カリラヤ日本人戦没者慰霊祭《フィリピン紀行(15)》

2015/08/15 - 2016/08/15

毎年、終戦記念日の8月15日に、マニラから70km離れたカリラヤの日本人戦没者慰霊園（Japanese Memorial Garden）で慰霊祭が行われます。
私も在比中に2回出席させていただきました。　
霊園内はきれいに整備されていますが、周辺のジャングルや溶けそうな暑さを現地で体験すると、激戦の果てに亡くなられた50万人の日本兵、そして100万人以上のフィリピン人犠牲者の悲しみが迫ってきます。

エリア ルソン島(フィリピン)

Caliraya Japanese Garden


マニラから70kmほど離れたラグナ州にあり、高速道路をおりてからも舗装道ですがカラリア湖畔を周回する田舎道のため、車で3時間から3時間半ほどかかります。
2016年に上皇上皇后両陛下が訪比された際にはマニラからヘリコプターで向かわれました。

途上のサリサリストア


生活に必要なものが揃っている小間物屋のサリサリストア。
マニラのような大都市にも小さな村にも欠かせない店ですが、治安が悪いマニラのサリサリが鉄格子越しに売り買いするような厳重さに比べて、田舎のサリサリは随分オープンな店構えです。

コンビニがない町でもサリサリは軒を並べている


洗濯洗剤もスナック菓子も小さい小袋が5連や10連に繋がったパックで店先に吊るされていて、1袋ずつ買っていきます。
近所付き合いの信頼関係で、ツケ払いができるというのも特徴。
大袋の方がお得という考え方がないというよりも、まとめ買いできる所得水準に達しない庶民が多い現状もあります。

マニラを離れると日本の街並みに似てくる


傾いたトタン貼りの家は日本ではあまりないかもしれませんが、マニラの鉄格子の中の家やゴミに埋まった家の窮屈さがなく、公道沿いでも随分オープンな構えが日本にいるときのような感覚になってきます。

大きなカリラヤ湖が見えてきました

慰霊祭に向かう少し沈んだ気持ちが、平和な風景で和みました

カリラヤ湖（Lake Caliraya)


周囲150kmの大きな人造湖です。

ヤシの木が美しく、高級リゾート地らしさも感じますが…

ジャングルであることを再確認


開発されていない土地ではジャングルの様相。
この日は「戦地」というワードが頭にあるため、この森の中を彷徨う人たちが浮かびます。

公園への橋を渡りました

カリラヤ日本人戦没者慰霊園（Japanese Memorial Garden）


昭和48年に建立され、フィリピン及び近海で亡くなった51万8千人の日本人兵を慰霊しています。

公園案内図


在フィリピン日本国大使館作成
https://www.ph.emb-japan.go.jp/files/000497522.pdf

マニラからの道々、知り合いの車が前後に繋がるように集まってきました

毎年250～300人の在留邦人と日本からのご遺族が集まります

広大な霊園内


日頃はあまりひと気もない園内かと思いますが、きれいに手入れされています。

静かで美しい園内です

大きな木を見ると、整備される前の地域の鬱蒼とした森を想像します

とても静かで、平和

慰霊碑のある丘へ

雨季の8月は暑くだるい


湯気が立ち込めているのではないかと思うぐらいの蒸し暑さ。溶けそうです。
黒い礼服を着ている方も多く、私もジャケットとパンツを着込んでいます。絞ったらざっと水が滴り落ちるのではないかと思うほど。
ここでも、これがもっと厚い軍服やブーツだったら…と今日は思ってしまう。

慰霊祭会場

在比日系企業や団体からの花輪

慰霊碑


遺骨箱を象った白い御影石が大石の上に安置されています。両脇には日本国旗とフィリピン国旗。

献花の白い菊の花

慰霊祭が始まりました


戦死された日本人兵を悼み、また少なからず日本人によって犠牲になった100万人以上のフィリピンの方々にも言及する追悼の辞になりました。
上皇陛下もこの霊園に慰霊にいらして日本人が慰められたと同時に、フィリピンの無名戦士の墓も拝礼されて、多くのフィリピン側の方々の心も救われたと聞きました。

日本人会、日本人商工会議所などの代表が献花

参加者ひとりひとりの献花が始まります

8月15日が日本にいる時よりももっと重く、近い日になりました


2020年はコロナ禍の中でカリラヤでの慰霊祭は断念、大使館内で日本人会会長らと執り行われ、その模様はFacebookなどで同時配信しながら黙祷を呼びかけるそうです。

2年目、2016年の8月も雨季のねっとりした空気の中の慰霊祭でした