2020/06/01 - 2020/06/27
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ばねおさん
コロナウイルスによる感染状況からフランス全土が色分けされ、危険度の高いレッドゾーンにされていたパリ(イルドフランス)にもオレンジ色を経てグリーンになる日がやってきた。
信号に例えれば、長い赤信号が黄色となり、やっと青色(緑)に切り替わった感じだ。
(本当の信号は 青色→黄色→赤色の順だが)
6月2日のカフェ等のテラス席再開を皮切りに、公園の開放、ミュゼの順次再開、EUの国境閉鎖解除など予想を上回る早さで次々に規制が緩和され、22日からは映画館が再開されるまでに至った。
もちろんすべてが無条件ではなく、かってと同じ日常が戻った訳ではないのだが、義務化された場所以外のマスク着用は激減し、周囲をみるといかにも無防備な人の多さに驚くばかり。
コロナウイルスなんかどこ吹く風といった行動には唖然とするほどである。
今でも日々新たに数百人の感染者と、数十人の死者を数えている中で、こんなに緩やかで大丈夫なのか?とつい思ってしまう。
TVはそうした懸念を討論やら専門家の話やらの形で伝え、「お家に居てね」の代わりに「慎重にね」のテロップが常時表示されているが、どうみても人々の意識と行動は二分化されている。
外見上はマスクする派としない派である。
2か月間の我慢生活。あれは何だったんだろうと言いたくもなるが
いつまでも慎重居士を決め込んでいる訳にもいかず、恐る恐るながら新たな日常の一員として現実社会と折り合いをつけていかなければならない。
とりあえず、ここで目まぐるしかった6月のおさらい。
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
6月2日からはカフェやビストロなどの飲食店がテラス席に限定して営業可となった。
中には準備に間に合わなかったり、もともとテラス席がなかったりで
不平等だという声もあれこれ出てきたようだ。 -
ということもあって、歩道の一部や店の前の駐車区画を9月までは独占的に使用してもよいことになり、あちらでもこちらでもさまざまな工夫がみられる。
こちらはとりあえず自店の前のスペースは確保しておこうというつもりだろうか
塀のような囲いを設置してあとは椅子テーブルを並べるばかりの態勢だ。 -
こちらはつましくと言おうか、苦肉の策
店頭の歩道上に数脚の椅子とテーブルを並べ
ここは店内ではありません!をアッピール
これなどはとても遠慮深いやり方で、中には1m足らずの歩道上に椅子テーブルを並べて歩行者は車道を通るような羽目になっている例がいくつもある。 -
モンパルナス駅前のカフェ
テラス席があるのに、さらにその外側の歩道に椅子テーブルを並べている。
これって拡大解釈じゃないの?と思ってしまう。
強欲な経営者とみるべきか、切実な状況と同情すべきか -
サンジェルマンデプレのドゥ・マゴも歩道上にテント型の本格的なテラス席を増設。
天候の変化が激しい今の季節、風雨に耐えられるような造作になっている。
ここは歩道も広いし、周囲の景観ともうまく馴染んでいる。
さすが老舗と評すべきか -
ドゥ・マゴと並び称されるフロールは以前と変わらぬ佇まいのようにみえる。
-
こちらはオペラ通り
ピラミッド駅前で歩道に椅子テーブルを展開
メトロの利用客の邪魔ではないかと思うのだが
考えたらピラミッド駅自体がまだ閉鎖中なのかもしれない
テラス席の醍醐味のひとつは通行人の人間観察にあるが、今のところこうした中心地の人出はさほど多くない。
在宅勤務が多くなったためか、コメルスのような住宅街のカフェのほうがはるかに賑わっている。 -
3日、マドレーヌ寺院近くまで買い物に出かけた帰り道、ルーヴル前でバスに乗ろうとリヴォリ通り沿いに歩いてみた。
観光客はもちろんいないし、ホテルも店も閉まっていて、ずっと先まで見通せるほど人影がない。 -
普段なら観光客で混みあうこの通りを利用することは滅多になく、そもそもどういう店があるのかすらよく知らないのだが、陶磁器を扱う店があり、セーヴル焼きが多数陳列されているのに驚いた。
だが、よくみるとセーヴルではなくリモージュの表記であった。
自分のような素人には一見してセーヴルとリモージュの見分けがつかない。 -
セーヴル焼き生産地はパリ郊外にあり、市内からのアクセスもよい。
トラム Musée de Sèvres の駅前に国立陶磁器美術館があり、その裏手に製造工場がみられる。
写真は2019年2月に訪れたときのもの。 -
-
もともとポンパドゥール夫人の居館であったこの美術館には、古今東西の陶磁器5万点を収蔵している。
その分量には圧倒されるが、その内セーヴル焼きは2千点であるという。
この数量の対比にはちょと意外感がある。 -
美術館の裏手には国立の製造工場があり、限られた数しか生産せず、そのほとんどが公用に供されると聞いていたので、セーヴルがどのくらいの価格で流通しているのか興味があったのだが、リヴォリ通りの店に並んでいたのは全てリモージュのようであった。
もっとも希少なセーヴルが無防備に店頭に陳列しているのも考えにくいことなのでそれだけで判断できると言えるのかもしれない。 -
リヴォリ通りを進み、ジャンヌダルクの金の騎馬像を見て右折し、チュイルリー庭園の横を通ってカルーゼル庭園へ。
カルーゼル庭園にはマイヨールの作品が18体置かれていて、これだけでも鑑賞に時間が必要だ。 -
イチイの生け垣の間にあるマイヨールの裸婦像を撮って
あとから写真を確かめたところ、意図したわけではないのに
向こうに似たような姿態の女性が映っていた -
先月も写真に収めたカルーセル凱旋門
今回は反対側から -
カルーゼル凱旋門の中を通過
上を見上げたら、なんとツバメが巣を作っていた。
毎年、ここに巣作りをしているのか
あるいは人の往来が絶えたので今年はここに決めたのか
事情は分からないがレリーフの凹凸を利用して
よくみるといくつもある -
6日は76回目のD-day
すなわち1946年6月6日、連合軍がノルマンディー上陸作戦を決行した日だ。
この日を境に連合軍はナチス・ドイツに反攻に転じ、ついにパリを解放した記念すべき日だ。
ノルマンディーの上陸記念碑で行われる式典はコロナウイルスの影響で今年は最小の規模で執り行われたことを報じていた。 -
この日からは市中の公園が開放された。
どんな様子かと近くの公園の様子を見に行ったところ
いましたいました、そこかしこに寝そべるひとたちが
一見するとまだまだ空間があるように思えたが、これは一定の距離を置くという新たなマナーの表れ
とにかくDNAのなせる業なのか、日光浴というものをこよなく愛する人々
どこに行っても寝そべる姿がある -
6月7日は今年の母の日
フランスでは5月の最終日曜日が母の日となっているのだが、今年は聖霊降臨祭の祝日にあたるため、同じ日にふたつの祝い事をしないということもあって一週間移動となったもの。
日本では5月の第2日曜日と決まっているが、母の日は世界中にあっても祝う日は国ごとにだいぶ異なるらしい。 -
母の日のプレゼントの花を買い求める人たちでどこの花屋さんも行列ができていた。
近所の花屋さんもこのように順番待ちのひとが列を作っていた -
マルシェの花屋さんも大人気
街の花屋さんはセット商品が多いが、こちらは自由にアレンジしてもらえるし、比較すると値段も安い。 -
こうして花束を手に歩く姿を至る所で見かけるのは
5月のスズランの日以上かもしれない
ちなみに日本ではカーネーションが昔から定番のように思うが、フランスでは多種多様。 切り花だけでなく鉢植えも多い。
やはり贈られる人の好みに合わせてアレンジするのが一番 -
6月10日は再開されたヴェルサイユ宮殿へ出かけた。
フランスを代表する人気観光場所でありながらまだ行ったことがなく
恥ずかしながら今回が初ヴェルサイユ。
何でもたいへんな入場待ちの行列と聞いていて尻込みしていたのだが
今は感染対策のため事前の時間予約制のみで、一時間の予約人数は400人であるとのこと。
それであればよかろう、ということになって早速実行。 -
Javel駅で飛び乗ったRER C号線であったが、本来行きたかった Versailles Rive Gauche ではなく、 Versailles Chantiersへ着いてしまった。
どちらからでも行けるのだが、Versailles Chantiersからだと距離がある。
しかも途中、道を間違え20分の行程を30分以上かけてようやく到着。
さらに眼前には予想外の行列。 -
ものの本によると朝一番がお勧めとのことだが、目下のところ混雑時の電車利用には証明書が必要であるため、移動時間を計算して11時を予約。
到着したのが11時25分、列に並んでいる人はほとんど12時の入場パス。
したがって11時パスの保持者が優先されるだろうとダメ元半分で列の先頭に行き、係員に掛け合うもあえなく却下。
やむなく最後尾に並んだが、10分くらいで入場はできた。 -
一応持参したコンデジで興味のあるところを撮ったのだが、しまいに飽きてしまった。
何も今さら自分が写真を並べずともたくさんの優秀な案内書や旅行記がある、と思うのでこれ以外はすべてカット -
一通り宮殿内の見学コースをたどり、庭園に出て眺めたところ
とにかくはるか彼方まで続いている
プチトランを利用すべきか迷ったが、せっかくなので歩いてみることにしたが
結論として歩いて回るのは無理、と最後に分かった。 -
歩き疲れ、腹も減って
目星をつけておいたレストラン La Flottile へようやく到着。
ところがこちらも入店待ちの順番
席は空いているのだが、ひとつづつ空席を設けているため半数しか入れない
それでもウエイターたちは対応しきれないほどの忙しさ
どうやら外部から自由に出入りできる庭園にあるので見学者以外の利用客も多い様子だ。それに園内の飲食を供する店の多くがまだ稼働していないらしい。 -
それでも10分ほどで案内され着席。
空腹の10分は長い。
注文したのは、その日のおすすめであったサーロインにフリットが添えられた定番料理。
感想を言えば可でもなく不可でもない程度。
まあパリ市内に比べれば安いのが取り柄か
肝心の料理の写真は撮り忘れたので、もらってきたメニューを参考までに -
帰路で利用したVersailles Chateau Rive Gauche駅
ベルサイユ宮殿入り口から徒歩10分足らずの距離なので、来た時の Versailles Chantiers駅と比べると、やはり断然こちらを利用すべきだ
但し、間違えて Versailles Chantiers へ行っても徒歩時間が異なるだけなので心配ご無用 -
来た時も空いてはいたが、帰りの車内はガーラガラ
ヴェルサイユの感想はというと、ただやたらに広い
反省点は、先人の旅行記に目を通して行くべきだったということ -
15日にはEUの国境封鎖が解除になり、基本的に往来が自由となった。
これで多少の観光産業の潤いがあるのだろうか -
18日は1940年の今日、ドゴール将軍が亡命先のロンドンから仏国民に対し、ナチス・ドイツへのレジスタンス(抵抗)を呼び掛ける有名な演説を行った日として記念されている。
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80年の節目となるこの日、マクロン大統領が英国を訪れて記念の式典が執り行われた。
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英仏空軍のアクロバット飛行チームがドゴール将軍の対独抵抗演説80年を記念し、ロンドンとパリで儀礼飛行を行ったとニュースが報じていたが、同日の昼過ぎ、偶然にも自宅の部屋からこの飛行を目撃していた。
近づいてくる聞きなれない大きな飛行音に何事だろうと思い、外をみると向かいのアパルトマンの住民たちが空に向かって何やら指をさしているのが見えた。
中にはスマホらしきものを構えているひともいる。
自分もベランダに飛び出し、指さす方向をみると軍用機の編隊が近づいていた。
あわててコンデジを掴んで引き返したが、すでに編隊が眼前を通り過ぎるところであった。
カメラを起動しズームにして構えた時点では、遠ざかる姿しかとらえられず、まあコンデジの限界だった。
撮影時刻をみると12:28。
8機づつの2編隊飛行で、見事なフォームが印象的だった。 -
6月21日は音楽の日(Fête de la Musique)
年一回の慣例の大イベントで、イベント会場だけでなく街の至る所であらゆる音楽、踊りが繰り広げられるフランスの国民的行事だ。
今年は例年のような騒ぎはあるまいと思っていたが、この密集ぶり。
マスク姿はほぼ皆無 -
パフォーマンスを繰り広げる街も人で溢れかえっている
ソーシャルデスタンスって何のこと?という世界
群衆の中にあるのは、パトカー? -
そして最後にはお決まりの警察の実力行使
うーん、ここまでこうなるか? -
マニフェスタシオンも毎週のように各所で行われている。
こちらは16日にあった医療従事者の抗議活動だが、最後は警察の実力行使となって解散している。
医療従事者とは無関係な扇動家が紛れ込んで、行進の列の中から投石をしたり、破壊活動をしたりしているということが言われている。 -
一方でその警察官もシャンゼリゼをパトカーでデモをしたり
手錠や警察の腕章を路上に放棄するようなパフォーマンスを各所で繰り広げている。 -
こちらは工場閉鎖や人員整理のルノーの従業員たちと支援者の抗議活動。
マニフェスタシオンはパリの名物と言うひともいるが、名物という表現はしっくりしない。それにパリに限った話でもない -
産業のダメージもさまざまな分野に及び、1886年創業の高級食品店のFAUCHONも倒産してしまった。
-
そうした中、映画館が22日に再開された。
多くのフランス人、特にパリジャンにとってカフェとシネマは生活を構成する不可欠な要素だ。
どこの映画館だろうか、エマニュエル・ドゥヴォス (Emmanuelle Devos) が挨拶に登場したという。
この人が出演しているというだけでその作品を見てみたいと思わせる存在のひとりだ。
映画は見たいが、まだまだ映画館へ足を運ぶ気はしない。 -
考えてみれば、映画製作もマスク姿で演じるわけにはいかないだろうと思っていたら、映画のキスシーンがOKになったとのニュースが26日報じられた。
その手前の握手やハグも撮影上はOKということだろうか。
パリ市からは全市民に再利用可能なマスクが無償で支給され、外国人である自分も簡単な手続きで得ることができた。
但し、無償でいただいて失礼ではあるが、カモノハシを連想してしまうこのマスクを着用しようと思わない。
有名ブランド製のものが欲しいとは言わないが、やはり着用しやすく誰もが手に取るようなものがいいと思うのだが、この辺りの事情は予算故か役所の限界か -
パリがまだ赤信号であった頃は、多くのひとがマスクをしていたが
それでもこの形状のマスクはあまりお目にかからなかった。
やはりフランス人にも不人気なのだろうと思っていたら、Félix Faure の洋装店のショーウインドウに飾られているフレンチブルに着けられているのを発見した。
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