北山崎の絶景と北緯40度の黒崎2020～ほぼ垂直な断崖と奇岩怪石、海蝕洞の海岸美～（岩手）

2020/09/24 - 2020/09/25

三陸の景勝地「北山崎」は高さ200mの断崖に、奇岩怪石、大小さまざまな海蝕洞窟と、ダイナミックな海岸線が約8kmにもわたり続きます。
JTBの全国観光資源評価「自然資源・海岸の部」で最高ランクの特Ａ級に格付けされた景勝地で、「海のアルプス」とも呼ばれています。

北緯40度に位置する普代村の黒崎は、「みちのく潮風トレイル」の途中にあります。
ネダリ浜自然歩道や、黒崎展望台、アンモ浦展望台などからは、ほぼ垂直に海に落ち込む断崖と荒々しい景観が眺められます。

今晩の宿は黒崎の海辺の高台に建ち、オーシャンビューの国民宿舎「くろさき荘」。
午前中にネダリ浜自然歩道を歩いたので、この旅行記は午後歩いた北山崎と黒崎を紹介します。
北山崎へは三陸鉄道普代駅と田野畑駅から行くルートがありますが、今回は普代・黒崎から村営バスに乗り訪れます。

なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・普代村「村営バス時刻表」
・普代村みちのく潮風トレイル資料
・青の国ふだい資料
・国民宿舎くろさき荘HPと資料
・田野畑村観光ガイド資料：北山崎
・きのこらぼ、きのこアルバム「ニオイコベニタケ」
・山と自然の旅、きのこ図鑑「ツブエノシメジ」
・吉野・大峰フィールドノート「どんぐりを見分ける」
・森と水の郷あきた「樹木シリーズ25　カシワ、クヌギ」
・北の丸自然公園の自然、第15号「北の丸に見られる名ごりの木の実たち」：シナノキ
・ゆるキャラグランプリ「えんぞー・すっきい（昆布ブラザーズ）」
・いわての旅「普代村昆布商品」「アンモ浦の滝」
・ウィキペディア「国民宿舎」

エリア 野田・普代・田野畑(岩手)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

黒崎・北山崎の案内図

午前中、波打ち際の「ネダリ浜自然歩道」を歩き、黒崎まで来ています。
さらに南側には景勝地「北山崎」があります。

黒崎から北山崎までは9.5kmの「みちのく潮風トレイル」遊歩道がありますが、普代村営バスも走っています。

国民宿舎くろさき荘

今晩泊まる宿です。
北緯40度、黒崎の海辺の高台に建ち、海側に客室が並び、大浴場や食堂からオーシャンビューが楽しめます。

チェックインまで時間があるので、村営バスに乗り、日本一の海岸美「北山崎」へ向かいます。

村営バス「くろさき荘前」バス停

北山崎展望台までの普代村営バスは、平日午後に2本運行されており、ここから10分ほどです。

これから乗るバスは13:25発。料金は無料で観光客も利用できます。

なお、土日・祝日は、村内周遊観光バスが午前を含め3本運行されています。

「すっきい」＆「えんぞー」（バス停）

三陸沖で採れる肉厚で風味豊かな昆布をPRする普代村のキャラクター「昆布ブラザーズ」。
すき昆布の「すっきい」と塩蔵昆布の「えんぞー」くんです。

細切りの昆布を乾燥させた乾物の「すき昆布」、品質の優れた「塩蔵昆布」を乾燥させ、細かい粉状にした調味料など、さまざまな商品が誕生しています。

「おいで」とは普代の言葉で「一緒に行こう」という意味です。

普代村の特産品

サラダや酢の物になる「すき昆布」、ぷりぷり肉厚の「わかめ」、北三陸の沖獲り鮭の卵を塩や醤油で味付けした「イクラ」。

コシも強く、つるりとした喉越しの「こんぶ饂飩」、肉厚で美味しい出し汁がとれる「干ししいたけ」。

鉄山跡を流れる川の水を使い、その成分で色を出す「鉄山染」などが普代村の特産品。

村営バス「北山崎行き」（くろさき荘前）

では、バスに乗ります。

バス車内

平日は地元の足になっています。

「北山崎展望台」に到着

ここは隣村の田野畑村（たのはたむら）です。

帰りのバスまで2時間ほどあり、北山崎をゆっくり見学できます。

北山崎への別のアクセス

三陸鉄道田野畑駅からは、観光乗合タクシーが運行されています。

但し、事前予約が必要。

遅い昼食は「松乃家食堂」（北山崎）

メカブソバ（松乃家）

「メカブソバ」をいただきます。

ここで荷物を預かってもらい、展望台へ向かいます。

北山崎の案内図

展望台は3ヶ所あります。

一番近いウッドデッキの第一展望台、階段を下りて海岸に迫る第二展望台、森林の中を歩く第三展望台などです。

北山崎の眺望（北山崎）

第一展望台に到着。

海食洞のある「矢越岬」から断崖が続きます。

真下に見える海岸美（北山崎）

ガマズミの赤い実（北山崎）

ノギク（北山崎）

ハマギク（北山崎）

ニオイコベニタケ（北山崎）

行先案内板（北山崎）

第一展望台から第二展望台まで、360段の階段を下りています。

途中から右へ曲がれば、波打ぎわまで510段の階段で行くこともできます。

階段を下りると「第二展望台」（北山崎）

奇岩怪石の続く海岸線（北山崎）

荒々しい海に佇む奇岩と海蝕洞（北山崎）

紺色の海と波打ち際のエメラルドグリーンが混ざりあい、北山崎の絶景を醸し出しています。

サッパ船から眺める北山崎（2010年9月11日訪問した写真）

海から眺めるダイナミックな北山崎の海蝕洞。

アキノキリンソウ（北山崎）

ガマズミの実（北山崎）

これから熟す実です。

北山崎の地形ができるまで（説明板）

北山崎は地盤隆起、海面低下によってできた隆起海岸です。
200mの切り立った崖の頂上は平坦な丘陵地帯（海岸段丘）になっています。

①最初に波の浸食により海岸に崖ができます。

②次に土地が隆起し、海面が低下すると、平らな海底が新しい海岸になります。
　この①と②が繰り返され、階段状の海岸が作られます。

第三展望台からの眺め（北山崎）

森の中を通り第三展望台に来ています。

美しい「タマゴタケ」（北山崎）

貴重な生態系「シロバナシャクナゲ」（北山崎）

本来は高山植物の花で、海辺では珍しく、貴重な生態系とされています。

北山崎の断崖に自生する群落は、海抜20～200mの地点にあり、これはヤマセの冷涼で湿潤な霧が影響したものと考えられています。

昭和29年（1954）に岩手県の天然記念物に指定されましたが、昭和36年（1961）に発生したフェーン大火による焼失、原因不明の枯損や盗掘などによりその数は激減。

現在は官民が協力して植樹し、その保護と回復の事業が行われています。

真っ白な「シロニセトマヤタケ」（北山崎）

ちっちゃな椅子「フウセンタケ」（北山崎）

浮き玉の並ぶ「北山崎ビジターセンター」

館内には北山崎の四季を紹介する映像や動植物に関する展示があります。

「黒崎展望台」バス停

北山崎（15:30発）から帰りのバスに乗り、黒崎に戻って来ました。

黒崎周辺の案内図

これから、黒崎展望台、アンモ浦展望台、北緯40度のシンボル塔、黒埼灯台をまわり、今晩の宿「くろさき荘」へ向かいます。

北緯40度の緯度線が点線で示されています。

黒崎展望台から北側の眺め

久慈市に至る北三陸の海岸段丘が続きます。

「太田名部漁港」（黒崎展望台から）

真下に「ネダリ浜」（黒崎展望台）

岬の先に白い島、左側にネダリ浜自然歩道のトンネルの穴が見えます。

午前中、歩いてきたところです。

宮沢賢治の詩碑「発動機船」（黒崎展望台）

「雑木林の崖のふもとから わづかな砂のなぎさをふんで 石灰岩の岩礁へ･･･」の一節は、ここからネダリ浜と白い島を眺めて詩を書いたのだろうか･･･

「アンモ浦展望台」まで0.1km

国民宿舎「くろさき荘」にチェックインして荷物を置き、近くの「アンモ浦展望台」を訪れます。

「アンモ浦」の階段

「くろさき荘」裏の庭から262段の階段を下りたところが「アンモ浦展望台」。

鬼が住んでいたといわれる「アンモ浦」

「アンモ」とはアイヌ語で鬼・妖怪・化け物などの怖いものの総称で、彼らが住んでいたところなので、そう名付けられたといわれています。

断崖絶壁を流れ落ちる「アンモ浦の滝」

高さ100m以上の落差は岩手県一といわれています。

断崖絶壁を流れ落ちる白い糸のような滝は、そのまま太平洋に注いでいます。

シナノキの実（アンモ浦）

へらの形をした苞葉の中ほどから長い柄が出ている球形の実。

秋になると実のついた苞葉がプロペラとなり、風に吹かれてくるくると回りながら落ちてきたのです。

どんぐりコロコロ（アンモ浦）

階段に落ちていたどんぐり。

モジャモジャした深い帽子をかぶっている「カシワの実」。

その隣には粒状の突起のある帽子をかぶった「ミズナラの実」。

北緯40度シンボル塔（くろさき荘）

世界の平和を願い建てられた、高さ4mのシンボル塔。

近づくと地球儀が回転し、世界中の北緯40度にある都市を見ることができます。

北緯40度の地球村ふだい

普代村の黒崎に北緯40度線が通っています。

日本の灯台50選に選ばれた「陸中黒埼灯台」

東北一の高さを誇る、海抜130mの断崖に位置する白亜の灯台。

光の届く距離は東北一の30海里（約55km）に達します。

くろさき荘の夕食

少しだけグレードアップした「浜かぜ夕食膳」が並びます。

旬魚のお造りとあわびの刺身（夕食）

前菜と焼き魚、サラダ（夕食）

ホヤ（夕食）

海鮮鍋（夕食）

翌日の朝食（くろさき荘）

現在はバイキングを中止し、和食膳になっています。

国民宿舎「くろさき荘」は普代村営の施設として昭和36年（1961）開業し、その後増改築をしてきた宿です。
黒崎のみちのく潮風トレイルや北山崎を訪れるには、最適な拠点になります。