2017年イタリア・シチリア島旅行記　第18回　ローカル線に乗ってパレルモからアグリジェントへ

2017/09/01 - 2017/09/11

2017年9月1日から9月11日までイタリアのシチリア島を旅しました。

古代より文明の交差点として栄えた地中海最大の島シチリア島。
ギリシャ・ローマ時代の遺跡や絢爛豪華な大聖堂。かすかに漂うイスラム文明の香り。
イタリア南部のこの島は数多の観光客を魅了して止みません。
そして鉄道ファンとして見逃せないのがイタリア本土からシチリア島への道のりです。
イタリア本土とシチリア島には橋が架けられておらず、交通手段はもっぱらフェリー。
なんとイタリアからの長距離列車は車両ごとフェリーに乗せられ海峡を横断するのです。
日本でもかつては青函連絡船や宇高連絡船が列車を乗せていましたが、今はありません。
これは乗りたい。ぜひ乗りたい
2017年9月。夏休みと有給を組み合わせ、シチリア島を訪れる機会に恵まれました。3度目のイタリア旅行です。

実はヨーロッパにはシチリアと同じように列車ごとフェリーに乗って移動できるルートがあります。
デンマークの首都コペンハーゲンからドイツ北部のハンブルクに至る特急列車は、途中デンマークのロービュからドイツのプットガルテンまで車両ごとフェリーに乗せられて移動することで知られ、通称「渡り鳥コース」と呼ばれています。
このロマンチックな通称はヨーロッパから北極へ渡る鳥がこのコースをたどることに由来します。
陸地と橋を渡るルートもありますが、オーデンセ・ユトランド半島や経由するため160キロも遠回りになるため、フェリーを挟んでも最短距離となる渡り鳥コースが現在でも生き残っているのです。
ただし、渡り鳥コースを結ぶ海底トンネルの建設が進んでおり、2024年以降の完成が見込まれています。
乗るなら今のうちです。

せっかくヨーロッパに行くのですから、南北ヨーロッパの渡り鳥コースを両方乗ってしまいましょう。
行ける時に行っておかないと、あとで後悔することになりますからね。

そこで、今回は北欧のコペンハーゲンから鉄道とフェリーでヨーロッパを縦断し、イタリアの南の果てシチリア島へと向かいます。
そして、シチリア島ではパレルモ、モンレアーレ、アグリジェント、ラグーザ、シラクサ、カターニャ、タオルミーナを観光予定です。

■　日程
2017年9月1日～2017年9月11日

8/31　成田発
9/1　コペンハーゲン着　コペンハーゲン→ハンブルク
9/2　ハンブルク→ローマ→パレルモ
9/3　パレルモ着、パレルモ観光
9/4　パレルモ、モンレアーレ観光
9/5　アグリジェント観光
9/6　アグリジェント→ラグーザ　ラグーザ観光
9/7　ラグーザ観光→シラクサ
9/8　シラクサ観光
9/9　シラクサ→カターニャ　エトナ山周遊鉄道乗車
9/10　タオルミーナ観光　カターニャ→イスタンブール→成田空港
9/11　成田空港着

※ブログ『マリンブルーの風』に掲載した旅行記を再編集して掲載しています。
ブログには最新の旅行記も掲載していますので、ぜひご覧下さい。

2017年イタリア・シチリア島旅行記目次
https://buschiba.livedoor.blog/archives/52538354.html

ブログ「マリンブルーの風」
https://buschiba.livedoor.blog/

イタリア・シチリア島旅行記の第18回です。
5日目はギリシャ・ローマ時代の遺跡が残るアグリジェントを観光します。
まずはパレルモから電車に乗ってアグリジェントへ向かいました。

エリア アグリジェント(イタリア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

■5日目　2017年9月5日　火曜日
シチリア島旅行も中盤。今日はシチリアの州都パレルモから鉄道に乗ってアグリジェントに向かいます。
アグリジェントはシチリア南部の町で、ギリシャ・ローマ時代の遺跡があることで知られます。
特にギリシャ時代の神殿群が残る「神殿の谷」は有名で、世界遺産にも指定されています。
パレルモからアグリジェントへのアクセスは長距離バスか鉄道。
所要時間はどちらも2時間ですが、鉄道好きな私は当然鉄道移動を選びました。
鉄道が貧弱なシチリア島にあってパレルモ～アグリジェント間の路線は例外的に便利です。
他のローカル線は1日数本が当たり前ですが、州都と観光地を結ぶこの路線は1時間に1本程度の電車が走っていて便利です。
おまけにバスと違ってトイレもありますし、車両も新しく居住性も悪くありません。
アグリジェント観光の時間を確保するため、パレルモ中央駅7：38発の電車に乗ることにしました。

朝6時に起床。朝ご飯を食べる時間が無く、部屋の中で日本から持参したカロリーメイトを食べてチェックアウトしました。
チェックアウト時にシティタックス4ユーロ、ミネラルウォーター台1.5ユーロを払うように言われましたが、水が有料だという説明はありませんでした。
500ミリ4本で1.5ユーロならスーパーで買うのと同じ値段ですからまあいいのですが、事前に説明してほしかったです。
ホテルポリテアーマ（2019年現在改装工事で休業中）は目立つところはきれいにしてありますが、部屋の送風口は汚いし、扉の脇の木枠がはがれているし、トイレの脇に配線がむき出しになって飛び出しているし、電球の交換で2時間待たされるし、アラが目立ちます。雑なホテルという印象を受けました。

ホテルの前のポリテアーマ広場にタクシー乗り場があり、客待ちしていたタクシーに乗車。
パレルモ中央駅まで15ユーロでした。行きは20ユーロでしたが、平日と休日で値段が違うということもあるそうですし、一概にぼったくりかどうかはわかりません。
ただ、今日のタクシーの運転手さんは私に対して「パレルモ発何時の列車なんだ？チケット買うのに時間がかかるぞ。チケットは買ったのか？もう持っている？それはグッドだ」としきりに話しかけてくれました。
親切な運転手さんです。

パレルモ中央駅に10分ほどで到着。
まだ朝早いせいでしょう。パレルモ中央駅構内にはあまり人がいません。
シチリアの鉄道は予告なく運休することがあるそうなのですが、7：38発のアグリジェント行きは時間通り出発しそうです。

アグリジェント行きの電車が入線してきました。売店でパンを買い、電車に乗りましょう。

新しい電車です。イタリアの電車と言えばひところ落書きだらけの汚い電車が定番でしたが、最近はきれいな電車が増えました。

新型電車はバリアフリー対応。最近はヨーロッパのどこに行ってもこのタイプの電車が増えました。

車内は2人掛けのシートが並びます。向かい合わせのものとそうでないものがありますが、進行方向を向いた席がほとんどないのが残念です。
アグリジェントからパレルモに向かう場合はほとんどの席が進行方向を向くのですが。

時間通りにパレルモ中央駅を出発。
なんと普通列車なのにイタリア語だけでなく英語の自動アナウンスがあります。
2012年にローマ行きの普通列車に乗ったときはアナウンスが全くなく、しかも終点が時刻表とは違う駅だったので焦った記憶があります。
昔に比べて、だいぶ観光客にやさしくなりましたね。

パレルモ近郊の駅に停車しながら東へと進みます。

カターニアへと向かう本線から別れ、アグリジェントへ向かうべく南へと方向を変えました。

ローカル線の駅です。

本線から外れると一気に人家が無くなりました。

家どころか木も緑もなく、荒涼とした景色が広がります。

水が少ないのでしょう。あまり作物が育ちそうな土地ではありません。

ブドウ畑やオリーブ畑が広がっています。

途中駅で列車とすれ違いました。

岡の上に集落があります。中世イタリアの町が残っているのでしょう。

道路に沿ってのんびり走ります。

アラゴナ・カルダーレというやや大きめの駅に停車しました。

久々に家を見ました。

パレルモから2時間。丘の上のアグリジェントの町並みが見えてきました。

終点のアグリジェント中央駅の一つ手前の駅、アグリジェント・バッサ駅に到着です。
新市街の中心に向かうならこの駅の方が便利なのかもしれませんが、観光の拠点はアグリジェント中央駅です。
昼間の電車の一部はこの駅で折り返すので注意が必要です。

アグリジェント・バッサ駅を出発した列車はトンネルを抜け、ゆっくりカーブしながらアグリジェント中央駅に入線しました。

目の前に広がるアグリジェントの町並み。

ほぼ定刻の9：50にアグリジェント中央駅に到着しました。
行き止まりの駅で、ホームが立派です。

パレルモ方面に向かう電車が停車しています。

最近はこのような新しい電車ばかりとなりました。

立派なアグリジェント中央駅の駅舎。トイレは有料で0.5ユーロです。
ホームが谷底にあるため、駅の出入り口はエレベーターを上がって2階にありました。

アグリジェントのホテルはB&Bポートアテネアという小さなホテル。
駅から歩いて5分ほどの街中にあり、交通の便がいいです。
一泊65ユーロとお値段もお手頃ですし、口コミの評価も良いので選びました。

ホテルの入り口。あらかじめ10時に到着するとメールしておきました。
呼び鈴を押してドアを開けると急な階段があり、3階までスーツケースを引っ張りながら登りました。
エレベータが無いのはきついです。

レセプションにいた従業員の女性に話しかけ、名前を告げると、オーナーに電話するから代わってくれと言われました。
オーナーのサンドラさんはどうやら不在のようです。
英語でやりとりできるか不安でしたが、わかりやすい英語なので問題ありませんでした。
「早い到着だけど問題ありません。チェックインして部屋に入れるようにしてあります。従業員の女性から鍵を受け取ってください。外の玄関の鍵、3階のレセプションに入る鍵、部屋の鍵と３つあります。何か質問はありますか？なければ後でお会いしましょう」

部屋に入れるのはありがたいです。さっそく従業員から鍵をもらい階段を上がって部屋に入りました。
部屋は広く清潔で、快適に滞在できそうです。私は少し休憩して、アグリジェント観光に繰り出しました。

アグリジェント観光の目玉は世界遺産の神殿の谷。ギリシャ時代の神殿が建つ広大な遺跡です。
アクセスはアグリジェント中央駅前から路線バスということなので、再びアグリジェント駅前にやってきました。

駅に貼ってあった観光列車の案内。アグリジェント周辺をのんびり走るようです。

時間があれば乗りたかったです。

アグリジェント中央駅前のバス時刻表。
1番、2番、2/番、3/番のバスがあるようです。番号の横のスラッシュは何なのでしょう。
よくわかりませんが、ここはイタリア。深く追求しないほうがよさそうです。

神殿の谷へ行くにはどのバスに乗っても良いのですが、神殿の谷の入り口まで行ってくれるのは3/番のみで、他のバスはバス停から入り口まで10分ほど歩くことになります。
また2番バスと2/番バスは循環路線で、2/番は神殿の谷へは遠回りです。
したがってアグリジェント中央駅から乗車するなら1番のバスがベストで、ついで2と3/番ということになります。

アグリジェントの路線バスのルート図と時刻表はこちらで確認できます。
今は何でもインターネットで事前に確認する時代です。

ＴＵＡバスホームページ
http://www.trasportiurbaniagrigento.it/index.html

バスに乗るには事前に売店などで切符を買う必要があり、切符が無いと乗せてくれません。
イタリアの路線バスの不思議な点の一つですね。他の国は現金で乗せてくれるのに、イタリアだけそうではないのです。
バス停の近くに1軒だけある売店が閉まっていたので切符が買えずバスに乗れなかったという失敗談がかなりあるそうですから、とにかくバスの切符は買える時に多めに買った方がいいです。どうせ数百円ですから、大した出費にはなりません。

幸い駅前広場の売店が開いていたので、2往復分の4枚を購入しました。
実はアグリジェントの神殿の谷は昼だけでなく夜もオープンしており、ライトアップがとても美しいらしいのです。
日暮れまで時間があるので、一度帰って日が暮れたら再度訪問しようと思います。

11時発の3/番のバスは10分ほど遅れてやってきました。始発は駅よりもやや北にあるバスターミナルで、駅からは徒歩10分ほどです。

バスは坂を下り、10分ほどで神殿の谷入り口の「POSTO DI RISTORO」バス停に到着。
運転手さんがここだよと教えてくれましたし、たくさんの観光客が下りるのでわかりやすいです。

周囲には遺跡が広がり、出口はあるのですが入口がありません。写真の門は内側からのみ開けられるようになっています。これはわかりにくい！
まあ、ここが出口なのですから、帰るときはこのバス停から乗ればいいということでしょう。

念のため時刻表をチェックします。1時間に3～4本は走っているようですね。
終バスは21：50。覚えておきましょう。

「POSTO DI RISTORO」バス停から神殿の谷の入場口までは10分ほど歩きます。
看板もありますし、単純な道ですから迷うことはないのですが、街灯が全く無いのが気になります。
夜歩けませんね。

あと400メートル。思ったよりも歩きます。歩道が無いので少し危ないです。

バス停がありました。ここが神殿の谷の入場口に一番近い「SANT'ANNA」バス停です。
アグリジェント中心部から神殿の谷に向かう4路線のうち、1番のバスだけがここに停車します。

一応時刻表を確認。やはり1路線しかありませんから少ないですね。昼間は30分おきですが、15時以降は1時間おき。
終バスは20時です。ライトアップの帰りには使えないでしょう。

次回はアグリジェントの神殿の谷に入場します。