2020/08/28 - 2020/08/28
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たびたびさん
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箱根の岡田美術館で、北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―展をやっているということで、これは気になりますね。
ところで、「冨嶽三十六景」の葛飾北斎は、「東海道五十三次」の歌川広重と並んで、浮世絵師としては二大巨頭なのですが、その奇抜な構図や色調の鮮やかさとともに、90歳まで生きたその生涯は壮絶なイメージ。改号すること30回、転居すること93回、死の床にあって、天が私の命をあと5年保ってくれたら私は本当の絵描きになることができるだろうと言ったという逸話も、最期の最期まで森羅万象を描ききりたいと願い、画業に心血を注いだ北斎の鬼気迫る生き様を妙にリアルに伝えていると思います。
都内だとすみだ北斎美術館、長野県小布施町、岩松院の天井画に、どこの美術館だったか忘れましたが北斎漫画の企画展なんかも思い出して、これを機に、改めて、これまで感じてきたことの整理をしてみたくなりました。
ちょっと蛇足ですが、広重の方はというと。。代表作として知られる「東海道五十三次」は、実は保永堂版というもの。広重の東海道五十三次には後続版とも言うべき行書版、隷書版という別なシリーズもあるんですよね。しかし、これらを比較すると保永堂版の出来栄えがやっぱり素晴らしくて、そのインパクトは頭抜けている。言うなれば、広重の気力がその瞬間に最も充実していた奇跡の作品だったのではないかと感じます。つまり、自分はまだまだ、どこまでもと高みを追い求め続けた北斎に対して、二度とない奇跡の瞬間をしっかり掴んだ広重といった感じでしょうか。
ちなみに、二人が活躍したのは江戸時代後期の文化文政時代。浮世草子の井原西鶴や浄瑠璃の近松門左衛門が活躍した上方の元禄文化に対して、今度は江戸で花開いた町人文化。ちょっと言葉は適切ではないかもしれませんが、火事と喧嘩は江戸の花。江戸のファーストインプレッションを重視する気風に育まれたところもあったのかな。それが故に海外でも理解されやすく、またたく間にジャポニズムの影響を与えたのは面白いこと。上方と江戸の対比で考えるのも味わい深い視点ではないかと思います。
ということでの箱根の旅だったのですが、ハイライトはまたちょっと別の結果に。予期しないことが起きるのが旅の醍醐味。今回もそんなことだったかなと思います。
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イチオシ
箱根湯本に向かう途中、まずは地球博物館に寄ってみます。
こちらは「46億年前の地球誕生から地球の未来を考える」をテーマにした神奈川県立の博物館。
必ずしも神奈川県でなければならないというテーマではないのですが、こういう博物館はその地方自治体の意気込みやセンスが如実に表れるもの。私のこれまでの経験だと北九州市立のいのちのたび博物館がけっこう好印象。それも思い出しつつ、神奈川がどこまでプライドを持って、取り組んでいるかも興味が引かれるところです。外観の構えはさすがにすごいですね。 -
入ってすぐの巨大なホール。
さて、入場料を払って、内部へ。 -
最初の地球展示室では宇宙と地球の誕生。
宇宙の誕生は138億年前のビッグバン。
それは、もう常識となって長いのですが、最近の衝撃は、ノーベル物理学賞を受賞した日本人、小林誠、益川敏英が解き明かした「CP対称性の破れ」ですよね。無から有を生んだのはなぜという根本のところを解き明かしたわけですから。自分が生きている間にそんなことが分かるなんて、本当に素晴らしいし、日本人として誇らしいと思います。
そんなことは特に触れられていませんでしたが、何か工夫をしてもらえるといいなと思います。 -
隕石も最近の注目分野。生命の起源を探る手がかりということですが、生命は地球外からやってきたということはほぼ間違いない。これからもっともっと研究が進んでくれるといいですね。
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太古の地球を感じる空間。
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アンモナイトや
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巨大な裸子植物の出現で、地球が豊かな生命の星に変貌していきます。
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この生命展示室では、お馴染みの恐竜の骨格標本もですけど、
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イチオシ
動物のはく製展示もなかなかの迫力。
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イチオシ
命を育む生命の星、地球を
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素直に感じれるような気がします。
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イチオシ
昆虫のシリーズだと圧巻は蝶かな。
このきらびやかな色彩と -
その多様性。
コレクターを魅了するのは当然かと思います。 -
この裸子植物の標本もとてつもなく大きいですね。写真だとちょっと伝わりにくいかもしれませんけど、やっぱりすごい。これだけ大きいと臨場感があってリアルな感動があると思います。
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二階に上がって、今来た順路を見下ろしたところです。
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で、最後はジャンボブック展示室。
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神奈川県の生態系とか
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地元のテーマを取り上げて
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ちょこちょこ解説。
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身近なテーマで、我に返った感じです。
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もう出口の辺りですが、これは人類史。
600~700万年前に人類がアフリカで出現し、その後、そのうちのホモサピエンスだけが生き残る。人類が20種類以上いて、ネアンデルタール人とかホモサピエンス以外はすべて滅びているというのも、初めて知るとちょっとショックですけどね。
そして、ホモサピエンスである人類が日本にやってきたのは氷河期で海面が低下していた3万8千年前のこと。2万年前にはさらに海面が下がり、北海道ルート、対馬ルート、沖縄ルートの3つで流入が活発化します。
ところで、縄文時代の始まりは、1万6千年前くらいですから、縄文人がやってきたのはこの頃ですね。縄文人は、その後、3千年前くらいに中国や朝鮮から稲作文化をもたらした弥生人と平和的に混血して、今の日本人が誕生することになるのですが、縄文人がどこからやってきたのかはかなり謎。あるいは、そもそも縄文人がいくつかのグループからなるということもDNA解析とかから分かってきていて、この辺りがとても面白いところかな。日本人なら、誰しも知りたいと思うテーマでしょう。
以上、壮大な地球の歴史と最後は日本人のルーツを考えさせられて。まあ、予想通りと言えば予想通りなのですが、今はネット社会。若い人は自分に興味のあるところだけピンポイントで情報を取ることに慣れすぎていて、こうやって、違う人の切り口に身を委ねることにはだんだん億劫になってきているような気もします。自分の興味からすると無駄に思えるようなところにもちゃんと向き合える。そんな子供たちが多くなってくれることを望みたいと思います。 -
地球博物館から歩いて、そのまま本間寄木美術館へ。少し距離がありますが、まあまあ範囲内かな。
小さな加工場兼ショップみたいな建物の二階が美術館。寄木細工のお店は何度か行ってますが、美術館は初めてです。
細かな作業工程を解説するビデオを見てから、それぞれの作品を拝見。家具や小道具が日常生活の中にそのまま溶け込むことができるのか。寄木細工の美しさや見事さの前に、いつも少し違和感がなくもないのですが、実際に使われていたという小さな机とかを見ると何か使っていた人の奥ゆかしさみたいなものも伝わってきて、感情移入がそれなりにできたような。やっぱり使い込んでいくということがないと活きない品々なのかなと思いました。 -
近くのバス停から、箱根湯本へ向かいます。
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箱根湯本では、以前来た時は閉まっていた箱根町立郷土資料館で。改めて、箱根の歴史をあれこれです。
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展示室は撮影禁止なので、入口だけ。。
さて、箱根と言ったら関所ですけど、つまりは箱根宿という宿場町。そして、それとは別に温泉地としての箱根がある。これはかつて七湯と呼ばれ、箱根湯本とか。宿場町としての箱根と温泉場としての箱根があるんですね。
東海道を旅する人であれば、本来は宿場町で宿泊しないといけないのですが、だんだんと温泉場の方で宿泊する人が増えて、その線引きをどうするのか揉めたりとか。なるほどねという感じです。そして、七湯の方も、小涌谷や強羅が開発されて、十七湯へと拡大する。分かっているようで分かっていなかった箱根の歴史。なかなか面白く拝見いたしました。 -
この辺りで、昼飯は、はつ花 本店へ。こちらは、箱根湯本では大人気の蕎麦屋さん。
この日も行列ができていて、少し待って入店です。 -
イチオシ
二階の窓側の席に案内されると目の前は川が流れていて、この眺めもなかなか落ち着きますね。
これは、浄瑠璃『箱根霊験躄仇討』にも描かれた、貞女初花とその夫、飯沼勝五郎。病に侵された夫を助け、父の仇、佐藤兄弟を追う二人。箱根の自然薯で養生を続けたというお話です。 -
いただいたのは冷たい貞女そば。生卵とその自然薯が乗っていて、どろんとした食感に出汁の味わいもなんか沁みますねえ。この味わいはやっぱり名物店ですねえ。従業員はおばちゃんがたくさん。ちょっとアットホームな感じも悪くないです。
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ここから、いよいよ今日のメイン。岡田美術館へ向かいます。
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小涌谷駅から歩いて岡田美術館に到着。けっこう遠いですね~
さて、表の門にも「北斎の肉筆画 ―版画・春画の名作とともに―展」の看板です。 -
目玉とされているのは「堀河夜討図」や「夏美人図」。
ここから中に入りますが、当然のことながら中は撮影禁止。スマホを含めて所持禁止なので、持ち物の検査は空港のチェックと同じくらい厳しいです。 -
で、作品の方はというと。。
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独創的で少し奇抜さも感じる構図はいいとして、ぱっと見に続く味わい深さとか絵画としての味わいは意外にイマイチ。浮世絵の肉筆画って、静岡市東海道広重美術館とかでも見たことありますが、その時でももうちょっとよかった印象でしたけど。どうしたんでしょうねえ。これでは絵画ではなくて、漫画とかデザインの域を出ていないように感じました。
一方、レプリカでしたが、喜多川歌麿の「深川の雪」に「吉原の花」の巨大な作品。多くの登場人物を優雅に配して、その構成力のすごさが素晴らしい。画家の並々ならぬ力量を示していると思いました。 -
ただ、それでは岡田美術館の魅力は如何にと問われれば、中国陶磁のコレクションが白眉。これは間違いなく一見の価値ある優れものです。
ところで、日本の焼き物も多彩ですが、それをちゃんと理解するためにはやはり中国の陶磁の歴史を知る必要があるというのが私の持論。土器から彩陶が現れて、春秋時代、前漢後漢の青磁とか。よりはっきりとした美意識の芽生え。そして、国際交流の中で忽然と現れた唐三彩。しかし、宋時代の白磁とかで言えばもうはるかに完成度のレベルは別次元の世界に入っていく。その流れの中で、元・明の景徳鎮を中心とする五彩、青花の世界はもう揺るぎない中国陶磁の確立。そして、清朝の絵画のような粉彩によって最高潮に達するんですよね。その粉彩の亜流ですが、私の大好きな豆彩の大型壺もあったりして、久しぶりに中国陶磁の世界を堪能できました。
日本の柿右衛門は、明時代の五彩、赤絵を学んだもの。そこから独自の進化を遂げたのですが、どっちにしても、中国の陶磁の悠久の歴史とその広がりからするとまったく微々たるもの。比較の対象にはなりません。陶磁だけでなく、青銅器、漢書・漢詩、中国絵画など、中国の文化はやっぱり圧倒的。ただ、昨今の国際関係の中でそれを素直に楽しめることができなくなっているような気もして、ちょっと残念に思います。
いずれにしても、箱根の美術館でも破格の値段ですが、この中国陶磁のコレクションだけでもその価値は十分にあったのではないかと思います。 -
岡田美術館から、また移動して、元箱根のエリアへ。最後に成川美術館を拝見して、今日の一日を締めたいと思います。
と、バス停を降りて、まず目に留まったのがこれ。元箱根石仏・石塔群は、国道1号線の元箱根と芦之湯の間に集中しているのですが、芦ノ湖の周辺にも身代わり地蔵という石の地蔵さんですか。なんでもこれらはすべて鎌倉時代の地蔵信仰によって造られたもの。かなり苔むしていますが、こちらは宇治川の先陣争いで有名な梶原景季が平景時と間違えられ、襲われた時に身代わりとなったいう地蔵です。 -
それを過ぎてすぐが成川美術館の入口。立派な門ですね。
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美術館は、芦ノ湖を見下ろす高台にあって。通りから広大な敷地の中を上っていくことになります。
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これが建物。
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さて、展示室はいくつかあって、小笠原元展、堀文子収蔵作品セレクション展、岡信孝米寿記念展とか。正直言えば、あまり有名どころの画家ではない画家をちゃんと紹介しているといった感じかな。そういう意味では、作品にイマイチ迫力がなくてどうかなというところを美術館の開放的な雰囲気でカバーしているような気もしました。
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なお、休憩室からは芦ノ湖が一望。気持ちの良い景色が広がっていて、これはいいですね。
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本来は富士山が見えるはずなんですけどね。
ところで、芦ノ湖から富士山を仰ぐ景色の中にぽつんとアクセントになっている赤い鳥居は、昭和27年、平成天皇の立太子礼とサンフランシスコ講和条約の締結を記念して建てられた水中鳥居で、平和の鳥居と呼ばれるもの。テレビとかでもこの鳥居が映ると芦ノ湖だなと分かるくらいシンボル的存在です。 -
美術館巡りを終えて、芦ノ湖の方へ。
ベーカリーアンドテーブル箱根は、芦ノ湖を正面にした大きな建物。その一階に悠々とした広さのパン屋さんがありました。 -
ただ、品数は少な目かなあ。ハード系のパンをいただきました。ザラっと枯れた感じの生地のパンにナッツやラズベリーみたいな甘い系のものも練りこんでなかなか豊かな味わい。ちょっとしたことなんでしょうが、この感じはいいですね。お店の雰囲気にも合っているような気がします。
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この辺りは湖畔プロムナードといって、芦ノ湖の遊覧船が発着する湖尻ターミナル辺りから箱根園に向かう芦ノ湖畔の遊歩道。全長約3㎞のコースです。ただ、実際は湖尻ターミナルのさらに北側にも延びていて、平和の鳥居とか芦ノ湖に浮かぶ遊覧船とか芦ノ湖らしいお馴染みの風景を拝めます。
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これが元箱根港。芦ノ湖の遊覧船の発着する港ですが、元箱根のバスターミナルも隣接しているので、芦ノ湖、元箱根と言ったら、まずこの辺りを目指すことになると思います。
この日も芦ノ湖の方を眺めているとやおら遊覧船がやってくる。遊覧船は、静かに滑るようにやってくるので気が付かないとあっという間に接近してきて、その感じも独特ですよね。 -
帰りは、元箱根港から箱根湯本に直接向かうバス路線。その途中に、甘酒茶屋という名物茶屋があるのに気が付いて。バスの時間を調べると最終便を利用すればまだ寄れる時間であることが判明。それではと寄ってみることにしました。
茅葺屋根の堂々とした構え。 -
名物、甘酒の看板もいい感じですよ~
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さて、中へ。
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中は広々。ちょっと薄暗いのも落ち着きますね。
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何にしようかなあと一応考えますが、やっぱり甘酒ですよね。
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イチオシ
はいはい。なるほどね。
そうどろどろではなくて、敢えて言えばさわやか系かな。まじりっけなしの甘酒ということでしたが、そのとおりの素直な味わい。添えられた漬物もさっぱり、爽やかです。 -
箱根湯本経由、小田原に帰ってきました。もう一気に日が暮れてしまいました。
で、晩飯はちょっと変わったところで氷花餃子。小田原駅から歩いて10分足らず。ビルの二階の中華屋さんです。 -
いただいたのはチョマーメン。出てきた時はトウガラシの真っ赤な色に驚きましたが、食べてみるとそうでもない。それに豚肉の千切りがけっこう入っていて肉系のはずなんですが、スープのベース味ははっきりと海鮮ですよね。その加減がなんとも絶妙。この複雑系の味をちゃんとコントロールしているのはやっぱりそれなりの実力がある店なんだろうなと思います。おいしくいただきました。
これで、旅は終了。さくっと回っただけなのに、意外に余裕がなかったなあ。箱根は何度も来ているんですが、一日や二日で回れるものではない。日光、箱根、伊豆。この辺りは、関東近郊では最強の観光地ですからね。
まあ、それはそれとして、以上、今日の目的は無事に達成。お疲れ様でした。
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