京急ウィングシートでゆったり旅（前）三崎口ー泉岳寺

2020/02/01 - 2020/02/01

京急では以前から平日朝夕の通勤時間帯に有料座席指定列車ウィング号（モーニング・ウィング号、イブニング・ウィング号）を運転していましたが、昨年（２０１９年）１０月から土休日の昼間にもウィング・シートとして有料座席指定サービスを始めました。
通常の快特電車の中の一両のみを指定席とするサービスですが、混みあう時間帯でもゆったりと座れることが魅力です。

２月に入って最初の土曜日。このウィング・シートの乗車体験に行ってみました。
座席指定料金は３００円。ＰＣやスマホなどからのネットで購入します。
上りウィング号の始発駅三崎口駅まで足を延ばし、三崎口―泉岳寺の上りと泉岳寺ー京急久里浜の下りにそれぞれ乗車しました。
例によって写真がたくさん撮れてしまい、沿線の車窓の様子もご紹介したいので前後編の２編に分けてレポートします。

前編はウィング・シート５３号で三崎口から泉岳寺までのおよそ１時間１０分の旅です。

★２０２０年８月追記★
新型コロナの影響で４月１１日から中断されていたウィング・シートは７月１８日から再開されたそうです。
これにあわせて当日車内で空席がある場合は現金での指定券購入も可能となりました。（京急HPより）

エリア 三浦海岸・三崎(神奈川)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 私鉄

２月１日土曜日。
江ノ島・鎌倉パスでの電車旅を終えて京急久里浜線の終点、三崎口駅までやってきました。
土曜日の午前１１時過ぎとあって三崎や油壷などへ向かう行楽客でにぎわっていました。

三崎口駅 駅

座席指定のウィング・シートは土休日のデイタイムに限って上り８本、下り９本運転されています。

下り快特として三崎口駅に到着した電車が折り返し、泉岳寺行きの快特になります。

京急久里浜線 乗り物

このうち三崎口寄りの２両目の車両のみウィング・シートとして有料座席指定車になります。

京急では平日朝夕の通勤時間帯のモーニング・ウィング号、イブニング・ウィング号（どちらも全車有料座席指定）を運転して来ました。
２０１９年の１０月２６日からはあらたに土休日昼間の快特の１両だけを有料座席指定車とするウィング・シートの運転を始めました。

★京急ウィング号について
１９９２年に平日夕方通勤時間帯に座席定員列車として京急ウィング号が品川ー三崎口（一部京急久里浜止まり）間で運転を開始。
当初は座席定員制の着席整理券（２００円）が品川駅の自販機などで販売されていました。
２００円で
＜♪仕事終わりの痛勤時間がやすらぎの時間に変わる！♪＞
と都心部での仕事の帰りにはたびたび利用させてもらいました。

その後、朝通勤時間帯にも運転が開始され、朝の上りがモーニング・ウィング号、夕方の下りがイブニング・ウィング号となりました。

現在はすべてが座席指定制（３００円）となりモーニング・ウィング号には１カ月間利用できるウィング・パス（５５００円）も設定されています。

モーニング・ウィング、イブニング・ウィングの座席指定券はネット販売の他に乗車駅ホームの自販機でも購入できますが、土休日のウィング・シートはネット販売だけになっています。

座席指定券（ウィングチケット）は京急の専用サイト「ＫＱuick」から購入。
こちらはあとからＰＣ版で表示した座席指定券（履歴）ですが、当日はスマホ画面に表示して乗車時に車内のウィングアテンダント（普通の車掌さんです）に見せると機械でＱＲコードを読み取ってチェックインとなります。
ウィング・シート５３号と表示されていますが、なぜか上りが奇数番号で下りが偶数番号なんです。
座席指定券は区間を区切っての発売ではないので予約することによって三崎口―泉岳寺の全区間を抑えたことになるようです。
「乗降可能駅なら」どの駅で乗り降りしてもいいことになっています。

★２０２０年８月追記★
新型コロナの影響で４月１１日から中断されていたウィング・シートは７月１８日から再開されたそうです。
これにあわせて当日車内で空席がある場合は現金での指定券購入も可能となりました。（京急HPより）

前置きが長くなりましたが、三崎口寄りの２号車のウィング・シート車に乗車します。
座席は通常の２１００形のそのままなのですが、ウィングシートであることを示す緑色の枕カバーが付けられています。

枕カバーには座席指定について書かれていますが、字が小さいので見ずらいかも。

２号車の三崎口寄りのドアのみ乗降可能で品川寄りのドアにはこのような横断幕が付けられていました。

隣の車両との間のドアにもこちらがウィングシートであることを示すシールが貼られています。
それでも隣の車両から移って来ようとするお客さんがいるようで、そのたびにアテンダントさんが案内していました。

網棚横には座席番号。

定刻１１時５６分に三崎口駅を出発。
三崎口出発時点ではウィング・シートは一人きりで貸し切り状態でした。
アテンダントさんに尋ねてみると上りはもう少し遅い時間帯の方が利用率が高いそうです。

三崎口駅を出るとすぐに見晴らしの良い橋梁に。この区間がなんとなくのどかで好き。

三浦海岸駅が近づくと線路の右側に「三浦海岸の河津桜」の桜並木が見られます。
まだ開花には少し早いようで、例年２月中旬から下旬頃が見ごろとなり、桜祭りも行われます。

★三浦海岸桜祭り：２０２０年は２月５日～３月８日。
三浦市観光協会ＨＰに開花状況が掲載されています。
https://www.miura-info.ne.jp/sakura/

三浦海岸桜まつり 祭り・イベント

三浦海岸駅前が見えてきました。

三浦海岸駅１１時５９分。
駅のホームを眺めていたら、ウィング・シートの前に並んでいて慌てて前後の車両に移動していく人が目立ちました。
また指定席と知らずに乗り込もうとして、アテンダントさんに案内されて、隣へ移る人も多く見かけました。
このあと終点までこの光景が続きました。
まだまだウィング・シートのことが知られていないんだなと思います。

三浦海岸駅 駅

三浦海岸―津久井浜　間では車窓右手に海が見えてきました。
京急線内でも数少ない海が見える区間です。

津久井浜駅１２時０１分。２号車以外は通常の快特として運転されているので停車駅も快特そのままです。
でも、上りウィング・シートは乗車できる駅が限られていて津久井浜駅は乗車できない駅になっています。
（停車駅ではどの駅でも降りることは可能）
上りウィング・シートの乗車可能駅は
三崎口、三浦海岸、京急久里浜、横須賀中央、金沢文庫、横浜の各駅のみです。

津久井浜駅 駅

京急長沢駅１２時０２分。

京急長沢駅 駅

ＹＲＰ野比駅手前の県道２７号線を跨ぐ高架。
先日「京急線各駅下車の旅（ＹＲＰ野比）」編でご紹介した場所なのでつい懐かしくって写真を撮っちゃいました。

ＹＲＰ野比駅１２時０５分。

YRP野比駅 駅

隣の車両から移って来ようとするお客さんがいるたびにアテンダントが案内をしに行っています。
昼間の京急に座席指定車があることを認知していない人の方がまだまだ圧倒的多数でしょうから。
そもそも土休日の昼間は限られた時間帯に４０分毎にしか運転されていないのでなおさらかな。

京急久里浜駅手前の高架線。左手の地平にはＪＲ横須賀線の踏切が見えています。
この踏切はふだんは朝と夜にしか電車が通らないんです。
（でも、昼間に通ることもないというわけではないので、ドライバーの皆さんは油断せずに一時停止をしてくださいね）

京急久里浜駅１２時０８分。
この駅でやっとウィング・シート車に一人乗客が増えました。

京急久里浜駅 駅

京急久里浜駅を出るとすぐに左手に地平のＪＲ横須賀線久里浜駅が見えます。
こちらは平作川を渡って加速します。

久里浜の車両基地にはKEIKYU YELLOW HAPPY TRAINがいました。

北久里浜駅１２時１１分。

北久里浜駅 駅

新大津駅１２時１２分。

新大津駅 駅

堀ノ内駅１２時１４分。お隣３番線の本線浦賀駅からの普通電車を待たせて先に出発。
堀ノ内からは京急久里浜線から京急本線に入るとともに、途中駅を通過する快特の走りになります。

堀ノ内駅 駅

横須賀中央駅１２時１７分。
指定席に１人乗ってきました。

横須賀中央駅 駅

安針塚駅―京急田浦駅の間でＪＲ横須賀線を跨ぎ越します。

京急逗子線が左から近づいてきて。

金沢八景駅１２時２５分。

金沢八景駅 駅

続いて金沢文庫駅１２時２７分。
指定席には３人もの大量？乗車。

金沢文庫駅 駅

上大岡駅１２時３４分。
指定席に３人乗ってきました。この先は乗車のできない駅になるのでこの日のウィング・シート５３号の指定席は合計９名。
２号車の定員５６席＋補助席１６席に対して９名はちょっと寂しい。
お陰で隣に人は来なかったのでゆったりと座って行けたのはありがたいのですが。

上大岡駅 駅

駅のホームでは指定席と知らずに２号車の前で並んでいる人も大勢いるため、アテンダントさんが前後の車両へ誘導。
前後の車両が混雑が特に激しくなり（写真は前寄り３号車との間の扉）２分ほど遅れて出発。

戸部―横浜　間にはとうの昔に廃止になった平沼駅跡。

京急本線 (空港線) 乗り物

川というか運河を渡って横浜駅構内へ進入します。
奥の方には横浜高島屋が見えています。

横浜駅。定刻では１２時４３分着のところ２分遅れと案内がありました。
この駅で指定席からは２人降りてしまいました。
左側にはＪＲ横浜線から根岸線への直通電車が停車中。

横浜駅 駅

横浜を出るとＪＲ線との併走区間になります。
子供の頃（今でもかな？）。電車同士がまるで競争するかのようにして走る様子が面白くて車窓に目がくぎ付けになったものです。

電車が休む新町検車区。

神奈川新町駅ー子安駅の間は珍しい上り線のみ複線になっている区間。
時には通過の快特と普通が並走するシーンも見られます。
奥は東神奈川駅から高架になって北へ向かう横浜線の線路。

子安駅通過。
奥には下り副本線を進んできた普通電車が待避中。

子安駅 駅

ＪＲ川崎駅を左に見て京急川崎駅に停車。所定では１２時５１分（３分遅れと案内あり）。

京急川崎駅 駅

多摩川を渡って東京都に入ります。

羽田空港方面乗換駅の京急蒲田駅所定では１２時５４分（３分遅れと案内あり）。
相変わらず前後の”自由席車”は混雑が激しい様子。

京急蒲田駅 駅

第一京浜（国道１５号）と併走しながら品川へ向かいます。

急なカーブを徐行しながら八ツ山橋踏切を通過。

品川駅到着。所定では１３時１分（遅れ２分と案内あり）
多くの乗客がこの駅で降りていきます。

品川駅 駅

地下に入って終点泉岳寺駅には２分遅れて１３時６分頃の到着でした。

泉岳寺駅 駅

都営浅草線方面の成田空港駅がお隣で接続。

快適なウィング・シートの旅でした。
せっかくのウィング・シートですがまだまだ乗客に認知されていないようです。
各駅でも知らずに乗り込もうとして慌てて前後の車両に移動する人が多くそのためもあって遅れを助長させているようにも見受けられました。
指定席がスマホなどのネット販売のみでホームの指定席券売機や車内での販売がないのも乗車率が低い大きな原因だと思われます。
３００円で座れるなら混雑する自由席車を避けて指定席車に移りたいと思うお客さんも多くいると思います。モーニング・ウィングやイブニング・ウィングで使われている駅設置の指定席券売機を利用できるようになると便利になります。
特に高齢のお客さんになればなおさらかと思いますが。高齢の方はネットでの販売にはなじめないだろうなと思います。
土休日昼間の指定席車は始まってまだ３，４か月で試行錯誤中なのだとは思いますが。
３００円の投資で確実に座って行けるウィング・シート。運転時間帯の拡大や本数の増加（４０分毎→２０分毎）などになるなどさらに発展していくと、嬉しいなと思います。
改善点もまだまだたくさんあることかとは思いますが温かい目で見守って、その成長を願っています。
（でもあんまり人気が出て混雑したらやだなぁ、と思う自分もいるのですが。。。）

すぐに折り返しの下りウィング・シートに乗るために泉岳寺駅では改札を出てトイレを借りただけで地上に出る時間もありませんでした。
泉岳寺駅のぶらり旅はまたの機会に譲ります。

（つづく）