2006/07/05 - 2006/07/05
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Weiwojingさん
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もうずいぶん前のことになるが、日本の旧宮家の邸宅を調査していた。14年も前のことである。2006年(平成18)7月、東京文京区にある「旧三井高陽(たかはる)男爵別邸」を訪ねる機会があり、邸内を見させていただいたことがあった。
これは偶然あるところから、この宮邸が取り壊されるという情報を得、仲間と共に工事が始まるという数前日に訪ねて、見学した記録である。訪ねた時は邸内はすでに雑然として、見て回るにはあまりよい状態ではなかった。しかし、邸内を見て回ると微かに昭和初期の最後の輝きを放ち、その余韻を味わうことが出来た。
関係者の話だと、留学経験のある大企業家・華族の好みが反映されたスパ二ッシュ風な建物に高い評価を得ていて、取り壊さずに修復し保存する声も多くあったそうである。しかし、耐震性増強工事のコストが新築コストよりも高いと判断され、2006年7月に解体された。
- 旅行の満足度
- 4.5
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文京区目白台3-29にあった旧三井家別邸は1936年(昭和11)に建設されたが、2006年(平成18)に解体された。この年7月に訪ねた時はすでに表門には工事の案内板が張られ、工事計画の予定などが示されていた。
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表門はもう利用できないので、この通用門から中に入った。
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通用門を入ると、すぐに階段になっていて上に上がっていく。
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別邸はスパ二ッシュ様式の建物で、昭和初期にアメリカ西部のカルフォル二アで流行していた建築様式で、日本でもこの時期よく見られた。
建築主の三井高陽(1900~1983)は、三井財閥の創業者一族である三井十一家のうち南家の10代目当主であった。 -
当初三井家の別邸として使用されていたが、戦後すぐ米軍に接収され、極東国際軍事裁判(東京裁判)における首席検事・ジョゼフ・キーナンの宿舎として使用された。
返還後の1955年(昭和28)講談社が入手し、別館として利用してきた。作家や評論家に原稿を書いてもらうために彼らをここに缶詰にして、原稿を完成さるために使用したそうである。 -
玄関部分はいかにもスパ二ッシュ風である。これを見ていると、旧小笠原邸を彷彿させる。
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入り口のガラスの装飾にもスパ二ッシュ風な感じが漂う。
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中に入ってみた。意匠を凝らした照明器具があちこちに下げられ、昔日の華やかさを思わせるものがある。
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玄関を入ると、このようなものがあった。これは一体何なのか。受付けをするところなのか。
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建物の中に入って、目に入ったのが天井に施された飾りである。植物や様々な意匠で描かれている。
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かすかな明かりに浮かび上がった漆喰で施された装飾が美しい。
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何かの植物を描いているのだろうか。
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かなり黒ずみ汚れているが、中央の飾りははっきりと見える。
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階段の窓にはステンドグラスが施されている。よく見ると、窓は上げ下げ式になっていて、動かす際にガラスに施されたステンドグラスと接することがないのだろうか。
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こちらは2階部分の階段の窓に施されたステンドグラス。
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この照明器具は周囲に独特な影を添え、不思議な造形美を与えている。
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大理石でできた暖炉が残されていた。背後の黒い壁と対照的に白い色を際立たせている。
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さらにもう一つ豪華な造りの暖炉があった。
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さらに別な部屋にはもうひとつ暖炉のようなものがあり、こちらは最初暖炉だと思った。しかし、よく見ると、恐らく暖炉と言うよりはヒーターが中に置かれていたものと思われる。
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部屋のあちこちにステンドグラスが施されている。これは枯れ枝に止まっている2羽の鳥である。
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一方、こちらのステンドグラスは抽象的過ぎて何を表しているのか分からない。
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ドアのノッブの色々な形があり、興味深い。建築主のこだわりのようなものを感じる。
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ライオンの顔をしたドアノッカー。
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なかなか重厚なドアノッブである。
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これは何だか分からなかった。壁に施されたものか、それとも天井部分の飾りが不明である。
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和室もあったが、恐らくここは使用人が使っていた部屋であろう。
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中庭に出ることが出来るドアがある。
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部屋のドアの上に施されたステンドグラス調のガラスやさらに上の木部の飾りが手に込んでいる。
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地下室があるというので、案内していただいた。階段付近は暗くて、足元がおぼっかないような状態であった。
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ここは地下室であるが、もう何もない状態で、天井に幾つも配線が走っているだけで、殺風景な様子だけが見られた。
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建物の裏側に回ってみた。
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庭の片隅に水飲み場(?)がある。
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これは噴水だろうか。恐らく往時は勢いよく水を噴き上げていたのだろう。
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外に出て、最後の見納めに付近を見て回り、最寄りの駅に向かった。
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この旅行記へのコメント (3)
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- 尚美さん 2020/03/17 11:54:09
- 旧室谷家住宅を思い出しました
- Tamegai様
建築は勿論様々な分野に造詣が深いTamegaiさんの旅行記を楽しませてもらっている尚美です。
旧三井高陽男爵別邸、大変興味深く拝読しました。すでに解体、残念ですがよくあるパターンのような気がします。見てみたかったです。いつか小笠原邸にも行きたいとずっと思っています。
神戸にも似たような運命の建築物があったのを思い出しました。育った地の須磨にあった旧室谷家住宅です。建造年と解体年がどちらも一年違い。室谷家の方はヴォーリズ設計のチューダー様式でした。赤煉瓦の塀に囲まれて、私の記憶では塀の外に三井高陽男爵別邸庭の水飲み場と似たのがあったはずなんですが。そこで友達と遊んだはずなんですが、記憶違いかもしれません。
室谷家の内部を見た事はありませんが、解体前に一度見たかったです。
Tamegaiさん、何か建築物を見られましたら是非また紹介して下さい。
尚美
- Weiwojingさん からの返信 2020/03/17 14:24:05
- Re: 旧室谷家住宅を思い出しました
- 尚美様
メッセ―ジをお寄せいただき、ありがとうございました。
旧三井家高陽別邸を16年
- Weiwojingさん からの返信 2020/03/17 15:07:20
- Re: 旧室谷家住宅を思い出しました
- 尚美様
メッセージをお寄せいただき、ありがとうございました。
旧三井高陽男爵別邸は14年前に見学しましたが、最近までその時撮った写真がどこかに保存したままになり、分からないでいました。ところが、最近はあまり外出がままならず、家にいることが多くなり、古い写真を整理していたら、偶然見つけ4travel にアップした訳です。
この別邸はそんなに大きな規模の邸宅ではありませんが、日本の華族の文化意識を感じられるようなところでした。こういうところが無くなるのが残念です。東京にはまだあまり知られていない、公開されていない、というような建物がたくさんあります。
私が今興味があるのはヴォーリズ建築で、東京に彼が建てた建物が6~7件あります。見学不可の所もあり、見ることが出来ないのが残念ですね。昨年10月、港区にある「キリスト友会 フレンドセンター」を見学しました。ここはヴォーリズの設計ですが、年に1度しか公開されません。まだアップしていませんが、いずれそうするつもりです。
神戸にある同じヴォーリズの旧室谷家住宅ももうないのは残念です。私も1度見てみたいと思っていました。こうなると時間との戦いですね。見てみたい、訪ねてみたいというところがたくさんあり、一方でどんどん破壊されています。
私はこの3月下旬にイタリア北部を旅行したいと思っていました。尚美さんのイタリア旅行記を拝見して、ミラノを中心に建築探訪の旅をするつもりでいました。ところが最近のコロナウイルスの世界的な蔓延で中止せざるを得ませんでした。しかし、秋にはあるいは来年にはぜひ果たしてみたいと考えています。
先ほど、中途半端なメッセージをお送りしてしまいましたが、申し訳ありませんでした。最後に改めて、ありがとうございました。
Tamegai
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