2022/07/16 - 2022/07/16
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ミズ旅撮る人さん
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2021年12月に、埼玉県南埼玉郡宮代町にある日本工業大学「工業技術博物館」の
SL館で動態保存をしている蒸気機関車2109を見学しました。
この蒸気機関車は、明治時代の鉄道局が発注してイギリスで製造された2100形
(B6)で、年に何回か土曜日(工業技術博物館のHPで要確認)に、
実際に試験走行をしています。
2022年7月に今度は走っている姿を見に出掛けました。
午前中から機関庫の外に出して、ボイラーを焚き、タンクの中の水が沸騰して来ると、
機関を動かす蒸気が溜まって圧力が上がって来ます。
試験走行は午後からですが、早いうちから見に行くと、
様々な準備の様子を見ることが出来ます。
この日は、一日天候が不安定で、時折パラパラと雨が落ちる中、
午後から本格的に降り出したら走行は中止になるんだろうかと
ハラハラしていました。お陰で、見学者の数は少なかったです。
結果として、気温が低く曇っていて見学者が少ないという、
いい条件で見学することが出来ました。
また、さいたま市の大宮駅周辺にあるSL2輌も訪ねました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
埼玉県にある東武動物公園のすぐ北側に、
日本工業大学の埼玉キャンパスがあります。
その一角に「工業技術博物館」があり、
ここで動態保存している蒸気機関車を見に行きました。
2021年12月にも訪れていますが、
この時はSL館の中に展示されているのを見るだけでした。
SLは、年に何回か土曜日に試験運転が行われます。
これを見るために、再訪しました。 -
広いキャンパスなので、ここにはSLの他に、箱根登山鉄道の車輛も
展示されています。(こちらは静態保存です) -
動態保存されているイギリス製の蒸気機関車2100形(B6)です。
11時過ぎに訪れると、既に機関庫の中から外に引き出されていました。 -
機関車は、もちろん自走出来ますが、エネルギーである蒸気が溜まって
動けるようになるまでは、引っ張ってもらわなければなりません。
北海道安平町のD51320は、現在のように道の駅で展示される
前から、静態保存でありながら機関庫の外に出て来ることが出来ました。
その頃から押し出すための専用の機関車が後ろに付いていました。 -
試験運転予定時刻は、13:30~14:10と14:20~15:00の2回です。
運転する前には入念な整備・点検が行われます。
まず目についたのが、精魂込めてナンバープレートを磨いている
係員の姿でした。 -
もう充分綺麗に輝いていると思うのですが、
これからの晴れ舞台のために、気合を込めているのですね。
この車輛に対する愛情が感じられて、嬉しい姿でした。 -
さて、機関車に上って、やかんを差し掛けている人がいます。
「油差し」です。機関車には多数の油壺があり、
それぞれに油を差し入れなければ、潤滑な運行が出来ません。
油壺はよく見ますが、実際に蓋を開けて油を入れているのは
初めて見ました。 -
2つの油壺がいっぱいになると、今度はその下の大きな箱の中にも
差し入れていました。
こんな所にも油壺があるとは思ってもみませんでした。
気さくな彼は、いろいろな話をしてくれました。
油には2種類あって、車体の上と下とで異なること。
やかんが一番注ぎやすいこと。
油は気温が低くなると硬くなって注ぎにくくなりますが、
やかんだとそのまま温められるので便利なのだそうです。
こんな話は、実際に動かしている人からしか教えてもらえません。
準備の邪魔はしたくありませんが、
この時間はいろいろ話を聞く絶好の機会です。
油を扱っているのに、このやかんはお湯しか入れたことが無いように
綺麗です。丁寧な仕事をしている証拠ですね。 -
もっと専門的な話がしたいなら、こちらの方にどうぞ。
大井川鐡道で、実際に機関車を運転していたそうで、
この機関車の首席顧問的存在です。
見学に来ていた、いわゆる「うんちく垂れ」の人が、
この人に食いついて、おたく知識を披露しまくっていました。
この人に気に入られると、運転室に上がって説明してもらえるようです。 -
鋼鉄の部品にあちこち傷があるのはわかりますが、
連結棒や主連棒がそもそもツルツルではなかったようなのは、
意外でした。こういうところが日本製ではない所以でしょうか。 -
「R2109」の前に「H」とあるのは、何でしょう?
その下には、「HM309」という文字も見えます。
ここの油壺には、もう補充したのかな?入れてみたいなあ。 -
2109は、1891年明治政府の発注により
イギリスのダブス社で製造した2100型。
日本鉄道172として導入され、国有化後の1909年に
2109となりました。
1928年に西濃鉄道へ譲渡され、1970年に廃車。
その後、大井川鐡道で動態保存されていました。
1993年からは、大井川鐡道で修復し、動態保存を条件に、
日本工業大学に譲渡されました。現存する最後の2100型です。 -
外回りの整備が終わり、係員たちが集まります。
-
今はまだ、線路を跨いで反対側に行くことが出来ます。
線路周辺には警備員がいて、試験運転時にはロープを張り、
横断することのないように注意しています。
機関車の脇に、金網の箱の載った台車があります。
その中には木切れがたくさん入っています。
これは、これから火室の焚きつけに使用されます。
いきなり石炭を燃やすのではなく、引火しやすいものから始めるのです。
試験運転は月に1回だけなので、1か月掛けて集めておくのでしょう。
脇にそれらを貯めておく倉庫がありました。 -
ここは工業大学で、わざわざ蒸気機関車を動態保存で貰い受けたの
だから、さぞかし、学生たちが世話をするためにたくさん集まる
のだろうと、勝手に思っていました。
ところが、数人の作業着を着た人達がいるだけで、
ちょっと寂しい雰囲気です。
今の学生たちは蒸気機関車などには、興味がないのかな?
人類史上最高傑作の工業製品だと思うんだけど。
なにしろ、すべて自然由来の構造と燃料。パソコンどころか電気は
電燈にしか使えない時代に、全部手作りで1輌1輌造られた工業製品。
その意義を是非とも工業大学の学生には考えてもらいたいです。 -
工業技術博物館館長による「動態保存の意義」
「(前略)本学は、その歴史的価値とともに継承保存された
機械工学の原点である諸技術の結晶を、生きた教材として
永く後世に伝えて参らねばと考えております。」
学生たちが、どのようにこの機関車と接しているのか、
一緒に紹介して欲しいと思います。 -
「240単式空気圧縮機」かなり摩耗していて、読み取るのが困難です。
「三菱電機株式会社 昭和10年8月」という文字が読めます。
空気圧縮機(コンプレッサー)は、ブレーキなどに使う
圧縮空気を作ります。 -
四角いクロスヘッド。楔にも個体番号が刻まれています。
この楔は「コッタ」という名前でした。 -
機関庫(SL館)の中に、詳細な説明板がいくつもあります。
左下の「連結棒」の説明の最後に、「上部には各々油壺を設け、
綿に油を沁み込ませて給油しています」とあります。
そう言えば、先程のやかん給油でも、油壷の中に木綿のようなものが
入っていました。 -
こちらの楔も「コッタ」です。金色の部分を「受金」と言います。
主連棒は、クロスヘッド側が「スモールエンド」、
こちら側が「ビッグエンド」と呼ばれます。
確かに主連棒の端の大きさが大小、異なっています。 -
おや、そんな所に足を掛けて、石炭庫には、そうやって上がるのね。
-
これは、「愛知こどもの国」にあるC11296です。
こちらの石炭庫にも足場がありました。気にしてなかったなあ。 -
さて、石炭庫に上がった彼らは何をしているのでしょうか?
手には長い棒を持ち、足元にはシートが見えます。 -
このシートで石炭庫内の石炭を覆って行きます。
-
シートの先には、ベルトが付いていて、
車体の脇と後ろに垂らしています。 -
ベルトは車体に取り付けられました。
この日は時折パラパラと小雨が降っていたので、
これからの降雨に配慮して被せられたようです。
これは、おそらくこちらの大学に来てから考案されたアイテムでしょう。
石炭庫にシートを張っていた若者たちは、学生のボランティアのよう
です。これからも2109をよろしくお願いします。 -
首席顧問(勝手に命名)が両手に木切れを持って立っています。
その周りで見学者たちが、従輪に注目しています。
この従輪は、別の車体の従輪なのだそうです。
現役時代に同型の機関車の従輪を間違って取り付けられてしまい、
そのまま今日まで来てしまったのだとか。
スポークの形が違うのだそうです。2109の動輪は、2100形蒸気機関車の中でも最初期のタイプである角型断面のスポークを用いています。
2109は、先輪がないC1型です。 -
真後ろから見た2109。しっかりシートにくるまっています。
この後は、線路内立入禁止になるので、貴重なひと時です。 -
主不在の機関庫。前回は中央に2109がいたので、
全体が見渡せませんでした。 -
整備はこんな風に行われます。
-
2109の歴史を紹介したパネル。
大井川鐡道での修復の様子が詳しく紹介されています。 -
タブレット式閉塞器をはじめ、かつて使われていた鉄道資料が
展示されています。
また、2階に上がると上から機関車を眺めることが出来ました。 -
2021年に撮影した写真です。
地面から見上げただけではわからない部位が良く見えます。 -
2109の前方には、これから走る線路が見えます。
踏み板のところにある赤い菱形の紋章は、ダブス社の銘板です。 -
正午少し前に、線路の両側にロープが張られ、
普段は車が往来する門が閉じられて、ここも通行禁止となりました。
さて、この日は「運転席見学」を抽選で5組が見学することが
出来るとのことで、12時と13時に2回抽選会がありました。
1組は5名まで見学できます。
抽選会に参加するには、博物館で受付をし、ナンバーを割り振られます。
その順番で、紙コップに入れられた割りばしのくじを引きます。
当たりは5本。2回抽選があるので、10組が見学できることに
なります。この日の競争率は低い方だったかもしれません。
有難いことに当たりました。
試験運転は6月にも行われましたが「運転席見学」は無かったようです。
工業技術博物館のHPの「お知らせ・イベント案内」を
チェックしてから、訪問してください。 -
首席顧問が、水温が上がって来たから、圧力が上がるぞと声を掛けます。
蒸気機関車は、火室で燃料となる石炭や火付け役の
木切れなどを燃やして蒸気を発生させて、動力とします。
頭では理解していても、こうやって順を追って見て行くと
初めて実感することが出来ます。 -
最初は試運転で、乗客なしで走行します。
HPには「運転席見学」と書かれているので、
てっきり本当にただ見るだけなのだと思っていました。
ところが、当たってから知ったのですが、
なんと運転室に乗ったまま往復走行するのだそうです。
夢にも思わなかった展開にびっくり仰天しました。 -
煙突から白煙を吹き上げ、周りの民家に気兼ねしてなのか、
遠慮がちな汽笛を鳴らし、シリンダーから蒸気を噴き出します。 -
2109が動き出しました。
何時間もかけて準備をして、いざ動き出すと感無量ですね。
キーを差し込んで、すぐに動き出す電気仕掛けの乗り物とは、
根本的に違います。
何でも簡単に出来ることばかり追求して来た現代ですが、
手動の良さは、熟練者は些少な違和感で、ミスや故障を防ぐことが
出来る点にあります。蒸気機関車は1輌1輌にクセがあり、
それを熟知するのがベテランの誇りでもありました。
シリンダーの表面に、左右に数字の書かれたプレートが張り付いた
車輛があります。(2109にはありません)
それも、各機関車の個性を表しています。 -
シリンダ排水弁
シリンダ内にはドレンと呼ばれる不必要な水が溜まることがあります。
シリンダ内にドレンが多量に溜まると
ピストンで加圧されることによりシリンダカバーを破損したり、
少ない場合でもシルンダ内面の油を洗い去る等の不都合があります。
そこで、シリンダ端逃げの底部にシリンダ排水弁を設け
ドレンを排出します。 -
興味のある方のために、機関庫に展示されている説明板を
載せておきます。
2011年に、右側のシリンダーに亀裂が入っていることが判明しました。
その時初めて、壊れていない左側のシリンダーは別の車体から付け替えたものであることがわかりました。
亀裂を直すには、鋳物のシリンダーを取り付けたまま、下に潜って
溶接作業をする必要があり、それが出来る業者がいませんでした。
ようやく見つかったのが、なんと船舶の補修を手掛ける業者で、
約1年の運休からやっと復活しました。 -
蒸気を吐き出す蒸気機関車との距離は、こんなに近いです。
そのため、警備員のおじさんたちは機関車が通る時には
「熱い蒸気が来るので、少し離れて見てください。」と声を掛けます。
実際、火傷の危険もありますが、そもそも近すぎると写真は撮れません。
かと言って、離れすぎると木立があって、機関庫が見えないのです。
この辺の塩梅が難しいところ。 -
おや、運転席にいるのは、さっきのやかんのお兄さんではないですか。
日本の蒸気機関車の運転席は通常左側にありますが、
2109は右側にあります。 -
車道を通り過ぎると機関車は、木立や生垣の中に隠れて
行ってしまいます。 -
2109が走る線路は、これがすべてです。全長120mと聞きました。
短いので全部直線でも良さそうなものですが、
何故か車道のところでククッと曲がっています。
この写真は、試験走行が終わり、記念撮影をするために
線路内に入っていいと言われた際に撮っています。 -
車道の付近からでは、その先は見ることが出来ません。
汽笛が鳴って、木の間隠れに機関車が見えて来ると、
この近さに現れます。 -
思わず「お帰り~」と言ってしまいます。
-
機関庫の前で、係員の合図に従い、機関車が停止します。
動き出す前にも、安全確認をした係員たちが一斉に赤い警棒を
グルグル回して合図します。
機関車の運行は、運転室の人だけが行うのではなく、
それを補佐する多数の人達が皆で行っています。 -
試験運転の抽選に当たった10組がそれぞれ1往復するので、
最初の無人走行を含めて、計11往復します。
せいぜい数回往復するだけかと思ったら、
かなり頻繁に行き来するので、驚きました。
何回も撮影していると、ポイントがわかって来て、
だいぶ安定した写真が撮れるようになります。 -
せっかくなので、クロスヘッドの動きを追ってみました。
現在はシリンダーに一番近い場所にあります(先頭が右側です)。 -
シリンダーの中のピストンが後方(画面の左)に動いて、
クロスヘッドを後方に押します。 -
クロスヘッドが左端に移動しました。
この左右の動きをクロスヘッドで変換して、
主連棒を通して動輪の回転運動に変えます。
そのため、主連棒のビッグエンドは動輪の中心ではなく
少し外側に付いています。
その主連棒の動きを他の動輪に伝えるために連結棒があります。
「運転中はレールの継ぎ目・道床の不良等により、
動輪は絶えず個々に上下運動します。
動輪2軸の場合は問題ありませんが、3軸以上になると連結棒は
一直線上に保てなくなり無理を生じます。したがって、その中間に
ナックル継ぎ手を使用し各棒の上下方向における曲がりを許容します。」
こういう事を一つ一つ考えて作られている蒸気機関車は、
本当に物理・科学の最高傑作だと思います。 -
今度は、デッドエンドの先に移動しました。
ここは日本工業大学の正門の脇で、守衛室の隣に当たります。
係員が赤い警棒を振っているのが見えます。
手前の黄色と黒の車体は、機関車を機関庫から引き出して来た牽引車で、
試験運転の前に取り外されて、この位置に移動しました。 -
白煙が立ち上りました。さあ、出発進行!
-
走っている蒸気機関車を真正面から撮影できることは、まずありません。
最近「撮り鉄」のマナー違反が問題になっていますが、
ここならお互い安全に貴重な撮影が出来ます。 -
但し、ここには生垣があるので、損なわないように注意して
撮影してください。大人の背丈が必要です。 -
牽引車の手前で止まった機関車は、再びシリンダーから
蒸気を吐き出しながら後進して行きます。 -
蒸気の吐き出しがいいので、車体がほとんど隠れてしまいます。
-
蒸気を吐き出す様子を真横から見ると、こんな風です。
営業運転をしている蒸気機関車だと、ホームの下に隠れて見えませんが、
ここでは地面から車体の上まで見放題です。 -
さて、いよいよ運転室に搭乗します。
動輪3つ、従輪1つの「C1」型の運転室は、
そんなに広くはありません。ここに5人もの見学者を乗せる
ということ自体が、すごいことだと思います。
火室では、ぼう~ぼう~石炭が燃えています。ちらっと見えますね。
しかも、加減弁ハンドル(アクセル)の付け根からは、
蒸気が上がっています。
運転中は、ここから熱湯がボタボタと垂れて水溜まりを作りました。 -
運転席の反対側には、あのやかんが置かれていました。
「おお、やかん!そこにいたか。」話し掛けてしまいそうでした。
既にハイテンションです。
乗車中の注意点はただ一つ。「カメラで撮影していてもいいけれど、
振動でつんのめって、お釜に触らないように」
「私もそれだけは避けたいです」と、にっこり返答します。
石炭庫との境の鉄板に付いている手摺を教えてもらい、
カメラを右手、手摺を左手で握った状態で乗車しました。 -
中央の金色のコックがブレーキ、その右が「バイパス弁コック」
運転士が抱えているのが、逆転機です。
こんなに大きな逆転機は初めて見ました。
普段見慣れているのとはあまりに違うので、
それと認識するのに時間が掛かりました。 -
これは、C12163の運転席です。
2本のレバーが付いているのが逆転機です。
これを回すと先端のスクリューが回ってギアが動きます。
2109の逆転機は、大きなレバーを前後に動かして
ギアを入れ換えます。 -
ついでにC12163の加減弁ハンドルです。
中央の左右に長い鉄の棒ですが、
取り付け位置が釜の蓋よりはるかに高い位置になっています。
2109(イギリス製2100型)の位置では、
火室からの蒸気や熱水が漏れるので、改良されたのかもしれませんね。 -
安全確認が出来、控えめな汽笛が鳴って、いよいよ発進です。
-
「バイパス弁」を開いて蒸気を吐き出し、
-
逆転機(ギア)を後進から前進の位置に動かします。
-
動き出してからは、動画で撮りました。
あまりにも短い時間でしたが、運転士が細かくコックを動かし
調整しながら走る様子が見られた貴重な時間でした。
逆転機は、ここが一番先端の前進の位置で、
これから機関庫前に戻るので、ギアを手前に切り換えます。
これがなかなか重くて大変なようでした。
そのために、逆転機はスクリュー型に改良されたのだそうです。 -
逆転機(ギア)が後進に入ったので、加減弁ハンドルを握って
手前に引き、機関車は後ろに動き出しました。
最高速度65㎞/hという2100型ですが、
ここではせいぜい20㎞/hかな? -
線路はあまりにも短か過ぎます。
あっという間に、「はい、降りて。」と言われてしまいました。
この写真には乗車中の人が写っているので、
どんな風に乗っているのか、わかるでしょうか。 -
SL館には排煙装置がないので、運行後は火が燃え尽きるまで
機関車は機関庫の外で待ちます。
10組を乗せた運転が終了しても、見学者を乗せない運転は
していたのかもしれません。
それにしても、実際に石炭をくべて走行している機関車の運転室に、
一般人が乗ることが出来るなんて。
日本国内でもここだけだと思います。
次回はカメラを構えずに、しっかり見たいと思います。 -
さて、せっかく埼玉県の中央にいるので、
大宮駅のそばのSLを訪ねました。
さすが大宮。高層マンションの足元に蒸気機関車がいます。 -
「さいたま市民会館おおみや」の隣にある山丸児童公園です。
道路を隔てて、大宮区役所があります。 -
大宮が鉄道の町として発展するのに尽力した元大宮町長白井助七の
レリーフと、蒸気機関車が廃止されたので、
「本市発展の歴史を象徴するものとして機関車をここに陳列」したという
説明が書かれた石碑が添えられています。 -
C1229
この蒸気機関車は、昭和8年2月、日立製作所笠戸工場で製造した
過熱蒸気式タンク機関車である。 -
横浜機関区に配置され、横浜港の入れ換えに使用されていた。
その後、旭川・釧路で活躍したが、昭和34年2月4日から
川越線及び大宮工場交換機として使われ、昭和44年廃車となり、
昭和45年2月26日大宮工場から借り受けたものである。
重量39.5t、高さ3.9m、長さ11.39m -
石炭庫に上る踏み段が、2109のものとは左右が逆になっています。
こちら側は運転室から踏み出す場合、最初に左足を出すので、
この方が上りやすいと思います。 -
後ろのナンバープレートは薄い鉄板で、先頭の物と同様、
後で作られたもののようです。尾灯も塞がれていますね。 -
本来は、どれもこんな風に厚みがあります。
-
足回りはしっかり塗られていて、個体番号は塗り込められています。
-
でも、何故かここだけ、ハッキリと見えました。
-
「コッタ」自体にナンバーが刻まれています。
そしてその下の塗料を削ったらしい箇所にも「C1」が見て取れます。 -
本来「X線装置」と書かれている筈のプレートも、この有り様です。
-
横浜から北海道に渡り、最後に大宮に辿り着いたC1229。
都会の片隅で忘れ去られようとしています。
大宮の鉄道遺産と思うなら、新橋駅前のC11292のように、
駅前のシンボル的存在にしてあげればよかったのに。
鉄道博物館が出来たから、もういらない存在なのかな。 -
鉄道路線ですら見捨てられて行く現在なのだから、
仕方がないのかもしれません。
徳島県の阿佐海岸鉄道では、鉄路だけが残って、
その上をDMV(デュアル・モード・ビークル)が走っています。
これは線路を走れるバスです。かつて線路を走っていた気動車は、
途中駅の片隅でDMVを見送っていました。
旅行記「徳島・高知を走る阿佐海岸鉄道DMVに乗車して、
「むろと廃校水族館」へ。」参照。 -
こちらは大宮駅から北に、線路に沿って行くと現れる
「RAILWAY GARDEN PROMENADE」です。 -
かつて駅舎などでよく使われた赤煉瓦風のアーチで半分覆われています。
-
D51187。
「大宮工場においては、1938(昭和13)年4月から1942年3月までに、当時の社会的な要請に対応して31輌製造したが、このD51187号機は、そのうちの第1輌目の由緒ある機関車で、1938年4月12日に着工し、同年9月8日に完成した。」 -
あれ?意外に錆びていて、手入れが行き届いていません。
-
足回りは、最低限の赤い線だけ縫って、他は良く磨かれています。
そこに錆が広がっているのが、悲しい・・・ -
やたらベタベタとプレートだらけです。
現役時代は、こうではなかったと思いますが、
目立たせたかったんでしょうね。苦笑するしかありません。 -
運転室には上がれず、上がっても透明のアクリル板が
嵌め込んであります。 -
部品はいい状態のようです。
-
クロスヘッド。アーチの内側は暗いのでフラッシュをたいたら、
余計に錆が目立ちました。 -
外側は、柵の外からしか見ることが出来ません。
-
こちら側は野ざらしになってしまうので、更に状態が悪いです。
磨けば綺麗になるのでしょうが・・ -
予想に反して、個体番号が見られません。
大宮機関区が誇りをもって設置している車体なのに。 -
1か所だけ、ハッキリ見られるのがこれです。
-
保存状態はいい筈だけど、親しみを感じられないのは何故なんだろうか。
-
日本工業大学の2109のような、生きて動いて大事にされている
機関車を見た後では、
「展示品」の機関車に心が反応しないのは当たり前ですね。
またいつか、2109に乗りに行きたい。抽選に当たるといいな。
今回はこれにて。
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