2017年1月釜山弾丸乗り鉄＆歴史探訪＆グルメ旅（その3　9年ぶりのKTX乗車と大邱地下鉄試乗）

2017/01/15 - 2017/01/16

4ヶ月後に入籍を控えていた2017年の年明け。
新生活の諸準備で忙しくなる前に、最後どこか近場の海外に一人旅しようと思い選んだのが韓国・釜山。

釜山は私にとって、勤めだして間もない2008年に韓国高速鉄道（KTX）の初乗りを兼ねて訪れた思い出の街です。

いろいろな思いとともに臨んだ独身最後の海外旅行でしたが、LCCの乗り比べに始まり、現代史探訪、都市鉄道の乗り歩き、9年ぶりのKTX、グルメ巡りなど、短い割に濃密な日程になりました。

今回は、釜山滞在初日の夜、ふと思い立って出かけた大邱へのショートトリップをご紹介。
釜山～東大邱間の高速新線区間が開業してからは初となる韓国高速鉄道（KTX）への乗車、大邱での地下鉄体験乗車の様子をお届けします。

その１（往路のエアプサンBX123便）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11674009

その２（釜山で現代史探訪とテジクッパブ）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11675472

その４（開業直後の広域電鉄東海線と海雲台街歩き）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11679931

その５（チェジュ航空7C1354便での帰国道中記）はこちら
https://4travel.jp/travelogue/11681230

エリア 大邱(韓国)

• 旅行の満足度: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 鉄道 徒歩
• 航空会社: チェジュ航空 エアプサン
• 旅行の手配内容: 個別手配

季節は新暦と旧暦のお正月の間、イルミネーションで美しく彩られた釜山駅前の風景。

釜山駅 駅

釜山駅切符売り場の発車案内。
東大邱方面への高速列車は「KTX」・「KTXSanchon（KTX山川）」・「SRT」の3種類がありますが、今回は18時30分発の「KTX156号」ソウル行きに狙いを定めます。

釜山駅 駅

ソウル近郊・京畿道光明市にある光明駅とソウル地下鉄4号線舎堂駅を結ぶシャトルバスのPR広告。
光明駅は近年、KTXのソウル側のサブターミナルとして活用が試みられており、舎堂駅や仁川国際空港へのバスの乗り入れが始まっています。

釜山駅 駅

「KTX」と「SRT」の運賃表・時刻表。

釜山駅 駅

こちらの券売機を用いて、「KTX156号」の乗車券を楽々購入。

釜山駅 駅

広々としたKORAIL釜山駅のコンコース。

釜山駅 駅

約2週間前の2016年12月30日に、釜山市内の釜田～日光間に開業した広域電鉄東海線の広告。
KORAILの各路線は、ソウル首都圏以外では基本的に特急列車と急行列車のみの運行となっていましたが、今後は釜山や大邱といった地方の大都市でもソウル同様の通勤電車の運行が徐々に広がっていく予定と聞きます。

釜山駅 駅

18時30分発の「KTX156号」は、釜山駅6番ホームから発車します。

釜山駅 駅

今回乗車するのは、一般室（普通車）の11号車。

釜山駅 駅

18時30分、「KTX156号」は定刻に釜山駅を発車。
発車後、通路上のモニターで停車駅と到着時刻が放送されました。
東大邱への到着時刻は19時23分。釜山と大邱の間には意外に距離があるようです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「KTX156号」一般室の車内。
車輌はフランスのTGVをベースに製造された「KTXⅠ」。
やや狭いですが韓国にいながらにしてフランスの雰囲気を味わえるため、個人的にはお気に入りの車輌です。
なお、車内には当時まだ日本の新幹線にはなかった無料Wi-fiが設置されており、ありがたく活用させていただいたものです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「KTX156号」の乗車券。
9年前のソウル～釜山間往復の時、窓口にて筆談でKTXの乗車券を購入したことが懐かしく思い出されました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

通路上のモニターでは、コミカルなアニメが放映されていました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

ニュース番組も放映されていました。
写真は天気予報の画面。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「KTX156号」は、釜山駅のすぐ北から地下鉄1号線老圃駅近くまで続く「金井トンネル」を抜け、時速300Km近いスピードで夜の韓国南部を突っ走ります。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

バスにあるような丸形の空調吹き出し口
ちなみに今回は11号車(一般室)の3A席に着席。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

KTXには2008年にもソウル～釜山間で往復乗車したことがありましたが、その当時の東大邱～釜山間は高速新線が未開業で在来線の京釜線経由となっていました。
その後、2010年に晴れて同区間の高速新線が開業。本日晴れて乗り潰し達成ということに。
高速新線には釜山側から順に蔚山、新慶州の２駅が設置され、「KTX156号」は両駅に停車します。

KTX 蔚山駅 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

新慶州駅への到着を伝える通路上のモニター。
車内アナウンスは韓国語・英語・日本語の３ヶ国語でした。

新慶州駅 駅

車内オーディオサービスのイヤホン差し込み口。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「KORAIL」のロゴが入った枕カバー。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

備え付けの車内誌「KTX」
かなり分厚く読みごたえのある内容ですが、車外への持ち出しは不可の様子。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

車内誌に掲載されたKTXの時刻表

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

韓国では現在6つの都市に地下鉄が存在しますが、その詳細な路線図も掲載されていました。
このスマホ社会に、IT先進国の鉄道事業者でありながら、あえて列車内でこのような紙媒体の時刻表や路線図を提供するKORAILのおもてなしに改めて感服したものです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

一般室の座席でも、フットレストがあるのはありがたいです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

19時23分を少し過ぎましたが、「KTX156号」は東大邱に到着。

東大邱駅 駅

KORAIL東大邱駅の駅名標
ソウル寄りの隣駅は「大邱駅」ですが、大邱広域市の中心駅はあくまで東大邱駅で、KTXやSRTもこちらに停車します。

東大邱駅 駅

13番線もしくは14番線に到着

東大邱駅 駅

韓国では「KTX」の登場後も、「iTXセマウル」や「ムグンファ」といった並行在来線の優等列車が引き続き運行されています。

東大邱駅 駅

さて、韓国の高速列車といえば「KTX」ですが、2016年暮れに新しい高速列車「SRT」が登場しました。
ソウル・江南の水西駅を起点に京畿道平沢市内まで専用の高速新線「水西平沢高速線」を走り、そこから先は自社の車輌と乗務員によりKORAILに乗り入れ、釜山や木浦に向かう「SRT」。
日本的に表現すると「私鉄版新幹線」でしょうか。

東大邱駅 駅

KORAIL東大邱駅の発車案内表示板

東大邱駅 駅

照明の入った駅名看板。

東大邱駅 駅

せっかく大邱まで来たので、東大邱からは大邱都市鉄道(大邱地下鉄)1号線に体験乗車してみます。

東大邱駅 駅

大邱地下鉄1号線の東大邱駅にあったエアプサンの広告。
当時、エアプサンは釜山と大邱を拠点に、盛んに日本路線を開設していました。

東大邱駅 駅

手作り感満載のサインに、昭和時代の日本の地下鉄を連想しました。

東大邱駅 駅

券売機は一見シンプルなデザインですが、最新のタッチパネル式。

東大邱駅 駅

こちらはICカードのチャージ機。

東大邱駅 駅

大邱都市鉄道のIC乗車券。

東大邱駅 駅

まずは、西の終点・舌化木命（木ヘンに命）谷行きの電車に1駅乗車することに。

東大邱駅 駅

大邱地下鉄1号線の路線図。
達城郡の舌化木命谷駅から東区の安心駅まで、全長28.4Kmの路線です。

東大邱駅 駅

車内の案内表示器。

大邱都市鉄道 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

1000系電車。
ステンレス車体に赤色の帯をまとっており、名古屋市営地下鉄桜通線の車輌を思わせるデザインです。

大邱都市鉄道 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

本当は中央路駅まで行き、2003年の放火事件の現場を訪れ、静かに犠牲者の冥福を祈ろうかとも思ったのですが、時間の都合で東大邱から1駅目の新川駅で折り返すことに。

新川駅 駅

新川駅の駅名標。
「慶北大入口」の副駅名を冠しています。

新川駅 駅

新川駅の改札口。
一見すると古めかしく見える自動改札機ですが・・・

新川駅 駅

しっかりIC乗車券には対応しているようです。

新川駅 駅

名残惜しいですが、逆方向の安心行き電車に乗って東大邱駅に戻ります。

新川駅 駅

大邱地下鉄1号線東大邱駅駅の駅名標。
なお、この駅の正式名称は「東大邱駅」駅。駅の文字が2つ続きますが、決して誤植ではありません。

東大邱駅 駅

東大邱駅駅のホーム。

東大邱駅 駅

時刻は20時過ぎ。
無事に大邱地下鉄の試乗を終え、駅前の再開発工事が進む東大邱駅に戻ってきました。

東大邱駅 駅

20時12分発の「SRT359号」で、慌ただしく釜山に戻ります。

東大邱駅 駅

東大邱駅ホームの発車案内表示器。

東大邱駅 駅

現在時刻は20時10分。

東大邱駅 駅

ホームの柱に貼付された縦長の駅名標。

東大邱駅 駅

20時11分、SRT359号釜山行きが到着しました。
車輌はKORAILの「KTX-山川」に準じた120000形です。

東大邱駅 駅

今回乗車するのは一般室の2号車。

東大邱駅 駅

車内のデッキ部分には、清涼飲料水の自動販売機が設置されていました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

自動販売機ですが、ポカリスエットやオロナミンCが販売されていたのにはびっくり。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

丸い窓が特徴的な乗降扉。
ドイツのICEの乗降扉と似ているデザインです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

デッキ部分に設置された荷物置き場。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「SRT」こと120000形電車の一般室車内。
先程乗車した「KTX-I」と比べて照明が明るい印象を受けました。
ちなみに「SRT」は前年（2016年）12月に営業運転を開始したばかり。
座席の枕カバーには、「START!SRT」のキャッチコピーが躍っていました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

お洒落なデザインをした読書灯と空調の吹き出し口。
今回は2号車4A席に着席しています。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

空調の吹き出し口ですが、荷棚の下の他、窓際にも設けられているようです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

座席背面テーブルに貼付された車内の案内図。
「SRT」こと120000形電車は基本編成が10両（うち先頭車2両は動力車）で、2編成を併結した20両編成（うち先頭車4両は動力車）で運用されることも多いようです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「SRT359号」の車内から眺める大邱広域市内の夜景。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「SRT359号」の乗車券。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

慌ただしい道中でしたが、デッキ部分の自動販売機で購入した「オロナミンC」（韓国版）を飲んでしばし一服。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

座席前ポケットに備え付けられていた、「安全のしおり」の表面。
非常時の脱出方法などが記載されていました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

こちらは「安全のしおり」の裏面。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

こちらは、車内誌「SRT」。
「KTX」の車内誌同様、車外への持ち出しは原則不可のようです。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

車内誌「SRT」に記載された、「SRT」全列車の時刻表。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

通路上のモニターでは、韓国語・英語・日本語の３ヶ国語で駅到着時の案内を実施していました。
写真は蔚山駅到着時の日本語テロップ。

KTX 蔚山駅 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

駅への到着時以外には、バラエティ番組やニュース番組など通常のテレビ番組を放映している様子です。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

「SRT359号」の車内から見た、蔚山広域市の夜景。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

ここからは「SRT」120000形の座席の各部を紹介。
肘掛けに埋め込まれた、オーディオサービスのコントロールパネル。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

前の座席の下にはコンセントが埋め込まれており、スマートフォンの充電に活用させていただきました。

「KTX-I」と同様、一般室の座席にもフットレストが装備されています。
もちろん、車内Wi-fiも無料で利用できました。

楽しい時間もあっという間、20時58分少し前に終着駅・釜山への到着を告げるアナウンスが流れました。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

下車時に撮影した、「SRT」120000形一般室の車内。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

座席は「KTX-I」のものより心なしかゆったりしている感じでした。

KTX 鉄道系（地下鉄・モノレールなど）

2時間少々ぶりに釜山駅に帰ってきました。

釜山駅 駅

釜山駅のKTX用駅名標。
高速新線経由の列車の場合、次駅が「蔚山」に、在来線（京釜線）経由の列車の場合、次駅は「亀浦」になります。

釜山駅 駅

「SRT」を運営する「SR」社のロゴマーク。

釜山駅 駅

「SRT359号」は120000形を2本併結した20両編成での運行でした。

釜山駅 駅

「SRT」120000形の先頭車。
KORAIL110000形「KTX-山川」の改良型として登場した車両で、デザインも「KTX-山川」の色違いという出で立ちです。
なお、120000形も「SRT」の開業まではKORAILに所属し、光州・木浦方面への湖南高速線で「KTX-山川」として運用されていました。
現在は、KORAILからSR社にリースされて「SRT」として活躍しています。

釜山駅 駅

「SRT」120000形の動力車側面に貼付された「現代ロテム」社の銘板。
120000形の製造は、現代ロテム社が担当しました。

釜山駅 駅

釜山駅に掲出されていた「東横イン」の広告。
この当時、「東横イン」は釜山やソウル、大田といった韓国の大都市に積極的に進出、日本人旅行客の強い味方として定着していました。

今回は釜山への旅行中、日本の新幹線より一足先に車内Wi-fiを導入、なおかつゆったりした座席や高速運転に定評のある「KTX」と「SRT」、地域の足として定着している大邱の地下鉄を駆け足で巡ったわけですが、コロナ禍が落ち着いたらまた改めてこの界隈の鉄道をゆっくり乗って回りたいものです。

釜山駅 駅