するに、案内表示にある電話番号にtelして確認番号を教えてもらい、その番号をタッチパネルに入力すると自分のカードキーが出てくる、というシステムでした。
写真:ネルトリンゲンのマルクト広場にあるイタリアンレストランで夕食(カプチィーノ:3.4ユーロ) -
その後、数組の宿泊者が到着しましたが、皆さん困っていました。フロント業務は朝食のはじまる朝6時30分から午前9時まで、それで終了です。チェックインが集中する夕方、フロントクローズという、とんでもないホテルでした。
写真:朝食レストラン -
このホテルの名誉のために付け加えれば、バスタブ付きの客室は非常に良く、朝食ビュッフェのメニューもアメリカンブレックファーストで合格点です。唯一の難点はチェックインの時にスタッフがいない、ということです。この理由は、恐らく、宿泊者が非常に少ない、ということでしょうか?
写真:朝食ビュッフェ -
ひと晩寝たら元気回復、朝食後、すぐにホテル(写真)を出てネルトリンゲン観光に出かけました。天気晴朗、体調良好、気分爆上げ、go,go,goで旧市街に向かいます。
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旧市街に行く道にも何気なく美しい建物が建っています。建物の表示をグーグル翻訳でみて見ると「老人介護、介護助手、作業療法」の専門学校でした。
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途中に花壇の綺麗な庭園(写真)に出合いました。大きな浮袋を持った子供とママさんが建物の中に入っていくので、この先に室内温水プールでもあるのでしょう。
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いよいよネルトリンゲンを囲む城壁(写真)の中に進みます。この城門は、「Reimlinger Tor」(ライムリンゲン門)で、街の南側に位置しています。
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城門の脇にネルトリンゲン市街の案内図(写真)が掲示されていました。見事な円形城壁に囲まれています。
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その城門をくぐってみて驚きました。物凄く分厚い城門(写真)なのですね。これでは敵はどうにもならないでしょう。鉄壁の守りです。
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そして、城門を通り抜けると「ライムリンゲン通り」(写真)が我々を中世ドイツの世界にいざなってくれます。歴史と風情が溢れるネルトリンゲンの街並みに包まれ、ゆったりとした時間が流れています。
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美しい切妻屋根の建物に併設されたカフェを見つけました。ここでコーヒーの香りと甘いケーキを楽しめば最高です。きっと旅の疲れが癒されていくでしょう。しかし、忙しい私たちは先に進みます。
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この道は街の中心「マルクト広場」まで続いています。しばらく進むと道は左右に分かれ右前方に聖ゲオルグ教会の「ダニエル塔」(写真)が見えてきました。
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街の中心「マルクト広場」に到着です。広場に面して「聖ゲオルグ教会」(写真)が圧倒的な存在感で建っています。マルクト広場周辺には朝早くから人が集まっています。
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もともと狭い路上にオープンカフェが出て賑わいを見せています。地元の人達なのか、カフェで朝食をとっている人達もいます。今日は7月6日、土曜日だったのですね。
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偶然にもストリートミュージシャン達(写真)に出合いました。顔ぶれを見ると結構な年配者もいて、勝手に演奏して楽しんでいるようです。いいですね、人生、いくつになっても楽しみましょう!
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全く偶然でしたが、この日(7/6)は「Nördlinger Stadtlauf」というランニングイベント(写真)がありました。これは毎年行われている地元の伝統的な市民マラソンです。街全体がお祭りのように盛り上がっていた理由はこれでした。
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「Tanzhaus(タンツハウス)」(写真中央)は、かつてダンスや社交の場として使用されていた建物で、現在では観光名所として知られています。中世の建築スタイルを持つこの建物は、切妻屋根と木組みの外観が特徴的で、ネルトリンゲンの伝統的な景観に溶け込んでいます。
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「The Leihaus」(写真)は、ネルトリンゲンの市庁舎(Rathaus)のすぐ隣に位置する歴史的な建物です。「Leihaus」はドイツ語で「貸し屋」や「貸し出しの家」という意味で、かつては市民が物品や資金を貸し借りするために使用されていた場所です。
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マルクト広場にあるバーガー屋さんです。現地物価調査のためアップしておきます。1ユーロ170円換算。
・ハンバーガー:1.8ユーロ(306円)
・チーズバーガー:2.0ユーロ(340円)
ネルトリンゲンは田舎なのですね。この値段なら許せます。 -
写真中央にある巨大ソーセージをはさんだパンの名前は「カリーヴルスト」3.8ユーロ(646円)です。ヴルストとはドイツ語でソーセージの意味で、通常小さなパンにはさんで食べます。ドイツではテイクアウトの人気メニューでとても美味しいです。
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さて、いよいよネルトリンゲンのシンボル「聖ゲオルグ教会」(写真)に入ってみましょう。聖ゲオルグ教会は15世紀に建てられたゴシック様式の教会で高さ約90メートルのダニエル塔が特徴です。塔の頂上からは街全体を見渡すことができるため、多くの観光客が訪れます。
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教会内部(写真)は、荘厳な柱が並ぶ広々とした空間が広がり、天井のリブヴォールト(交差リブヴォールト)はゴシック建築の美しさを見事に表現しています。
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中央の祭壇は、精巧な装飾が施されており、祭壇下部にある「キリストの磔刑像」(写真)に目が引きつられます。
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また、ステンドグラスの窓は、色鮮やかな光を教会内に差し込み、ブルーライトがひときわ鮮やかです。
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そして、巨大な「パイプオルガン」(写真)です。ミサの終わり頃、合唱があり、最後にパイプオルガンの演奏があります。この教会ではありませんが、私は偶然遭遇した教会のミサで、教会内に響き渡るオルガンの音色に心底感動しました。
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壮大な教会で合唱やオルガンの演奏を聞くと、信者でなくとも荘厳な気持ちになります。この時以来、私は教会でのオルガンコンサートに興味がわき、当日演奏会があれば参加するようになりました。
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ダニエル塔の頂上(入場料4ユーロ)に登ってみましょう。ネルトリンゲンの街は見事に「赤い屋根瓦」(写真)で統一されています。地元で容易に入手できる粘土に鉄分が豊富に含まれており、瓦を作る燃焼過程で鉄分が酸化して赤い色が生まれるのです。
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赤い瓦(写真)は、耐久性と防水性に優れており、気候変動にも強いことから、ネルトリンゲンのような場所で重宝されてきました。御覧のように色の鮮やかさが街の美観を保つためにも役立っています。まさに美観地区です。
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面白いことに、ローテンブルクの屋根瓦は「くすんだ赤」(写真)です。一方、ネルトリンゲンの方は「鮮やかな赤」で、この違いは約1500万年前にネルトリンゲンに落下した隕石に原因がありました。
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隕石の衝突によって、地中の様々な鉱物が地表に持ち上げられ、周辺地域の土壌は鉄分を多く含むようになりました。特に隕石の衝突による熱と圧力によって形成された「スエヴィート」という特有の岩石には鉄分が多く含まれ、それを素材に使った瓦に鮮やかな赤色(写真)をもたらしてたのです。
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ネルトリンゲン周辺にある「スエヴィート(Suevite)」には、微小なダイヤモンドが含まれているという興味深い特徴があります。ダイヤモンドは、通常は地球の深部、非常に高い温度と圧力下で形成されます。
写真:マルクト広場のカフェ -
しかし、隕石の衝突も短時間で非常に高い温度と圧力を発生させるため、地表近くでもダイヤモンドを生成することができます。ネルトリンゲンの隕石衝突では、衝撃波により岩石が急激に圧縮され、炭素がダイヤモンドに変化しました。
写真:マルクト広場のカフェにて(カプチィーノ3.5ユーロ:595円) -
スエヴィートに含まれるダイヤモンドは量が少なく、商業的に利用できる大きさや量ではありません。そのため、採掘してジュエリーなどに使用されることはほとんどありませんが、無尽蔵にダイヤモンドが埋まっていると思うだけでネルトリンゲンの魅力が増します。
写真:カフェのスイーツ類 -
観光案内所でもらった市内マップには「Historic Tour」というルートが表示されていました。その道にしたがって歩いていたら小川(写真)に出合いました。小川に沿って住宅街が続いています。実に静かであまり人を見かけません。
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ネルトリンゲンの歴史をひもとくと「ドイツ30年戦争」に触れない訳にはいきません。ちょっとお勉強です。30年戦争は、1618年から1648年にかけて主にドイツ(神聖ローマ帝国)を舞台に戦われた一連の戦争を指します。
写真:Historic Tourの道 -
この戦争は、当初は宗教対立(プロテスタントvsカトリック)が主な原因でしたが、後に政治的なヨーロッパの覇権争いへと発展しました。
写真:Historic Tourの道 -
戦争は4つの段階に分けられ、徐々に国際的な紛争へと拡大していきました。長期化した戦争により、ドイツの国土は荒廃し、人口は3分の1に激減したそうです。
写真:Historic Tourの道 -
ネルトリンゲンもドイツの30年戦争中に甚大な被害を受けました。特に1634年の「ネルトリンゲンの戦い」では、町自体が戦闘の中心となり、大きな被害を被りました。
写真:Historic Tourの道 -
戦闘によって町は大きく破壊され、直接的な戦闘と、それに伴う飢饉や疫病のため、ネルトリンゲンの人口は大幅に減少しました。戦争後、町は復興に長い時間を要し、以前の繁栄を取り戻すのは困難でした。
写真:Historic Tourの道 -
ネルトリンゲンは、周囲をリング状の城壁に囲まれた小さな町で、その後のドイツ近代化に取り残されました。第二次世界大戦中の大規模な爆撃からも避けられたため中世の世界がほぼ完全な姿で残っています。
写真:マルクト広場 -
ネルトリンゲン観光の最後に城壁(写真)を歩いてみました。この城壁は14世紀に建設されたもので、ほぼ完全な形で保存されています。周囲の距離は約2.7キロメートルで全周を歩くことができます。
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城壁を歩いていると、豊かな緑に囲まれた大きな建物の裏庭が見えました。そこに一人の男性が、木陰で椅子に腰掛け、静かに読書を楽しんでいる姿(写真)がありました。
周囲は驚くほどの静寂に包まれており、時折、聞こえるのは鳥のさえずりだけ。微かに吹いて来る風はさわやかで、まるで夏の高原にいるように心地いいです。 -
この男性(写真)は、ドイツ人でしょうか、それともどこか遠くからの旅行者でしょうか。きっと知的な人です。彼は今、自分だけの時間を持ち、ネルトリンゲンのこの静かなホテルで、誰にも邪魔されることなく、自分自身と向き合っています。
知的な雰囲気が漂い、その手にする本に没頭する彼の姿は、まさに知性と感性を兼ね備えた人間の一コマを写し出しているようです。静かな裏庭で、彼の内面世界はさらに深まっていくことでしょう。私もこうありたいです。
→アウグスブルク観光に続く
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