③谷底での夜～翌朝インデイアン・ガーデンへ

2022/10/18 - 2022/10/19

3日目にブライトエンジェル・キャンプ場でテン泊した後、翌朝インディアンガーデンに向かいます。

年のせいか睡眠障害があり、自宅にいても睡眠導入剤に頼っているほど寝付きと途中覚醒(夜間頻尿もあり)で苦労している。初日は体調不安と寒さ(サウスリム滞在)でほぼ眠れなかったけど、ブライトエンジェル・キャンプ場では疲労と連日の寝不足と心地よい川の音のおかげでいつもより眠ることができた。

サボテンが自生する岩壁をバックに両側がそそり立つ渓谷のちょうど真上に月と星が瞬くキャンプサイトでの夜はここを離れたくないと思うほど美しくてゴージャスな時間だった。

ここまでのトレッキングでは、ダイナミックに光景が変貌する様を全身で感じ取れた。サウスリムから見えた緑色が銅鉱石だと分かったり、地層がどんどん変わり川に近付くにつれて砂地になる複雑な構造はブラタモリで取り上げてもらいたいほど。

苦手の下りでは木製の土留めで滑って尻餅をつき一瞬ヒヤッとなった。ザックの重さで後ろに引き摺られて体のコントロールを失ったら、最悪そのまま数十メートル転がり落ちてしまうのはどこの山でも谷でも同じで、下りはやっぱり怖い。

トレイルは実に良く整備されていて、ボットン便所でもトレペは十分備えられており、鼻をかむポケットティッシュを使い切った後ではとても助かった。

エリア グランドキャニオン周辺(アメリカ)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

ついに来れた！3年越しの夢だったブライトエンジェル・キャンプ場！
先着順で好きなサイトを選べる。ファントムランチはずいぶん奥にあるんだな。頭をバンダナで覆った宿泊客と思われる人達が散歩している。シャワー後かな、いいな。

3年前に調べた際には大部屋があったファントムランチもコロナ後にはなくなり、一人では宿泊不可になった。朝晩の食事だけなら予約できるけど、値段を見て諦めた。ヘリや馬、らばで運ぶんだから高くて当然。

ミシガン州からのご夫婦は早々と手前のサイトを選択。隣にどうぞ～と言ってくれたけど、これ以上迷惑かけては悪いのでと遠慮して、さらに奥に進んで23番のサイトに決めたが、そこは実はベストでは！と思うほどステキなサイトだった。

背景の壁にはサボテンが彩を添えてくれる。

この23番サイトが素晴らしいのは、入口が狭く通路に面して繁みがあるため目隠しとなって独立性が増し、背景にはサボテンが自生する直立壁があって守られている感があり、何よりもトイレと水場が隣接している！頻尿シニアは夜にトイレへ行くのが大問題。

これがお隣のトイレ兼水場。区画はワシャワシャ生えた植物で遮られてて、これだけ離れていれば足音やヘッデンも気にならない。聞こえてくるのは川の音だけ。

夕闇が迫る前にレンジャーのお姉さんがチェックしにやってきた。既にサイト入口のポストにパーミットを入れといたので問題なし。全て持ち帰るようにと念押しされただけだった。家族に無事到着を伝えたいので、電波について聞いてみたら一帯すべてが圏外だった。インディアンガーデンまで行けば入るけど、AT&T(楽天モバイルはこれになる)は入りにくいそうだ。

コロラド川は泥沼だけど小川はとてもきれいな清水。今の時期は水場から給水できるので浄水は不要。ここまで下りるのに1.8Lの水(ポカリ)を用意したが、到着時には半分残ってた。たまたまだけどいい時期に来たもんだとつくづく思う。

トレイルには日陰も十分あり涼風も吹いてほとんど汗もかかなかったけど、夏だったら簡単に死ねる。8日間毎の交代のため登ってきたレンジャーのお兄ちゃんに昨日出会った際も、今がベストシーズンだと言ってた。

こんな光景の中にいたら戻りたくない。もちろん薬で抑えている風邪の状態は心配だし、アルファ米には飽き飽きだし、唯一のご褒美だった小袋グミはテーブルに置いて背を向けた瞬間にカラス(raven)にさらわれてしまったし、それでも桃源郷みたいなここをたった1晩で離れたくない。

翌朝はゆっくりと8時に出発。名残惜しくブライトエンジェル・キャンプ場にさよならしてインディアンガーデンに向かう。ご夫婦はすでに立った後だった。出発前にファントムランチの写真を撮りに行こうと思ったけど、結構離れていたのでやめにした。ここにはもう二度と来ることはないだろうな。

馬小屋を通過。近づけばトレイルがあると分かるけど、遠目には行き止まりに見えてしまい、この辺りで右往左往してしまった。今回の大きな失敗は地図をダウンロードしておかなかったこと。

青く見えるけどシルバーブリッジ。

頑丈な橋だから全く怖くない。

コロラド川が今日はきれいに見える。

川下りの御一行。私の登りの速度は下りよりもマシなので、この辺りで先行していたご夫婦に追い付いた。あの川下りツアーの人達は前日どこに泊まったんだろうと聞いてみたら、それ用のキャンプ地があるはずだと教えてくれた。
後日、地元ニュースで知ったけど9月には川下り中に事故があって一人亡くなっているようだ。

いきなり現れた馬のツアー御一行。狭い道だったのでザックごと背を壁に押し当ててなんとか道を譲った。先頭のお姉さまカッコよかった。

インディアンガーデンの表示が見えたと思ったらAT&Tが一瞬入り、丸1日ぶりにメールで無事を知らせることができた。今日は距離が短いためもあってインディアンガーデン・キャンプ場には11時40分に到着できた。ただ、テントがいくつも見えているのに柵で遮られていて入口がなかなか見つからず1本別の道があったのかなと不安になった。結局10分歩いた先に入口があったが、やはり地図をダウンロードしておくべきだった。

疲れが出るトレッキング2日目にわずか3.5時間で到着できるキャンプ場があってとても助かる。

これなら幾らでも歩けそうな平坦なトレイル。

インディアンガーデン・キャンプ場の掲示板や水場。サイトには屋根付きのテーブルがあり、金属製の食料等格納コンテナが置かれている。

テーブルに座って楽しめるこの眺め、なんて贅沢なんだろう。到着は早い方だったけど、ベストと思われる上方のサイトはすでに押さえられていた。

日陰と日照のコンビネーションで選んだ4番のサイト。トイレや水場にも近い。インディアンガーデンは樹々が豊かに生い茂るオアシスだけど、昨晩のブライトエンジェル・キャンプ場が桃源郷だったから、普通に見えてしまう。

リスは(ヨセミテで)悪さをするのを目撃したので可愛いとは思えない。

のどかで平和な午後。午前中の到着は余裕たっぷりでうれしい。ここに来るまで馬でのツアーやラバの軍団など面白いものが見られた。渡渉と言うほどでもない水流も幾つかあって歩いていて楽しいトレイルだった。

ご夫婦は2時間後に到着し、お隣さんとなった。きれい好きらしくまもなく洗濯物がヒラヒラ。私は荷物を減らすため真っ先に衣類を犠牲にするから3日間下着も含めて着た切り雀。