2021/07/21 - 2021/07/21
1359位(同エリア1500件中)
ちふゆさん
2021年7月21日(水)の12時過ぎ、正寿院の本堂から客殿へ。本堂の西側、道を挟んで建つ(下の写真1)。2015年に建てられたもの。夏目漱石の造語である則天去私の言葉に因み「則天の間」とも呼ばれる。則天去私とは「自らを自然に任せて、個人的な考えや私欲を捨てること」と云う意味。
風鈴で飾られた北側の通路(下の写真2)を抜けて玄関に入ると鳳凰の扁額が迎えてくれる(下の写真3)。立派な玄関ではあるが、この客殿の見どころは玄関を右手に入った広間。この建物はお茶会などに使うために造られたが、「自然豊かな宇治田原町を五感で感じて欲しい」という想いを込めて、あえて神仏を祀っていない。しかし、もし火事になどの災害が起きた時、「神仏を祀らなかったから」と後悔をしないだろうかと悩んでいた住職に、大工から「猪目を生かしてみては」という提案があったという。
猪目とは1400年前から日本に伝わる伝統文様で、ハート型をしており、魔除けや招福の意として、寺院の建築装飾や茶室の窓等によく使われている。猪目はその字の通り、猪の目をモチーフにしたという説のほか、お釈迦さまに縁のある菩提樹の葉がモチーフという説もある。
このお寺でも本堂の鴨居の釘隠しにこの猪目の穴があるし(下の写真4)、この客殿の道路側(妻側)の一番上の部分の妻飾り(懸魚)にも使われている(下の写真5)。さらに偶然ではあるが、宇治田原町全体を地図で見ると猪目に似ていると云う人もいる。
広間へ入ると、真正面に、くっきりと庭の風景を切り取るハート型の窓。これが猪目窓。窓の外の緑が美しい。春には桜のピンク、秋には紅葉の赤、そして冬には雪の白と、色とりどりの景色を楽しめる。この窓を通じて外の自然と一体になり、我を忘れ、癒しの時を過ごしてほしいという想いが込められている。
さらにこの広間で人気になっているのが160枚の天井画。2017年に完成したもので、20代から70代までの約90人の日本画の絵師や美大生によって描かれた50cm角の天井画がずらりと並ぶのは圧巻。画材は杉板と岩絵の具で、直接杉板に描かれており、胡粉と云う貝殻を焼いて作られた白い顔料を下地にしている。
この天井画は、本堂の内陣に描かれた88枚の天井画の復興から着想を得ている。本堂の天井画は今では明確に絵柄を視認できなくなっているが、現在に蘇ったこの客殿の天井画は、花や日本の風景をテーマに色鮮やかに輝いている。角には守護神として、東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武が配されており、その横には春夏秋冬の舞妓がひっそりと佇んでいる。客間の入口の案内にも書いてあるが、畳に寝転んでゆっくり眺めるのがお勧め。
広間の右手に広がるお庭もなかなかいい感じ。透明な風鈴に映る緑がキラキラしてとてもいい。手水鉢にお花も飾られてこれも綺麗。暑い夏の日を気持ちよく過ごせた。このお寺ではヨガ体験やオリジナル数珠づくりなどの催しもあるそうで、季節を変えてまた訪れたくなる、多様な魅力がある古刹だった。
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続いて昼食に向かうが続く
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旅行記グループ 宇治田原
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