北大東・南大東島旅行記(ブログ) 一覧に戻る
2018年3月10日、絶海の孤島・南大東島へ上陸。2006年6月、11年ぶりにお隣の北大東島に行った際、帰りの那覇行き飛行機が一度南大東島を経由するため、数十分だけ上陸はしているものの、島の中まで周るとなると3度目ながら、実に2007年12月以来10年3か月ぶりのインターバル。絶海の孤島はやはり簡単には行けないものだ。<br /><br />空港からまず今回の宿・コテージ「KIRAKU」に向かい、荷物を置きチェックインがてら観光局のアンケートに答え、3月10日当日ギリギリ有効という金券を都合3000円分ゲット。アンケートには島の食事の感想を答える欄があり、ホントならこれから食べて書くべきだったけど、KIRAKUのお姉さんから言われて、過去2度島を訪れて2度とも食べている、素朴であっさりした味わいの「富士食堂」の大東そばの感想を書いといた。<br />その富士食堂には今回もランチで三度の訪問をはたし、ネタがヅケの大東寿司とのセットでまず金券1000円を消費。味や見た目は、10年3か月前とまったく変わらなかった。プレートに乗った柑橘やリンゴのフルーツを見て、ふと思い出した。アンケートに書いた感想の通り美味かった。私が入ったときは地元の方数人のみだったけど、あとから7人組の観光客が予約席とあった長テーブルに入ったり、別の観光客も入ってきて一気に賑やかになっていた。大東そばや大東寿司を食べるとなったら、自ずとみんなこの店になる。<br /><br />食べ終わったら、向かいのホテルよしざとに入る。前回はこちらに宿泊したのだが、今回は移動手段確保のため。過去2回利用したレンタカーは使用せず、レンタサイクルを選択した。利用4時間までで500円、4時間を超えると1000円。あてがわれたのは、いわゆるママチャリだ。<br />KIRAKUのお姉さんには「島の中は登り坂が多くて、ちょっと自転車には大変かもしれません」と言われ、ここホテルよしざとのフロントのお姉さんには「きっと後悔する時があるかもしれません。後悔したときは遠慮なく戻ってきてくださいね」と言われ送りだされたけど、起伏のある島でのサイクリングは幾度となく経験があり、時間に余裕もあるのでより細かくしっかり島を観たかったから、気持ちは揺るがない。決してレンタカー代をケチったわけではない。<br /><br />大東諸島にあたる南大東島や北大東島は、いずれも外周を「幕(はぐ)」と呼ばれる丘陵が取り囲むお盆のような形をしている。幕の外側の景勝地に向かうには、おのずと集落から登り坂を上がる形になり、かつそれぞれの道自体にも起伏があるため、たしかに自転車にはハードな道のりだが、本土では4月後半くらいの陽気に晴れ上がった青空、絶海の孤島でありながら幕が織りなす牧歌的景色が素晴らしく、下り坂を走り抜ければさわやかな風が気持ちよい。登り坂を押して上がる不便さはあるが、やはり自転車でよかった。<br />幕の外の海岸線は断崖絶壁で、海の色が濃く荒く沖縄らしからぬ印象しか残らない。だからどうってわけではないが、幕の内側にこそ魅力があるのが大東地方だと思う。なかでも、島北部の奇岩・バリバリ岩、島の中心部・在所の北にある大池は、実は過去2度のレンタカードライブでは見られていなかった。入口がわからなかったからだが、特に大池は自転車か徒歩でないとよく分からない小さな看板しかない。今回レンタサイクルにして、きちんと見られてよかった。あわよくば、最近南大東島で人気の秋葉地底湖探検をしてみたかったが、レンタサイクルだけで半日はかかると思っていたし、翌朝午前中には島を発つから探検時間はない。ドリーネのあるこんもりした緑だけ見届けて、また次回だ。<br /><br />最後は島の南部を時計周りに走りきり、17時過ぎに自転車をホテルよしざとのフロントに返す。フロントのお姉さんがすかさず「自転車で後悔しませんでしたか?」と聞いてきた。<br />「まあ、道はたしかにハードでしたけど、それ以上にハードで後悔したのが、道端にカエルがたくさん死んでて…」<br />そう、不意に現れては消えまた現れる彼らは、時に避けるのに慌てるほど。間違いなく往来にすれ違う人間よりも多かった(苦笑)。沖縄の「命どぅ宝」なんて言葉が、なんだか虚しく聞こえたほどだ。「命」とは人間のそれのみを指すのか。他の生き物はどうでもいいのか。奇しくも3月10日は東京大空襲から73年、11日は東日本大震災発生から7年……。<br />「あ、あれはもう年がら年中です。カエルが明かりに惹かれて、夜の街中にも出てくるんですよ。で、車のライトに惹かれてぺちゃんこ。まったく、自殺行為ですよね~」<br />うーむ、地元の人間にはそんなもんなのか。私がカエルさんを見慣れないでかなりナーバスになっていただけかもしれない。自転車は5時間余り使用したにもかかわらず、「おまけしますから」と500円にしてくれた。<br /><br />サイクリングで汗をかきノドも渇いていたので、ホテルよしざとそばの居酒屋「詠ちゃん」で晩ご飯。メインは定食だが、できれば晩ご飯は居酒屋でなんだか酒がほしかったのだ。注文したオリオンビールを流し込むと、暑く火照った身体にスムーズな喉越しで、あっという間に飲み干してしまった。一緒に注文したフーチャンプルーは家庭的な味わい。大東近辺で獲れる深海魚のナワキリは、バター焼で初体験。骨が多いながらも脂がほどよく乗りジューシーだった。1時間足らずで退散して、しめて2300円。10日まで有効の金券は、Tシャツを買うのにさらに1000円分使い、残りあと1000円分残ってはいたけど、使える店を見るといわゆるスナックのみ。時間はまだ18時台で開いていない店もあるし、第一スナックには興味が正直ない。Aコープで飲み物を買い、二次会に繰り出すことなくコテージに戻った。<br /><br />3月11日は7時の朝食後、在所の東にある瓢箪池などを巡りながら、1時間ほどの散歩。静かな水面は水鏡が美しく、散歩してよかった。通りかかった製糖工場からは白い煙が上がり、甘く濃い匂いが漂う。朝早くからサトウキビを運ぶトラックが往来し、3月いっぱいまでというサトウキビ収穫最盛期の光景を垣間見てコテージに戻る。コテージを出たときはヒンヤリしたが、戻るときはムシムシして着ていたコートを脱いでいた。送迎の時間までまったりしたら、あとは空港に送ってもらい今回の旅は終わりだ。<br />南大東島に来てよかった。北大東島もそうだが、また絶対に泊まりで来たい島だ。帰京して荷物を置いたら、夜は楽しいカラオケに繰り出そう。あれから7年。昨年に続き2年連続沖縄で迎えた。今年も好き勝手やらせてもらっていることに感謝。

絶海の孤島・南大東島の旅

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2018/03/10 - 2018/03/11

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マギー

マギーさん

2018年3月10日、絶海の孤島・南大東島へ上陸。2006年6月、11年ぶりにお隣の北大東島に行った際、帰りの那覇行き飛行機が一度南大東島を経由するため、数十分だけ上陸はしているものの、島の中まで周るとなると3度目ながら、実に2007年12月以来10年3か月ぶりのインターバル。絶海の孤島はやはり簡単には行けないものだ。

空港からまず今回の宿・コテージ「KIRAKU」に向かい、荷物を置きチェックインがてら観光局のアンケートに答え、3月10日当日ギリギリ有効という金券を都合3000円分ゲット。アンケートには島の食事の感想を答える欄があり、ホントならこれから食べて書くべきだったけど、KIRAKUのお姉さんから言われて、過去2度島を訪れて2度とも食べている、素朴であっさりした味わいの「富士食堂」の大東そばの感想を書いといた。
その富士食堂には今回もランチで三度の訪問をはたし、ネタがヅケの大東寿司とのセットでまず金券1000円を消費。味や見た目は、10年3か月前とまったく変わらなかった。プレートに乗った柑橘やリンゴのフルーツを見て、ふと思い出した。アンケートに書いた感想の通り美味かった。私が入ったときは地元の方数人のみだったけど、あとから7人組の観光客が予約席とあった長テーブルに入ったり、別の観光客も入ってきて一気に賑やかになっていた。大東そばや大東寿司を食べるとなったら、自ずとみんなこの店になる。

食べ終わったら、向かいのホテルよしざとに入る。前回はこちらに宿泊したのだが、今回は移動手段確保のため。過去2回利用したレンタカーは使用せず、レンタサイクルを選択した。利用4時間までで500円、4時間を超えると1000円。あてがわれたのは、いわゆるママチャリだ。
KIRAKUのお姉さんには「島の中は登り坂が多くて、ちょっと自転車には大変かもしれません」と言われ、ここホテルよしざとのフロントのお姉さんには「きっと後悔する時があるかもしれません。後悔したときは遠慮なく戻ってきてくださいね」と言われ送りだされたけど、起伏のある島でのサイクリングは幾度となく経験があり、時間に余裕もあるのでより細かくしっかり島を観たかったから、気持ちは揺るがない。決してレンタカー代をケチったわけではない。

大東諸島にあたる南大東島や北大東島は、いずれも外周を「幕(はぐ)」と呼ばれる丘陵が取り囲むお盆のような形をしている。幕の外側の景勝地に向かうには、おのずと集落から登り坂を上がる形になり、かつそれぞれの道自体にも起伏があるため、たしかに自転車にはハードな道のりだが、本土では4月後半くらいの陽気に晴れ上がった青空、絶海の孤島でありながら幕が織りなす牧歌的景色が素晴らしく、下り坂を走り抜ければさわやかな風が気持ちよい。登り坂を押して上がる不便さはあるが、やはり自転車でよかった。
幕の外の海岸線は断崖絶壁で、海の色が濃く荒く沖縄らしからぬ印象しか残らない。だからどうってわけではないが、幕の内側にこそ魅力があるのが大東地方だと思う。なかでも、島北部の奇岩・バリバリ岩、島の中心部・在所の北にある大池は、実は過去2度のレンタカードライブでは見られていなかった。入口がわからなかったからだが、特に大池は自転車か徒歩でないとよく分からない小さな看板しかない。今回レンタサイクルにして、きちんと見られてよかった。あわよくば、最近南大東島で人気の秋葉地底湖探検をしてみたかったが、レンタサイクルだけで半日はかかると思っていたし、翌朝午前中には島を発つから探検時間はない。ドリーネのあるこんもりした緑だけ見届けて、また次回だ。

最後は島の南部を時計周りに走りきり、17時過ぎに自転車をホテルよしざとのフロントに返す。フロントのお姉さんがすかさず「自転車で後悔しませんでしたか?」と聞いてきた。
「まあ、道はたしかにハードでしたけど、それ以上にハードで後悔したのが、道端にカエルがたくさん死んでて…」
そう、不意に現れては消えまた現れる彼らは、時に避けるのに慌てるほど。間違いなく往来にすれ違う人間よりも多かった(苦笑)。沖縄の「命どぅ宝」なんて言葉が、なんだか虚しく聞こえたほどだ。「命」とは人間のそれのみを指すのか。他の生き物はどうでもいいのか。奇しくも3月10日は東京大空襲から73年、11日は東日本大震災発生から7年……。
「あ、あれはもう年がら年中です。カエルが明かりに惹かれて、夜の街中にも出てくるんですよ。で、車のライトに惹かれてぺちゃんこ。まったく、自殺行為ですよね~」
うーむ、地元の人間にはそんなもんなのか。私がカエルさんを見慣れないでかなりナーバスになっていただけかもしれない。自転車は5時間余り使用したにもかかわらず、「おまけしますから」と500円にしてくれた。

サイクリングで汗をかきノドも渇いていたので、ホテルよしざとそばの居酒屋「詠ちゃん」で晩ご飯。メインは定食だが、できれば晩ご飯は居酒屋でなんだか酒がほしかったのだ。注文したオリオンビールを流し込むと、暑く火照った身体にスムーズな喉越しで、あっという間に飲み干してしまった。一緒に注文したフーチャンプルーは家庭的な味わい。大東近辺で獲れる深海魚のナワキリは、バター焼で初体験。骨が多いながらも脂がほどよく乗りジューシーだった。1時間足らずで退散して、しめて2300円。10日まで有効の金券は、Tシャツを買うのにさらに1000円分使い、残りあと1000円分残ってはいたけど、使える店を見るといわゆるスナックのみ。時間はまだ18時台で開いていない店もあるし、第一スナックには興味が正直ない。Aコープで飲み物を買い、二次会に繰り出すことなくコテージに戻った。

3月11日は7時の朝食後、在所の東にある瓢箪池などを巡りながら、1時間ほどの散歩。静かな水面は水鏡が美しく、散歩してよかった。通りかかった製糖工場からは白い煙が上がり、甘く濃い匂いが漂う。朝早くからサトウキビを運ぶトラックが往来し、3月いっぱいまでというサトウキビ収穫最盛期の光景を垣間見てコテージに戻る。コテージを出たときはヒンヤリしたが、戻るときはムシムシして着ていたコートを脱いでいた。送迎の時間までまったりしたら、あとは空港に送ってもらい今回の旅は終わりだ。
南大東島に来てよかった。北大東島もそうだが、また絶対に泊まりで来たい島だ。帰京して荷物を置いたら、夜は楽しいカラオケに繰り出そう。あれから7年。昨年に続き2年連続沖縄で迎えた。今年も好き勝手やらせてもらっていることに感謝。

  • 羽田空港から那覇空港、その足で南大東空港へ。接続はバッチリ。

    羽田空港から那覇空港、その足で南大東空港へ。接続はバッチリ。

    那覇空港 空港

  • 2007年12月以来、10年3か月ぶり3度目の南大東島上陸!

    2007年12月以来、10年3か月ぶり3度目の南大東島上陸!

    南大東空港 空港

  • 空港からまずは今回の宿・コテージ「KIRAKU」に向かい、荷物を置きチェックイン。<br />※写真は3月11日朝の様子。

    空港からまずは今回の宿・コテージ「KIRAKU」に向かい、荷物を置きチェックイン。
    ※写真は3月11日朝の様子。

    南大東 コテージ KIRAKU <南大東島> 宿・ホテル

  • 観光局のアンケートに答え、3月10日まで有効という金券を都合3000円分ゲット。アンケートには島の食事の感想を答える欄があり、ホントならこれから食べて書くべきだったけど、KIRAKUのお姉さんから言われて、過去2度島を訪れて2度とも食べている、素朴であっさりした味わいの「富士食堂」の大東そばの感想を書いといた。

    観光局のアンケートに答え、3月10日まで有効という金券を都合3000円分ゲット。アンケートには島の食事の感想を答える欄があり、ホントならこれから食べて書くべきだったけど、KIRAKUのお姉さんから言われて、過去2度島を訪れて2度とも食べている、素朴であっさりした味わいの「富士食堂」の大東そばの感想を書いといた。

    南大東 コテージ KIRAKU <南大東島> 宿・ホテル

  • こちらはランチや晩ご飯用に使うことにしたい。

    こちらはランチや晩ご飯用に使うことにしたい。

    南大東 コテージ KIRAKU <南大東島> 宿・ホテル

  • 10年3カ月ぶり3度目の富士食堂、旧伊佐商店へ入店。後から続々と観光客が入ってきて満席になった。<br /><br />初めて訪れたのは、南大東島自体も初訪問だった2003年9月14日。まだ店の名前が伊佐商店だった頃のことだ(タグがまだ伊佐商店。笑)。<br />「美ら島物語 南大東島情報」というホームページでこの店があるのは知っていた。大東名物・大東そばのいわば「老舗」であり、加えて同じく名物の大東寿司を食わせてくれる店だ。ただし大東寿司については要予約であり、しかもネタになる魚が獲れないと作れないという。<br />そしてもう一つ。件の「美ら島~」では店の営業時間が載っていない。で、さらにグルメ関係のホームページをいくつか当たって調べたのだが、営業時間は11時半から20時と統一されているものの、休みが「不定休」と「日曜日」に分かれている。<br />ということで、「店に問い合わせ→あわよくば寿司の予約」の電話を入れたのが9月10日。南大東島に行くのは日曜日だから、せっかく行っても店が閉まっていたというのではしょうがない。無論、店がやっていないから南大東島に行く意味がないということではないが、事前情報はあるに越したことはない。<br />それに数ももしかして限定になるかもしれないから、前日予約よりも少し前に予約しておいたほうがいいとも思ったのだ。さらに言うと、「美ら島~」には「沖縄本島で食べられる大東そば・大東寿司」として「大東そば花笠店」があり、本場のオヤジの店がもし閉店でダメなら、息子の店に行って食べればいい。<br /><br />「すいません。9月14日、来週日曜なんですけど、開いてます?」<br />「日曜…ですか?」<br />「ええ、来週の日曜なんですけど」<br />「あー…日曜はやってないんですよ」<br />これで本場の大東そばと大東寿司は幻になった。しかし、息子の店があるからいい。別にどうしても意地でも地元で食べたいものではない。訪問のタイミングが悪かった。「それじゃあ、結構です」と電話を切ろうとしたそのとき、<br />「日曜日にこちらに来るんですか?」<br />と言ってきた。あっさり引き下がるつもりだったので正直ちょっと驚いたが,こちらも、<br />「ええ,来週の日曜日に行くんです」<br />と返す。すると、<br />「日曜日に大東に来て……月曜に帰るんですか?」<br />「いや,当日に帰ります。朝10時の飛行機で来て、午後4時発の北大東行きの飛行機で帰ります」<br />「あ、そうですか……それじゃあ、折角来ていただくわけですから、お1人ですが店ぇ開けますよ」<br />これにはビビった。思わず、「え、いいんですか!?」と言ってしまう。こちらとしては、繰り返しになるが是が非でも食べたいという感じではなかったので、このご配慮にはありがたさよりも、畏れ多さのほうが強かった。「私1人のために」――ほんの少しだが気も重くなる。これは「行かざるを得ない」だろう。さらに話は続く。<br />「あのー、前日に那覇に行かれるんですか?」<br />「はい、前日は那覇ですね」<br />「じゃあ……私の息子が那覇で同じ店をやっていますので、そちらもぜひ」<br />「はい,そのようですね。ぜひ行かせてもらいます」<br />私も私だ。しかも、ホントに息子の店に行ってしまった。伊佐商店には前日にも改めて電話を入れてほしいと言われて、その電話で正式に予約完了。当日、残念ながら大東寿司は仕入れが叶わず食べられなかったが、ものすごいありがたい気持ちで大東そばをいただいたのだった。<br /><br />……ちなみに、その後経営者が変わったのか何かは分からないが、前回と今回はあの時のご主人はいらっしゃらず、別の方が応対されていた。

    10年3カ月ぶり3度目の富士食堂、旧伊佐商店へ入店。後から続々と観光客が入ってきて満席になった。

    初めて訪れたのは、南大東島自体も初訪問だった2003年9月14日。まだ店の名前が伊佐商店だった頃のことだ(タグがまだ伊佐商店。笑)。
    「美ら島物語 南大東島情報」というホームページでこの店があるのは知っていた。大東名物・大東そばのいわば「老舗」であり、加えて同じく名物の大東寿司を食わせてくれる店だ。ただし大東寿司については要予約であり、しかもネタになる魚が獲れないと作れないという。
    そしてもう一つ。件の「美ら島~」では店の営業時間が載っていない。で、さらにグルメ関係のホームページをいくつか当たって調べたのだが、営業時間は11時半から20時と統一されているものの、休みが「不定休」と「日曜日」に分かれている。
    ということで、「店に問い合わせ→あわよくば寿司の予約」の電話を入れたのが9月10日。南大東島に行くのは日曜日だから、せっかく行っても店が閉まっていたというのではしょうがない。無論、店がやっていないから南大東島に行く意味がないということではないが、事前情報はあるに越したことはない。
    それに数ももしかして限定になるかもしれないから、前日予約よりも少し前に予約しておいたほうがいいとも思ったのだ。さらに言うと、「美ら島~」には「沖縄本島で食べられる大東そば・大東寿司」として「大東そば花笠店」があり、本場のオヤジの店がもし閉店でダメなら、息子の店に行って食べればいい。

    「すいません。9月14日、来週日曜なんですけど、開いてます?」
    「日曜…ですか?」
    「ええ、来週の日曜なんですけど」
    「あー…日曜はやってないんですよ」
    これで本場の大東そばと大東寿司は幻になった。しかし、息子の店があるからいい。別にどうしても意地でも地元で食べたいものではない。訪問のタイミングが悪かった。「それじゃあ、結構です」と電話を切ろうとしたそのとき、
    「日曜日にこちらに来るんですか?」
    と言ってきた。あっさり引き下がるつもりだったので正直ちょっと驚いたが,こちらも、
    「ええ,来週の日曜日に行くんです」
    と返す。すると、
    「日曜日に大東に来て……月曜に帰るんですか?」
    「いや,当日に帰ります。朝10時の飛行機で来て、午後4時発の北大東行きの飛行機で帰ります」
    「あ、そうですか……それじゃあ、折角来ていただくわけですから、お1人ですが店ぇ開けますよ」
    これにはビビった。思わず、「え、いいんですか!?」と言ってしまう。こちらとしては、繰り返しになるが是が非でも食べたいという感じではなかったので、このご配慮にはありがたさよりも、畏れ多さのほうが強かった。「私1人のために」――ほんの少しだが気も重くなる。これは「行かざるを得ない」だろう。さらに話は続く。
    「あのー、前日に那覇に行かれるんですか?」
    「はい、前日は那覇ですね」
    「じゃあ……私の息子が那覇で同じ店をやっていますので、そちらもぜひ」
    「はい,そのようですね。ぜひ行かせてもらいます」
    私も私だ。しかも、ホントに息子の店に行ってしまった。伊佐商店には前日にも改めて電話を入れてほしいと言われて、その電話で正式に予約完了。当日、残念ながら大東寿司は仕入れが叶わず食べられなかったが、ものすごいありがたい気持ちで大東そばをいただいたのだった。

    ……ちなみに、その後経営者が変わったのか何かは分からないが、前回と今回はあの時のご主人はいらっしゃらず、別の方が応対されていた。

    大東そば 伊佐商店 グルメ・レストラン

  • 見た目も素朴な味わいの大東そばと、ネタがヅケになった大東寿司。10年3か月前と同じ器にレイアウトで出てきた。1000円のグリーンのクーポン券をこちらで消費。

    見た目も素朴な味わいの大東そばと、ネタがヅケになった大東寿司。10年3か月前と同じ器にレイアウトで出てきた。1000円のグリーンのクーポン券をこちらで消費。

    大東そば 伊佐商店 グルメ・レストラン

  • 食べ終わり、食堂向かいのホテルよしざとでママチャリを借りる。4時間まで500円、4時間を超えると1000円。それでも、過去2度借りたレンタカーよりはずっと安い。

    食べ終わり、食堂向かいのホテルよしざとでママチャリを借りる。4時間まで500円、4時間を超えると1000円。それでも、過去2度借りたレンタカーよりはずっと安い。

    ホテルよしざと 宿・ホテル

  • ホテルよしざとや伊佐商店などがある在所のメインストリート。

    ホテルよしざとや伊佐商店などがある在所のメインストリート。

    南大東島 自然・景勝地

  • 島唯一の信号は学校の前にある。

    島唯一の信号は学校の前にある。

    南大東島 自然・景勝地

  • 大東神社の参道。背の高い樹木が荘厳な雰囲気を演出。

    大東神社の参道。背の高い樹木が荘厳な雰囲気を演出。

    大東神社 寺・神社・教会

  • 玉置半右衛門上陸碑。1903年、玉置率いる八丈島からの移民が南大東島に上陸したことから歴史が始まる。

    玉置半右衛門上陸碑。1903年、玉置率いる八丈島からの移民が南大東島に上陸したことから歴史が始まる。

    玉置半右衛門記念碑 名所・史跡

  • 沖縄ではめったに見ない、道端のお地蔵さん。これも八丈島の文化の影響らしい。

    沖縄ではめったに見ない、道端のお地蔵さん。これも八丈島の文化の影響らしい。

    南大東島 自然・景勝地

  • 西港へ来た。石造の旧ボイラー室は、青空によく映えるし、誰かアーティストのジャケット写真に使われていそうだ。

    西港へ来た。石造の旧ボイラー室は、青空によく映えるし、誰かアーティストのジャケット写真に使われていそうだ。

    南大東島西港 旧ボイラー小屋 名所・史跡

  • 西港旧ボイラー室の中から海を眺める構図。

    西港旧ボイラー室の中から海を眺める構図。

    南大東島西港 旧ボイラー小屋 名所・史跡

  • 島の北西の星野洞に向かう。道すがらの防風林。青空と下の赤土や緑とのコントラストが映える。

    島の北西の星野洞に向かう。道すがらの防風林。青空と下の赤土や緑とのコントラストが映える。

    南大東島 自然・景勝地

  • 星野さん家の敷地にある星野洞。島へ来るたび必ず訪れる。なぜなら、他に行く場所がないから(失礼)。

    星野さん家の敷地にある星野洞。島へ来るたび必ず訪れる。なぜなら、他に行く場所がないから(失礼)。

    星野洞 自然・景勝地

  • もっとも、以前はフツーに入れたのだが、今は予約が必要。

    もっとも、以前はフツーに入れたのだが、今は予約が必要。

    星野洞 自然・景勝地

  • 13時の予約をお願いしたら、最初はNHKの撮影が入っていて断られたが、結局13時に入れてもらえることに。

    13時の予約をお願いしたら、最初はNHKの撮影が入っていて断られたが、結局13時に入れてもらえることに。

    星野洞 自然・景勝地

  • 中でクルーの方に会ったが、ちょうど休憩のタイミングだったらしい。

    中でクルーの方に会ったが、ちょうど休憩のタイミングだったらしい。

    星野洞 自然・景勝地

  • ツナギの服を着ていたから、もしかして洞内の深いとこに入っていたのか。

    ツナギの服を着ていたから、もしかして洞内の深いとこに入っていたのか。

    星野洞 自然・景勝地

  • 星野洞から時計周りに北へ向かう。いかにも南国な背の高い樹木。

    星野洞から時計周りに北へ向かう。いかにも南国な背の高い樹木。

    南大東島 自然・景勝地

  • 防風林のいちばん端っこのビロウが気高い。

    防風林のいちばん端っこのビロウが気高い。

    南大東島 自然・景勝地

  • バリバリ岩。岩の裂け目からビロウが1本伸びる。南国の生命力を垣間見る感じがした。

    バリバリ岩。岩の裂け目からビロウが1本伸びる。南国の生命力を垣間見る感じがした。

    バリバリ岩 公園・植物園

  • 大池は展望台から眺める。

    大池は展望台から眺める。

    大池とオヒルギ群落 自然・景勝地

  • まだ刈り取られていないサトウキビが、風に揺れる。

    まだ刈り取られていないサトウキビが、風に揺れる。

    南大東島 自然・景勝地

  • こう見ると北海道みたいな牧歌的農村風景。畑地はサトウキビが刈り取られた後だ。

    こう見ると北海道みたいな牧歌的農村風景。畑地はサトウキビが刈り取られた後だ。

    南大東島 自然・景勝地

  • 刈り取られたサトウキビ畑の真ん中にこんもりした緑。地底湖探検で知られる秋葉鍾乳洞は、あの緑の中にぱっくり口を開けており、数メートルの高さの崖を下りていくようだ。

    刈り取られたサトウキビ畑の真ん中にこんもりした緑。地底湖探検で知られる秋葉鍾乳洞は、あの緑の中にぱっくり口を開けており、数メートルの高さの崖を下りていくようだ。

    南大東島 自然・景勝地

  • 島の東にある海軍棒プール。プールとは言うが、要は岩で囲っただけ。容赦なく海水がプールに入る。

    島の東にある海軍棒プール。プールとは言うが、要は岩で囲っただけ。容赦なく海水がプールに入る。

    海軍棒プール 自然・景勝地

  • 海軍棒プールから時計周りに南へ向かう途中、南大東空港に着陸する飛行機が上空を通過。

    海軍棒プールから時計周りに南へ向かう途中、南大東空港に着陸する飛行機が上空を通過。

    南大東島 自然・景勝地

  • 島の南部、日の丸山展望台から幕(はぐ)の内側の景色。まずは島の東側。

    島の南部、日の丸山展望台から幕(はぐ)の内側の景色。まずは島の東側。

    日の丸展望台 名所・史跡

  • 前の写真に同じく日の丸山から。こちらは島の西側。真ん中やや上に島の中心部・在所集落が見える。

    前の写真に同じく日の丸山から。こちらは島の西側。真ん中やや上に島の中心部・在所集落が見える。

    日の丸展望台 名所・史跡

  • 上は赤土、下は石灰岩という島の地層がよく分かる。

    上は赤土、下は石灰岩という島の地層がよく分かる。

    南大東島 自然・景勝地

  • 南大東島のラム酒「コルコル」のラベル柄Tシャツ。ラム酒ともども、旧南大東空港の建物で製造・販売している。こちらで白のクーポン券を使用。

    南大東島のラム酒「コルコル」のラベル柄Tシャツ。ラム酒ともども、旧南大東空港の建物で製造・販売している。こちらで白のクーポン券を使用。

    南大東島 自然・景勝地

  • 島の南西にある塩屋海岸。こちらにもプールがあるが、完全に荒波に飲まれている。

    島の南西にある塩屋海岸。こちらにもプールがあるが、完全に荒波に飲まれている。

    塩屋プール ビーチ

  • かつて島内を走っていた、サトウキビ運搬列車・シュガートレインの線路跡。島内にまだ数カ所残っている。

    かつて島内を走っていた、サトウキビ運搬列車・シュガートレインの線路跡。島内にまだ数カ所残っている。

    南大東島 自然・景勝地

  • そのシュガートレインは、1917年から1984年まで走り、サトウキビ以外にも物資や、時に人間も運んでいた。

    そのシュガートレインは、1917年から1984年まで走り、サトウキビ以外にも物資や、時に人間も運んでいた。

    南大東島 シュガートレイン 美術館・博物館

  • いろいろ車両があるね。

    いろいろ車両があるね。

    南大東島 シュガートレイン 美術館・博物館

  • 人はこれに乗せられたのだろうか。

    人はこれに乗せられたのだろうか。

    南大東島 シュガートレイン 美術館・博物館

  • 今は島の中心部の在所にある資料館にて、余生を過ごしている。

    今は島の中心部の在所にある資料館にて、余生を過ごしている。

    南大東島 シュガートレイン 美術館・博物館

  • レンタサイクルを返却し、晩ご飯は伊佐商店の並びにある詠ちゃんにていただく。

    レンタサイクルを返却し、晩ご飯は伊佐商店の並びにある詠ちゃんにていただく。

    南大東島 自然・景勝地

  • 汗をたくさんかいたから、やはりオリオンビール。美味いね。

    汗をたくさんかいたから、やはりオリオンビール。美味いね。

    南大東島 自然・景勝地

  • お通し。左のお魚は何だろう。

    お通し。左のお魚は何だろう。

    南大東島 自然・景勝地

  • フーチャンプルー。

    フーチャンプルー。

    南大東島 自然・景勝地

  • ナワキリのバター焼。

    ナワキリのバター焼。

    南大東島 自然・景勝地

  • 酔い覚ましに軽く散策。夕方の大東製糖工場を見る。

    酔い覚ましに軽く散策。夕方の大東製糖工場を見る。

    南大東島 自然・景勝地

  • Aコープは、島でいちばん物が揃うスーパー。飲み物はこちらで買う。さあ、宿へ帰ろう。

    Aコープは、島でいちばん物が揃うスーパー。飲み物はこちらで買う。さあ、宿へ帰ろう。

    南大東島 自然・景勝地

  • 朝ごはんは、KIRAKU近くにある居酒屋「光」にて提供される。

    朝ごはんは、KIRAKU近くにある居酒屋「光」にて提供される。

    南大東 コテージ KIRAKU <南大東島> 宿・ホテル

  • KIRAKUの前にある夫婦松。

    KIRAKUの前にある夫婦松。

    南大東 コテージ KIRAKU <南大東島> 宿・ホテル

  • 大東寺なる寺社。大東神社との違いは何だろう。

    大東寺なる寺社。大東神社との違いは何だろう。

    南大東島 自然・景勝地

  • 朝の大東製糖工場を見ながら、少し散策を。

    朝の大東製糖工場を見ながら、少し散策を。

    南大東島 自然・景勝地

  • 在所の東、瓢箪池の様子。奥に製糖工場が見える。

    在所の東、瓢箪池の様子。奥に製糖工場が見える。

    南大東島 自然・景勝地

  • 水鏡が美しい。

    水鏡が美しい。

    南大東島 自然・景勝地

  • ビロウが映える。こういうのが撮りたかった。旅の写真は以上です。ご覧いただき、ありがとうございました!

    ビロウが映える。こういうのが撮りたかった。旅の写真は以上です。ご覧いただき、ありがとうございました!

    南大東島 自然・景勝地

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