世界の結婚式から～エチオピア～ Part 4 - エチオピアの結婚式

2012/09/19 - 2012/09/27

ご挨拶
　
皆様、2020年も残すところ数時間となりました。
今年は世界で猛威を振るった新型コロナウィルスに伴い旅好きの諸兄姉皆様にとっては何とも辛い一年になってしまった事とお察し申し上げます。その中でも、特に医療関係者の皆様におかれましてはご自身の身を粉にして防疫に取り組まれた事、心より敬意を表します。
何卒2021年は、少しは今より良い世の中になる事を心より願いまして、年末のご挨拶に代えさせて頂きます。

2020年師走
Salaam

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時は遡ること2012年夏、会社の廊下でたまたま立ち話をした初対面の同僚との会話から始まりました。

私「へー、あなたエチオピア人なのね」
同「そうなのよ。行った事ある？」
私「ないけど行ってみたい！何月がオススメ？」
同「9月がいいわ！」
私「ほほう、観光シーズンだとか？」
同「それもあるけど、私の結婚式が9月なの」
私「お…おうよ…」

ってな訳で、会って5分しか会話した事のない方から結婚式に招待され、その後の会話を含めても10分しか面識ない方の結婚式に参列すべくはるばるエチオピアまで行って来ました！
もちろん結婚式の他にも間を縫って観光もしてきましたが、なかなか濃い内容に。思えば人見知りしなさすぎる私がフットワークの軽さを発揮した最後の旅行だったかも知れません。
結婚してワイフ様の意向や予定を考えると、こんな軽いノリで一万キロ離れた場所にノコノコ出掛けるような事はできなくなりましたね。

以前紹介した私のタイ式結婚式に続き、世界の結婚式シリーズ第2弾の開幕！

エリア アディスアベバ(エチオピア)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: タクシー 徒歩 飛行機
• 旅行の手配内容: 個別手配

朝早くから新郎宅に集合！
まぁご家族の方がエチオピア風のシチューを煮込んでおられました。

今日は人生初の外国結婚式体験。
この時はまさか数年後に自分も外国式結婚式を体験するとは思いもせず。

新郎より、まぁインジェラでも食っていきなよ、と勧められる安定インジェラ。

念の為申し上げますが、私の知り合い(って言っても10分しか面識ない人)は新郎ではなく新婦です。新郎とはエチオピアに来るまで名前も顔も知りませんでした。
やっぱり新婦側に男が混じっていると具合が悪いのでしょうかね。

キメッキメの新郎。イケメンです、間違いなくエチオピアンイケメンです。
結婚式当日は終始カメラマンが付き添い写真撮影が続きます。お陰でどさくさに紛れて私がパシャパシャやっても違和感なし。

アッシャーが全員揃いました。
短髪、水色スーツに赤タイ…エチオピアン益子卓郎がズラリ…？

おめぇエチオピアの干瓢なめんじゃねぇぞ！

ジャケットを着たのでどうやら銀シャリだったようです。

アッシャーの上着は新郎が、新郎の上着はアッシャー全員で着せ合うのがしきたり。

お父さんとお母さんとも記念写真。
お母様、民族衣装がお似合いでいらっしゃいます！
前撮り文化がないのか、結婚式の当日の様子を細かに記録するのか、とにかくたくさん写真を撮ります。

私は外で親戚のお嬢様型と記念写真。
奥の親戚の方は明らかにエチオピアンではない得体の知れないオッサンの出現に気が気でない様子。

着替えも親族写真も撮ったので、取り合えず踊りましょう。

部屋へ戻ったらみんなが手拍子に歌えや踊れや。
アムハラ語の合唱には参加できませんでしたが、手拍子と踊りだけは私も参戦。

新婦を迎えに行く時に使うバラの花束をアッシャーから贈呈。
「俺たちも君の結婚に賛同だよ！」的な？

新郎宅を出立する前に親族の年長者へ感謝とご挨拶を実施。

年長者が着席し、そこに順繰りにご挨拶をして回る。
この光景とタイのソンクラーンでの光景とすごい被る。

家長各位へのご挨拶も終わったので、取り合えず踊りましょう。

みなさん同じ振り付けで手拍子と共に踊ります。
残念ながらずっと歌っても私のアムハラ語力は向上していないようです。

新婦の家まで新郎が迎えに行く設定。ここもまたタイの結婚式と同じ設定ですし、男女逆ですが日本でも花嫁行列として見られましたね。どちらかと言うと結婚が個人と紺頼家族と家族の繋がりとしてみる地域の方がこのような風習が多いかな？

それにしてもストレッチリムジンで迎えに行くとは…すげぇ…。

アッシャーはこちらのベンツで新郎に着いてきましょう。高級自動車ですが、フロントガラスにひびが入っているのはご愛敬。
「Salaam、Youはこの車の助手席に乗れ」

先日初対面を果たしたばかりの私をアッシャー同様の扱いにして下さるとは恐縮至極。

ストレッチリムジンに5台ほどの黒塗りベンツの大名行列はアディスアベバの街を疾走。

それにしてもエチオピアの看板はアムハラ語が主体でローマ字は超少数派。
今ここがどこなのかは皆目見当つきません。

お！読める字を発見！

珍味の名門・株式会社茨城旭洋、アディスアベバへ進出。
インジェラと共に裂きイカや燻製タラなどいかがでしょうか？

郊外に来ても馬やロバによる運搬は珍しいものではなく、ボロボロの中古車の間をこっちの方がよっぽど元気に走行中。

時空を飛び越え新婦宅に到着。
こちらでも新郎側を迎えるべく皆さん、取り合えず踊りましょう。

皆様の歓喜に満ちたアムハラ語の歌声が響きます。
言葉は分からなくとも歓喜の心は伝わってきます。

アッシャーが新郎に渡したブーケを新婦に渡します。

何やらアムハラ語で会話しているけど、まぁたぶん「結婚して下さい」的な話をしていると推察。

You may kiss the bride!

結婚式じゃなくてこの段階でチューしちゃうのね。
考えれば自分の結婚式でもここでチューしてたかも。

ブライズメイドがアッシャーの胸ポケにバラの花を添えていきます。
あまりブライズメイドとアッシャーが交流するタイミングって見ないなぁ…。

新婦宅から出立する際にブーケトス。
このセレモニーはエチオピアでも実施されているんですね。
トスの瞬間には女性陣の歓声があがる光景も他の国とも全く同じなのが微笑ましい。

なんじゃ、あのベールに包まれた巨大クリボーみたいなの。

新郎も新婦のトゥゲザーした所で結婚式を実施する教会へ向かいます。
くどい様ですがエチオピアはキリスト教が大勢を占める国で、エチオピア人の信仰心は日本人からは想像できないほど強いです。どれくらい信仰心が強いかと言うと、Facebookの投稿の8割が聖書からの引用やキリストを讃える文面である事からもお解り頂けると思います。しかも（語弊を恐れず言えば）他国では宗教心が薄まりがちな高学歴上流階級でこれほど強い信仰心を持っているのです。
ですので結婚式が教会で実施されるのは日本で一般的にファッション的に教会での結婚式を実施するのとは事情が違います。

もっとがっつりエチオピア正教色の強い教会をイメージしていたけど、どうもこちらの教会は正教会系ではなくプロテスタント系？
エチオピアにおける宗教分布はキリスト教62％、イスラム教34％ですが、62％のうち2/3強がエチオピア正教で1/3弱がプロテスタントなのでプロテスタント系でも「珍しい！」って程ではないのね。

そうこうしてると新郎入場。
お父さんとガッチリ手をつないであるいています。
エチオピアと歴史的にも密接なつながりを持つイエメンでも男同士で手をつないで歩くのは一般的だったなぁ。

そして新婦入場。
こちらはお父さんと腕を組んで入場。お父さんがガッチガチに緊張しているのは万国共通のようです。

正教会の場合は新郎新婦共に昔ながらの王冠のような帽子を被りますが、プロテスタント系の新郎は無帽、新婦はベール。

讃美歌はエチオピアン演歌よりはゴスペルに近いような音楽。
時折歌声に合わせて、取り合えず踊りましょう。

そして牧師氏がずっと説教を問われます。

◎△＄♪×￥●＆％＃？！アマセクナロ！
＆％＃？！◎△＄♪×￥●アマセクナロ！
●＆％◎△＄？！♪×￥＃アミーン！
♪×？！ ＄￥●＆％◎△＃アマセクナロ！

おそらくここは結婚宣誓書にサインをし、ブライズメイドとアッシャーがそれぞれ証人として宣誓書にサインをしているところ。

正直アマセクナロ（ありがとう）とアミーン（アーメン）以外に判読可能な単語がない中1時間以上説教を聞き続けるのは辛いものがありました。感覚的には1時間般若心境をループで聞くより辛いものがあるかも。羯帝羯帝波羅羯。

プロテスタント系の結婚式場で結婚式が終わったら次は別な教会の敷地に移動。
今度の教会は見るからに（イコン画もあるし）正教会系と思われる教会。

日本人が浄土真宗でも真言宗のお寺に行ったりする感じなの？
まぁそれを良しとしない方々もいるんでしょうけど、どうなのかな？

こちらの教会にお邪魔したのはここから馬車に乗り換えるため。
馬車で市中を練り歩くのですが、これはセレモニー的な要素よりも写真撮影的な要素のほうが強そう。

アディスアベバ公園横に路駐（？）して写真撮影開始！

シャンパン開けるで～！

ボトル「すぽーーん！」
馬「ひひーーーん！」

ボトルオープンの音にビビり一瞬だけ暴れ馬化しかける。

ブライズメイドとアッシャーも交えてみんなで乾杯！

道行く車が次から次へとクラクションを鳴らして二人の結婚を祝ってくれます。
幸せな事には関係ない人まで祝うカルチャーって好いよね。

全員ビシッと決めてハイチーズ！
美女とイケメン勢ぞろいで絵になりますね！

シャンパンも飲んで写真撮影もひと段落したので、取り合えず踊りましょう。

馬車を降りてリムジンに乗ったらシェラトンホテルへ移動してまいりました。
全く当日の日程等が解らないので、果たしてどう言う流れなのか解りません…。
ここで披露宴をするのかな？

シェラトン アディス ア ラグジュアリー コレクション ホテル アディス アベバ ホテル

エチオピアの中でも屈指のハイエンドな一角。
花壇も美しく手入れがされており華に花。

ツタのアーチ越しに新郎新婦の華やかな雰囲気。

ウクライナの愛のトンネルと似ていますね。
是非とも永遠に愛のトンネルを貫かれます事をお祈り申し上げます！

新郎がホテルチェックイン？のために少し離れた後に車寄せに移動。
新郎新婦を囲んで、取り合えず踊りましょう。

今回は今までとちょっと違った新婦の周囲をグルグル回りながら踊るタイプ。

新郎も合流したらまた車に乗って移動です。
どうやら披露宴は別な場所で実施される模様。
白いアメ車ストレッチに黒塗りベンツの車列、ちょいとアレな車列ですね。

式場に全員集合。
高校の体育館と同じくらいの広さはありそうな巨大ホールを埋め尽くす披露宴。
タイの結婚式同様、エチオピアは末席まで行くと全く面識ない人が来るレベルの大型結婚式が普通みたい。

親族の方「Salaam、あなたはこっちにお座りなさい」
って皆様、このテーブルってご両親や親族の最も近しい親戚の方々がお座りになられているテーブルじゃないですか…いいの？

結婚式はエチオピア料理がてんこ盛り。
隣に座られた親族マダムが一緒にエチオピア料理を見繕ってくださいます。
手前で山積みになっているラップ状のものはエチオピアのソウルフード主食インジェラ。

シェフと思われる係の方がヤギの丸焼きを削って振舞います。
他にも野菜を煮た物や先日食べたクットフォー等々、エチオピアンフードがズラリ。
これは結婚式参列が主目的だけど観光客でもある身分としては大変嬉しいですね。

そして一番度肝を抜かれたんがこちら。
テレスィガと言うエチオピア料理の最高級最高峰。
見ての通りですが牛肉の生肉。これを炙るでも煮るでもなくそのまま生で頂きます。
生肉食文化はエチオピアでキリスト教とイスラム教が戦っていた時代、火を熾すと焚火や肉の焼ける匂い、そして煙で敵に見つかってしまうのを避けるべく始まったと言われているとか。

この時点で昨日のクットフォー（エチオピア風生肉タルタル）のおかげで腹痛を伴わない腹下し中。
そこに追加で食べる生肉はどう作用するでしょうか…。

ドドン！
たくさんのご馳走が並びました。
一品一品紹介できれば良いのですが、いかんせんエチオピア料理に関する知識量が薄いのでご容赦を。

お酒の提供はなく、エチオピアで採取される天然で加炭酸されているアンボウォーターを。

ミュージックはライブです。
せっかくライブミュージックなのですから、取り合えず踊りましょう。

新郎新婦も混じったので、取り合えず踊りましょう。

なんとなくお気付きだと思いますが、エチオピアの方々は歌って手拍子して踊る事が大好きです。
日常ではどうだか解りませんが、お祝い事の時にはみんなで歌って踊って。
シャイは踊らない理由になりません。振り付けは異なれど、阿波踊り精神に通じるものが感じられます。

時にオットセイの目つきが不穏。

何はともあれ結婚おめでとうございます！

10分しか会った事なかった得体の知れない同僚を、主賓レベルで待遇して下さった事、心より御礼申し上げます。
そしてそれに見合う働きをその後できていなくて申し訳ないっす。

ケーキ入刀！

これが結婚式のクライマックスだったかな。
多分古代エチオピア様式よりは幾分洋風なしきたりが入ってきているようですが、程度の差はあれど世界中どこも同じですね。

ケーキカットをして、皆さんちょこっと食べたら踊りながら披露宴はお開き。

アムハラ語の説教は眠気との闘いでしたが、それ以外は体を動かす機会も多く、大変貴重な体験をする事ができました。
本当にありがとう！

あ、ちなみにご祝儀的なシステムはないらしいのですが、何か小さなプレゼントをする習慣がある（駐日エチオピア大使館員談）そうです。
なので、新婦が「後でお金出すから買ってきて！」とお願いされた雪肌精のセットをプレゼントとした次第。

披露宴が終わった後には新郎新婦と近しい方だけが集まり新郎宅へ。
新婦宅で見たベールに包まれた巨大クリボーの中身はどうやら結納品的な立場のパンだったみたい（左手前）。

一日の〆として最後に実施したのは新婦命名の儀。
なんでもエチオピアでは結婚した新婦には新郎家から新しいお名前を付けられる風習があるのだとか。
新郎の両親と新郎側の参列者があれこれ案を練りながら、無事命名完了。

これで結婚完了！
おめでとうございます！

この旅行記へのコメント （2）

• eahawkさん 2021/01/02 15:33:57

  海外結婚式あるある！

  Salaamさん
  
  新年あけましておめでとうございます(^^♪
  今年もどうぞよろしくお願いいたします！
  さてさて、私も数回タンザニアの結婚式に参加したことがあるのですが、
  長いですよね、とにかく(笑)
  目茶目茶泥酔して、乾杯をアカペラで歌った動画が流出し、他の駐在日本人から知らされた経験があります(-_-;)
  タンザニアも男性同士で手を繋ぐ文化があります。
  賃貸物件の内覧に行ったとき仲介業者がずっと手を繋いでいて、ゆっくり見て回れなかった事も(笑)
  
  しかし、巨大クリボー！！！
  こんなの投げるんですね！！！
  驚きです！！！
  エチオピアの結婚式、楽しく拝見させていただきました(^^♪
  今年は自由に旅行ができるようになってほしいものですね(^^♪
  
  eahawk
  

  Salaamさん からの返信 2021/01/07 03:06:21

  Re: 海外結婚式あるある！

  eahawkさん、あけましておめでとうございます！
  今年は無事世界を旅できる世の中になる事を願ってやみませんね。
  
  タンザニアの結婚式、興味深いですね。
  私の同僚はプロテスタント系だったからか、私の知っている結婚式から大きく乖離した結婚式ではなかったですけど、タンザニアは現地食が強かったりするのでしょうか？
  そしてエチオピアではノンアルコールだったところ、タンザニアはへべれけになるほどてゃ結構習慣的にも違うんですね。
  
  将来的にタンザニア移住する際には仲介業者がオッサンではなくきれいなお姉さんである事を願います。いや、ワイフ様から懲罰動議を与えられない為にもオッサンの方が良いのでしょうか…（笑）
  
  あ、巨大クリボーは投げられてませんでした！
  神輿みたいに担がれてワッショイさていただけで宙は舞っておりませんよ～。
  
  今年もよろしくお願いいたします。
  Salaam