ひたちなかの異次元書体や龍ケ崎の迷宮に戸惑いつつ、茨城県の私鉄を乗りまくる

2020/03/21 - 2020/03/21

コロナ禍で緊急事態宣言が噂されるなか、「行くなら今のうち」と小旅行を挙行。ＪＲが発売している「ときわ路パス」を使って茨城県内の私鉄（つくばエクスプレスを除く）に乗りまくった。ウイルスが目に見える訳じゃなし、目の前にはいつもながらのローカル線の光景が広がるだけなのだが…
しかも道中、ひたちなかや龍ケ崎でその表記方を見て考え込む。

小山→勝田（水戸線・常磐線）→阿字ヶ浦→那珂湊（ひたちなか海浜鉄道）…（徒歩）…常澄→鹿島神宮→水戸（鹿島臨海鉄道）→龍ケ崎市（常磐線）→竜ヶ崎→龍ケ崎市（関東鉄道竜ヶ崎線）→取手（常磐線）→下館（関東鉄道常総線）→茂木→下館（真岡鉄道）→小山（水戸線）

エリア ひたちなか(茨城)

スタートは勝田駅から。ひたちなか海浜鉄道のホームはＪＲのホームと隣接しているが、改札を分けているので一旦「出場」する必要あり。

勝田駅 駅

車両はＪＲ東海や東海交通事業で使われたキハ11形。塗装に当時の面影が残る。
また、駅名標の字体は、その駅周辺の特徴をシンボライズした飾り文字になっている。「勝」には列車の正面、「田」には同社のシンボルマークが描かれている。以後、各駅の駅名標をご案内します…

工機前駅。工機ホールディングスという会社の目の前にあり、ドリルやノコギリなどが描かれている。但し昨年5月までは日立工機という会社名で、駅名も昨年9月までは「日工前」と名乗っていた。

日工前駅 駅

金上駅。近くに桜の名所と陸上自衛隊勝田駐屯地があるそうな。

金上駅 駅

この桜のことかな？今年はちょっと早かったから今が見頃。

中根駅。近くに古墳があるからこのデザインになったそうだが、ここまでシンボライズされると元の字がわからなくなる。個人的には「根」じゃなくて「松」に見えた…

中根駅 駅

高田の鉄橋駅。2014年に新設された駅で、駅名を決めるにあたり、近くにあった自路線の鉄橋の通称をそのまま採用したらしい。但しイラストで見るほど高い橋ではないが。

高田の鉄橋駅 駅

那珂湊駅。「那」は近くに建つ反射炉、「珂」は構内に留置された日本初のステンレス製気動車ケハ601、「湊」は同駅シンボルのネコをイメージした文字になっている。

那珂湊駅 駅

那珂湊駅構内。ケハの姿も見える。

殿山駅。ひたちなか市の花であるハマギクとケイトウがデザインされている。

殿山駅 駅

平磯駅。近くの平磯海水浴場に浮かぶクジラのオブジェ「大ちゃん」と、太陽観測センターに設置されたパラボラアンテナが元ネタである。

平磯駅 駅

磯崎駅。隣の平磯駅と同じく「磯」が入っているが、こちらはサツマイモをイメージした文字。フォントが違うということか？

磯崎駅 駅

磯崎駅で奇妙なＱＲコードを発見。

よく見るとポールに「試験用」と書いてある。撮影後、試しにスマホのＱＲコードリーダーをかざしてみたら数ケタの英数字が表示された。どんな意味があるのか…よろしければお試しあれ。

終点の阿字ヶ浦駅。まあ、それなりに知名度のある駅だから判読できない訳じゃないけど…アンコウが描かれた「字」は「宙」に見えてしまう。

阿字ヶ浦駅 駅

島式ホームの一方には廃車体が留置されている。

元々のホームは結構長い。昔は夏に上野からの直通列車が走っていた名残か。

今はさびしいローカル線の終着駅だが、国営ひたち海浜公園への延伸計画あり。この先に線路が伸びる可能性があるのだ…

復路の列車内で気づいた。運賃表に表記された「日工前」は現「工機前」駅。昔の名前で出ています。

那珂湊駅で下車。これから鹿島臨海鉄道の常澄駅まで3キロ歩く。

那珂川を渡ると鹿島臨海鉄道の高架橋が遠くに現れた。

歩くにつれて高架橋が近づく。列車と競走している人もいた。

常澄駅の近くで、白くて巨大な像を目撃。何だねキミは⁈

そうです、ワタシが変なおじさん…じゃなくてダイダラボウといいます。高さ約15ｍ。「気は優しくて力持ち」の大男で、その昔、村人が「山に陽が遮られて作物が育たない」と訴えたら山をずらしてくれたとか。

それにしても
よくまあ作ったものだ。

常澄駅のホームで列車を待つ。手前に建つ「あいん常澄医院」の看板に志村けんさんのギャグを思い浮べる。まさか八日後にこの世を去るとは思いもよらなかった…

常澄駅 駅

ご当地アニメ「ガールズ＆パンツァー」のラッピング車両もよく見かける。

ひときわ大きな「ちょうじゃがはましおさいはまなすこうえんまえ」の駅名標。「日本一長い駅名」とも書かれているが、実は前の日、京福電鉄の等持院駅が「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」駅と改称されたことによりこのタイトルは明け渡すことに…
こういうことで競っていてもいつかは誰かに抜かれるのだよ。

長者ヶ浜潮騒はまなす公園前駅 駅

鹿島神宮駅でＪＲの電車とご対面。

鹿島神宮駅 駅

駅前は東京オリンピックを前に整備中。茨城県だがカシマサッカースタジアムは会場になっている。

上の写真の一部を拡大。サッカーボールの載った白ポストは一部ウオッチャーの間で有名らしい。
オリンピック開催時には諸外国の人々の目にさらされると思うが、果たしてこの昭和の遺物は無事に乗り切れるか…

このカウントダウンもちょっと悲しい。再びこの数字が点る日は訪れるだろうか。

「高速バス乗場　変わってます！！」
「駅では、バスの切符は発売してません。」
…口語体としては自然な言い回しかもしれないが。

この後は一気に水戸まで引き返し、常磐線で龍ケ崎市駅へ。

龍ケ崎市駅に到着。今月13日までは「佐貫」駅だった。

駅の入口には、駅名改称を告知する横断幕が掲出されていた。しかもよく見ると龍まで飛んでいる。
しかし…

龍ケ崎市駅 駅

隣接する関東鉄道の駅は「佐貫」のまま。

それだけではない。駅前にあるファミマやマックやそば屋も「佐貫駅前店」のままだった。確かに今も佐貫駅があるから間違いではないのだが…

だけど日高屋の「ＪＲ佐貫駅店」は言い逃れができないと思う。

結局訪問した時点で、駅名改称に合わせて律儀に店名を変えたのはＪＲ東日本系列の「ニューデイズ龍ケ崎市」だけのようだ。そりゃあ、変えなきゃ親会社から言われるよな…

駅の中には、妖怪人間ベムの一家とみなしごハッチを起用した子育て応援プロジェクトのボードも設置されていた。
そういえば2017年に制作されたパロディ風の短編ギャグアニメ「俺たちゃ妖怪人間」で、ホストに扮したベロに入れ込んだ中年おばさんの苗字が「竜ヶ崎」だったっけ。何か関係があるのだろうか。

続いて関東鉄道の佐貫駅へ。ホテルの１階にあり、勝手口みたいな入口から中に入る。ちなみにこのホテルの地名表記は「竜ヶ崎」。見てのとおり、ＪＲの駅名と比較すると「りゅう」の字体と「ヶ」の大きさが異なる。

ホームは建物から飛び出て設置されていた。そしてこちらの表記はどうなっているだろう。

車両のサボ受けの位置にペイントされていたのは「竜ヶ崎」。ホテルと一緒で「ヶ」は小さい。当然路線名も「竜ヶ崎線」だ。だけどこのサボが「龍ケ崎市‐竜ヶ崎」になると乗客も混乱するから、「佐貫」は変えないだろうな…

なお、市が定めた正式表記は「龍ケ崎」だそうだが、県は「『龍』は常用漢字ではないので用いない」としており、実際は「龍」と「竜」、「ケ」と「ヶ」が入り混じった４通りの表記（他に例外として「竜崎」「龍崎」）が見られるという。ただ、当事者がどこまでこだわって使い分けているかは「？」だが。

わずか２駅で終点の竜ヶ崎駅に到着。しかし、フォートラベルに登録された位置情報の表記（↓）は「竜ケ崎駅」になってないかい？

竜ケ崎駅 駅

とはいえ、この駅名標の「ヶ」は大小どちらにも取れたりして。

しかも同駅に貼られていた年表を見ると、前身の会社を含めれば「龍ヶ崎」「龍崎」の表記まであるではないか。そのときどきで何らかの経営判断が働いたのか、それとも何も考えていなかったのか…？

龍ケ崎の迷宮から解き放たれると取手駅へ。ここから関東鉄道の常総線を一気に乗り通す。

取手駅 駅

なかなか近代的な駅だが、ところどころに昭和のエッセンスが残る広告を見かける。

常総線は水海道までは複線。非電化の私鉄にあっては珍しい光景だが、たまに一両きりのディーゼルカーとすれ違うのである意味シュール。だけど北海道の幹線ではよく見る光景だな。

単線区間に入り、黒ウサギとすれ違う。

正体は「クリーニング専科」のラッピング広告車両。茨城県小美玉市に本社のあるクリーニング店のチェーンで、茨城県内の私鉄やバスでは広告車両をよく見かける。（写真は鹿島臨海鉄道の車両）

このようなヘッドマークも付けていた。

下館駅に到着。ステンドグラスが埋め込まれたおしゃれな駅だが、昼間は見栄えがしない…

下館駅 駅

下館から真岡鉄道に乗り換える。全長40キロを超える路線のうち茨城県内を走るのは10キロにも満たないのだが、全線「ときわ路パス」で乗れるのが嬉しい。

車内にあった路線図の一部。わざわざひらがな表記にしている「ひぐち」駅は中国語で「樋口」と表記。なぜ日本語でもそう表記しないのか…一説によると埼玉県の樋口駅（秩父鉄道）との混同を避けるためとか。ちなみに常磐線に佐貫駅があった当時は、マザー牧場の最寄駅（内房線の佐貫町駅）と間違えて来る人がいたとか。

ＳＬの基地のある真岡駅。しかしＳＬの運行はコロナ禍により中止していた。

真岡駅 駅

終点の茂木に到着。ＳＬの転車台もある。イギリスの保存鉄道では案外見られず、片道は「後ろ向き」で走ることが多いのだが、その点日本は「向き」にこだわる傾向あり？

茂木駅 駅

下館に戻ると3分の接続で水戸線に乗り換え、小山駅のホームでそばを食べる。下館駅到着の1分前に発車した常総線と比べるときめ細かいサービスだと思うが、できればステンドグラスを見たかった…

小山駅 駅

天ぷらそばを急いで食べ、上りの宇都宮線で帰途に就く。
次はいつ遠出ができるだろう…