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奈良県生駒郡安堵町は、法隆寺のある斑鳩町の南東部に隣接する町で、江戸時代初期は綿や藺草の栽培が盛んな純農村地帯でしたが、天保年間(1830年~1843年)には、大和川水運の拠点として舟問屋を中心にあらゆる商店が軒を連ねる町並みが形成され、半農半商の在郷町的な川湊町へと発展しました。<br /><br />この地域は、富雄川、岡崎川などの支流が大和川と合流する奈良盆地で最も低い場所で、古くから水害に悩まされていたため、江戸時代に、西安堵、東安堵、笠目、窪田、岡崎の五か村で大和川の水利権を含めた広域防災協定である「五ヶ村勘定」が結ばれましたが、これを礎として、明治時代に安堵町として合併しました。<br /><br />現在の安堵町には、この地方独特の建築様式である大和棟の民家が点在する町並や、室町時代の環濠住宅の形式を今に伝える旧家などが残っていて、落ち着いた農村集落の風情をたたえています。<br /><br />安堵町を貫流する岡崎川の南側に位置する窪田地区には、二重の濠に囲まれた中家住宅を中心とする環濠集落があります。<br /><br />中家は、現在の三重県鈴鹿市で足立氏と称していた土豪で、足利尊氏に従って大和に入り、窪田姓を名乗ってこの地に居を構えたのを始まりとして、明徳2年(1391年)に名を窪田中氏と改めて岡崎、窪田、笠目の地を拝領し、大和国の戦国大名の筒井一族の武士となって活躍した旧家です。<br /><br />中世の典型的な環濠邸宅の構えを伝える中家住宅は、表門、主屋、新座敷、各種蔵、牛小屋、持仏堂などの建物がある屋敷を外濠と内濠の二重の濠が取り巻き、外濠と内濠の間には鬱蒼とした竹藪が茂っています。

2020 安堵町散歩(窪田)

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2020/02/03 - 2020/02/03

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nao

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奈良県生駒郡安堵町は、法隆寺のある斑鳩町の南東部に隣接する町で、江戸時代初期は綿や藺草の栽培が盛んな純農村地帯でしたが、天保年間(1830年~1843年)には、大和川水運の拠点として舟問屋を中心にあらゆる商店が軒を連ねる町並みが形成され、半農半商の在郷町的な川湊町へと発展しました。

この地域は、富雄川、岡崎川などの支流が大和川と合流する奈良盆地で最も低い場所で、古くから水害に悩まされていたため、江戸時代に、西安堵、東安堵、笠目、窪田、岡崎の五か村で大和川の水利権を含めた広域防災協定である「五ヶ村勘定」が結ばれましたが、これを礎として、明治時代に安堵町として合併しました。

現在の安堵町には、この地方独特の建築様式である大和棟の民家が点在する町並や、室町時代の環濠住宅の形式を今に伝える旧家などが残っていて、落ち着いた農村集落の風情をたたえています。

安堵町を貫流する岡崎川の南側に位置する窪田地区には、二重の濠に囲まれた中家住宅を中心とする環濠集落があります。

中家は、現在の三重県鈴鹿市で足立氏と称していた土豪で、足利尊氏に従って大和に入り、窪田姓を名乗ってこの地に居を構えたのを始まりとして、明徳2年(1391年)に名を窪田中氏と改めて岡崎、窪田、笠目の地を拝領し、大和国の戦国大名の筒井一族の武士となって活躍した旧家です。

中世の典型的な環濠邸宅の構えを伝える中家住宅は、表門、主屋、新座敷、各種蔵、牛小屋、持仏堂などの建物がある屋敷を外濠と内濠の二重の濠が取り巻き、外濠と内濠の間には鬱蒼とした竹藪が茂っています。

同行者
一人旅
交通手段
自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 安堵町窪田にやって来ました。

    安堵町窪田にやって来ました。

  • こちらのお屋敷は、中世の典型的な環濠邸宅の構えを伝える中家住宅で、見えているのは表門になります。

    こちらのお屋敷は、中世の典型的な環濠邸宅の構えを伝える中家住宅で、見えているのは表門になります。

  • お屋敷には外濠と内濠の二重の濠が取り巻いています。

    お屋敷には外濠と内濠の二重の濠が取り巻いています。

  • 現在、外濠の南部分は無くなっていますが、こちらの、4周にめぐらされた内濠は完全な姿で残っています。

    現在、外濠の南部分は無くなっていますが、こちらの、4周にめぐらされた内濠は完全な姿で残っています。

  • 内濠に架かるはねあげ橋は、中央部に木材が使われており、非常時にはこれを落とすことで外敵の侵入が防げる構造になっています。

    内濠に架かるはねあげ橋は、中央部に木材が使われており、非常時にはこれを落とすことで外敵の侵入が防げる構造になっています。

  • 表門内部の様子です。<br /><br />なお、中家住宅には今も子孫の御家族が住んでおられるので、内部の見学は前日までに予約が必要だそうです。

    表門内部の様子です。

    なお、中家住宅には今も子孫の御家族が住んでおられるので、内部の見学は前日までに予約が必要だそうです。

  • 予約が必要だとは知らなかったので、この日は表門から見える範囲だけ撮影させていただきました。

    予約が必要だとは知らなかったので、この日は表門から見える範囲だけ撮影させていただきました。

  • 万治2年(1659年)頃の建築とされる主屋は、煙り出しの越屋根のある大和棟の建物になっています。

    万治2年(1659年)頃の建築とされる主屋は、煙り出しの越屋根のある大和棟の建物になっています。

  • 主屋の右手にあるのが安永2年(1773年)に建てられた新座敷です。<br /><br />新座敷は特別な来客の際にのみ使用されたそうで、洪水に備えて建物の高さは主屋より数段高く造られています。

    主屋の右手にあるのが安永2年(1773年)に建てられた新座敷です。

    新座敷は特別な来客の際にのみ使用されたそうで、洪水に備えて建物の高さは主屋より数段高く造られています。

  • では、濠に沿ってお屋敷の外周を歩きます。

    では、濠に沿ってお屋敷の外周を歩きます。

  • 左が表門、真ん中が主屋、右が新座敷になります。

    左が表門、真ん中が主屋、右が新座敷になります。

  • 主屋は本瓦葺きなので・・・

    主屋は本瓦葺きなので・・・

  • 煙り出しの越屋根も本瓦葺きで仕上げられています。

    煙り出しの越屋根も本瓦葺きで仕上げられています。

  • 手前左が表門、右が新座敷で、右奥に見えているのは新蔵になります。

    手前左が表門、右が新座敷で、右奥に見えているのは新蔵になります。

  • 内濠に架かるはねあげ橋の方を見た光景です。

    内濠に架かるはねあげ橋の方を見た光景です。

  • 濠の水面に映る土塀。

    濠の水面に映る土塀。

  • では、東側の外濠へ向かいます。

    では、東側の外濠へ向かいます。

  • 東側の外濠と内濠の間に茂る竹藪。

    東側の外濠と内濠の間に茂る竹藪。

  • こちらは北側の竹藪です。

    こちらは北側の竹藪です。

  • 北側の外濠に花を落とす藪椿。

    北側の外濠に花を落とす藪椿。

  • 藪椿は花の形のまま落ちるので、花びらを「散らす」と言うより、「落とす」の方がしっくりきます。

    藪椿は花の形のまま落ちるので、花びらを「散らす」と言うより、「落とす」の方がしっくりきます。

  • 西側の竹藪越しに見えているのは持仏堂庫裏の茅葺屋根です。<br /><br />真冬だと言うのに、ススキの穂が残っています。<br /><br />これも暖冬の影響なんでしょうか・・・。

    西側の竹藪越しに見えているのは持仏堂庫裏の茅葺屋根です。

    真冬だと言うのに、ススキの穂が残っています。

    これも暖冬の影響なんでしょうか・・・。

  • 中家住宅を過ぎて、南側の窪田の町並みに来ました。

    中家住宅を過ぎて、南側の窪田の町並みに来ました。

  • 白と黒の漆喰を塗籠めた民家です。

    白と黒の漆喰を塗籠めた民家です。

  • こちらの民家の塀には、卯建のようなしつらえがなされています。

    こちらの民家の塀には、卯建のようなしつらえがなされています。

  • 「安」の字を図案化した町章が中央に配置されている、安堵町の汚水桝の蓋。

    「安」の字を図案化した町章が中央に配置されている、安堵町の汚水桝の蓋。

  • 窪田の町並みです。

    窪田の町並みです。

  • こちらの民家は、玄関回りに下見板張りが施されています。

    こちらの民家は、玄関回りに下見板張りが施されています。

  • 安政7年(1860年)建立の太神宮常夜燈。<br /><br />左に並んでいるのは牛頭天王常夜燈です。

    安政7年(1860年)建立の太神宮常夜燈。

    左に並んでいるのは牛頭天王常夜燈です。

  • 大和棟の主屋のあるお屋敷です。

    大和棟の主屋のあるお屋敷です。

  • 屋敷内のほとんどの建物の屋根は金属板で葺き替えられています。

    屋敷内のほとんどの建物の屋根は金属板で葺き替えられています。

  • そんな中でも、主屋の大和棟の緑青が良いですね。

    そんな中でも、主屋の大和棟の緑青が良いですね。

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