2023/07/15 - 2023/07/15
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はなまりんさん
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ついに、見に行きました! 長年の夢だった「絵金祭り」!
「絵金祭り」とは、高知県香南市赤岡町で毎年7月第3土日に開催されてきた大人気のお祭り。江戸末期から明治初期に活躍した "絵金 えきん” こと "絵師金蔵” の、本物の芝居絵屏風を町家の軒先に展示し、ろうそくの灯りで見物するという奇祭です。
しかし、コロナ禍のためここ数年は開催されないままでした。昨年、一応開かれたものの、地元民以外の見物人は抽選による人数制限付きという異例の形。今年やっといつも通りのお祭りが開催されたのです。
絵金の活躍した幕末から明治初期にかけては、土佐勤皇党が興った時期でもあり、武市半平太・竜馬・牧野富太郎などが同時代人でした。
日本中が揺れ動いていた時代。誰もが風を読もうと、目をいっぱいに見開き、耳をそばだてていた時代。
男も女も一皮むけばイゴッソウじゃと言われる土佐という土地柄。
そんな時代と風土の要請を受けて立ったかのような絵金の芝居絵。
絵金の絵の、血の赤の色に、激動の時代の息吹を感じずにはいられません。
本物の絵金さんの芝居絵屏風を外で見るのは初めて。
何か月も前から近くのホテルを予約し、真夏の暑さも何のその、ワクワクドキドキしながら、この日を迎えました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- タクシー JALグループ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
香南市赤岡町、絵金蔵付近の地図です。
緑色の斜線の辺りに屏風絵が飾られていました。
赤い印は絵金蔵。紫は弁天座。青色は高木酒造です。
参考までに、前回の絵金蔵訪問時の旅行記のURLを貼っておきます。
こちらには、屏風絵の解説なども詳しく載せています。
よかったら、あわせてご覧下さい。
https://4travel.jp/travelogue/11684855 -
お祭りの屏風絵展示開始は午後7時から。
そこここで屏風が立てられ、たぶんボランティアの方だと思いますが、絵のそばに立って解説して下さいます。
まだ辺りが暗くないためか、この時点ではろうそくもあまり目立ちませんが、きっと電灯が使われるんだろうくらいに思っていた予想をみごとに裏切り、本物のろうそくが灯されます。テンションが一気に上がります!!
見物人は食い入るように絵に見入り、名調子の解説を聞き漏らすまいと、つい身を乗り出して聞き惚れます。。絵金祭り 祭り・イベント
-
絵金の屏風絵は、歌舞伎の一場面を描いたものがほとんどです。それも血だらけのおどろおどろしい場面ばかり。
この絵も壇ノ浦の戦いの後日譚の一つ、「義経千本桜 鮨屋」の段。自分の妻子を替え玉として差し出す鮨屋のせがれ権太を描いています。
とまあ、こういう解説をして下さるんですが、お兄さん、うまいな~~!
※ 以下、写真の掲載については了解済みです。 -
提灯にも灯が入り、お祭りの気分が盛り上がってきました。
全国から、赤岡町民数の何倍もの人が見物に訪れると聞いていたので、どんなにか混み合うのだろうと心配していたのですが、そんなにひどい混雑ではありませんでした。
東京などの都会では、混むなんて言ったらとてもこんなものじゃありませんよね?! 東京は普通の時でも、年中混み混みだもんね!
地方都市って、せかせかしてなくていいな~~ -
あたりが暗くなってきました。
暗い軒先、ろうそくの灯りの中に芝居絵屏風が浮き上がります。
見物人と絵の間には、隔てるものはろうそく以外ありません。ガラスだの囲いだのロープだの、何も無し。
「触らないで」「近づいてはいけません」といった注意書きのようなものも一切無し。撮影もOK。(フラッシュだけは禁止でしたが、そりゃ絵の劣化を防ぐためには当然ですよね。)
なんか、いいな~~ うれしいな~~ 私たち、町の人達に信用してもらえてるんだよね、きっと。
「蝶花形名歌島台 小坂部館」
二人の少年は、真ん中の武士の孫たち。彼は二人を真剣で戦わせるのですが、少年たちの母親の姉妹二人は、実は訳ありで…
お話は4枚あとの絵とつながっています。 -
「佐倉宗吾 子別れ」
この絵に描かれている一家はその後、全員が処刑されるというストーリー。怖いですぅ…
解説をして下さる皆さんは、保存会のボランティアの方々でしょうか。 -
「木下陰狭間合戦 石川五右衛門 壬生村」
ろうそくが凄いことになってます。 -
こちら、表紙にも使った「伊達競阿国戯場 累 かさね」
自分が実は大変な醜女であることに気づいた累の狂う姿と、その夫与エ門の苦悩。絵の左手には、悪人の金五郎、奥には旅をする兄の姿もあります。
絵金の芝居絵には、一枚の絵の中に芝居のストーリーを語るかのような場面や人がまるで遠近法のように描き込まれています。面白い構図です。 -
「蝶花形名島台 小坂部館」
争う二人は姉妹。右奥はその父親の小坂部音近。音近は、実は山内に滅ぼされた長宗我部元親に擬せられているとのこと。
歌舞伎には、このように実は表には出せない別の人物を示唆するような演出が少なくないのです。この芝居は長曾我部絡みということで、土佐の人達にとっては、非常に意味深であり、祭りには欠かせない演目だとか。
だって、明治維新の立役者となった土佐勤皇党は、長らく野に下って潜伏していた長曾我部の残党たち、即ち土佐藩でもうだつの上がらなかった下士たちが中心だったのですから!
う~ん、深いねぇ… -
ご存じ『お若えの お待ちなせえ』
絵金蔵で見たレプリカとこの本物の違いは、素人目にはほとんど分かりません。でも、民家の軒先でろうそくの灯りの元で見る本物の屏風絵は、迫力が全然違います。
150年もこんな形で続くお祭りですから、絵の傷みもかなりあったそうで、この数年をかけて数十枚の修復が行われたそうです。東京の専門家に依頼するわけですから、費用もかかります。一枚何百万円とも何千万円とも聞きました。文化財の保護も大変なのですね。絵を守り続けてきた赤岡の人達には、頭が下がります。
費用については、クラウドファンディングなども呼びかけられているとのこと。
こりゃあ、協力必須ですね! -
「葛葉子別れ」の名場面。
『恋しくば たづねきてみよ しのだの森へ』
いわゆる狐女房のお話。歌舞伎では、役者さんが、障子にサラサラと裏側からの文字を筆で書きつける場面が有名ですね。右手でまた左手で、更には口にくわえて。
浴衣姿のお姉さんの解説が素敵でした。説明をして下さるのは、男女半々くらい。保存会の皆さん(たぶん)、ありがとうございます。 -
暗くなるにつれ、人も増えてきました。聞こえて来る言葉には、色々な方言が混じっています。県外からの観光客が多かったようです。若い人もいっぱい。
この辺りの街並みは、旧家や商家を思わせる伝統的な建物が多く、昔を偲ばせる雰囲気がありました。 -
「鎌倉三代記 三浦之介内の段」
婚家と実家との間で苦悩する時姫の姿は、実は千姫を模したものと言われています。
この時代、世の浮き沈みの中で、庶民の心の内に溜まった鬱憤は、芝居の戯作者たちによって受け止められ、歌舞伎や浄瑠璃として表現されました。絵金はさらにその芝居の場面の中でも、ここぞという悲嘆の場面を屏風絵に仕立てているのですね。絵金の絵の魅力の秘密は、そのあたりにあるのかもしれません。
こちらの解説のお姉さんはとても明るい方で、質問にも丁寧に答えて下さってました。
絵もいいけど、お姉さんもいいな~~~ -
人だかりのしている場所は、絵の説明が面白いのだと思います。
次の回を待ちます。 -
絵金の芝居絵には、たいていボタボタ流れ落ちる真っ赤な血が描かれており、見る者はぎょっとするんですが、実はこの赤色は魔除けであり、元気な未来に向かう色だと信じられているそうです。
そうなんだ… -
時間が経つにつれ、どんどん人が増えてきました。
-
「菅原伝授手習鑑」
たくさん見たので、どれが何だったのか、だんだん混乱して来ました。
解説を聞いているときは、なるほどなるほどと納得するんですが… -
いよいよ暗くなって、お祭り気分も盛り上がります。
別の区域では、バンド演奏や屋台も出てとても賑やかでしたが、私達は絵を見るだけで精いっぱい。大音量の辺りには近づきませんでした。 -
熱心に見ている方もありました。
見たくなるよね。 見る価値あるもんね!
そもそも私が絵金の絵を知った時、一瞬で引き付けられてしまったのは、子供の頃見たお祭りが原点かもしれません。郷里の箱崎八幡宮の秋の例大祭放生会(ほうじょうや)には、毎年お化け屋敷や見世物小屋がかかっていたのですが、その看板のおどろおどろしいこと。子どもの私は正視できず、いつも走って逃げたものでした。それでも、その異様な印象はずっと心に残り、呪縛となっていました。それが絵金の絵に出会ったことでモヤモヤが昇華し、こういう絵の良さに一段と強い力で心を掴まれてしまったような気がします。トラウマ転じて福となる、といったところかなぁ… -
絵金祭りを堪能させて頂きました。
絵金の本物の絵をたくさん見られて、私たちも大満足です。
真夏だけど、思い切って来てよかったね~~♪ -
実は、ホテルからタクシーで赤岡町入りしたのは6時過ぎ頃。屏風の展示が始まる7時までは、高木酒造さんでお酒の試飲をさせてもらいました。お祭りの協賛だそうです。とても美味しかったので、帰りに「豊の梅 純米吟醸」を購入しました。
土佐のお酒は辛口揃い。豊の梅もスッキリ辛口です。豊能梅 高木酒造株式会社 お土産屋・直売所・特産品
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高木酒造さんは、絵金蔵の前でも試飲会をやっていました。
ちっちゃな紙コップは無料。木のマスだと300円。
私たちはマスで頂きました。
絵金蔵の前にこんなにたくさんの人がいるのを見たのは初めて。びっくりしました。過去2回とも、誰も居なかったのに…絵金蔵 美術館・博物館
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この日、絵金蔵の向かいにある弁天座では、祭りに合わせて地元民による素人歌舞伎が上演されていました。しばらく鑑賞。
それにしても、赤岡町の文化力、大したものですね!!
絵金さんに豪華な屏風絵を発注するだけの資力を持ち、歌舞音曲を自ら楽しむ技量を持つ町民。どんだけ裕福なの??!!
考えてみれば、鉄道が走る前の日本の物流は船! つまりは海と川です。今でこそ、四国、中でも高知県ははどちらかというと辺鄙な田舎、なイメージがありますが、とんでもありません。日本海側の北前船同様、太平洋をまたにかけた交易立国だったと言っても過言ではないはずです。
赤岡は海に近い街道筋の宿場町。樟脳や生姜などの産物もあり、海路で江戸とも大阪とも繋がっていたんですね。豪商が多かったのだそうです。
そんな赤岡の町で絵金が頼った叔母さんの嫁入り先は、なんと廻船問屋。お金持ちだったんです。
赤岡の守り神須留田八幡の祭礼に奉納するための絵を描かせるのに、絵師金蔵はうってつけの人物だったという訳ですね。 -
さて、ホテルのこともちょっとご紹介。
今回泊まったのは、のいちにある黒潮ホテル。
ゴルフコースと温泉で人気の、この辺りでは大型のきちんとしたホテルです。
新しくはありませんが、清潔で、スタッフの皆さんが親切かつ丁寧でした。
早い時間に着く私たちのために、部屋を用意して待っていて下さいました。
お祭りが始まる夕方まで、部屋でのんびり過ごせました。ありがたかったです。高知黒潮ホテル 宿・ホテル
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高知竜馬空港まで迎えの車も出してくれました。希望の時間を伝えれば、支障のない限り何時でも来てくれます。
とても助かりました。だって、空港から香南市へはバスも鉄道も無いんですから。
タクシーだと10~15分くらいかな?
高知市から行くなら、くろしお鉄道で30分ほど。 -
最後に、赤岡町の簡単な位置図を。
高知竜馬空港からは、高知市へ行くより赤岡へ行くほうが近い、というロケーションです。
お祭りは夜だったので、暑さもそれほどではありませんでした。
何より、田園や川を渡って来る風の涼しいこと!
赤岡は、コンクリートジャングルの都会ではもはや望むことの出来ない、自然の心地良さを感じることの出来る町でした。
赤岡町、おススメです!
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