2023/09/16 - 2023/09/17
1383位(同エリア17026件中)
ばねおさん
今年で40回目となる「ヨーロッパ文化遺産の日」は、9月16日、17日に開催された。この両日は、美術館・博物館を始めとする多くの有料施設が無料となるだけでなく、通常は立ち入れない場所が見学できるという魅力がある。
フランスでの人気No.1はエリゼ宮(大統領官邸)。毎年不動の1位である。
希望者が殺到するため事前予約が必要な施設のひとつだが、受付サイトへのアクセスも容易でなく、自分も一応試みたもののあえなく撃沈。
そうした中で、安藤忠雄が改装を手掛けて話題を呼んだ「ブルス」( La Bourse de Commerce) の予約枠が空いていたので1日目はここに決めた。
同じ日に「フランス国立図書館(BnF)リシュリュー館」のすぐ近くにパートナーが用事があるというので、ブルスへ行く前に事前予約が不要なBnFを共に見学することにして当日出発した。
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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パレ・ロワイヤルにも程近いフランス国立図書館(BnF)リシュリュー館の周辺には歴史的建築物が数多くある。
写真は、リシュリュー通り沿いに保存されている昔の仕立て屋のファサード。 -
その横にはオスマン時代の1860年に作られたパリ最後のパサージュ(屋根付きアーケード)の入り口。
パサージュの名称がアーチの上の白壁に書かれている。
「パサージュ・デ・プリンス Le passage des Princes」、小公子たちの通り道。 -
リシュリュー通りとイタリー大通りを結ぶこの「小公子たちの通り道」は、色々と変化に富んだ歴史を辿ってきたようだが、コロナ禍による運営会社の営業不振で昨年(2022年)閉鎖となってしまった。
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リシュリュー通りからヴィヴィアンヌ通りへ。
フランス国立図書館(BnF)リシュリュー館は、リシュリュー通りとヴィヴィアンヌ通りにまたがっている。 -
ヴィヴィアンヌ通りは「ギャルリー・ヴィヴィアンヌ Galerie Vivienne」の存在でもよく知られている。
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パリのパサージュの中で最も人気が高く、見学に訪れる人も多い。
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ギャルリー・ヴィヴィアンヌとも内部で繋がっている「ル・グラン・コルベール Le Grand Colbert」。
1666年にルイ14世の財務総監コルベールが王室図書館を設けた建物で、これから見学に向かうBnF 国立図書館の前身にあたる。
現在は、ブラッスリーとして使用されている。 -
ヴィヴィアンヌ通りにあるBnF正面入り口に到着。
BnFとは、BIBLIOTHÈQUE NATIONALE DE FRANCE の略称で、すなわちフランス国立図書館のこと。
国立美術史図書館とミュゼも併設されている。 -
BnFはパリ13区のフランソワ・ミッテランを中核として、オペラ座図書館など5か所に分かれているが、このリシュリュー館は国立図書館発祥の地でもあり、最も古い歴史がある。建物は、元はルイ14世の宰相マザラン枢機卿の邸宅であった。
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フランスの図書館の歴史は、1368年の王室文庫設置に始まり、1537年にフランソワ1世が納本制度を定めてから急速に発展していった。
そして1666年に財務総監コルベールがヴィヴィエンヌ通りの建物内に設けた王室図書館が、1721年にここ旧マザラン邸に移転し、その後、大革命を経て国立図書館となっている。 -
1998年に巨大な「BnF フランソワ・ミッテラン」が完成すると、多くの収蔵物はそちらに移ったが、以後も美術関係専門の別館として使われてきた。
その後、2011年から12年もの歳月と2億6130万ユーロをかけて改修を行い、昨年(2022年)9月に作業を終えたばかりである。 -
行列を覚悟していたが、待つこともなくスムーズに入ることができた。
入場に際して、BnFの素敵なパンフレットをいただいた。
表紙を広げると大閲覧室(Salle Ovale)の全体写真になった。 -
実際の大閲覧室 Salle Ovale がこちら。
広すぎて一部しか写真には収まらない。
出入り口近くには、読書机のないゆったりとした寛ぎスペースも設けられていた。 -
天井の高さは何と18メートル。
その下の広い空間には、楕円形天窓と丸窓から自然光が入る仕組みになっている。 -
この空間が何よりも素晴らしい。
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イオニア式の鉄柱も素敵だ。
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この図書館は、読書に取り掛かる前に建物の観察を終えていないと、本よりも建物のほうに興味が移ってしまう恐れがある。
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自分も実際に席の一つに座ってみた。
読書灯、電源ソケットが備えられ、椅子の座り心地も悪くない。 -
閲覧室は誰でも無料で利用できる一般用から、あらかじめ利用登録が必要な研究者用まで4ヶ所に分かれている。
リシュリュー館には美術関係書が網羅されているが、漫画が9000冊もあるというのも、ここの特色になっている。 -
ミュゼに行くため2階へ上がった。
上から見た中コートの様子。
手は加えているだろうが、建物の外観は昔のまま保存されている印象だ。 -
パンフレットの写真と同じと思しき位置から、大閲覧室を俯瞰してみたが、それでも全てを視界に収めることはできない。
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「納本制度」の生みの親でもあるフランソワ1世の胸像が置かれていた。
日本でも出版物は国会図書館に納本の義務が定められているが、そもそもは、フランソワ1世が1537年に出版物の王立図書館への納本義務を課したのがはじまりであるとされている。
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ミュゼのシンボル的存在である長さ45mのギャルリー・マザラン (Galerie Mazarin )。
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天井の壮麗なフレスコ画は、イタリアの画家ジョヴァンニ・フランチェスコ・ロマネッリの作品。
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純粋なバロック様式装飾を持つギャルリー・マザランは、建築家フランソワ・マンサールが設計し、1644年から1646年にかけて建設されたものであるという。
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こちらは金細工を多用したルイ15世の間。
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展示に見入る見学者たち。
王室文庫を起源とする収集品の割合が高いため、宝飾品、メダルの類が数多くある。 -
年代的には古代ギリシャ、ローマエジプトの品々から、現代では、ピカソやレンブラントの版画、ニキ・ド・サンファルに至るまで随分と多彩な内容で、珍しい物も多い。
一つひとつを丹念に見て回りたいところだが、ブルスの予約時間が迫っていて、最後は駆け足見学となり、ダゴベールの玉座、シャルルマーニュのチェス盤、ブーシェやナトワールの描いた装飾品など、注目すべき展示品を見逃してしまった。 -
館内に「ローズ・ベーカリー」が出店しているので、今度は軽食でも取りがてら来てみよう。
後ろ髪を引かれる思いでヴィヴィアンヌの庭を後にした。 -
所用のあるパートナーと別れ、BnFからブルスへ徒歩移動。
かっての商品取引所ブルス・ドウ・コメルス Bourse de Commerce は、2021年5月に美術館として再発足した。
多分その頃からだろう、夜になるとライトアップされる円形の屋根がモンパルナスの住まいから見えるようになって、あれは何だろうと思っていたのがここであった。 -
正式名称は、「ブルス・ドウ・コメルス ピノー・コレクション La Bourse de Commerce - Pinault Collection 」。
ピノーコレクションは、富裕な実業家フランソワ・ピノーが収集した1960年以降の一万点の現代美術作品で構成されている。
ピノーは、プランタン、グッチ、イヴ・サンローラン、バレンシアガ、ポッテガなどを傘下に置いているケリンググループの総帥である。 -
2時の予約に遅れて到着したので、すでに次の時間帯の列かと思ったら、まだ前の時間帯の人たちだった。
長い長い列に並んで約30分、ようやく入場ができた。 -
美術館として生まれ変わったブルス・ド・ コメルスは、安藤忠雄の手がけた内部の改装が話題を呼び、とりわけ日本ではずいぶんと評判になったという。
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元々の円形の建物の中に、安藤忠雄によって直径29メートルのコンクリートの円筒が造形された。
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円筒に沿った階段を上がると回廊になっていて、ぐるりと一周できる。
つまり円環である。
円環の途中にはピノーコレクションが展示されているフロアにアクセスできる通路も設けられている。 -
円環に立って仰ぐと、天井ドーム(クーポール)の細部の様子まで見て取れる。
1889年に作られたガラスと金属で形成されている天井ドームは、特段の装飾のない造形美が印象的だ。 -
クーポールの下の円周の壁面には19世紀初めのアジア、アフリカ、アメリカなど5大陸における交易や民俗風景が描かれている。
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昔の植民地主義や人種的偏見が感じられる画題だが、これも当時の歴史の証人という意味で修復保存されたという。
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2、3階には広大な展示ギャラリーがあって、ピノーの収集したさまざまな作家の作品が展示されている。
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どの作家、どの作品にも広大なスペースが与えられ、空間という利点を存分に生かした展示である。
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最上階(4階)からの眺望は素晴らしい、と何かで読んだので行ってみたが見える範囲はそれほど広くはなかった。
左手間近にサンテスタシュ教会 Église Saint-Eustache、遠く正面にはポンピドゥセンターが見える。
ポンピドゥセンターは改修のため2023年内に閉鎖となることが告知されていたが、先日、1年間の延期が発表された。来年のパリ・オリンピック開催期間中も見学できるよう、配慮したものであるという。
今のパリはオリンピックが最優先となっている。 -
安藤忠雄の打ち放しコンクリートと円形という組み合わせをもうひとつ思い出した。
昨年、やはり文化遺産の日に見学したユネスコでお目にかかった円筒形の造形物だ。 -
こちらがユネスコの安藤忠雄作品。
ブルスに比べると規模ははるかに小さく、空洞の内部は瞑想の場としての空間というような意味づけであった。
(2022.9撮影) -
ブルスの安藤忠雄のコンクリートと古くからの床のモザイクタイル。
新と旧のコントラストは違和感なく共存している。
ただ、ピノーコレクションなるものには、どうも興味を惹かれるものが見つからなかった。 -
1階のショップ近くの壁でこんなものを見つけた。これもコレクションのひとつだろうか?
だとすれば、ピノーコレクションで自分が写真に収めた唯一の作品だ。 -
おそらくこの時の展示内容が自分には理解できなかったのだろう。
何だか口に合わない物を食べて、口直しが欲しいと思う気持ちに似て、このまま帰るのは何かスッキリしない。
時間に急かされて、中途半端に切り上げてしまったBnFに戻ってもう一度心ゆくまで見学することにした。
その途中の「コレット広場 Place Colette」の光景。こちらはコメデイフランセーズの「文化遺産の日」を目当てにした見学者たちのようだ。
戻ったBnFは入場待ちの長蛇の列が出来ていた。
自分も一旦並んではみたものの、列は進まず、入場したあとの混雑ぶりを考えて、結局やめにして帰途に着いた。
これにて1日目終了。
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