大館2日間　1日目「ブナと秋田杉」

2003/10/18 - 2003/10/19

実家に帰った時、居間に置いてあった旅行誌「るるぶ東北」。
何気に見ていたら世界遺産の白神山地についての情報も載っていた。

どちらかというと文化遺産を訪ねることが多く、自然遺産は正直興味なかったけど、記事を読んでいくごとに行ってみるのもいいかと思ってみた。紅葉の季節だし。

何でも大館能代空港から、白神山地のブナ林を散策する定期観光バスもあるらしい。
定期観光バスの催行期限もあったので、自宅に戻り早速、航空券を予約。
日帰りも可能だったけど、せっかくだから1泊する事にした。
次いで定期観光バスを運営している第一観光バスに問い合わせ。第一ツーリストの「白神山地・岳岱コース」を申しこみ、近所のJTBにて予約チケットを発行してもらった。事前予約で前払いとの事らしい。

順調に事が進んで旅行の準備完了も、宿が未だ決まらず。
気づいたのが出発3日前という事で、近隣の一人で泊まれる温泉宿はもちろん、ビジネスホテルも満室。焦る気持ちを抑えて探してたら、空きのある宿を発見して何とか宿も予約完了。
後で調べたら、予約した宿の場所は秋田と青森の県堺。
地図で見る限り、思いっきり山の中にある1軒宿だった。

【ツアー】
なし（個人手配）
現地ツアー　第一ツーリスト「白神山地・岳岱コース」
【日程】
07:20　EL445　東京羽田→大館能代
08:25　大館能代空港着
09:00　第一観光バス　大館能代空港→白神山地・岳岱コース
10:20　白神山地世界遺産センター 藤里館
11:00　岳岱自然観察教育林
13:30　釣瓶落峠
14:10　太良峡
14:40　峨瓏親水公園・峨瓏大滝
15:50　ゆとりあ藤里「健康保養館」　
16:00　第一観光バス　白神山地・岳岱コース→JR二ツ井駅
16:46　JR奥羽本線　二ツ井駅→陣場駅
17:29　JR陣場駅着
17:40　無料送迎車　JR陣場駅→日景温泉
17:45　日景温泉着
日景温泉泊

エリア 大館(秋田)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.5

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 観光バス ANAグループ JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

早朝の飛行機とあって前日、蒲田のビジネスホテル「アーヴェストホテル蒲田」にて1泊。JR蒲田駅に近く、部屋からは京浜東北線のホームの様子が伺えた。電車の走る音、構内アナウンス、ホームを歩く革靴の音。いつもと違う環境で寝るのもいいもんです。と言う事で目覚めの曲はJR蒲田駅の発車メロディ「蒲田行進曲」。
朝5時過ぎぐらいにチェックアウトを済ませ、まだ暗い商店街を抜け京急蒲田駅へ。羽田空港行きのホームには早朝便に乗る人たちでいっぱい。
蒲田にビジネスホテルが多いのもうなずける。当然ながらホテルサービスも競争なんだろうか、「アーヴェストホテル蒲田」も無料のネットやミネラルウォーターのサービスといった感じで良かったです。
電車に乗りしばらくすると羽田空港駅に到着。ドアが開くなり、我先にとホームを駈ける人々。空港の朝ってこんなもんなのか。
自分は出発まで時間がありましたので、ゆっくりでしたけどね。

京急蒲田駅 駅

やけに警備員が多いと思ったら米ジョージ・W・ブッシュ大統領が離日との事で、駐機場には米大統領専用機エアフォースワンがありました。あまりにも早朝とあって店も開いてなく仕方ないので、搭乗手続と手荷物検査を済ませて出発ゲートに。

羽田空港(東京国際空港) 空港

出発は飛行機までバスで移動。大館能代行きエアーニッポン445便の機種はBoeing 737-500(スーパードルフィン)。窓側の席とあって離陸してから、しばらく景色を堪能。都心を真下に見られるのも窓際席ならではかも。

機体が降下しはじめると眼下には真っ赤に染まった山並み。山間部の水田は幾何学模様に刈られた稲が見事。まさに芸術の秋で感動。米代川に沿い低空飛行。周囲の山に吸い込まれるかの様に大館能代空港到着。ちなみに気温は9℃でした。

空港出口で第一ツーリスト運転手の市川さんと、山岳ガイドの斎藤さんが待ってました。早速定期観光バスに乗り出発。途中、JR二ツ井駅やホテル等を経由しながら集客し、バスは白神山地世界遺産センターへ向かいます。

大館能代空港 (あきた北空港) 空港

白神山地世界遺産センター「藤里館」では、第一ツーリスト山岳ガイドの斎藤さんによる案内でブナや秋田杉に関する事柄、世界遺産登録までの経緯などの説明を聞きました。

白神山地世界遺産センター藤里館 美術館・博物館

館内には山岳警備員からのリアルな情報も掲示されていたり、白神山地に育つ草木や季節ごとのパネル、生息する動物の剥製など、白神の自然を紹介する情報がいっぱいでした。白神山地世界遺産センター「藤里館」をあとにして定期観光バスは藤琴川沿いの県道を北上し、いよいよ世界遺産の白神山地へ！

未舗装の山道をバスに揺られていくと、原生的ブナ天然林を開放した岳岱自然観察教育林に到着。ちなみに世界遺産登録地は一般人は立ち入り禁止なんだそうです。これには複雑な事情があってのコトで今も入山規制について議論が続いているらしい。「無制限に観光客が押し寄せれば白神の自然や森林生態系に影響が出るのは必至。」「古くから自然に触れ、共存してきたのに遺産登録によって地元の人も規制されるのは…」
自治体によっても対応は様々だけど、斎藤さんの話では遊歩道も登山道も無く営林署のベテラン職員すら入山を拒むぐらいだそうで、ひと峰越えたら方向も分からなくなるらしいです。

岳岱自然観察教育林 自然・景勝地

見渡す限りのブナの紅葉にホント圧倒だった。斎藤さんからブナの幼木や老木の説明を受けては皆して聞き入りました。

岳岱で一番大きいブナ

「兄弟ブナ」

苔と紅葉のコントラスト

歩きながら足元を見るとシートに保護されたブナの根が這ってた。

多量の水分を吸い上げる根を傷つけられたら、ブナの寿命は早いらしく、シートの無い遺産登録地に観光客が押し入れば当然ながら…。確かに入山規制も仕方ないと思った。

岳岱自然観察教育林での説明後、昼食のお弁当が配られます。俵御飯に焼鮭、きゃらぶき、杏子と言ったシンプルな内容ながら旨い。ブナ林に囲まれて食べるのも、いいもんです。

岳岱自然観察教育林から定期観光バスに乗り、県道を更に北上して青森との県堺にある釣瓶落峠へ。

釣瓶落峠 自然・景勝地

高台から見下ろす峠の紅葉は圧巻で、道路が出来るまでは秘境だったらしく手付かずの自然が残ってました。

赤や黄色の紅葉に混じり所々に、天然秋田杉の緑があって何とも綺麗です。

峠の帰り道に立ち寄ったのが太良峡。白神山地から湧く渓流を集めた峡谷美は、巨岩と紅葉が調和し、静寂とした自然って感じでした。気温の低い渓谷だからこそ色付きが鮮やかなのだそうだけど、斎藤さんが言うには、冷夏でなければもっと綺麗だったらしい。

太良峡 自然・景勝地

県道に沿って湯ノ沢温泉近くの峨瓏親水公園に。藤琴川に注ぐ支流を進み、紅葉する木々を抜けると峨瓏大滝が見る事が出来ました。峨瓏峡の沢から流れ落ちる30ｍの滝の水には木漏れ陽があたりキラキラと輝いてました。

峨瓏大滝 自然・景勝地

今回参加した「白神山地・岳岱コース」は、ツアー最後に温泉入浴が付いており、湯ノ沢温泉にある、第3セクター藤里開発公社で運営している「ゆとりあ藤里館」へ。日帰り入浴の出来る健康保養館では打たせ湯や歩き湯、圧注浴などもありました。大きな湯船からは窓一面に白神山地が一望と眺めも最高でした。

湯の沢温泉　ホテルゆとりあ藤里 宿・ホテル

JR二ツ井駅にて解散した後、奥羽本線で一路大館へ。翌日の大館散策の情報収集と空港行きのバスも確認。観光案内所は閉まっていたけど、大館は見所がいっぱいあるようで、秋田名物きりたんぽの本場との事。大館駅から再び奥羽本線に乗って2つ先の陣場駅へ。無人駅らしく降りたのも自分だけでした。駅を出ると予約した宿の車が待ってました。しばらく走る街道を曲がると、山へ向かう昇り道。凄い場所に来たもんだ。

二ツ井駅 駅

予約した宿に着いた。携帯電話はもちろん圏外。建物の雰囲気といい現代社会とは隔離された秘境の宿に旅の醍醐味を感じます。それに硫黄の香りが何とも温泉宿らしかった。1件宿とはいえ複数の棟から成り立っていて、部屋まではまるで迷路の様でした。食事の用意が出来たとの事で広間に行ってみると、岩魚、鯉、むかご、じゅんさい、とんぶり…思っていた以上に充実した食事に満足。食後はもちろん温泉へ。普段の生活をも忘れる癒しの時間にしばし浸ってました。

日景温泉 宿・ホテル