ヴァレッタ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 突然の骨肉腫で右足を付根から失って3年半、外出には電動車椅子と松葉杖が欠かせませんが、日常生活に大きな支障はなくなりました。更に1年半前「もう有効な治療はない」と宣告されました。肺に切れない転移があって、もう少し大きくなったら息が苦しくなって・・・だそうです。余命を知ることは若者には酷でも、老人には悪い話ばかりではありません。先の予測ができることはむしろ有難くもあります。元気なうちに会いたい人に会い、身の回りの整理をし、葬儀社に質素な段取りを念押しすると、あとはもう、そんなにすることはありません。好みの音楽を聴き、小説を開き、DVD映画に疲れたら、天気のよい日は海まで散歩をします。平穏で孤独な愛すべき日々です。不思議なことに、治療をやめてから体調はむしろ良くなりました。<br /> 旅行に行きたい、という強い思いはありませんでした。それよりも、障害ゆえの困難や面倒臭さ、多くの場面で他人のお世話になることを思うと気後れが先に立ちました。それが昨年の暮れ、突如変心しました。生活に変化を欲したのか、最期にもう一度だけ・・・と思ったのか、自分でもよく分かりません。とにかく、ほんの弾みで「出かけてみようか」と思い立つと、気持ちは前へ前へと進んで行きました。<br /> 妻も賛成し、介助者を兼ねて同行すると言います。まず、普段使いの電動車椅子ごと行ける旅を目指しました。また今後の体調変化を考えると出発は早い方がいい。行き先は真冬でも温暖な地中海地方と決めて大急ぎの準備に取り掛かりましたが、折悪しくクリスマス~正月の長い休みに引っかかり、作業は途切れ途切れになりました。<br /> 今回ばかりは、航空券だけ押さえてざっくりな計画で出かける、という従来パターンは実行できません。それで、旅行代理店のお世話になりました。ヨーロッパ個人旅行専門店。電話口の方に「面倒な客に捉まって不運ですね」と言ったら、「そういう方が出かけることに私は賛成です」と返してくれたので、ここに決めました。航空会社への車椅子輸送の申請、空港⇔ホテル間の送迎は電動車椅子搭載可能な特殊タクシー、周辺も内部もバリアフリーのホテル手配などなど煩雑な仕事をお願いして何とか出発にこぎ着けました。「あの世行きツアー」を除けば、多分これが最後の旅になるでしょう。

車椅子でシチリア・マルタ/スナップ紀行

30いいね!

2020/01/31 - 2020/02/09

138位(同エリア768件中)

4

66

極楽人

極楽人さん

 突然の骨肉腫で右足を付根から失って3年半、外出には電動車椅子と松葉杖が欠かせませんが、日常生活に大きな支障はなくなりました。更に1年半前「もう有効な治療はない」と宣告されました。肺に切れない転移があって、もう少し大きくなったら息が苦しくなって・・・だそうです。余命を知ることは若者には酷でも、老人には悪い話ばかりではありません。先の予測ができることはむしろ有難くもあります。元気なうちに会いたい人に会い、身の回りの整理をし、葬儀社に質素な段取りを念押しすると、あとはもう、そんなにすることはありません。好みの音楽を聴き、小説を開き、DVD映画に疲れたら、天気のよい日は海まで散歩をします。平穏で孤独な愛すべき日々です。不思議なことに、治療をやめてから体調はむしろ良くなりました。
 旅行に行きたい、という強い思いはありませんでした。それよりも、障害ゆえの困難や面倒臭さ、多くの場面で他人のお世話になることを思うと気後れが先に立ちました。それが昨年の暮れ、突如変心しました。生活に変化を欲したのか、最期にもう一度だけ・・・と思ったのか、自分でもよく分かりません。とにかく、ほんの弾みで「出かけてみようか」と思い立つと、気持ちは前へ前へと進んで行きました。
 妻も賛成し、介助者を兼ねて同行すると言います。まず、普段使いの電動車椅子ごと行ける旅を目指しました。また今後の体調変化を考えると出発は早い方がいい。行き先は真冬でも温暖な地中海地方と決めて大急ぎの準備に取り掛かりましたが、折悪しくクリスマス~正月の長い休みに引っかかり、作業は途切れ途切れになりました。
 今回ばかりは、航空券だけ押さえてざっくりな計画で出かける、という従来パターンは実行できません。それで、旅行代理店のお世話になりました。ヨーロッパ個人旅行専門店。電話口の方に「面倒な客に捉まって不運ですね」と言ったら、「そういう方が出かけることに私は賛成です」と返してくれたので、ここに決めました。航空会社への車椅子輸送の申請、空港⇔ホテル間の送迎は電動車椅子搭載可能な特殊タクシー、周辺も内部もバリアフリーのホテル手配などなど煩雑な仕事をお願いして何とか出発にこぎ着けました。「あの世行きツアー」を除けば、多分これが最後の旅になるでしょう。

旅行の満足度
3.5
観光
3.5
ホテル
4.0
グルメ
4.5
ショッピング
5.0
交通
5.0
同行者
家族旅行
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
徒歩
旅行の手配内容
その他

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  •  EMC-250(今仙技術研究所製)。評判のWHILLをはじめいくつか試しましたが、パワーも乗り心地もこの車種が優れていました。見かけは無骨です。しかし前後輪とも大きく、鎌倉の急坂や海岸の砂地、デコボコ道や7cmくらいの段差も難なく乗り越えます。電池は、レンタル元のご好意で新品を装備していただきました。またメーカー担当者の方からは頑丈なダンボール製の電池箱を送っていただき、無理やり折りたたんで持ってゆきました。どちらも心強い助っ人になりました。<br /> フル充電で35km走行可能。気候や坂道など、条件が悪くても20kmは走れます。時速は6km(早歩き)、4.5km(普通歩き)、2.5km(ゆっくり歩き)の三段。総重量は85kgで、15kgの電池を2個搭載しています。電池はリチウムではなく、Wetのシールド型:Wet(Non‐ Splliable)と分類されるものです。搭乗に際しては、この電池の扱いがしばしば問題になりました。(写真はカタログ表紙から)<br />

     EMC-250(今仙技術研究所製)。評判のWHILLをはじめいくつか試しましたが、パワーも乗り心地もこの車種が優れていました。見かけは無骨です。しかし前後輪とも大きく、鎌倉の急坂や海岸の砂地、デコボコ道や7cmくらいの段差も難なく乗り越えます。電池は、レンタル元のご好意で新品を装備していただきました。またメーカー担当者の方からは頑丈なダンボール製の電池箱を送っていただき、無理やり折りたたんで持ってゆきました。どちらも心強い助っ人になりました。
     フル充電で35km走行可能。気候や坂道など、条件が悪くても20kmは走れます。時速は6km(早歩き)、4.5km(普通歩き)、2.5km(ゆっくり歩き)の三段。総重量は85kgで、15kgの電池を2個搭載しています。電池はリチウムではなく、Wetのシールド型:Wet(Non‐ Splliable)と分類されるものです。搭乗に際しては、この電池の扱いがしばしば問題になりました。(写真はカタログ表紙から)

  •  旅程には原型がありました。旅行代理店が企画した8日間パック、これにマルタとローマを一泊ずつ増やし、ホテルをバリアフリー仕様に変更し、慌しい早朝の移動を昼以降にして、空港⇔ホテルの全行程にリフト車の送迎を付けました。日程を整理すると、タオルミナ2泊、マルタ4泊、ローマ2泊に機中泊2日を加えて計10日間です。16万円台だった価格は26万円に上がり、諸経費込みで一人30万円を超えました。妻は「健常者の私までなんで上がるの?」と不満げでしたが、私はそれよりも、クルーズ船旅行にしなくて良かった、と安堵しました。<br /> 車椅子の電池について、搭乗するアリタリア航空では「すべてのウエット電池は本体から外して梱包のうえキャビンに、電池を抜いた本体は貨物室に」というマニュアルどおりにしてもらう、と言います。電池の重量は合計30kg、片足では外すことも運ぶことも大仕事です。メーカーからは「電池のコネクターを引き抜けばOK」と聞いています。できればその程度の処置にしたいところです。事前申請時、アリタリアの指定用紙に必要事項を記入し、英文の手紙や技術資料を提出して説明しましたが、いい返事は返ってきませんでした。仕方なく、通販で耐荷重35kgの箱付カートを購入し、大量の梱包材と共に持参することになりました。最悪の事態への備えです。電池のことは旅行前も旅行中も、ずっと頭から離れませんでした。<br /> ところが・・・成田空港のチェックインカウンターでは担当者同士が長い議論のうえ、電池のコネクタを抜きテープで絶縁するだけでいいと言います。拍子抜けでした。私の手紙が効いたのか、現場の判断で融通を利かせてくれたのかは不明です。そのあと空港設備の手動車椅子に乗り換えて搭乗。しかし毎回この調子で行く保証はなく、今の段階では梱包材もカートもまだ手放せません。<br />

     旅程には原型がありました。旅行代理店が企画した8日間パック、これにマルタとローマを一泊ずつ増やし、ホテルをバリアフリー仕様に変更し、慌しい早朝の移動を昼以降にして、空港⇔ホテルの全行程にリフト車の送迎を付けました。日程を整理すると、タオルミナ2泊、マルタ4泊、ローマ2泊に機中泊2日を加えて計10日間です。16万円台だった価格は26万円に上がり、諸経費込みで一人30万円を超えました。妻は「健常者の私までなんで上がるの?」と不満げでしたが、私はそれよりも、クルーズ船旅行にしなくて良かった、と安堵しました。
     車椅子の電池について、搭乗するアリタリア航空では「すべてのウエット電池は本体から外して梱包のうえキャビンに、電池を抜いた本体は貨物室に」というマニュアルどおりにしてもらう、と言います。電池の重量は合計30kg、片足では外すことも運ぶことも大仕事です。メーカーからは「電池のコネクターを引き抜けばOK」と聞いています。できればその程度の処置にしたいところです。事前申請時、アリタリアの指定用紙に必要事項を記入し、英文の手紙や技術資料を提出して説明しましたが、いい返事は返ってきませんでした。仕方なく、通販で耐荷重35kgの箱付カートを購入し、大量の梱包材と共に持参することになりました。最悪の事態への備えです。電池のことは旅行前も旅行中も、ずっと頭から離れませんでした。
     ところが・・・成田空港のチェックインカウンターでは担当者同士が長い議論のうえ、電池のコネクタを抜きテープで絶縁するだけでいいと言います。拍子抜けでした。私の手紙が効いたのか、現場の判断で融通を利かせてくれたのかは不明です。そのあと空港設備の手動車椅子に乗り換えて搭乗。しかし毎回この調子で行く保証はなく、今の段階では梱包材もカートもまだ手放せません。

  •  車椅子では大きな荷物の運搬は無理です。キャリーケースは出発前に宅配便で成田空港へ送りました。全ての行程で、空港内とホテルのごく短い区間を除いて、大きなものは持たなくて済むよう緻密に計画しました。電池のキャリーを運ぶ時に妻は手ブラでなくてはいけないからです。驚いたのは、旅の途中から妻のキャリ-が2つに増えたことです。”大キャリー”の中に”中キャリー”が入っていて、航空会社規定の「一人2個まで」の目いっぱいに買い物をする計画のようです。マトリョーシカ方式! 結果的には何とかなりましたが、大きな誤算でした。<br /> 飛行機に乗り込んでしまえば、あとは12時間を耐えるだけです。アリタリアの配慮で3人席のひとつを空けてくれました。その2席を独占して介助者が寝ています。(笑) 私はどこでも眠れる性格ですが、不思議に往路の飛行機ではいつも眠れません。座席が通勤電車のように並んでいたらすぐ眠りに落ちるのですが・・・ 好きな乙川雄三郎の小説にも集中できません。モニター(写真)の中の飛行機がほんの少しずつしか進まず、久しぶりの長距離飛行は辛く退屈な時間でした。<br />

     車椅子では大きな荷物の運搬は無理です。キャリーケースは出発前に宅配便で成田空港へ送りました。全ての行程で、空港内とホテルのごく短い区間を除いて、大きなものは持たなくて済むよう緻密に計画しました。電池のキャリーを運ぶ時に妻は手ブラでなくてはいけないからです。驚いたのは、旅の途中から妻のキャリ-が2つに増えたことです。”大キャリー”の中に”中キャリー”が入っていて、航空会社規定の「一人2個まで」の目いっぱいに買い物をする計画のようです。マトリョーシカ方式! 結果的には何とかなりましたが、大きな誤算でした。
     飛行機に乗り込んでしまえば、あとは12時間を耐えるだけです。アリタリアの配慮で3人席のひとつを空けてくれました。その2席を独占して介助者が寝ています。(笑) 私はどこでも眠れる性格ですが、不思議に往路の飛行機ではいつも眠れません。座席が通勤電車のように並んでいたらすぐ眠りに落ちるのですが・・・ 好きな乙川雄三郎の小説にも集中できません。モニター(写真)の中の飛行機がほんの少しずつしか進まず、久しぶりの長距離飛行は辛く退屈な時間でした。

  •  ローマで乗り継ぎ、シチリアのカターニャ空港まで。待っていたリフト付の送迎車で、深夜に最初の目的地タオルミナに着きました。ローマ→タオルミナでは電池も外さず絶縁もせず、またもや拍子抜け。あのマニュアルって何なんだ!<br /> タオルミナの景色はどことなく南国風。ときどき雲が陽をさえぎりますが天気は上々、気温も鎌倉より3度くらい高いようです。厚いコートはもう邪魔です。

     ローマで乗り継ぎ、シチリアのカターニャ空港まで。待っていたリフト付の送迎車で、深夜に最初の目的地タオルミナに着きました。ローマ→タオルミナでは電池も外さず絶縁もせず、またもや拍子抜け。あのマニュアルって何なんだ!
     タオルミナの景色はどことなく南国風。ときどき雲が陽をさえぎりますが天気は上々、気温も鎌倉より3度くらい高いようです。厚いコートはもう邪魔です。

  •  タオルミナはシチリア北東部の丘陵にへばり付く小さな町。メイン道路の一本道はこのメッシ-ナ門から始まります。(写真手前方向が中心地になります)<br /> 50年も前の学生時代、ヒッチハイクでシチリアを周ったことがあります。タオルミナにも立ち寄りましたが、当時の貧しかった面影はみじんも残っていません。今は地中海を代表するリゾート地になりました。

     タオルミナはシチリア北東部の丘陵にへばり付く小さな町。メイン道路の一本道はこのメッシ-ナ門から始まります。(写真手前方向が中心地になります)
     50年も前の学生時代、ヒッチハイクでシチリアを周ったことがあります。タオルミナにも立ち寄りましたが、当時の貧しかった面影はみじんも残っていません。今は地中海を代表するリゾート地になりました。

  •  メッシーナ門の外にはカトリック教会越しに海が見えました。旧市街の外へ広がった白っぽい町並みは、ずっと丘の下まで続いています。<br /> ところで、この旅行記は車椅子旅行記です。名所旧跡の写真はあっても、説明は最低限またはしない場合があることをお断りしておきます。

     メッシーナ門の外にはカトリック教会越しに海が見えました。旧市街の外へ広がった白っぽい町並みは、ずっと丘の下まで続いています。
     ところで、この旅行記は車椅子旅行記です。名所旧跡の写真はあっても、説明は最低限またはしない場合があることをお断りしておきます。

  •  町のあちこちに展望台が作られていますが、ここもそのひとつ。町の中心にある4月9日広場はまるで大きなテラスです。イタリア統一戦争の記念日に因んだ名前が付いています。正面は15世紀建立のサント・アゴスティーノ教会。現在は図書館だそうです。<br /> 折からの新型コロナウイルス事情で中国からの旅行者が少ないせいか、どこも少し閑散としています。

     町のあちこちに展望台が作られていますが、ここもそのひとつ。町の中心にある4月9日広場はまるで大きなテラスです。イタリア統一戦争の記念日に因んだ名前が付いています。正面は15世紀建立のサント・アゴスティーノ教会。現在は図書館だそうです。
     折からの新型コロナウイルス事情で中国からの旅行者が少ないせいか、どこも少し閑散としています。

  •  眼下にはイオニア海(地中海の一部)が。妻は入り江の「青の洞窟」に行きたがっていましたが、町と海辺を繋ぐゴンドラが休止していました。この時期は観光ボートも動いている気配がありません。カプリ島の洞窟をスルーして以来、ずっと執着しているんですがなかなか実現しません。

     眼下にはイオニア海(地中海の一部)が。妻は入り江の「青の洞窟」に行きたがっていましたが、町と海辺を繋ぐゴンドラが休止していました。この時期は観光ボートも動いている気配がありません。カプリ島の洞窟をスルーして以来、ずっと執着しているんですがなかなか実現しません。

  •  振り向くとエトナ山が望めます。世界で最も活動的な火山のひとつとされ、最近まで頻繁に噴火を起こしていることは日本でも報道されています。標高は優に3000メートルを超える、アルプスを別にすれば、イタリアでいちばんの名峰です。<br />

     振り向くとエトナ山が望めます。世界で最も活動的な火山のひとつとされ、最近まで頻繁に噴火を起こしていることは日本でも報道されています。標高は優に3000メートルを超える、アルプスを別にすれば、イタリアでいちばんの名峰です。

  •  カメラですが、今回は大きくて重い一眼レフを家に残し、ポケットに入るサイズの所謂バカチョン機のみです。光学25倍率はともかく、ずっとA(オートモード)にしているので楽ですが深みが出ません。失敗が少ないのがメリットです。妻はスマホ撮影です。

     カメラですが、今回は大きくて重い一眼レフを家に残し、ポケットに入るサイズの所謂バカチョン機のみです。光学25倍率はともかく、ずっとA(オートモード)にしているので楽ですが深みが出ません。失敗が少ないのがメリットです。妻はスマホ撮影です。

  •  通り沿いの、誰かの家のベランダに花冠のおじさんがいました。こういうの、よく見かけます。<br /> 車椅子では、二本足の頃のように階段でも溝でもどこでも乗り越えて進む、という具合には行きません。乗り物にも制約があります。今回の旅行は、行けるところまでいって、駄目なら引き返す。そこはちゃんと覚悟をしています。

     通り沿いの、誰かの家のベランダに花冠のおじさんがいました。こういうの、よく見かけます。
     車椅子では、二本足の頃のように階段でも溝でもどこでも乗り越えて進む、という具合には行きません。乗り物にも制約があります。今回の旅行は、行けるところまでいって、駄目なら引き返す。そこはちゃんと覚悟をしています。

  •  大聖堂(ドーム)広場。ドームに向かい合ってタオルミナの象徴ケンタウロス像がありましたが、割愛します。<br /> それにしても、自宅の周りを走っていた車椅子でシチリアを走り回っているのは不思議な感覚です。車椅子も体調も、思った以上に快調です。世間は「闘病中」と言いますが、自分には病と「闘っている」意識はありません。しっかり「共存」しています。

     大聖堂(ドーム)広場。ドームに向かい合ってタオルミナの象徴ケンタウロス像がありましたが、割愛します。
     それにしても、自宅の周りを走っていた車椅子でシチリアを走り回っているのは不思議な感覚です。車椅子も体調も、思った以上に快調です。世間は「闘病中」と言いますが、自分には病と「闘っている」意識はありません。しっかり「共存」しています。

  •  ここが旧市街の終わり。城壁が残っていました。ここから先は地元の人が利用するスーパーや肉屋などが並び、その向こうは住宅街でした。少し登りかけましたが、特に目を惹くものは見つけられませんでした。<br /> 電動車椅子の残量ランプがひとつ消えました。これが引き返す合図、と決めています。長い距離ではないですが、同じところを何度も行ったり来たり、急勾配の坂道やデコボコ道を辿ったので電池の消耗が激しかったのでしょう。一旦ホテルに戻ります。

     ここが旧市街の終わり。城壁が残っていました。ここから先は地元の人が利用するスーパーや肉屋などが並び、その向こうは住宅街でした。少し登りかけましたが、特に目を惹くものは見つけられませんでした。
     電動車椅子の残量ランプがひとつ消えました。これが引き返す合図、と決めています。長い距離ではないですが、同じところを何度も行ったり来たり、急勾配の坂道やデコボコ道を辿ったので電池の消耗が激しかったのでしょう。一旦ホテルに戻ります。

  •  車椅子の充電に2時間ほどかかりました。電圧200Vは問題ありませんが、コンセントにはC型のアダプターが必要です。次に行くマルタは英国流のBF型が主流、パソコン・スマホ・カメラ・MP3プレイヤー、ポケットWifiなどなど、充電するものがたくさんあるので、それぞれのアダプターを複数個持参しました。<br /> 充電後の夕方、ギリシャ劇場の跡を訪ねました。10ユーロ払って入りましたが、スロープで進めるのはほんの僅かなエリアだけ。風に吹かれながら妻を待ちました。

     車椅子の充電に2時間ほどかかりました。電圧200Vは問題ありませんが、コンセントにはC型のアダプターが必要です。次に行くマルタは英国流のBF型が主流、パソコン・スマホ・カメラ・MP3プレイヤー、ポケットWifiなどなど、充電するものがたくさんあるので、それぞれのアダプターを複数個持参しました。
     充電後の夕方、ギリシャ劇場の跡を訪ねました。10ユーロ払って入りましたが、スロープで進めるのはほんの僅かなエリアだけ。風に吹かれながら妻を待ちました。

  •  タオルミナのホテルは森のように広いヴィッラ・コムナーレ庭園に隣接しています。正面の赤い建物もホテルの一部、向かいの棟になります。我々の部屋は大きな寝室に広いベランダが付いていて、喫煙OKです。海は右手奥に、思いきり首をひねると僅かに見えます。ちょっと残念ですが、バリアフリー優先です。そういえば玄関から部屋まで、部屋からレストランまで、階段を使わずエレベーターとスロープで行き来できました。

     タオルミナのホテルは森のように広いヴィッラ・コムナーレ庭園に隣接しています。正面の赤い建物もホテルの一部、向かいの棟になります。我々の部屋は大きな寝室に広いベランダが付いていて、喫煙OKです。海は右手奥に、思いきり首をひねると僅かに見えます。ちょっと残念ですが、バリアフリー優先です。そういえば玄関から部屋まで、部屋からレストランまで、階段を使わずエレベーターとスロープで行き来できました。

  •  華麗なレストランは朝食会場です。席がいいと正面にエトナ山が見えます。<br />ここで、茅ヶ崎から来たという日本女性4人組とお目にかかりました。母と娘さん達だそうです。この方々とは街中でも何度も顔を合わせ(一本道ですから)、親しく声をかけ合うようになりました。妻は帰国後の再会を約束したようです。

     華麗なレストランは朝食会場です。席がいいと正面にエトナ山が見えます。
    ここで、茅ヶ崎から来たという日本女性4人組とお目にかかりました。母と娘さん達だそうです。この方々とは街中でも何度も顔を合わせ(一本道ですから)、親しく声をかけ合うようになりました。妻は帰国後の再会を約束したようです。

  •  タオルミナに2泊した後、マルタに向かいます。<br />ここは問題がありました。夜のマルタ航空便を使えば30分足らずでマルタ空港に到着する筈でした。ところがマルタ航空の電池規則が厳しく、一個が100Wh以下という条件が付いています。わが愛車は約400Wh、大体この基準は電動車椅子の電池としてはありえない(メーカーの意見)そうです。<br /> マルタ航空は日本にオフィスがなく、メールも返信が遅くて出発直前までに片付きませんでした。それで止むなく、マルタ航空を断念してアリタリア航空の正午便でローマへ、そこから別なアリタリア機に乗換えてマルタへ向かう、という無駄な経路になりました。大事な1日が潰れてしまいました。<br /> 写真はチェックイン後のカタ-ニャ空港です。

     タオルミナに2泊した後、マルタに向かいます。
    ここは問題がありました。夜のマルタ航空便を使えば30分足らずでマルタ空港に到着する筈でした。ところがマルタ航空の電池規則が厳しく、一個が100Wh以下という条件が付いています。わが愛車は約400Wh、大体この基準は電動車椅子の電池としてはありえない(メーカーの意見)そうです。
     マルタ航空は日本にオフィスがなく、メールも返信が遅くて出発直前までに片付きませんでした。それで止むなく、マルタ航空を断念してアリタリア航空の正午便でローマへ、そこから別なアリタリア機に乗換えてマルタへ向かう、という無駄な経路になりました。大事な1日が潰れてしまいました。
     写真はチェックイン後のカタ-ニャ空港です。

  •  規定どおり、電池を外して梱包しカートでキャビンまで運び、本体は貨物室に入れることになりました。不意打ちの「外せますか?」に、うっかり「YES」と答えてしまったのが失敗でした。もう少し頑張れば良かったと後悔していますが、経路の変更で多少投げやりになっていたのかもしれません。<br /> チェックインカウンターで荷物を預けた後、SPECIAL ASSISTANTと書かれた黄色のベストを着た人が障害者専用の待合室まで案内してくれます。そこでひたすら待ち、出発が迫ると再び黄色いベストに誘導されて車で搭乗機に向かいます。<br />ベストの色は多少違っても、他の空港でもこの方たちの支援がありました。

     規定どおり、電池を外して梱包しカートでキャビンまで運び、本体は貨物室に入れることになりました。不意打ちの「外せますか?」に、うっかり「YES」と答えてしまったのが失敗でした。もう少し頑張れば良かったと後悔していますが、経路の変更で多少投げやりになっていたのかもしれません。
     チェックインカウンターで荷物を預けた後、SPECIAL ASSISTANTと書かれた黄色のベストを着た人が障害者専用の待合室まで案内してくれます。そこでひたすら待ち、出発が迫ると再び黄色いベストに誘導されて車で搭乗機に向かいます。
    ベストの色は多少違っても、他の空港でもこの方たちの支援がありました。

  •  車の荷台は大きなリフトになっていて、乗客で混み合う入り口とは反対側の扉まで車椅子ごと持ち上げてくれて機内に入ります。面白い体験でした。孫にも見せてやりたいような・・・

     車の荷台は大きなリフトになっていて、乗客で混み合う入り口とは反対側の扉まで車椅子ごと持ち上げてくれて機内に入ります。面白い体験でした。孫にも見せてやりたいような・・・

  •  機内では、カートで運んだ重い電池を屈強の乗務員が上の棚に上げようとして失敗し、弾みでカートの底が割れてしまいました。だから言ったじゃないか、言わなかったっけ。<br /> 機長の判断で、この後のローマ→マルタは、電池を手荷物ではなく預託荷物に変更して運んでもらうことになりました。

     機内では、カートで運んだ重い電池を屈強の乗務員が上の棚に上げようとして失敗し、弾みでカートの底が割れてしまいました。だから言ったじゃないか、言わなかったっけ。
     機長の判断で、この後のローマ→マルタは、電池を手荷物ではなく預託荷物に変更して運んでもらうことになりました。

  •  夕闇のマルタ空港に到着。心配していた荷物は全部出てきました。電動車椅子に電池を取り付け、こわごわ電源を入れたら・・・ ちゃんと動き始めました。自宅で練習した甲斐がありました。<br /> ここでも名前のパネルを持った送迎者。いいねえ、旅行代理店!ちゃんと手配どおりに来ていますよ。スロープ付の車でホテルのあるスリーマ地区まで40分程かかりました。

     夕闇のマルタ空港に到着。心配していた荷物は全部出てきました。電動車椅子に電池を取り付け、こわごわ電源を入れたら・・・ ちゃんと動き始めました。自宅で練習した甲斐がありました。
     ここでも名前のパネルを持った送迎者。いいねえ、旅行代理店!ちゃんと手配どおりに来ていますよ。スロープ付の車でホテルのあるスリーマ地区まで40分程かかりました。

  •  スリーマ地区は、ヴァレッタ旧市街の対岸にある一帯です。ホテルから海辺まで徒歩6~7分、そこでこんな景色が見られます。海岸沿いには広い遊歩道が、ヴァレッタからスリーマを経由してぐるっとサン・ジュリアンまで続いています。

     スリーマ地区は、ヴァレッタ旧市街の対岸にある一帯です。ホテルから海辺まで徒歩6~7分、そこでこんな景色が見られます。海岸沿いには広い遊歩道が、ヴァレッタからスリーマを経由してぐるっとサン・ジュリアンまで続いています。

  •  遊歩道のベンチでヴァレッタを眺める至福の時間。午前中は逆光、午後はほぼ正面から陽が射して赤みを帯びた威容を顕わにします。ここは船やバスの発着地にも近く、4泊した間に何度も足を運びました。自分にとってのベストポイントです。

     遊歩道のベンチでヴァレッタを眺める至福の時間。午前中は逆光、午後はほぼ正面から陽が射して赤みを帯びた威容を顕わにします。ここは船やバスの発着地にも近く、4泊した間に何度も足を運びました。自分にとってのベストポイントです。

  •  スリーマとヴァレッタを結ぶ小型フェリーが出発しました。料金はバスと同じく1.5ユーロですが、バスでは30分かけて岬を廻るところを、5分足らずで結んでくれるようです。問題は、車椅子のままで乗り込めるか、です。

     スリーマとヴァレッタを結ぶ小型フェリーが出発しました。料金はバスと同じく1.5ユーロですが、バスでは30分かけて岬を廻るところを、5分足らずで結んでくれるようです。問題は、車椅子のままで乗り込めるか、です。

  •  確認するためにフェリー発着場まで来てみました。残念、このブリッジでは渡れません。幅が狭い上に、安定していません。別なフェリーも確認しましたが、ブリッジはどれも同じようなものを使っていました。<br />

     確認するためにフェリー発着場まで来てみました。残念、このブリッジでは渡れません。幅が狭い上に、安定していません。別なフェリーも確認しましたが、ブリッジはどれも同じようなものを使っていました。

  •  次はバスを探します。このレトロなバスは今は使われていません。雑貨の売店になっています。<br /> マルタのフェリーやバスに車椅子で乗れるのか、日本で調べてもよく分かりませんでした。インターネットで見つけたマルタ留学生のページに「質問コーナー」があったので書き込んでみましたが、返事が来ません。情報が少ないのは、利用者を見かけることが少ないからでしょう。障害者が外へ出れば、世間も変わります。

     次はバスを探します。このレトロなバスは今は使われていません。雑貨の売店になっています。
     マルタのフェリーやバスに車椅子で乗れるのか、日本で調べてもよく分かりませんでした。インターネットで見つけたマルタ留学生のページに「質問コーナー」があったので書き込んでみましたが、返事が来ません。情報が少ないのは、利用者を見かけることが少ないからでしょう。障害者が外へ出れば、世間も変わります。

  •  こちらが現在の路線バス。公営で、島じゅうを結ぶマルタの主要交通機関です。スリーマ始発らしく、停車中の運転手さんに乗れるかどうかを聞いてみたら「大丈夫だよ。」 驚いたことに、マルタのバスはすべて車椅子対応になっているではないですか! (写真はネットから拝借)

     こちらが現在の路線バス。公営で、島じゅうを結ぶマルタの主要交通機関です。スリーマ始発らしく、停車中の運転手さんに乗れるかどうかを聞いてみたら「大丈夫だよ。」 驚いたことに、マルタのバスはすべて車椅子対応になっているではないですか! (写真はネットから拝借)

  •  運転席横の前扉が広く、床が2つ折れのスロープになっています。車椅子客が乗る際には、運転手や並んでいるお客が開いてくれます。実に素晴らしい!バスに乗れば、何処へでも行けることが分かりました。<br /> この日は質問だけのつもりが、誘われるままに乗り込んで、突如ヴァレッタに向かうことになりました。

     運転席横の前扉が広く、床が2つ折れのスロープになっています。車椅子客が乗る際には、運転手や並んでいるお客が開いてくれます。実に素晴らしい!バスに乗れば、何処へでも行けることが分かりました。
     この日は質問だけのつもりが、誘われるままに乗り込んで、突如ヴァレッタに向かうことになりました。

  •  満員になったバスを、終点で降りました。ヴァレッタには大きなバスステーションがありました。幸運にも始発から終点まで乗ったので問題はありませんが、途中の停留所での車椅子の乗り降りは大変そうです。<br /> 円形の噴水広場を抜けて、二重の城壁で守られる砦へ石橋(写真)を渡ります。

     満員になったバスを、終点で降りました。ヴァレッタには大きなバスステーションがありました。幸運にも始発から終点まで乗ったので問題はありませんが、途中の停留所での車椅子の乗り降りは大変そうです。
     円形の噴水広場を抜けて、二重の城壁で守られる砦へ石橋(写真)を渡ります。

  •  ヴァレッタはマルタ共和国の首都。12世紀、キリスト教巡礼者の保護を口実に十字軍の遠征が始まりました。町はイスラム勢力からの防衛拠点として築かれ、16世紀の対オスマン戦争に際して難攻不落の城塞都市に仕上げられました。街の名はオスマン軍を撃退したときの騎士団長ヴァレットに因みます。<br /> この立派な建物は、今は「証券取引所」だそうです。

     ヴァレッタはマルタ共和国の首都。12世紀、キリスト教巡礼者の保護を口実に十字軍の遠征が始まりました。町はイスラム勢力からの防衛拠点として築かれ、16世紀の対オスマン戦争に際して難攻不落の城塞都市に仕上げられました。街の名はオスマン軍を撃退したときの騎士団長ヴァレットに因みます。
     この立派な建物は、今は「証券取引所」だそうです。

  •  屋上でマルタの国旗が、強い風にはためきます。<br />第二次大戦ではイギリス海軍の拠点として激しい攻撃にさらされ大きな被害を受けましたが、戦後に大規模な修復が進み、現在は街全体が世界遺産に登録されています。1964年独立し英連邦の一員になりました。街には英語・マルタ語・イタリア語が混在しています。

     屋上でマルタの国旗が、強い風にはためきます。
    第二次大戦ではイギリス海軍の拠点として激しい攻撃にさらされ大きな被害を受けましたが、戦後に大規模な修復が進み、現在は街全体が世界遺産に登録されています。1964年独立し英連邦の一員になりました。街には英語・マルタ語・イタリア語が混在しています。

  •  人種も様々で、欧州系・アフリカ系・南米系・アジア系の人々が一緒に暮らしています。まさにダイバーシティー(多様性)の見本です。日本人の英語留学生もたくさんいました。<br /> ちょうどお昼なので、アッパーバラックガーデン(写真)に向かいます。

     人種も様々で、欧州系・アフリカ系・南米系・アジア系の人々が一緒に暮らしています。まさにダイバーシティー(多様性)の見本です。日本人の英語留学生もたくさんいました。
     ちょうどお昼なので、アッパーバラックガーデン(写真)に向かいます。

  •  アッパーバラックガーデンでは、毎日12時に1発だけ大砲を鳴らします。その瞬間の写真は観光客の混雑で撮れませんでしたが、人々が去った後の静かな砲台がこれです。この公園は、ホテルのあるスリーマとは反対側の入り江に面しています。

     アッパーバラックガーデンでは、毎日12時に1発だけ大砲を鳴らします。その瞬間の写真は観光客の混雑で撮れませんでしたが、人々が去った後の静かな砲台がこれです。この公園は、ホテルのあるスリーマとは反対側の入り江に面しています。

  •  砲台が向いているのはスリー・シティーズと呼ばれるエリアです。その名のとおり、ヴィットリーオーザ、セングレア、コスピークワの3つの町が集まっている地区で、いづれも巨大な防御壁に守られています。写真を、左から順に撮ってゆきます。どこも良く似ているので、間違わなければいいんですが。<br />スリー・シティーズ 写真①ヴィットリオーザ

     砲台が向いているのはスリー・シティーズと呼ばれるエリアです。その名のとおり、ヴィットリーオーザ、セングレア、コスピークワの3つの町が集まっている地区で、いづれも巨大な防御壁に守られています。写真を、左から順に撮ってゆきます。どこも良く似ているので、間違わなければいいんですが。
    スリー・シティーズ 写真①ヴィットリオーザ

  •  以前、ドブロブニク(クロアチア)に出かける前に、どっちに行こうかと迷ったことがありました。雰囲気は似ていますが、まとまりの良さではドブロブニク、規模ではヴァレッタというところでしょうか。<br />スリー・シティーズ 写真②コスピークワ(右奥)

     以前、ドブロブニク(クロアチア)に出かける前に、どっちに行こうかと迷ったことがありました。雰囲気は似ていますが、まとまりの良さではドブロブニク、規模ではヴァレッタというところでしょうか。
    スリー・シティーズ 写真②コスピークワ(右奥)

  •  スリーシティーズは観光客もあまり入り込まない静かな地区だそうですが、「古い石畳の路地は散策にもってこい」だと何かで読みました。今回は残念ながら訪問できていません。<br />スリー・シティーズ 写真③セングレア

     スリーシティーズは観光客もあまり入り込まない静かな地区だそうですが、「古い石畳の路地は散策にもってこい」だと何かで読みました。今回は残念ながら訪問できていません。
    スリー・シティーズ 写真③セングレア

  •  入り江には、外国航路の大型フェリー桟橋もあります。<br /> 小さな島国にも政変は起きます。最近、ある殺人事件に政府が絡んでいたとして政権が交代し、新大統領が就任たことは日本でも報じられました。新大統領は42歳、前の政府の法律顧問だそうです。

     入り江には、外国航路の大型フェリー桟橋もあります。
     小さな島国にも政変は起きます。最近、ある殺人事件に政府が絡んでいたとして政権が交代し、新大統領が就任たことは日本でも報じられました。新大統領は42歳、前の政府の法律顧問だそうです。

  •  人生に平坦な道はありません。ヴァレッタにもありません。メインのリパブリック通りは混雑が激しいので、平行に走る脇道を進んでいます。写真では分かりにくいのですが、急に下って急に上がる坂道です。でも、この程度の坂なら我が電動車椅子には朝飯前です。

     人生に平坦な道はありません。ヴァレッタにもありません。メインのリパブリック通りは混雑が激しいので、平行に走る脇道を進んでいます。写真では分かりにくいのですが、急に下って急に上がる坂道です。でも、この程度の坂なら我が電動車椅子には朝飯前です。

  •  ひときわ大きな聖ヨハネ大聖堂は1578年の完成です。<br />聖ヨハネ騎士団に参加した多くの若者は有力貴族の子息であり、当時、騎士団に集まった莫大な寄進を背景に豪華な建物が次々と建設されました。<br />

     ひときわ大きな聖ヨハネ大聖堂は1578年の完成です。
    聖ヨハネ騎士団に参加した多くの若者は有力貴族の子息であり、当時、騎士団に集まった莫大な寄進を背景に豪華な建物が次々と建設されました。

  •  メインストリートのリパブリック通りにはマリアの彫像やキリスト教に関する、あるいは十字軍の英雄を讃えるモニュメントがたくさんありました。今となってはどちらが侵略者だったのか、意見の分かれるところでしょう。聖ヨハネ騎士団は後に一部がマルタ島に拠点を移して、「マルタ騎士団」と呼ばれるようになりました。

     メインストリートのリパブリック通りにはマリアの彫像やキリスト教に関する、あるいは十字軍の英雄を讃えるモニュメントがたくさんありました。今となってはどちらが侵略者だったのか、意見の分かれるところでしょう。聖ヨハネ騎士団は後に一部がマルタ島に拠点を移して、「マルタ騎士団」と呼ばれるようになりました。

  •  通りを突き進んだ終点がここです。<br />強い風が吹きつける中、小さな灯台が今も護りを固めているように建っていました。<br />

     通りを突き進んだ終点がここです。
    強い風が吹きつける中、小さな灯台が今も護りを固めているように建っていました。

  •  昼食はヴァレッタのほぼ中央にあるフードコートでとりました。何軒ものお店が揃った真ん中にテーブル席が並んでいて、好みの店で買ってここで食べます。名物のウサギ料理などが手ごろな価格で食べられました。<br /> 近くには「騎士団長の宮殿」があり、妻が一人で入ってゆきました。展示は武器ばかりで「つまらなかった」そうです。

     昼食はヴァレッタのほぼ中央にあるフードコートでとりました。何軒ものお店が揃った真ん中にテーブル席が並んでいて、好みの店で買ってここで食べます。名物のウサギ料理などが手ごろな価格で食べられました。
     近くには「騎士団長の宮殿」があり、妻が一人で入ってゆきました。展示は武器ばかりで「つまらなかった」そうです。

  •  別の日、バスで内陸の古都イムディーナに行きました。スリーマの停留所(フェリー乗り場)が始発の202系統で、車椅子のまま乗り込みました。バスの中には車椅子用のスペースもあります。サン・ジュリアン経由で目的地まで1時間弱と聞いていましたが、途中で満員になり、交通渋滞に巻き込まれて優に1時間半は掛かりました。

     別の日、バスで内陸の古都イムディーナに行きました。スリーマの停留所(フェリー乗り場)が始発の202系統で、車椅子のまま乗り込みました。バスの中には車椅子用のスペースもあります。サン・ジュリアン経由で目的地まで1時間弱と聞いていましたが、途中で満員になり、交通渋滞に巻き込まれて優に1時間半は掛かりました。

  •  バスは小さな村々をいくつか通り過ぎ、車窓には不意にこんなモスクが。イスラム時代の名残りでしょうか。

     バスは小さな村々をいくつか通り過ぎ、車窓には不意にこんなモスクが。イスラム時代の名残りでしょうか。

  •  遠くの丘にイムディーナが見えてきました。一瞬のことで、すばやくポケットからカメラを取り出して窓へ向けましたが、瞬く間に木立ちに遮られてしまいました。足が2本あった頃なら、ここで下車していたでしょう。近くには妻の行きたかった手芸の工房がある筈でしたが、満員で身動きできないのでこれもスルーするしかありませんでした。

     遠くの丘にイムディーナが見えてきました。一瞬のことで、すばやくポケットからカメラを取り出して窓へ向けましたが、瞬く間に木立ちに遮られてしまいました。足が2本あった頃なら、ここで下車していたでしょう。近くには妻の行きたかった手芸の工房がある筈でしたが、満員で身動きできないのでこれもスルーするしかありませんでした。

  •  イムディーナはヴァレッタが築かれる前のマルタの首都、日本で言えば京都のようなところです。入り口はこのイムディーナ門。さっそく入場します。

     イムディーナはヴァレッタが築かれる前のマルタの首都、日本で言えば京都のようなところです。入り口はこのイムディーナ門。さっそく入場します。

  •  観光局のHPには「首都の移動に伴い人が少なくなったこの町は‘静寂の町’と呼ばれるようになった。中世の趣を色濃く残す古都イムディーナは、一歩路地には入ればひっそり静まりかえり、その名の通り、‘静寂’が広がっている」とあります。

     観光局のHPには「首都の移動に伴い人が少なくなったこの町は‘静寂の町’と呼ばれるようになった。中世の趣を色濃く残す古都イムディーナは、一歩路地には入ればひっそり静まりかえり、その名の通り、‘静寂’が広がっている」とあります。

  •  確かに住民の気配はなく、特にめぼしい見所もありません。出会うのは同じバスで来た観光客のみで、そこは京都とは違います。静かなので、誰かのカメラのシャッター音まで聞こえます。

     確かに住民の気配はなく、特にめぼしい見所もありません。出会うのは同じバスで来た観光客のみで、そこは京都とは違います。静かなので、誰かのカメラのシャッター音まで聞こえます。

  •  お土産屋さんの店先の、マルタ騎士団の兵士もしょんぼりしています。やはり中国客が来ないと、何処も静かで寂しいですね。

     お土産屋さんの店先の、マルタ騎士団の兵士もしょんぼりしています。やはり中国客が来ないと、何処も静かで寂しいですね。

  •  ときどき観光馬車が走り過ぎ、

     ときどき観光馬車が走り過ぎ、

  •  そのまま進むともう終点に突き当たりました。<br />小高い場所からヴァレットが遠望できるというので目を凝らしましたが、白っぽい町並みの何所がそれなのかは判別不能でした。

     そのまま進むともう終点に突き当たりました。
    小高い場所からヴァレットが遠望できるというので目を凝らしましたが、白っぽい町並みの何所がそれなのかは判別不能でした。

  •  イムディ-ナに隣接するラバトの町に移りました。観光局の説明では「活気あふれる庶民的な生活がうかがえる町」とありますが、人通りはありません。この町の地下には巨大な地下墳墓(カタコンベ)が広がっているようですが、見学はしませんでした。写真の聖パウロ寺院に地下への入り口があるようです。

     イムディ-ナに隣接するラバトの町に移りました。観光局の説明では「活気あふれる庶民的な生活がうかがえる町」とありますが、人通りはありません。この町の地下には巨大な地下墳墓(カタコンベ)が広がっているようですが、見学はしませんでした。写真の聖パウロ寺院に地下への入り口があるようです。

  •  辛うじて開いていた八百屋さん。南欧らしく野菜・果物は豊富です。

     辛うじて開いていた八百屋さん。南欧らしく野菜・果物は豊富です。

  •  ラバトの町並み。出窓をしつらえた家が多く、トルコやシリアでたくさん見た住宅とよく似ています。イスラムの伝統がこんなところに生きているのでしょう。<br /> どの町もそうですが、歩道は車道より10cmくらい高くなっています。安全のためにとうっかり乗ると、途中で幅が狭くなったり看板が邪魔したりしています。スロープの場所も少なく、結果としてUターンして戻ったり大きく行き過ぎたりを余儀なくされます。

     ラバトの町並み。出窓をしつらえた家が多く、トルコやシリアでたくさん見た住宅とよく似ています。イスラムの伝統がこんなところに生きているのでしょう。
     どの町もそうですが、歩道は車道より10cmくらい高くなっています。安全のためにとうっかり乗ると、途中で幅が狭くなったり看板が邪魔したりしています。スロープの場所も少なく、結果としてUターンして戻ったり大きく行き過ぎたりを余儀なくされます。

  •  スリーマのバリアフリーホテルです。部屋は十分広く、電動車椅子で走り回れます。小さなテラスもあって、そこが喫煙コーナーでした。

     スリーマのバリアフリーホテルです。部屋は十分広く、電動車椅子で走り回れます。小さなテラスもあって、そこが喫煙コーナーでした。

  •  豪華な食堂。4泊滞在して、朝食には毎日違うメニューが用意されていました。マルタにも「青の洞門」という洞窟がありましたが、強風のため、妻はまたもや断念しました。縁がないようです。<br /> 5日目の昼過ぎ、アリタリア機でローマに戻りました。オリジナルの旅程では夜に着いて翌朝出発になっていたところを、もう一泊追加して「ローマの休日」を過ごすことにしたものです。因みに、マルタ→ローマのフライトでは、電池を分離することなく、コネクタを抜いて絶縁テープを貼るだけで済みました。

     豪華な食堂。4泊滞在して、朝食には毎日違うメニューが用意されていました。マルタにも「青の洞門」という洞窟がありましたが、強風のため、妻はまたもや断念しました。縁がないようです。
     5日目の昼過ぎ、アリタリア機でローマに戻りました。オリジナルの旅程では夜に着いて翌朝出発になっていたところを、もう一泊追加して「ローマの休日」を過ごすことにしたものです。因みに、マルタ→ローマのフライトでは、電池を分離することなく、コネクタを抜いて絶縁テープを貼るだけで済みました。

  •  中世の旧市街はだいたい2km四方、大きなローマでも3km圏内に殆どの見所が集中しています。ホテルはテルミニ駅の近く。何度か来ているのでおおよその土地勘はあります。電動車椅子の性能ならコロッセオ・パルテノン・トレヴィの泉・スペイン広場、もう少し距離を伸ばせばナボーナ広場・サンタンジェロ城にサンピエトロ大聖堂(バチカン)までが射程に入ります。<br /> いくつか再訪することにしました。スタートは駅に近いサンタマリア・マッジョーレ大聖堂。妻が好きだという教会です。それにしても、”すべての道が通じている”ローマは道が悪すぎます。健常者のときには気にもならなかったことです。

     中世の旧市街はだいたい2km四方、大きなローマでも3km圏内に殆どの見所が集中しています。ホテルはテルミニ駅の近く。何度か来ているのでおおよその土地勘はあります。電動車椅子の性能ならコロッセオ・パルテノン・トレヴィの泉・スペイン広場、もう少し距離を伸ばせばナボーナ広場・サンタンジェロ城にサンピエトロ大聖堂(バチカン)までが射程に入ります。
     いくつか再訪することにしました。スタートは駅に近いサンタマリア・マッジョーレ大聖堂。妻が好きだという教会です。それにしても、”すべての道が通じている”ローマは道が悪すぎます。健常者のときには気にもならなかったことです。

  •  続いて、コロッセオ。何度も来ていますが中に入ったことはありません。私は多くの場合、建物の中には入りませんが、妻は入りたがります。今回も妻だけ入場することにして切符売り場の長い列に並んだ時、突然スタッフに「君たちはこっちだ」と指示されました。ついて行くと障害者専用の窓口があり、行列に並ぶことも料金を払うこともなく二人分の入場チケットを手渡されました。

     続いて、コロッセオ。何度も来ていますが中に入ったことはありません。私は多くの場合、建物の中には入りませんが、妻は入りたがります。今回も妻だけ入場することにして切符売り場の長い列に並んだ時、突然スタッフに「君たちはこっちだ」と指示されました。ついて行くと障害者専用の窓口があり、行列に並ぶことも料金を払うこともなく二人分の入場チケットを手渡されました。

  •  そこから先も専用のエレベータを示されて4階まで上がり、不本意ながら私も内部見学をすることになりました。妻は幸運と思ったようですが、お城や教会の内部に面白いものがあった試しがありません。思った通りコロッセオの中は遺跡というよりガラクタの山と谷。人混みの中を注意しながら車椅子であっちに行きこっちに回り、大事な電池と時間を消耗させてしまいました。

     そこから先も専用のエレベータを示されて4階まで上がり、不本意ながら私も内部見学をすることになりました。妻は幸運と思ったようですが、お城や教会の内部に面白いものがあった試しがありません。思った通りコロッセオの中は遺跡というよりガラクタの山と谷。人混みの中を注意しながら車椅子であっちに行きこっちに回り、大事な電池と時間を消耗させてしまいました。

  •  ヴェネツィア広場を経てパルテノンへ。<br /> 妻は今回、成田空港でイモトのWifiを借りました。行きたい所へは独りで行くと、事前に決めていたためです。もともと天然の方向音痴のうえ、頼りのイモトがときどき不調になって、シチリアでもマルタでも何度かパニックになりました。

     ヴェネツィア広場を経てパルテノンへ。
     妻は今回、成田空港でイモトのWifiを借りました。行きたい所へは独りで行くと、事前に決めていたためです。もともと天然の方向音痴のうえ、頼りのイモトがときどき不調になって、シチリアでもマルタでも何度かパニックになりました。

  •  このときもイモトが不調でした。それで記憶をたどり案内板をたどり、人にも尋ねて細い路地を抜けて、なんとかトレヴィの泉に到着しました。「やっぱりこの方法が確実だわ」と言ってました。そうでしょう。<br /> ここで車椅子の残量ランプがひとつ消えました。次はすぐ近くのスペイン広場を予定していましたが、無理をせずホテルの方向へ戻ることにしました。途中、共和国広場のローマ三越で買い物をする妻を置き、すぐ近くのホテルに帰りました。妻はその3時間後、大きな紙袋を抱えて上機嫌で戻りました。「人に道を聞いて戻れた」そうです。妻がひとりで歩いたのは、結局ここだけでした。

     このときもイモトが不調でした。それで記憶をたどり案内板をたどり、人にも尋ねて細い路地を抜けて、なんとかトレヴィの泉に到着しました。「やっぱりこの方法が確実だわ」と言ってました。そうでしょう。
     ここで車椅子の残量ランプがひとつ消えました。次はすぐ近くのスペイン広場を予定していましたが、無理をせずホテルの方向へ戻ることにしました。途中、共和国広場のローマ三越で買い物をする妻を置き、すぐ近くのホテルに帰りました。妻はその3時間後、大きな紙袋を抱えて上機嫌で戻りました。「人に道を聞いて戻れた」そうです。妻がひとりで歩いたのは、結局ここだけでした。

  •  ところで、犯罪の温床とも言われたテルミニ駅周辺が再開発で綺麗になっていました。着いた最初の夜に、新設された「ローマの中央市場」という名のフードコートに行ってみました。10時を回っていましたが、中は新橋の地下のごとき賑わい。妻は無難なピザを頼み、私は日本人の経営だというラーメン(写真:10ユーロ)を試してみました。う~ん、勉強になりました。もう食べません。

     ところで、犯罪の温床とも言われたテルミニ駅周辺が再開発で綺麗になっていました。着いた最初の夜に、新設された「ローマの中央市場」という名のフードコートに行ってみました。10時を回っていましたが、中は新橋の地下のごとき賑わい。妻は無難なピザを頼み、私は日本人の経営だというラーメン(写真:10ユーロ)を試してみました。う~ん、勉強になりました。もう食べません。

  •  最後の夜は、評判がいいと教えられたレストラン Ristorante Mangrovia へ。入り口に2段のステップがありましたが、スタッフが3人がかりで私を車椅子ごと(総重量140kg)持ち上げてくれました。日本人客が多くて驚きましたが、みな同じような情報源なのでしょう。注文したトリュフ料理は品切れでしたが、手長エビや手打ちパスタなど数品をワインで味わいました。二人分だといつも多すぎたので、ちょうどいい量。味も悪くなく、料金も手ごろでした。

     最後の夜は、評判がいいと教えられたレストラン Ristorante Mangrovia へ。入り口に2段のステップがありましたが、スタッフが3人がかりで私を車椅子ごと(総重量140kg)持ち上げてくれました。日本人客が多くて驚きましたが、みな同じような情報源なのでしょう。注文したトリュフ料理は品切れでしたが、手長エビや手打ちパスタなど数品をワインで味わいました。二人分だといつも多すぎたので、ちょうどいい量。味も悪くなく、料金も手ごろでした。

  •  帰国日のローマ(フェウミチーノ)空港。チェックインカウンターでの交渉で、今回も車椅子の電池を分離させることなく、コネクタの引き抜きとガムテープでの絶縁で合意しました。旅行中ずっと頭を悩ませた電池の運搬については、マニュアルはあっても現場でその都度現実的な方法を考え出してくれる、というのが結論です。車椅子に関するすべてが終了し、ずっと持ち歩いていた壊れたカートを捨てました。キャリーの中の梱包財は、成田で捨てます。<br /> 写真は空港内の充電設備。最近はどこの空港にも備わっていて便利です。

     帰国日のローマ(フェウミチーノ)空港。チェックインカウンターでの交渉で、今回も車椅子の電池を分離させることなく、コネクタの引き抜きとガムテープでの絶縁で合意しました。旅行中ずっと頭を悩ませた電池の運搬については、マニュアルはあっても現場でその都度現実的な方法を考え出してくれる、というのが結論です。車椅子に関するすべてが終了し、ずっと持ち歩いていた壊れたカートを捨てました。キャリーの中の梱包財は、成田で捨てます。
     写真は空港内の充電設備。最近はどこの空港にも備わっていて便利です。

  •  空港ピアノ。近くの店が鳴らすポップスのリズムに混じって、まだ練習中でしょうか、たどたどしい「悲愴」が聞こえてきます。<br /> はじめの予想通り、この旅行はたくさんの見知らぬ人の手を借りて何とか成り立ちました。ひとりの障害者に、ときに何人もの人々が支援の手を差し出します。大きな組織が動き、コストも半端なく上がります。電池に限らず事前の準備は面倒で、障害によってはトイレや階段の有無などの確認も必要でしょう。それでいて見て回れる範囲が限られるのでは、多くの障害者が旅行を躊躇するのもよく分かります。それでも、挑戦し続けないと壁は破れないのでしょうね。

     空港ピアノ。近くの店が鳴らすポップスのリズムに混じって、まだ練習中でしょうか、たどたどしい「悲愴」が聞こえてきます。
     はじめの予想通り、この旅行はたくさんの見知らぬ人の手を借りて何とか成り立ちました。ひとりの障害者に、ときに何人もの人々が支援の手を差し出します。大きな組織が動き、コストも半端なく上がります。電池に限らず事前の準備は面倒で、障害によってはトイレや階段の有無などの確認も必要でしょう。それでいて見て回れる範囲が限られるのでは、多くの障害者が旅行を躊躇するのもよく分かります。それでも、挑戦し続けないと壁は破れないのでしょうね。

  •  帰りの便では、最新作のターミネーターとゴジラを観ました。どちらも日本語吹き替え版。死にたい程つまらない映画でしたが、時間は往路より早く過ぎてくれました。<br /> 成田空港でイモトのWifiを返却し、大量の梱包材を捨て、少しだけ軽くなったキャリーの宅配を頼んで、これで最後の旅が終わりました。<br /> 寒い日でしたが、自宅に着くと庭の梅が満開になっていました。<br />(完)

     帰りの便では、最新作のターミネーターとゴジラを観ました。どちらも日本語吹き替え版。死にたい程つまらない映画でしたが、時間は往路より早く過ぎてくれました。
     成田空港でイモトのWifiを返却し、大量の梱包材を捨て、少しだけ軽くなったキャリーの宅配を頼んで、これで最後の旅が終わりました。
     寒い日でしたが、自宅に着くと庭の梅が満開になっていました。
    (完)

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この旅行記へのコメント (4)

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  • マンサフさん 2020/02/16 13:22:40
    先ず導入部で感動しました
    これが最後なんて言いながら、もう次のディストーションを探してるのでは?
    それとも、すでに行程創りに勤しんでたりしてネ

    マンサフ

    極楽人

    極楽人さん からの返信 2020/02/16 13:51:56
    RE: 先ず導入部で感動しました
    > これが最後なんて言いながら、もう次のディストーションを探してるのでは?
    > それとも、すでに行程創りに勤しんでたりしてネ
    >
    > マンサフ
    >

    今、女房主催の「マルタ料理試食会」中です。
    子供家族が全員集合でお土産を分け合っています。

    マンサフさん からの返信 2020/02/16 20:33:04
    RE: RE: 先ず導入部で感動しました
    > > これが最後なんて言いながら、もう次のディストーションを探してるのでは?
    > > それとも、すでに行程創りに勤しんでたりしてネ
    > >
    > > マンサフ
    > >
    >
    > 今、女房主催の「マルタ料理試食会」中です。
    > 子供家族が全員集合でお土産を分け合っています。


    イイ旅しましたネ
    マンサフ
  • baraさん 2020/02/15 12:00:39
    感動しました
    極楽人さん
    おはようございます、そしてお疲れ様でした。

    私自身もマルタ、ローマなどの観光には思い出がいっぱいですが、極楽神さんの美しい写真には感動しています。一眼レフではないカメラだと言われていますが観光馬車、露店の果物屋さん、路地裏、建築物、どれもこれも素晴らしい写真で思い出がよみがえりました。

    それにしても極楽人さんのガッツには本当に敬服し感動して旅行記を読みました。今後も楽しく美しい写真を撮り続けてください。



                                        bara

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