高速鉄道のターミナルの街・江南水西は野心的な住宅街【韓国首都圏もやもや街めぐり3】

2023/06/17 - 2023/06/18

　我が家では３ヶ月に一度 お互い認めている、夫婦それぞれの一人旅。2023年４～６月期の僕の行き先は、ソウルに決定しました！ 我が子の闘病やコロナ禍のため遠のいていた韓国、実に６年ぶりの一人訪韓です。
　２～３日目は、ソウル江南区の水西（スソ）へ。高速鉄道の第２のターミナルとして有名な街は、大規模で野心的な宅地開発がなされた住宅地でもありました。

エリア ソウル(韓国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス

　前泊地の水原市霊通からは、盆唐線（プンダン線）で一本です。竹田（チュクチョン）駅付近でちょっと地上に顔を出す以外は地下で、地下鉄と呼んで差し支えありません。
　メトロの経営でないのは、ソウル市外の区間がほとんどだからだろうと思います。約50分、ひたすら闇の中で耐えました。

　４月の釜山では交通機関でのマスク着用率が日本より高いくらいでしたが、今はノーマスクの人の方が多いです。そのままゲホゲホされると、やっぱりちょっと怖くもあります。感染者数は、韓国でも高止まりではあるので。
　水西駅に到着しました。

　地上に出れば、もう２０年近い付き合いになる韓国鉄っちゃんが迎えに来てくれました。
　さらりとベンツに乗って現れるものだからビックリ。中古だと謙遜してたけど、維持費だけでも結構かかるはずです。頑張ってんだな。

　同時期に同じ街に住んでいたけど、留学当時は接点がありませんでした。出会ったきっかけは僕のホームページを通じて。ブログでもなければ、Twitterでもないのは時代です(笑)。
　快適な乗り心地を楽しみつつ、彼の住むLH江南ヒルステートにやって来ました。

　LHは公団のマンションブランドなのですが、画一的でシンプルな、いわゆる韓国の高層アパートとはまったく違うスタイルです。
　彼の住む棟も韓国では珍しい片廊下型で、日本の分譲マンションに近いスタイル。狭いので１０月には引っ越すという彼の家の方が、僕の住む賃貸マンションより広かったです（涙）。

　ガラスには色が入り、カラフル。

　地下が多い団地の駐車場にあって、ピロティに止められる構造も、韓国では珍しい気がします。

　住棟の配置も、低層に抑えられた建物の規模も、韓国らしくない団地です。かなり実験的な取り組みがなされた団地とかで、ヨソにも波及したのかしら。
　決して高級マンションというわけではないと謙遜してましたが、しっかり稼いで、家族を支えているだろうなとは思いました。

　とりあえず飯を食おうと、バスで街へ。緑色のバスは支線系統で、コロナ禍で経営危機に陥った路線が多いと聞きます。
　地下鉄や幹線バスへの乗り継ぎ客が多いことから、乗継割引の負担が大きいことも一因という報道も。このバスも「乗り継ぎ割引制度から脱退！」の懸垂幕を掲げて、制度設計を行った行政側を牽制していました。

　１００％電気で走る低床バスで、車内のインフォメーションも充実していて、さすがはバス大国の首都圏のバスだと感心。
　紫谷洞（チャゴットン）の中心部で下車。このモニュメント、夜に見るとかなりドキっとするそうです(笑)。

　LHによる宅地開発が続きます。住棟間隔は狭めですが、やはり高さは抑えられ、赤のアクセントカラーがおしゃれ。
　水西には高速鉄道に続き、GTXなる200km近いスピードを誇る通勤電車が来年（2023年）開業予定で、さらなる発展が期待されている街です。

　はるかかなたに、ロッテワールドタワーを望みます。一度、行ってみたい。

ロッテワールドタワー　ソウルスカイ 観光名所

　ご近所の、結構高級な焼肉屋でゴチになりました。夕方５時とあってガラガラだったけど、その後どんどんお客さんが増えて来て、地元でも人気の店のようです。
　店員さんの呼び出しボタンを押すと「モォ～」と牛の鳴き声が鳴ります。大勢のお客さんが一斉に呼び出すと、さながら牛舎のよう。

　韓国らしく、じゃんじゃん出てくる おかずは健在。

　お店の名前がエリンギに焼印されていて、写真映えします。インスタが日本より活発なイメージのある韓国、「映え」対応もバッチリです。

　もちろん味もバッチリ。塩で食べるのが一番うまかったです。
　ソウルでは珍しく済州島の焼酎「漢拏山」があり、やっぱりこれだねと意気投合。１本をあっという間に空け、すっかりいい気分に。ありがとうね、ごちそうさまでした。

　バスで団地へと戻ります。

　水原界隈にも、ついにキャッシュレスバスが登場！ わずかな乗客のために現金を扱うのが負担になるほど、交通カードが普及した証です。
　丁寧に４か国語での案内があるのは、さすが国際都市。ハングルでは「乗車」となっているところを、わざわざ「搭乗」と訳した意図は計りかねますが。

　２次会は、団地内にある昔ながらの「街のHOF」へ。HOFとはチキンやトンカツ、炒め物をツマミにビールを飲める、洋風な居酒屋のことです。
　学生時代は、気の合う仲間とＨＯＦでワイワイ飲んだもの。サクサクチキンをつまみに、これまた昔ながらのライトな味わいの生ビール「CASS」を、ぐいぐい飲みました。

　新興住宅地内にある店ながら、気楽な雰囲気。店の子が飯を食べているのかと思えば近所の子で、帰宅が遅い家庭の晩ご飯の場所にもなっているようです。
　ただし値段は2023年の価格。チキン１盛りで16,000ウォンか、１万ウォンが相場だったのにと愚痴ってたら、「それは20年前の値段です！」確かに…

　HOFを出たのは８時過ぎ。日本よりも西方に位置するソウルでは、夏至も近いこの時期、まだまだ明るいです。コンビニのCUでビールを買い出し、家で奥様も一緒に?むことに。
　コンビニ物価も日本の倍以上の感覚ですが、ことビールに関してはお手頃。輸入ビールやクラフトビールでも５００ml１缶4,000ウォン前後のところ、３～５缶セットで買えば１缶あたり2,500ウォン程度になります。

　一番左の缶は、韓国にもついに登場した発泡酒！ そもそも発泡酒という概念が韓国にもあったとは、はじめて知りました。500mlで1,400ウォンと、ソフトドリンクより安いです。味はそれなりですが。
　日本旅行には何度も来ている夫婦で、先月にはついに１歳児を連れ、岡山への家族旅行も実現。いろんな思い出と鉄道趣味の話に花を咲かせつつ、寝たのは１時半でした(笑)。

　翌朝、赤ちゃんの声で「起きなきゃ！」と覚醒しました。時間は７時半。日常よりは１時間遅い起床です。友人はまだつぶれてます。オレがつぶしたのか(笑)。
　１４ヶ月ながらしっかりと あんよが始っており、ご飯もめちゃくちゃ食べる健康優良児。笑顔ふりまくキュートな女の子です。

　そして共に暮らすのは、３匹の猫ちゃん。韓国では不吉な動物とされてきた猫も、今ではまさに市民権を得た存在です。
　赤ちゃんは猫を怖がらないか心配だったけど、むしろ果敢に絡んでくる赤ちゃんに対し、猫が逃げてました。

　９時にはお腹が空いたとかで、おやつにマンゴーをほおばりはじめました。ホントよく食べること！

　パパは、ママや赤ちゃんに何度起こされても起きてこれず、結局行動を開始したのは11時になってからでした。
　とんこつラーメンの店にでも行こうか、鉄道名所を巡ろうかなんて話していたけど、もう空港に行く時間しか残されていません。つぶしたのは僕なので、自業自得(笑)。

　酔いが醒めているのを確認して、車で駅まで送ってもらいました。
　学校などの周辺道路は「こども保護区域」に指定され、速度が厳しく制限されています。しかし留学時代の２０年前には守る人はおらず、有名無実なルールと理解していました。

　ところが昨年（2022年）12月、水西で子どもが犠牲になる痛ましい事故が発生。社会問題となったことから、保護区域での交通違反が厳罰化されたそうです。
　その成果たるやテキメンで、早くてもみな40km以下で走行しています。いい意味で、韓国ではないような光景。「こども保護区域」の厳罰化のことはニュースで見て知ってはいたけど、来てみないと、実感できないことがあります。

　郊外の広い幹線道路へ。

　この幹線道路に、中央バス専用レーンを設置する事業が進んでいます。供用開始直前ということで、道路標識にはバツ印が付けられていました。
　李大統領がソウル市長だった2004年に、半ば強引に進められた中央バス専用レーンの事業。当初は悪評ふんぷんだったものが今やすっかり定着し、郊外にも進出を果たしています。

　道路中央の島式ホームは、郊外の道路で見慣れないアイテム。

　バスレーンがあるのに１台もバスが走っていないというのも、過渡期ならではの光景です。

　新盆唐線（シンブンダン線）の清渓山（チョンゲサン）入口駅に到着。新盆唐線は他の路線に比べかなり早く、空港への乗り継ぎもスムーズなのでこちらの駅に送ってもらいました。
　次回は九州の温泉ででも会えるといいね。待っとるばい！