ヴェリコ・タルノヴォ逍遥（2019年6月ブルガリア）～その１：プロヴディフからタルノヴォへの移動＆新市街

2019/06/20 - 2019/06/25

「日本で初めての女性国会議員。そして後に外務大臣などを歴任する園田直氏との『党派を超えた結婚』で知られる園田天光光さん。
今年86歳の現在もなお美しくお元気で，文化交流などの場で精力的に活躍されています。（引用者註：2015年に96歳で逝去）
その園田さんが，ブルガリアのヨーグルトを非常に早くから日本に紹介した人でもあることは意外に知られていないようです。」

「主人が衆議院の副議長をしていたころだと思います。
そのころは，各国の駐日大使ご夫妻を定期的にお茶にお招きするのが習慣となっておりました。
そのお客様の中に一人，とてもお顔の色つやがよくて，健康そのもののような印象の方がいらっしゃいました。
いつもその方の顔色がぴかぴかでお元気そうなので，『あの方はどこのお国の方？』と主人に聞いてみたのです。
それが当時のブルガリア大使，パパゾフさんでした。

ある日主人が大使と食事をごいっしょする機会があり，
『うちの家内が，あなたの顔色のことばかり言うとります。なにか特別の健康法があるに違いないと言うのです。』と申しました。すると大使は，
『特別なことはなにもしていないが，ひとつ心当たりがあります。私の国は126歳の人もいる長寿国として知られています。その私の国で毎日食べられているものが，日本にはありません。そこで私は国から種を持ってきて，大使館で作っています。』
とおっしゃったのです。
体にとてもいいものなので私にも分けてくださるという話になり，
『鍋を持ってブルガリア大使館に行って頂いてきなさい』と，こう主人が申します。
『それはうれしいけれど，お鍋を持ってブルガリア大使館に行くのはちょっとねえ・・・』とためらっておりました。（中略）すると電話があり，
『奥さん，今すぐいらっしゃい。これから作りますから。』
と大使がおっしゃいます。それで主人が
『鍋持たないでいいから，すぐ行ってこい！』と（笑）。
今から42～43年前のことです。

というわけで，大使公邸の台所で奥様がヨーグルトの作り方を教えてくださったのです。そして私はその『種』を分けていただいて帰りました。それがヨーグルトそのものだったんですね。
温めた牛乳に対して１％の，このヨーグルトを加えると，牛乳が一晩でヨーグルトになるということでした。
（中略）このヨーグルトは食べて少なくなったら，種として，また牛乳に加えて同じように増やすことができます。こうして次々に使い続けることができるというのですから，すばらしいものだと思いました。７時間で財産が100倍になるなんて，こんな利回りのいいものないでしょう（笑）。
そしてこの種を，永久に使い続けられるのかというと，不思議なことに３年たつと弱ってしまうのだそうです。ですから３年たったらブルガリアにいらっしゃい，また新しい種を分けて上げますと言われて，本当に３年ごとにブルガリアに行きましたよ（笑）。ブルガリアを訪れた帰りにはヨーグルトの瓶を大事にかかえて帰ったものです。」

「当時はまだ日本ではヨーグルトは見かけませんでした。
このできたてのヨーグルトはあまり酸っぱくはないし蜂蜜などで甘みをつけるとおいしくいただけます。そしてたいへんさわやか。私はすっかり気に入って食べ続けておりましたが，自分で楽しむだけではもったいないと思い，いろんな方に差し上げていたのです。
（中略）それがどんどん話題になって，とうとうテレビ局からヨーグルトの作り方を番組でやってくださいというお話が来ました。
こんないいものを，ひとりではもったいないと思っていた矢先でしたので，喜んでお受けしました。
それはスタジオに100人の人を集めてヨーグルトの種を分けてあげるという企画でしたので，100人分の種になるヨーグルトを用意したのです。

公に大勢の方にさしあげるのですから，念のために衛生試験場でこのヨーグルトを検査していただくことにしました。
すると試験場の先生も，今までにこんな菌を見たことがない，自分にも分けてくださいとおっしゃるほどでした。ヨーグルトの中で生きていた菌は，従来日本にあった乳酸菌と比べて，とても大きく強い菌なのだそうです。
（中略）そうして100人の方に菌を分けて差し上げたのですが，番組が放映されてしばらくの間，私の家にあった４本の電話が鳴りっぱなしになったのです。そのほとんどが
『ヨーグルトというものを分けていただけませんか』
『作り方を教えてくださいませんか』
というものでした。」
　　明石和美ほか「体に美味しいブルガリア」（愛育社）より

エリア ベリコ・タルノボ(ブルガリア)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 3.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: その他
• 一人あたり費用: 25万円 - 30万円
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

プロヴディフ（北バスターミナル）からヴェリコ・タルノヴォへ行くミニバスは，スタラ・ザゴラを経由して約３時間半ほど。18BGN。

（1BGN=約65円）

ミニバスは，タルノヴォの中心街から３kmほど離れたアフトガーラ・ザパッド（西バスターミナル）に到着する。

西バスステーション ザパッド バス系

隣接して市内バスの乗り場があるので，街の中心部へ向かうバスに乗り込む。

この時点ではガラガラだったが，発車してほどなく満員になった。

運賃は1BGNで，車掌に現金で支払う。

（1BGN=約65円）

新市街のマルノ・ポレ公園付近のバス停で下ろしてもらった。

マルノ ポール公園 広場・公園

すぐ近くに「ブルガリアの母Майка България」の記念碑がある。

ブルガリアの母の像 モニュメント・記念碑

宿は新市街に予約した。

「Guest House Diel」。

英語学校も経営しているゲストハウスなので，英語は完全に通じる。

部屋は清潔でとても快適。冷蔵庫と湯沸かしポットあり。Wifiはときどき切れるがおおむね良好。

とりあえず近所のＣＢＡスーパーで食料を調達しよう。

リュテニツァの隣に初めて見るスプレッドを発見。

リュティフカЛютивкаという名前で，トマト，ニンジン，ローストして皮をむいた生の唐辛子を材料に作る。つまりリュテニツァのパプリカを唐辛子に替えたバージョンで，もちろん辛い。

そして，またキョーポオル（焼きナスのレリッシュ）を買い，

タルノヴォの新興の地ビール「Britos」のペットボトル（２Ｌ）を買う。

こちらは面白い形のペットボトルに入った白ワイン（２Ｌ）‥‥のように見えるが，実はニガヨモギのフレーバードワイン「ペリンПелин」だ。つまりベルモットの仲間である。白と赤がある。

ブルガリア人は風味を着けたワインが好きなようで，別のスーパーではギリシャのレツィーナRetsina（松脂のフレーバードワイン）を置いていた。

なお，ベルモットは冷やして飲まないと美味しくないので，客室に冷蔵庫がない場合はワインを買ったほうがいいと思う。

柿の種を売っているのを見つけた。ちゃんとキリル文字で「カキノタネ」と書いてある。

ピーナッツは入っていなかったが，ビールのいいアテになった。

初日はこれで終了。

この宿は朝食がついていた。今朝はゲブレクとゆで玉子など。

きれいに手入れされた中庭の小さなテラスでいただく。

さて街歩きだが，ヴェリコ・タルノヴォの街は，
＊マルノ・ポレ公園を中心とする「新市街エリア」
＊サモヴォドスカ・チャルシヤを中心とする「旧市街１」
＊大聖堂を中心とする「旧市街２」
＊教会などの文化財が集中する「アセノフ地区」
に分けて考えると把握しやすい。

これらの街区を囲むように３つの丘とヤントラ川の蛇行がある。そして地図外にはアルバナシ（北へ約３km）とショッピングモール地区（西へ約２km）。

旧市街及びその周辺は起伏の多い地形なので，できるだけ等高線に沿うように歩くと楽ができる。

宿を出て，まずは現金を確保する場所を探す。

新市街のヴァシル・レフスキВасил Левски大通りを物色してみる。昨日，アフトガーラ・ザパッドからの市内バスから下車した通りだ。

すぐに銀行やバンコマト（ＡＴＭ），

両替屋が見つかった。

旧市街の方向へ少し歩くと，

深夜０時まで営業しているＣＢＡスーパーもあった。

新市街は，現代ブルガリアの普通の市街地である。

両替や必需品の買物，地元民向けの食事などはこのエリアで済ませることになるだろう。

ツーリストインフォメーションもこのエリアにある。

ユニクロとMUJIを剽窃した中華料理店を横目に，

ネザヴィシモスト（独立）通りを歩いていくと，

ネザヴィシモスト通り 散歩・街歩き

やがて↑のような殉国碑が見えてくる。

このあたりから旧市街エリアだ。


（つづく）