2021年クリスマスの愛媛遍路旅（その1・オレンジフェリーで今治へ）

2021/12/24 - 2021/12/26

新型コロナウイルスのワクチン接種が2回済み、また世間の感染状況も落ち着いたので、徳島県のお遍路区切り打ち、東海地方へのアニメ聖地巡礼、プロ野球の日本シリーズ、広島への路面電車撮影など積極的に出歩いてきた2021年後半の私。

締めは2ヶ月ぶりの札所巡りでしょうということで、クリスマスの夜に大阪南港をオレンジフェリーで出発しました。

まず最初は、オレンジフェリーの乗船記と、到着したその足で回った愛媛県今治市内の四国霊場第五十五番～第五十七番の札所の様子をお届けします。

その２（松山プチ遍路と久しぶりのANAで帰路）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11745487

エリア 今治(愛媛)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 高速・路線バス 船 ANAグループ JRローカル 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

2021年12月24日（金）、21時半少し前。
仕事を終えたその足で、大阪南港フェリーターミナルに到着。

フェリーターミナル駅 駅

以前、何度かお世話になった大阪南港フェリーターミナルですが、ここから四国行きのフェリーに乗るのは実に20年以上ぶりです。
これから乗船するオレンジフェリーの目的地・東予港は愛媛県。
ターミナル内には、同県出身の芸人・友近さんを起用した広告が掲示されていました。

オレンジフェリー 乗り物

もう30分ほどで出航するので、慌ただしく乗船手続きを済ませます。

オレンジフェリー 乗り物

クリスマスらしく雪だるまの風船が飾られたコンコースを、乗船口に向け急ぎます。

フェリーターミナル駅 駅

以前新門司行きの名門大洋フェリーに乗ったことは何度かありましたが、オレンジフェリーに乗るのは今日が初めて。

フェリーターミナル駅 駅

今日乗船するのは「おれんじ　おおさか」号。
2018年のデビュー当時、姉妹船の「おれんじ　えひめ」ともども、全室個室の豪華フェリーということで大きな話題になった船です。

オレンジフェリー 乗り物

前置きが長くなりましたが、ようやく乗船。
入口に設置された消毒液で手指の消毒を済ませ、ひとまず客室に荷物を置きに行きます。

オレンジフェリー 乗り物

大きな吹き抜けにシャンデリア、ステンドグラスという、高級感と開放感に満ちた「おれんじ　おおさか」の船内ロビー。

オレンジフェリー 乗り物

「おれんじ　おおさか」の船内案内図

オレンジフェリー 乗り物

今回利用するのは、2人用個室の「シングルプラス」。

オレンジフェリー 乗り物

一旦部屋に荷物を置いた後、船内のレストランへ。
最近、QRコード決済が導入されたということで利便性が向上したそうです。

オレンジフェリー グルメ・レストラン

深夜22時近い時間帯でしたが、レストランは多くのお客さんで賑わっていました。

オレンジフェリー グルメ・レストラン

メニューに地のものを多く取り入れている、オレンジフェリーの船内レストラン。
まずは、宇和島みかんを用いたクラフトチューハイで乾杯とします。

オレンジフェリー グルメ・レストラン

乗船前に大阪駅で軽く食事を済ませていた私たちですが、どうしても船内レストランで食べておきたいものがありました。

それはブランド養殖鯛「鯛一郎クン」を使った宇和島鯛めし（1500円）。
熱々のご飯に鯛のお造りを載せ、その上から生卵と特製ダレをかけていただく、日本一豪華な卵かけご飯です。
鯛のお造りは、宣伝に違わず肉厚で食べ応えのある味でした。

付け合せのじゃこ天もまた愛媛名物で人気が高く、乗船後すぐにレストランに行かないと売り切れてしまうこともある「宇和島鯛めし」。オレンジフェリーを利用される際は、是非一度お試しあれ！

オレンジフェリー グルメ・レストラン

レストランの入口脇にあったクリスマスツリー。

オレンジフェリー 乗り物

2階の浴室近くにあった記念撮影コーナー。
こちらも可愛らしいリースでクリスマス仕様に飾り付けられていました。

オレンジフェリー 乗り物

記念撮影コーナーで少し遊んでから、お待ちかねの入浴タイム。
浴場は思っていた以上に広々しており、内装も綺麗だったので快適に入浴することができました。

オレンジフェリー 乗り物

新築のビジネスホテルを思わせる、「おれんじ　おおさか」の客室通路。

オレンジフェリー 乗り物

「シングルプラス」は2段ベッドのシンプルな個室。
決して広くはないですが、寝具やコンセントなど必要最小限のものが揃っており、大阪南港～東予港間の所要8時間を横になって過ごすぶんにはちょうど良い感じです。

オレンジフェリー 乗り物

「シングルプラス」ですが、ハンガーや姿見も用意されているのはありがたいです。

オレンジフェリー 乗り物

2021年12月25日（土）。
大阪南港を出港した翌朝の6時。
「おれんじ　おおさか」はほぼ定刻通り東予港に入港しました。

オレンジフェリー 乗り物

数年前に新築されたばかりの、東予港フェリーターミナル。

東予港 乗り物

東予港フェリーターミナルの建物を出ると、左から順番に新居浜行き（無料）、今治行き（無料）、松山行き（有料）の連絡バスが並んでいました。

今回は今治行きのバスに乗車します。
運行を担当するのはせとうちバスで、松山～今治・大三島線と共通運用の中距離仕様車が使われていました。

東予港 乗り物

「おれんじ　おおさか」号。クリスマスの楽しい一夜をありがとうございました。

オレンジフェリー 乗り物

東予港から一般道を走ること小一時間。
今治バスセンターで連絡バスを下車しました。

せとうちバス 乗り物

今治バスセンターのすぐそばにあるのが、今治市役所。
東京パラリンピックの水泳で金メダルを獲得した、山口尚秀選手を称える垂れ幕が掲出されていました。

幹線道路を少し北に歩いていると、「四国のみち」の道標が見えてきました。

コロナの感染状況は落ち着いていたものの、他の旅行やプロ野球観戦の兼ね合いで2ヶ月ほど札所巡りを中断していただけに、遍路道によくある道標を見ているとこみ上げるものがありました。

午前7時20分頃。今治バスセンターで連絡バスを下車してから10分ほどで、本日最初の目的地である四国霊場第五十五番札所・南光坊に到着しました。

南光坊 寺・神社・教会

四国霊場第五十五番札所・南光坊の山門。
早朝に四国入りし、その足で巡拝を始められるという行動パターンは今回の旅が初めてです。

南光坊 寺・神社・教会

南光坊の本堂。
現在の本堂は太平洋戦争末期の今治空襲で焼失後、戦後の1981年に再建されたものです。
本尊は大通智通如来。日本では今治と大三島の近辺の数ヶ所の寺院にしか仏像がない、珍しい仏様だといいます。

南光坊 寺・神社・教会

南光坊の大師堂。
この大師堂と金毘羅堂は、幸運にも戦災の被害を免れました。

南光坊 寺・神社・教会

境内の裏口からすぐの場所には高野山の別院があり、今治市の旧市街における真言宗信仰の中心となっているようです。

南光坊 寺・神社・教会

納経所。
御朱印をいただき、大通智通如来ゆかりの「勝守」も購入しました。

南光坊 寺・神社・教会

朝の南光坊大師堂と、山門。

南光坊 寺・神社・教会

四国遍路の際に同坊を訪れた昭和期の書家・川村驥山の「筆塚」。
川村氏が奉納した菅笠は、今も同坊に保存されているそうです。

南光坊 寺・神社・教会

南光坊の山門脇に建てられた、「今治市戦災の碑」
今治市は太平洋戦争末期の1945年にたびたび激しい空襲を受け、600名以上の犠牲者を出し、南光坊の伽藍・仏像など数多くの文化財を失いました。

2022年2月からのウクライナでの戦争もそうですが、国同士の対立により尊い人命や財産、文化財が失われるといった事態が一日も早くこの世の中から消え去ることを祈るばかりです。

南光坊 寺・神社・教会

南光坊の隣にあるのが、大山祇神社。
大三島にある同名の神社の別宮です。
南光坊は明治初期の神仏分離まで、この大山祇神社の別当寺という位置付けでした。

今治バスセンターの方に戻る途中、高野山の別院に立ち寄りました。

高野山別院の遍照殿。

次の札所には路線バスで向かう予定ですが、それまで少し時間があるので、今治銀座商店街にある喫茶店で朝食をいただくことに。

事前に調べておいた喫茶店「ナカムラコーヒー」に入店します。

ナカムラコーヒー グルメ・レストラン

お洒落な内装の「ナカムラコーヒー」店内。
カウンターでモーニングセットを2つ注文、飲み物はどれにしようか迷いましたが、こだわりのブレンドコーヒーを選択しました。

ナカムラコーヒー グルメ・レストラン

「ナカムラコーヒー」のモーニングセット。
トーストに、人参とレタスのサラダ、グラノーラ入りのヨーグルトが付いてくる充実の内容で、あたかもヨーロッパのホテルで朝食をいただいているかのような気分でした。

ナカムラコーヒー グルメ・レストラン

フランス映画のポスターが並ぶ、「ナカムラコーヒー」の店内。

ナカムラコーヒー グルメ・レストラン

マスターが自転車好きの方のようで、店内には自転車が飾られていました。

ナカムラコーヒー グルメ・レストラン

朝食後は本日二度目の今治バスセンターへ。

せとうちバス 乗り物

乗車するのは8時49分発のせとうちバス葛谷行き。

せとうちバス 乗り物

30分ほどで今治市南部、大須木バス停へ。
「大須木」は「だいすき」ではなく、「おおすぎ」と読みます。

せとうちバス 乗り物

大須木バス停のそばには、第五十七番札所・栄福寺と第五十八番札所・仙遊寺の文字が入った道路標識が立っていました。
これでナビゲーションはばっちりです。

蒼社川を渡り、平成の大合併まで越智郡玉川町だった地域に入ります。

右に曲がって登山道に入れば、第五十八番札所・仙遊寺に至るわけですが。

今回は仙遊寺はパスし、左に曲がって栄福寺を目指します。

大須木バス停から20分ほど歩いて、栄福寺に到着。
沿道のあちこちに、真新しい案内看板が設置されており、道順は分かりやすかったです。

栄福寺 寺・神社・教会

かつては石清水八幡宮の分社を併設していた、第五十七番札所・栄福寺。

栄福寺 寺・神社・教会

境内に入ると、一見寺院の堂宇とは思えないぐらいの斬新な外見の建物が目に付きます。
この建物は、実は栄福寺の演仏堂。現住職の白川密成氏のお兄様である、建築家の白川在氏の設計による建物です。

栄福寺 寺・神社・教会

栄福寺の境内。
正面にあるのが本堂、右手にあるのが大師堂です。

栄福寺 寺・神社・教会

栄福寺の本堂。
向かって右手にある仏足石も、ご利益のあるスポットです。

栄福寺 寺・神社・教会

こちらが仏足石。
本堂の前に左右対称になるように、２基立てられています。

栄福寺 寺・神社・教会

栄福寺の大師堂。

栄福寺 寺・神社・教会

弘法大師像。

栄福寺 寺・神社・教会

カエルのオブジェが載った石造りのテーブル。
納経所では、カエルの厄除けお守りも販売していました。

栄福寺 寺・神社・教会

ガラス戸で明るい雰囲気に仕上がった納経所。
この納経所のリノベーションも、白川在氏が手がけたそうです。

栄福寺 寺・神社・教会

納経を済ませて出発する前に、お願い地蔵（右側）に手を合わせました。

栄福寺 寺・神社・教会

栄福寺を後にし、遍路道を北に向かいます。

栄福寺の近くにある、銘菓「八幡饅頭」の武田屋さん。

武田屋 八幡饅頭 グルメ・レストラン

蒼社川沿いの店舗兼住宅で見かけた猫ちゃん。

道中、お洒落なプロテスタントの教会を見つけました。

遍路道はバスの走る幹線道路に合流。
今治市の中心に向けて歩いているうち、第五十六番札所・泰山寺への案内標識が見えてきました。

伊予水軍の軍船がデザインされた、今治市のマンホール。

泰山寺までは、あと一息です。

泰山寺 寺・神社・教会

仏教系の出版社の横を抜け、横断歩道を渡った先に。

泰山寺の入口がありました。
山門・仁王門の類がない札所は珍しいです。

泰山寺 寺・神社・教会

今治市の郊外を望む高台に位置する泰山寺。

まずは鐘楼でご挨拶。

泰山寺 寺・神社・教会

泰山寺の鐘楼は、今治城の部材を移築したものだとのこと。

泰山寺 寺・神社・教会

泰山寺の本堂。

泰山寺 寺・神社・教会

本堂の斜め向かいに位置する大師堂。

泰山寺 寺・神社・教会

客殿。
ちなみに泰山寺に仁王門がないことは上で述べましたが、仁王像はこの客殿と本堂の間の廊下に安置されているそうです。

泰山寺 寺・神社・教会

宿坊（季節営業）や納経所、寺務所を兼ねた大きな建物がありました。

泰山寺 寺・神社・教会

松の木に囲まれた美しい庭がありました。

泰山寺 寺・神社・教会

弘法大師が手植えしたとされる松の木の子孫である、「不忘松」が植えられていました。
弘法大師はすぐ近くを流れる蒼社川の治水事業を手掛け、その際に松の木を植え、地蔵菩薩を祀って泰山寺を開基したと伝えられています。

泰山寺 寺・神社・教会

弘法大師像にも手を合わせました。

泰山寺 寺・神社・教会

納経を済ませ、泰山寺を後にします。

泰山寺 寺・神社・教会

今治駅に戻るバスに乗る前に、バス停近くのマクドナルドでしばし休憩。
ここから第五十四番札所・延命寺にも歩いて行けなくもないようですが、そちらは次回回しということに。

13時少し前、今治駅に到着。

今治駅 駅

第五十四番札所への巡拝を後回しにして、どうしても立ち寄りたい場所がありました。

喜多方ラーメン麺小町 今治店 グルメ・レストラン

今治といえば焼豚玉子飯。どうしても食べずに帰れない。
ということで、次の目的地に向かう列車までの時間を利用し、今治駅にほど近い予讃線の高架下にある「喜多方ラーメン麺小町」で、焼豚玉子飯のセットをいただきました。

特製のタレで味付けた肉厚のチャーシューと目玉焼きで、しばし英気を養います。（続く）

喜多方ラーメン麺小町 今治店 グルメ・レストラン