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2020年2月23日(日)4時前、この旅最後の訪問国、アンティグア・バーブーダ(Antigua and Barbuda)の首都セントジョンズ(St John&#39;s)の観光を終え、一路南(南東)に向かう。このアンティグア島(Antigua)を四角形の島と見做すと、左上から右下へ対角線を進む感じ。約17㎞、30分ほどで南海岸にあるファルマスハーバー(Falmouth Harbour)と云う町に到達する(下の写真1)が、その間緩やかな坂しかない。この島、最高峰は標高400mあるが、山は島の南西部に集中しているので、その以外の部分はフラットやわ。<br /><br />4時半前、ファルマス港(Falmouth Harbour)を回り込んで南に進むと、反対側(東側)にイングリッシュハーバー(English Harbour)が見えてくる。島の南海岸のほぼ中央に位置する深い入り江の湾。その西岸にあるのが世界遺産に指定されているネルソンズドッグヤード(Nelson&#39;s Dockyard)。英国海軍の造船所跡で、現存する最古の造船所とも云われる。<br /><br />ここは17世紀のイギリスの入植以降すぐに拓かれた海軍基地で、ハリケーンから逃れる重要な避難港としても重要だった。そこに1740年から本格的な艦船修理・維持施設が設けられ、19世紀後半にはかなりの規模となり、カリブ海における重要な施設となった。しかし、1889年に造船所は放棄され、以後は崩壊していった。<br /><br />それから半世紀以上経った1951年、地元のイングリッシュハーバー友の会(The Society of the Friends of English Harbour)によって修復が始まり、その10年後に一般公開された。2016年には「アンティグアの海軍造船所と関連考古遺跡群(Antigua Naval Dockyard and Related Archaeological Sites)」としてこの国初の世界遺産に登録された。現在は国際的なヨットハーバーにもなっている。<br /><br />公開にあたって、1805年のトラファルガーの海戦(Battle of Trafalgar)を指揮したホレーショー・ネルソン(Horatio Nelson)提督を記念することにして、現在の名前が付けられた。提督は海軍士官時代、26歳だった1784年から1787年にかけてこのドックヤードで副司令官として勤務し、約80㎞西にあるセントキッツ・ネイビス(Saint Kitts and Nevis)のネイビス島(Nevis)でプランテーションを営む家族の寡婦と結婚した後、イギリス本国へ帰国した。<br /><br />ドライバーの兄ちゃんがこの施設の入口の係員と知り合いと云うことで、有料だが顔パスでそのまま車で入場。一番奥の突堤まで進み、ここで待ってるから見てこいとのこと。造船所と云う言葉から一番連想されるドッグは残ってないが、18世紀後半に建てられたジョージア様式の建物などかつての設備がほとんど修復され、公開されている(下の写真2)。<br /><br />突堤の一番先に残るのはキャプスタン(Capstan)と云う船のもやい綱などを巻き取る、巻き胴が縦形の巻き揚げ機。1728年の初期段階に造られた。その隣に建つのがシーマンズギャレイ(Seaman&#39;s Galley)。1778年に建てられたもので、船が修理中に滞在している船員たちに提供する食事の調理室。現在はブティックとレストランとして使われている。<br /><br />その南側には海軍将校宿舎(The Officers Quarters Building)がある。1810年に建てられたもので、停泊中の軍艦の将校の宿泊所だったところで、2階に2部屋続きの部屋が並ぶ。現在はレストランやショップが入っている。この建物の南の岸は世界一過酷といわれるボートレースのゴール。アトランティックチャレンジ(Atlantic Challenge)と呼ばれるこのレースは1966年に始まった手漕ぎボートで大西洋を横断するレース。約4800㎞東のアフリカ大陸の北東部に浮かぶスペイン領カナリア諸島(Islas Canarias)のラゴメラ島(La Gomera)がスタートで、最短記録は2017年に樹立された29日14時間34分。現在はスコットランドのスカイ島(Skye)で作られるシングルモルトウイスキー、タリスカーウイスキー(Talisker Distiller)がスポンサーとなっている。<br /><br />海軍将校宿舎の(西)隣にあるコッパー&ランバーストアホテル(Copper and Lumber Store Historic Inn)は1789年に建てられたもので、1階に船舶修理用の銅板(Copper)と木材(Lumber)が置かれ、2階は船員たちがハンモックで寝れるスペースがある建物だった。カリブ海で最高のジョージア様式の建物とも云われ、イギリスからバラストとして積み込まれてきた黄色い煉瓦で建てられており、壁の厚さは90cm以上ある。現在は完全に修復され、ホテル&amp;レストランとして使われている。<br /><br />ホテルの西側にドッグヤード博物館(Dockyard Museum)があるが、海軍将校と書記官の家(Naval Officer&#39;s &amp; Cleak&#39;s House)だったもの(下の写真3)。1855年に建てられた。海軍司令長官の家(Admiral&#39;s House)とも呼ばれていたが、海軍司令長官が住んだことはない。1階にはドックヤードエリアで発見された遺物が、2階にはイングリッシュハーバーの軍事史に関するものが展示されている(下の写真4)。博物館の裏手の建物はベーカリー(Bakery)で今もオリジナルのオーブンでパンが焼かれている。このベーカリーがいつ建てられたかの情報は残ってない。<br /><br />博物館の西側にはノコギリ部屋と山小屋(Sawpit Shed and Cabin)が並ぶ。ノコギリ部屋は1769年築で、現在残る建物の中で一番古いもの。丸太が巻き上げられて小屋に入れられ、板や木材に切り分けられた。山小屋には鉛と石炭を保管するための囲いがあり、18世紀後半に鍛冶屋として使用されていた。<br /><br />ドッグヤードへの門(下の写真5)を挟んで北側にアドミラルイン(Admirals Inn)のバー&amp;レストラン(Pillar&#39;s Bar &amp; Restaurant)があるが、これは1778年に建てられたボートハウス兼建具師のロフト(Boat House and Joiner&#39;s Loft)で、建具師(Joiner)や旋盤工(Turner)の宿舎として建てられ、1階には消防車が置かれていた。また、門の手前に壁が続くが、これは1788年に建てられた倉庫兼エンジニア事務所(Pitch and Tar Store and Engineer&#39;s Office)で、2階が事務所で1階にコールタールピッチ(Pitch)やタール(Tar)などが保管されていた。今はアドミラルインのフロントと客室となっている。門の反対側(南)は1778年築の守衛宿舎(Porter&#39;s Lodge)。<br /><br />ここで折り返し北側の海際へ進むとサンセール・アンティグア(Sunsail Antigua)がある。イギリスに本社を置き、世界20ヶ所にベースを持ち、500隻以上の最新ヨットをチャーターしているサンセール社のアンティグアベース。この建物はボートハウス兼製帆工場(Boat House and Sail Loft)だったもので、1796年に建てられた。大きな石の柱が屋根を支えており、その間は水路となっている。この水路と柱は帆を船から吊り上げるために使用され、帆は製帆工場に運ばれていた。ただし、当時の屋根は1872年のハリケーンで失われ、現在のものはその後コンクリートで再建されたもの。この辺りから岸壁にはずらっとヨットが並んでおり、羨ましいものだ。<br /><br />岸壁を先に進むとある中庭をぐるっと囲む建物は索具・キャンバス倉庫(Cordage and Canvas Store)の跡。1778年から84年に掛けて建てられたもので、元々は2階建てだったが、崩壊が進み、1949年に2階が壊された。残っている1階部分に索具とキャンバスが保管されていた。<br /><br />最後、博物館やホテルと道を挟んだ北側にある土産物屋に。ここには1778年に3層3棟のマスト作業場(Working Mast House)が建てられた。現在の建物は、1843年に地震の被害を受け1階建てに変更されたものを復元して、1956年に建てられたもの。ここでアンティグア土産のTシャツなどを購入(18US$)。<br />https://www.facebook.com/chifuyu.kuribayashi/media_set?set=a.4494744333928889&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br /><br />30分ほどで観光終了、最後の観光ポイント、シャーリーハイツ(Shieley Heightse)に向かうが続く

アンティグア・バーブーダ ネルソンズドッグヤード(Nelson's Dockyard, Antigua and Barbuda)

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2020/02/23 - 2020/02/23

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旅行記グループ アンティグア・バーブーダ

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ちふゆ

ちふゆさん

2020年2月23日(日)4時前、この旅最後の訪問国、アンティグア・バーブーダ(Antigua and Barbuda)の首都セントジョンズ(St John's)の観光を終え、一路南(南東)に向かう。このアンティグア島(Antigua)を四角形の島と見做すと、左上から右下へ対角線を進む感じ。約17㎞、30分ほどで南海岸にあるファルマスハーバー(Falmouth Harbour)と云う町に到達する(下の写真1)が、その間緩やかな坂しかない。この島、最高峰は標高400mあるが、山は島の南西部に集中しているので、その以外の部分はフラットやわ。

4時半前、ファルマス港(Falmouth Harbour)を回り込んで南に進むと、反対側(東側)にイングリッシュハーバー(English Harbour)が見えてくる。島の南海岸のほぼ中央に位置する深い入り江の湾。その西岸にあるのが世界遺産に指定されているネルソンズドッグヤード(Nelson's Dockyard)。英国海軍の造船所跡で、現存する最古の造船所とも云われる。

ここは17世紀のイギリスの入植以降すぐに拓かれた海軍基地で、ハリケーンから逃れる重要な避難港としても重要だった。そこに1740年から本格的な艦船修理・維持施設が設けられ、19世紀後半にはかなりの規模となり、カリブ海における重要な施設となった。しかし、1889年に造船所は放棄され、以後は崩壊していった。

それから半世紀以上経った1951年、地元のイングリッシュハーバー友の会(The Society of the Friends of English Harbour)によって修復が始まり、その10年後に一般公開された。2016年には「アンティグアの海軍造船所と関連考古遺跡群(Antigua Naval Dockyard and Related Archaeological Sites)」としてこの国初の世界遺産に登録された。現在は国際的なヨットハーバーにもなっている。

公開にあたって、1805年のトラファルガーの海戦(Battle of Trafalgar)を指揮したホレーショー・ネルソン(Horatio Nelson)提督を記念することにして、現在の名前が付けられた。提督は海軍士官時代、26歳だった1784年から1787年にかけてこのドックヤードで副司令官として勤務し、約80㎞西にあるセントキッツ・ネイビス(Saint Kitts and Nevis)のネイビス島(Nevis)でプランテーションを営む家族の寡婦と結婚した後、イギリス本国へ帰国した。

ドライバーの兄ちゃんがこの施設の入口の係員と知り合いと云うことで、有料だが顔パスでそのまま車で入場。一番奥の突堤まで進み、ここで待ってるから見てこいとのこと。造船所と云う言葉から一番連想されるドッグは残ってないが、18世紀後半に建てられたジョージア様式の建物などかつての設備がほとんど修復され、公開されている(下の写真2)。

突堤の一番先に残るのはキャプスタン(Capstan)と云う船のもやい綱などを巻き取る、巻き胴が縦形の巻き揚げ機。1728年の初期段階に造られた。その隣に建つのがシーマンズギャレイ(Seaman's Galley)。1778年に建てられたもので、船が修理中に滞在している船員たちに提供する食事の調理室。現在はブティックとレストランとして使われている。

その南側には海軍将校宿舎(The Officers Quarters Building)がある。1810年に建てられたもので、停泊中の軍艦の将校の宿泊所だったところで、2階に2部屋続きの部屋が並ぶ。現在はレストランやショップが入っている。この建物の南の岸は世界一過酷といわれるボートレースのゴール。アトランティックチャレンジ(Atlantic Challenge)と呼ばれるこのレースは1966年に始まった手漕ぎボートで大西洋を横断するレース。約4800㎞東のアフリカ大陸の北東部に浮かぶスペイン領カナリア諸島(Islas Canarias)のラゴメラ島(La Gomera)がスタートで、最短記録は2017年に樹立された29日14時間34分。現在はスコットランドのスカイ島(Skye)で作られるシングルモルトウイスキー、タリスカーウイスキー(Talisker Distiller)がスポンサーとなっている。

海軍将校宿舎の(西)隣にあるコッパー&ランバーストアホテル(Copper and Lumber Store Historic Inn)は1789年に建てられたもので、1階に船舶修理用の銅板(Copper)と木材(Lumber)が置かれ、2階は船員たちがハンモックで寝れるスペースがある建物だった。カリブ海で最高のジョージア様式の建物とも云われ、イギリスからバラストとして積み込まれてきた黄色い煉瓦で建てられており、壁の厚さは90cm以上ある。現在は完全に修復され、ホテル&レストランとして使われている。

ホテルの西側にドッグヤード博物館(Dockyard Museum)があるが、海軍将校と書記官の家(Naval Officer's & Cleak's House)だったもの(下の写真3)。1855年に建てられた。海軍司令長官の家(Admiral's House)とも呼ばれていたが、海軍司令長官が住んだことはない。1階にはドックヤードエリアで発見された遺物が、2階にはイングリッシュハーバーの軍事史に関するものが展示されている(下の写真4)。博物館の裏手の建物はベーカリー(Bakery)で今もオリジナルのオーブンでパンが焼かれている。このベーカリーがいつ建てられたかの情報は残ってない。

博物館の西側にはノコギリ部屋と山小屋(Sawpit Shed and Cabin)が並ぶ。ノコギリ部屋は1769年築で、現在残る建物の中で一番古いもの。丸太が巻き上げられて小屋に入れられ、板や木材に切り分けられた。山小屋には鉛と石炭を保管するための囲いがあり、18世紀後半に鍛冶屋として使用されていた。

ドッグヤードへの門(下の写真5)を挟んで北側にアドミラルイン(Admirals Inn)のバー&レストラン(Pillar's Bar & Restaurant)があるが、これは1778年に建てられたボートハウス兼建具師のロフト(Boat House and Joiner's Loft)で、建具師(Joiner)や旋盤工(Turner)の宿舎として建てられ、1階には消防車が置かれていた。また、門の手前に壁が続くが、これは1788年に建てられた倉庫兼エンジニア事務所(Pitch and Tar Store and Engineer's Office)で、2階が事務所で1階にコールタールピッチ(Pitch)やタール(Tar)などが保管されていた。今はアドミラルインのフロントと客室となっている。門の反対側(南)は1778年築の守衛宿舎(Porter's Lodge)。

ここで折り返し北側の海際へ進むとサンセール・アンティグア(Sunsail Antigua)がある。イギリスに本社を置き、世界20ヶ所にベースを持ち、500隻以上の最新ヨットをチャーターしているサンセール社のアンティグアベース。この建物はボートハウス兼製帆工場(Boat House and Sail Loft)だったもので、1796年に建てられた。大きな石の柱が屋根を支えており、その間は水路となっている。この水路と柱は帆を船から吊り上げるために使用され、帆は製帆工場に運ばれていた。ただし、当時の屋根は1872年のハリケーンで失われ、現在のものはその後コンクリートで再建されたもの。この辺りから岸壁にはずらっとヨットが並んでおり、羨ましいものだ。

岸壁を先に進むとある中庭をぐるっと囲む建物は索具・キャンバス倉庫(Cordage and Canvas Store)の跡。1778年から84年に掛けて建てられたもので、元々は2階建てだったが、崩壊が進み、1949年に2階が壊された。残っている1階部分に索具とキャンバスが保管されていた。

最後、博物館やホテルと道を挟んだ北側にある土産物屋に。ここには1778年に3層3棟のマスト作業場(Working Mast House)が建てられた。現在の建物は、1843年に地震の被害を受け1階建てに変更されたものを復元して、1956年に建てられたもの。ここでアンティグア土産のTシャツなどを購入(18US$)。
https://www.facebook.com/chifuyu.kuribayashi/media_set?set=a.4494744333928889&type=1&l=223fe1adec


30分ほどで観光終了、最後の観光ポイント、シャーリーハイツ(Shieley Heightse)に向かうが続く

  • 写真1 ファルマスハーバー

    写真1 ファルマスハーバー

  • 写真2 ドッグヤード構内図

    写真2 ドッグヤード構内図

  • 写真3 博物館入口

    写真3 博物館入口

  • 写真4 博物館2階

    写真4 博物館2階

  • 写真5 ドッグヤード門

    写真5 ドッグヤード門

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