2022/06/13 - 2022/06/14
15位(同エリア426件中)
鯨の味噌汁さん
- 鯨の味噌汁さんTOP
- 旅行記124冊
- クチコミ94件
- Q&A回答2件
- 248,023アクセス
- フォロワー76人
6月13日。
3日間お世話になったカターニアの宿を出発。バスで最終目的地のパレルモヘ向かう。
カターニア、きれいな町だったな。ハンバーガーうまい、大聖堂も立派、エトナ山周遊鉄道も楽しかった。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
バスはシチリアの内陸部を、あちこちの町に寄りながら走りぬける。
途中、山上の町・エンナの国鉄駅に立ち寄る。
駅前から見上げると、はるかな崖の上に建物が蝟集していた。
ここも行きたかった町のひとつだったけど、今回は車窓からでガマン。
生きてさえいれば、いつか訪れるチャンスはある。 -
午後2時、パレルモ駅のバスターミナル着。
ホテルがややこしい場所にあるんで自力でたどり着くのは無理と判断し、この旅で初めてタクシーを拾ったら、軽くぼられてしまった。やや遺憾である。
パレルモには2泊の予定だ。
とにもかくにも、この町で帰国前のPCR検査をし、陰性証明をもらわないといけない。
しかも「ヒコーキに乗る72時間以内に検査しろ」というシバリがあるから、自動的にケツの二泊はここになる。
そもそもイタリア語はサッパリだし、パレルモには土地勘もない。
万やむを得ず、事前に旅行会社を通じて現地ガイドを手配した。分不相応だけどしょうがない。
2時間のアテンドで100ユーロ。検査代金は別途50ユーロ。 -
PCR検査は午後4時からで、ガイドとは3時半にホテルのロビーで待ち合わせ。
海外旅行でガイドを手配するのは初体験なので、ドキドキするぞ。
もしこれでかわいらしい女子大生(人妻も可)が出てきたらどうしよう。
その場合はぜひぜひ夜のガイドも追加でお願いし、鯨おじさまステキ、うんうんだったら夜明けのコーヒー二人で飲もうとあの人がゆった恋の季節よ、 などと脳内妄想を暴走させる。(⇒ほぼ恒例) -
…ホテルに現れたのは実直そうなお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんの名はアルベルト。パレルモ郊外出身の31歳。ローマの大学で学んだ後、日本に1年留学。専門は建築だという。
でもって奥さんは日本人だそう。当然ながら事情聴取。(任意)
まーきみ、そこに座りなさい。
「奥様とは日本で知り合ったの?」
「いえ、ローマです」
なるほどなるほど、ローマで日本の女の子をナンパしたわけか。しかも日本語で。
「それは…ちょろかっただろうなぁ」
「いえ、僕はマジメなので、ちょろくなかったです」
アルベルトの案内で、ホテルの近所にあるPCR検査機関へ(⇒多分病院)。
予約もしてあるからすんなり入れてもらう。
看護師らしいお兄ちゃんが出てきた。アルベルトと一言、ふたこと会話を交わす。
アルベルトが振り向いて言う。
「証明書は手許にお持ちですか?」
え。持ってきてないっす。そちらで用意してるとばかり。
アルベルト、ちょっと眉を曇らせるが
「わかりました」
看護師さんにお願いし、どこぞのページから「出国前検査証明書」をダウンロードしてもらってる。
しまった。ワシのほうで事前に用意してくべきだった。
だって帰国前にPCR検査を受けるのは確定なのだから。(反省)
ちなみに証明書は下記の厚生省のページでダウンロードできる。
みなさま、旅行の前にプリントアウトし、名前と生年月日くらいはあらかじめ記入しておきましょう。時間の節約にもなります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00248.html
さらに、携帯番号とメアドの入った名刺を持っているのなら、書類と一緒に提出しておくといいんじゃないかと。日本人の書き文字は「読み間違い」されやすいので。(ワシはプータローなので持ってませんが) -
記入を終えたら、いきなり検査本番。
怖い顔をした白衣のお姉さんが現れ、ぶすりと鼻の奥に綿棒を突っ込まれる。
「ぴきーーー」(⇒豚族ふう悲鳴)
痛い痛い、やめれやめれーーー。
とはいえ、アルベルトがいちいち通訳してくれるのでパニックにはならず、すぐにホンバンは終わったのである。
でもって終わってしまうとなんだか名残惜しい。何でしたらもう一度挿入していただいても構いません。
お姉さん、相変わらず怖い顔でゆう。
「あすじゅうに結果をメールします」
(アルベルトによると結果を「紙の手渡し」に限定してる機関もあるという)
添付ファイルで来るので、ホテルでプリントアウトし、パスポートと一緒に搭乗時に提出するそうだ。
万が一陽性だった場合、ヒコーキ搭乗を拒否されるわけですね。
で、ここからが問題で、ワシのチケットはバッタモンなので、陽性の場合は紙くずになる公算が無限大である。
さらに陰性になるまでホテルで過ごさねばならない。
ワシはプータローだからいいけど、勤め人は旅に出づらいよなぁ。 -
アルベルトの用事は済んだのだけれど、ここはいっぱつ、2時間追加し、パレルモ旧市街の案内をお願いする。(⇒やけくそのお大尽モード)
追加で100ユーロ。ちなみに半日クルマ付きで頼むと400ユーロだそうな。
「明日、ゆっくり町を歩くから、ざっと見どころを教えて」
「わかりました。パレルモの見どころはクアトロ・カンティ(四角広場)の東西南北500メートルに集中してます。2時間あれば十分です」
なるほど。
でもその前に、とワシ。
「あさってのパレルモ空港に始発のバスで行きたい。地球の歩き方にはポリテアーマ広場で乗れるって書いてあるから、乗り場を確認したいんだけど」
なんてことを頼むと、わかりました、行きましょう、とガイドを開始。
てこてこ歩いて、5分ほどでポリテアーマ広場に到着。
バス停の位置は「プラダの前」ということで特定できた。ちゃんと時刻表も出ている。ああよかった、これで安心。
なんでこんなことにこだわるかとゆうと。
バスの始発は4時10分。空港到着4時50分。
でもってヒコーキは6時10分。
つまり1時間20分しかない。多分ギリギリ。
よって、あらかじめバス乗場を確認しておけば
「広場に到着したけど、バス停を探してるうちに目の前をバスが通過、尿道とコーモンがいっしょに開けゴマ」
なんて一大喜劇は回避できる。(その昔、帰国便に乗り遅れたことがある) -
「パレルモはフェニキア人がひらいて、ギリシア、ローマ、イスラム、ノルマン、スペインと支配者が変わりました。全部の文化があります」
アルベルトの説明を受けながら、午後の町を歩く。
そんな一気にゆわれても、よう覚えきらんです。 -
マクエダ通りの中ほどにあったアランチーニ専門店。
アルベルトによると人気店だという。
「シチリア人にとっておふくろの味です。私もイタリアに帰ってきたとき、まずこれを食べます」 -
1個3ユーロ。
観光客のみなさま、表のテーブルでかぶりついている。
アルベルトによると、30種類ほどバージョンがあるそう。
ワシもこの旅で5個くらい食ったかな? -
…にもかかわらず、帰りに2個買ってしまった。
なんだかコロッケとハンバーガーばかり食ってる気がする。気のせいだろう。 -
クアトロ・カンティの南にあるマルトラーナ教会。
「最初はキリスト教でしたが、イスラムのモスクになり、またキリスト教が取り戻しました」 -
たしかに唐草模様も彫ってあるし、金ぴかのモザイク画もあるなぁ。
そういえば、とワシ。
「イスタンブールにもこれと似たようなのがあったなー」
「そうなんです、ここはビザンチン様式です」 -
言われてみれば。
これなんか、どう見てもイコン画だわな。
ヨーロッパの南の果てで東方教会か。
シチリア、ホントになんでもありだな。 -
そこから北に上がってマッシモ劇場。
「オペラ専用劇場としてはイタリアで4番目の大きさです」
ゴッドファーザーⅢのラスト、アル・パシーノの娘が胸を撃たれるシーンが撮影された場所。
ゴッドファーザーはみっつとも劇場で見た。Ⅲも公開直後に見に行った。もう30年も昔のことだ。
あれがパレルモで撮られたなんて知らなかった。 -
予定の時間が終わり、裏通りのカフェで一休みする。
「日本ではどこに住んでいたの?」
「府中です。アルバイトしながら勉強してました」
日本の夏の暑さにはびっくりしたそうな。
「シチリアは夜になれば涼しくなりますが、東京は夜も暑いですね」
うんうん。真夏の新宿駅、真っ赤に湯だった白人観光客が「大失敗」って顔で歩いてるもんね。
バカンスに東京を選んじゃいかんよねぇ。
「はい。日本の夏は、観光には向きません。シチリアも8月に入ると暑すぎるのでお客さんが減ります」
今年のバカンスは例年より早く、5月から混み始めたそうだ。
どうりで宿が高いわけだよ。
「3年間、ガマンしてた人たちが押し寄せてます」
アルベルトも3年前に結婚したのだけれど、コロナ禍のせいで新婚旅行はお預け。
「来週、やっとポルトガルのシントラに行きます」
3年越しの新婚旅行か。
鯨家も、新婚旅行はなかったよ。学生時代の同棲からそのままなだれ込んだから。結婚式翌日に、浜名湖日帰りドライブでおしまいだった。
でもそれから23年たって、かーちゃんをスペイン・ポルトガルに連れてった。
シントラにも行ったよ。
新婚旅行は何年たってもできるんよ。楽しんできてね。
(そのときの旅行記)
https://4travel.jp/travelogue/10341439 -
6月14日。
早めに起き、市場でオミヤゲを探したり、考古学博物館で涼んだり。
日陰を選んでのんびり町を歩く。
近郊の町にバスで出かけることも考えたけど、暑いんでパスしてしまう。(⇒根性なし) -
考古学博物館は「シチリア州立」のわりにこじんまりしていて、展示公開も一階部分だけだった。
大理石の棺や石板にはフェニキア文字が刻まれていた。
ギリシア文字もアルファベットも、フェニキア文字の子孫だ。
フェニキア人は地中海最初の海洋交易者だった。
一番東からやってきて、あちこちに港をひらき、町をつくった。
最初は物々交換から始まり、やがて「商品明細」やら「請求書」やら「領収書」なんぞが必要になり、フェニキア文字が共通語として使われるようになったんだろう。
文字の始まりは詩や哲学ではなく、「こよみ」「税金」「交易」から、と何かで読んだ気がする。 -
疲れたら、日陰のバールでレモンのシャーベットをいただく。
シチリアの定番の氷菓らしく、あちこちの店で見かけた。 -
港に近い路地に迷い込むと、にぎやかな魚市場に出た。
すぐ隣で魚を食わせる食堂が営業している。 -
午後はホテルに戻ってゆっくりお昼寝。
次に目が覚めたら9時だった。
まだ西の方角に夕焼けが残っていて、空はきれいな紺色だった。
ホテルを抜け出し、マッシモ劇場前のベンチに座り、ゆっくりとタバコを吸う。
観光客の皆様が楽しそうに記念撮影している。オミヤゲものを売り歩くおじさんが通り過ぎる。近くのレストランからはお客さんのざわめきが聞こえてくる。 -
そうえいば、と気づき、スマホでメールをチェックしたら、PCR陰性のお知らせが来ていた。
よかった、これで帰れる。 -
夜風に吹かれながら、ポリテアーマ広場まで歩いた。
あすの朝、ここから町を出ていくのだ。
シチリア、きれいな島だったな。
いつかまた、来れるかな。
生きてさえいれば、いつかまた。
美しきもの見しひとは、はや死の手にぞ、わたされつ。
そんな詩の断片が浮かぶ、シチリア最後の夜だった。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
旅行記グループ
6月のシチリア(暑い)
この旅行記へのコメント (5)
-
- あららんさん 2022/09/08 21:44:37
- シチリアの写真がいっぱい。
- こんにちは、鯨さん。
ここでは写真がいっぱい載せられるんですね。
シチリア島、いいなぁ!
ベルサイユでお会いしましょう。
けいこともえだ
-
- 小心者さん 2022/06/28 16:52:17
- お疲れさまでした
- シチリア単独行、全編堪能させていただきました。
>マッシモ劇場前のベンチに座り、ゆっくりとタバコを吸う
このシーンを思い浮かべ、心底「ああ、久々にフラフラ旅したいな」と思いました。
相変わらず文章表現が秀逸すぎて腹たつわー。
ついでに帰国便に乗り遅れんかったことも腹たつわー。
もはやその存在を忘れかけていた『サーチャージ』、円安やら物価高やらで何かと出費が嵩みそうですが、それらは3年間謹慎処分の怒りで「お、おぅ。そんくらい出したろやないかい!(震え声)」と乗り越えられそうです。
が、問題はPCR検査。
鼻はやめてくれー!!! 涎にしてくれー!!!
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2022/06/28 22:41:19
- 唾液もキツイらしい。
- 小心者さん
はぁはぁぜいぜい。一週間で5本書いたら疲れたわい。若かりし頃の一晩5回よりキツイ。(見栄)
…てのはウソで。
日記は毎晩宿で書いてたんで、文字だけは馬に食わせるほどあったぜい。(だいぶ削った)
ああそれなのに。
写真がほとんどナイ!!(わーい)
あってもどこの写真だかようわからんちんだ!!(わーい)
>相変わらず文章表現が秀逸すぎて腹たつわー。
…うむ。くるしゅうない。
>ついでに帰国便に乗り遅れんかったことも腹たつわー。
こ、これが書きたいためのマクラやんか!!
>「お、おぅ。そんくらい出したろやないかい!(震え声)」と乗り越えられそうです。
そうそう。
なんしろ3年分たまっとる。もうたぷたぷ。だから追加のガイド料も払っちゃう。
ちなみに帰国したその日(3/16)の」夜。
かーちゃんとペアでもう次のキップ買ってもた!(⇒凱旋門賞パリ往復7万9000円)
ネジ外れてる夫婦。
>鼻はやめてくれー!!! 涎にしてくれー!!!
なんか女優さんが「顔は顔は顔はやめてー」ゆうてるみたい。
でもな。
かーちゃんがゆうとったけど、唾液の場合。結構おおぶりな試験管渡されて
「これにいっぱい出して」
…不妊治療の男性がエロ本見ながらサンプル採取をする気持ちがよーくわかったそうです。(⇒実話)
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2022/06/29 08:17:29
- もはやボケ老人。
- 小心者さん
>ちなみに帰国したその日(3/16)の夜。
3/16 ってなんやねん。3ヶ月間違えてるわ。
時差ボケが続いてるのか、それとも若年性の認知症か。
そういえば先週健康診断で日付5ヶ月間違えて書いてた。
本格的にやばい。暖かく見守っておくれでないかい。
ちなみに「凱旋門賞パリ往復7万9000円」はマジで、ポチった翌日にはもう消えてた。
JALやANAはサーチャージだけで8万だから、ありえん価格だ…
- 小心者さん からの返信 2022/06/29 11:42:20
- ようこそ(満面の笑み)
味噌汁大先生、おはようございます。
>帰国したその日(3/16)の夜
タイムトラベラーか!
ついでに「時差ボケ」の使い方間違うてはりますね。
>どこの写真だかようわからんちん
あるあるですけど、これもヤバい
「ボケ老人エピソード」なら1ミリも負ける気がしないので、
軽く10個くらい書いてやるか(謎の対抗意識)
と思ったのですが、一つも思い出せなくてびっくりしました。
でも、こないだスーパーのレジで184円間違えられた恨みは覚えとるのでセーフ。
パリ往復、サーチャージ込み!!!?
決断力の勝利ですね。超うらやま!
小心者
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ 6月のシチリア(暑い)
5
22