1985/05/07 - 1985/05/07
1655位(同エリア8651件中)
ころたさん
自粛自粛自粛! これじゃ旅行記なんて書けない。
こんな時は古い思い出に浸るのだよ。で、今夜はアメリカ駐在時に巡ったJazz Clubやコンサートに想いを馳せる事にした。
「遥か35年前の思い出なんて、これから旅行する人には何の参考にもならん!」
ですよねぇ。でも、まあジジイの思い出話ってことでお聞き流しを。。。
- 旅行の満足度
- 5.0
PR
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自粛の嵐の中、4Tの猛者達は批判を掻い潜ってお盛んにご活躍されていて何よりだが、俺っちは意外にいい子なのでヒッキーを決め込んでいる。人様に迷惑掛けてまで出かける気はないので。。
なので時間旅行・記憶旅行と決め込む。まずは我が街、Huntington Beach。いい街だったよ。広いビーチ、きれいな海、治安もいいし飲み食いに不自由しない。海の水は冷たかったので、ビーチで寝っ転がっているだけで泳いだ記憶はない。ピアの上から釣り糸を垂らしながらノンビリ海を見て過ごす。ちなみにほぼ釣れない。。。ハンティントン ビーチ ピア 観光名所
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今回のテーマの音楽と言う観点から見ると、ビーチサイドにいくつかのライブハウスがある。Jazzではない。当時の超有名所といえば、Golden bearと言うウェストコーストサウンドのメッカ。カラパナとか聞いたことあるでしょ。彼らの拠点だった。
俺の趣味からはちと外れていたので、行った事はない。Golden Bearはずいぶん前にクローズしたようだ。(この写真は別の店)ハンティントンビーチ ビーチ
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そう、LAエリアには意外にJazz Clubは少ないのだ。今でも数えるほどなので、JazzのメッカNYとは比べ物にならない。たぶん当時の東京の方が充実していた。新宿タロー、六本木Pit Inn、サテンドール、銀座スウィング。。。よく行ったなぁ。
Jazzの本場に行けるぞ!と楽しみにして渡米した俺にとっては、あれっという感じ。それでもいいClubを見つけようと奮闘する。なんせネットも何もない時代。頼りは電話帳と口コミだ。まだたどたどしい英語でそれっぽい店に電話を掛けて「何をやってるの?」と聞くと、ほとんどはロック、カントリー、コメディ、ストリップ。。。
10何軒目かで電話したのがノースハリウッドのBaked Potateだ。
「今夜はBunny Brunelだよ。」
バニー・ブルネル? 1979年のLive Under the Skyでチック・コリアが連れてきたブルネル? アル・ディメオラ、トニー・ウィリアムスとのカルテットでスペインを弾きまくったブルネル?
この年のLive Under the Skyはまさに伝説だった。雨の田園コロシアムとして語り継がれLive版もベストセラーとなったV.S.O.P.。チックとハービー・ハンコックのデュオ、ブラジル人プレーヤーを従えた全盛期のナベサダ。あの場に立ち会えた幸福感を何て伝えればいいんだ。V.S.O.P.のラスト、ずぶ濡れになりながらソロを取るウェイン・ショーターのプレイで俺は号泣した。隣にいた見ず知らずのあんちゃんと二人、抱き合って泣いていた。
そんな経験、ある?ベイクド ポテト ナイトライフ
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「行く行く!何時から?そこはどこ?」
場所はユニバーサルスタジオのノースハリウッド側。ここから60km、車で1時間半ってとこ。ポンコツサニーに飛び乗りフリーウェイでひとっ飛びだ。辿り着いたのがこんな所。田舎町じゃん!
まだ明るさの残る夜8時に店に飛び込むと、地味~な小さな店。しかしここがなかなかの名店だった。以後、毎月のように来ることになるのだ。(遠くからご苦労さん!)ベイクド ポテト ナイトライフ
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酒は飲まない俺はまずは店名にもなっているベイクドポテトをコークで流し込み、9時の開演を待つ。現れたブルネルはドラムス、ギター、キーボードを従えてノリノリのフージョンを聞かせてくれた。
Baked Potatoは今もなかなかの有名所が出演しているようだ。創立は1970年と言うからもう50年。それだけ続いているんだ。いい店に決まっている。しかもあんな不便な場所で。
https://www.thebakedpotato.com/ベイクド ポテト ナイトライフ
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Baked Potate同様に通い詰めたのはRedondo BeachにあるConcert by the sea。ここはJazz Clubでもシアターに近い。客席は全てステージを向いていて、小さなテーブルが各椅子の前にあるスタイル。アメリカでは後にも先にもここだけだった。新宿のタローがこんな作りだったな。
なので飲み食いは期待できない。しかしその分、メンバーは良かった。
例えばJohn Blake。Jazz Violinの名手でMcCoy TynerやGrover Wasington Jr.らのアルバムに参加している。
例えばCharlie Bird。アコースティックギターを駆ってブラジリアンな音を出す。 Stan Getzと長くセッションしている。レドンド ビーチ ビーチ
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この日はボーカルデユオの Jackie and Roy。ベテランご夫婦なので古いスタンダードナンバーを歌うのかと思いきや、Fusionでしたよ。Return to Foreverを彷彿とさせるような。
Concert by the seaはそのいい響きを利して自分のレーベルを持っていた。
https://www.discogs.com/label/824686-Concerts-By-The-Sea
そしてこの店も今はない。。。 -
アメリカ内を出張するたびにその地元のClubを探し回った。仕事でよく行ったシカゴやボストン、しょっちゅう遊びに行ったラスベガス、一度だけ訪ねたアトランタ。
アトランタは面白かったな。ここでも事前の知識は皆無だったので、タクシーを捕まえて「お勧めのJazz Clubへ行け」と言ったら、Georgia Techの側の店でいいかと言う。いいよと答えて走り出したが、この黒人のドライバーがヨタヨタと車を走らせる。
「お前、ラリってるんだろ?」
「あ~ちょっと眠い・・・」
冗談じゃない。そこの店でコークでも飲め!と車を停めさせて一休み。何しているんだか・・・。しばらくして走りだしたが、こっちは眠らないようにつたない英語でしゃべりっぱなし。何でこんなに気を使ってタクシーに乗らなきゃならないんだ。
結局辿り着いたのはほんの5分先。なんだよ、さっと走れよ。しかもそのClubのショーはほぼ終わっていた。。。まあその後、Georgia Techの女の子と盛り上がったからいいか。
(写真はストーンマウンテンパークの巨大彫刻)ストーン マウンテン パーク 山・渓谷
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そして何といってもNew York!
ここへはなかなか行く機会がなくて、渡米1年くらいたった時にようやく2日だけ訪れた。ボストンへの仕事の帰りに休暇をとって金曜の夜から日曜の夕方まで、滞在時間40時間。ほぼ寝なかった。ホテルを取った意味がないくらい遊びまわった。
昼間はブロードウェー、オフブロードウェー、オフオフブロードウェーでミュージカル三昧。高いチケットは買わない、tktsで安いチケットを買いまくり。ラ・カージュ・オ・フォール、42nd Street、探偵スルース、マイムの何か、アングラ風の何か・・・。タイムズスクエア 散歩・街歩き
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夜はもちろんClub巡り。しかし意外にこれが苦戦する。
Village Vangard、Village Gate、Blue Note、Birdland。。。全部満席なのだ。まあ週末の夜だからね。しか~しNYにはまだまだいいClubがたくさんある(はず!)。
一旦ホテルに戻り電話帳を頼りに電話を掛まくる(1年経ってもやっている事は同じ・・・)。そして何軒目かにAugie’s Jazz Barに掛けた。今日はだれ?
「Art Blakey! 」
「Wao!」
電話口で思わず叫んじゃったよ。ハーレムの入口にあるそのClubにレンタカーを走らせた。店先に路駐して(もちろん窓は開けっぱなし)店に飛び込むと小さな店内(50席ほどか)はほぼ満員。一人でカウンターに腰かけて開演を待つ。このワクワク感! -
そしてArt Blakey & Jazz Messengersが登場。相変わらず元気なBlakeyオジサンと若いプレーヤー達。ピアノ、ベース、サックス、そしてトランペット。ウィントン・マルサリスが抜けたばかりのペットはテレンス・ブランチャードだ。その時、俺は未だ彼の存在を知らなかった。しかしあのマルサリスの後釜だ。並みのトランぺッターのはずがない。
そして彼は並みではなかった。マルサリスを彷彿とさせる切れのいい音、自在なアドリブ。後に調べると彼はその時まだ23歳。アメリカにはどれだけの才能が埋まっているんだ?
そしてインターバル。トイレに言ったら何とその隣が楽屋で、プレーヤー達が歓談しながら軽く音を出している。ちょうど出てきたブランチャードに挨拶して握手する事ができた。ブランチャードはその後、映画音楽に深く関わりスパイク・リーの作品を多く手掛けている。
2nd Stageでも彼らはたっぷりと聞かせてくれたが、俺が感心したのはすぐ隣のテーブルにいた黒人ファミリー。夜11時だというのに6,7歳の男の子を連れている。そしてこの子のノリが超いけている。ハードバップのBlakeyのリズムをバッチリと腰で取れている。さすが!さすが本場のガキンチョは違う。
名店の誉れ高かったAugie’s Jazz Barはその後閉店してしまうのだが、その後を継ぐように開店したのが Smoke。今やここも一流店になっている。
smokejazz.com -
昼の部も楽しかった。tktsでは42nd Streetやラ・カージュなどの人気プログラムは後ろの席しか取れない。むしろオフブロードウェーの小さな小屋の方がおもしろかった。なんか実験的な作品が多いし。土曜日は昼過ぎにマイムを見て、夕方前に探偵スルースを見て、夜は11時まで42nd Street。それからソーホーのJazz Clubに行った。
金曜日のArt Blakeyがあまりにも素晴らしかったので、土曜日にどこで何を聞いたのか記憶がない。確かFusion系の若いメンバーだった・・・。まっいいか。
そこがはねてからイーストエンドのディスコ(今はクラブね)にしけこんで、騒音の中、壁際で女の子に見とれる(アホナノ?)。ニュー アムステルダム劇場 劇場・ホール・ショー
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朝5時過ぎにホテルにホテルに戻ってちょっと居眠り。最後の日曜にゆっくり寝てなんていられるか! Central Parlを覗くと路上でアーティストの卵が作品を売っている。土産に七宝のピアスを買ってからtktsに向かう。3時のラ・カージュ・オ・フォールをゲット!
それまでオフブロードウェーでアングラ劇。役者が客席を飛び回ってやりたい放題していて、笑い転げた事だけ覚えている。ラ・カージュは楽しかったな。1年も住んでいたので役者のスラングだらけのお下劣会話も頭に入ってきたし。俳優は誰だったかな。そこそこ有名な人だと思うけど・・・。
たった40時間のNY滞在。やっぱアメリカにいるなら、ここは経験しなくちゃ。
自由の女神?エンパイアステートビル?有名レストラン?みんなすっ飛ばしちゃった。セントラルパーク 散歩・街歩き
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この旅行記へのコメント (2)
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- olive kenjiさん 2020/05/08 13:53:43
- ジャズがこれほどまでに好きだったとは・・
- ころたさん ご無沙汰しております。私の化石旅行記にいいね有難うございました。
ころたさんが、これほどまでにジャズが好きで、詳しいとは知りませんでした。
また仕事のついでに、アメリアのライブハウスに寄って行かれるんだから大したもんです。白いアメ車にネクタイ姿、時代を感じますね~good
私もジャズは好きな方で、ライブは新宿のピットイン、息抜きは下北沢マサコをよく利用していました。海外旅行に行った折には、ライブハウスに寄りました。
ニュヨーク、パリ、上海、アムステルダム、ストックホルムなどへ。
でも、ころたさんの前ではお恥ずかしくて、ジャズのファンなんて言えなくなりました。車関連に関しても、もうとんでもはっぷんですし。
ですから、4Tの他の方にはジャズ好きとか車好きとかは言っておきますが、ころたさんの前ではSPEAK LOW です。←この曲大好きなんです。
でも濃度は違っても、同じジャズ大好きマンだったので嬉しいです。
これからも、ご指導の程よろしくお願い申し上げます。
また、コロナに負けず、頑張って下さいね。
ずうっと前から自宅隔離中の olive kenji
- ころたさん からの返信 2020/05/09 12:02:08
- RE: ジャズがこれほどまでに好きだったとは・・
- olive kenji さん。こんにちは
自宅監禁中のころたです。なので旅行記は大昔の事しか書けない。ですよねぇ、御同輩!
私のJazz歴なんて知れたものです。お恥ずかしい・・・
olive kenjiさんの大回顧録も少しづつ見させて貰ってますよ。olive kenjiさん、やるなぁ。若いころはお互い冒険家でしたよね。「トラブルは旅のスパイス!」なんて気取ってましたから。
私も書きたい事はたくさんあるのですが、なんせズボラだから写真がどっかに行っちゃている。。。
でかい白アメ車はアトランタで借りたレンタカー。自分じゃ持てませんよ。マイカーはポンコツサニーです。(´;ω;`) でもね、当時のサニーってバカにならない値段なんですよ。アメ車の中型車と同じ値段。フォードトーラスとかダッジネオンとかと。(新車なら!)
またolive kenjiさんの旅行記に寄らせて頂きます。どこかにコメントを残したら見てやって下さい。
では!
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