2019/12/30 - 2019/12/31
659位(同エリア1523件中)
船尾唯智さん
全国に複数の夜行フェリーがありますが、ここ四国の松山と九州の小倉を結ぶ松山小倉フェリーはリニューアルしたとは言え、30年以上前の古いフェリーを今尚使っている。たいていは25年たてば取り替えであるが。
そんな哀愁漂う夜行フェリーの旅人となってみた。
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松山の繁華街、松山市駅より40分程度で松山観光港に到着する。広島、呉方面のフェリーや高速船で賑わう場所で、小倉へ行くフェリーの利用はマイナーな部類だ。
道後温泉、大街道、JR松山駅からは松山観光港直行のリムジンバスが出ているが、松山市駅ならば伊予鉄高浜線で終点高浜まで行き、そこからシャトルバスに乗るのが便利だ。直行リムジンバスより100円程度安いし、本数も伊予鉄高浜線との乗り継ぎを考慮しているので、日中15分毎に1本と圧倒的に運転本数も多い。
早めに観光港に行きたいなら高浜乗り継ぎが良い。 -
松山出港は21時55分。1時間半前の20時20分前に松山観光港に到着したが、松山観光港のカウンター受付には帰省客で行列が出来ていた。
切符発売開始は20時30分から、乗船開始は21時から。 -
この日乗船する二等は通常6100円だが、繁忙期のために6600円。先日老朽化した船をリニューアルしたのだが、そのために船賃が多少値上げされた。
はっきり言って関西九州間の夜行フェリーに乗れそうな高めの料金設定。しかし関西九州フェリーは貨物移動が旺盛だが、この四国と九州を結ぶフェリーはそうでもない。こと小倉松山フェリーは閑散期は旅客もガラガラと聞く。高値設定をしないと採算が取れないのが本音なのだろう。 -
20時30分のチケット販売開始を迎えて、チケットをゲットした後は300mもある長い通路を歩かされる。広島、呉方面の航路は近くに発着するが、この松山小倉フェリーは観光港の北の端っこに追いやられている。
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長い通路を歩いた後は、フェリーの横で21時の乗船開始を待つ。しかしこの通路、空調もないので寒い。勿論トイレもない。
ここで待っている間トイレに行きたくなったら、乗船開始まで我慢するか、そうでなければ300mを歩いて戻らなければならない。そしてまたこの通路を歩かなければならない。それだけで300m×3片道の900mも歩かされる。
ただし通路の待機する場所付近にはベンチがあるので、乗船開始まで腰を下ろすことはできる。 -
こちら乗船券である。乗船開始の21時を迎え、改札を通ると、社員の方が右側を切り離していた。いつもは客が少ないからいいかもしれないが、今日みたいに帰省客が多いと切り離し作業も大変である。
なおフェリーさんふらわあなどのように多数の旅客が運べる大型フェリーでは、QRコード等で機械で読み取る改札方法が増えてきている。 -
乗船開始となると、今度は船内で階段を上らなければならない。船内にエレベーターなるものはない。旅客の荷物は年々スーツケースなどで大型化しているが、この船は古いままだから仕方ない。
歴史的には、昔、関西汽船という船会社が関西~小豆島~松山~小倉という航路を開設した名残である。当時は観光航路としてウハウハだったが、道路網の進展等により赤字経営体質となり、松山~小倉間が残った。
その後関西汽船と複数の会社合併を繰り返してできた、フェリーさんふらわあがこの航路を担ったものの、赤字による航路廃止を表明。これに対し、広島松山航路を担う石崎汽船が松山小倉航路を残すべきとして、子会社の松山小倉フェリーを設立して今に至る。 -
船内に入ると帰省客で人は多いが、それでもガラーンとした印象がある。
フェリー自体も関西汽船時代のものをそのまま使っている。だから当時は観光航路の考えで広々とした造りだったのだろうが、その後の経営合理化でラウンジなどが喫煙室になったりしている。 -
船内には売店がある。中身はお土産品が中心であり、船内で飲むもの、食べるものは品数が薄い印象。
夜11時頃まで営業していたのはまだしも、びっくらこいだのは翌日の早朝5時頃から5時半までも営業していた。それでも早朝の売店には少ないながらも客の姿はあった。 -
このフェリーは上下便とも早朝5時に到着する。そのため7時まで船内休憩が可能だが、5時到着後に下船する客が途絶えると人道橋を一旦上げ、また6時半に人道橋を下ろす。つまり朝5時に到着してから、7時までの間いつでも下船できるという訳ではない。
7時までの船内休憩はありがたいが、利用するならこの点は気を付けておかなければならない。
早朝の売店営業はこれに合わせたものだろうが、早起きする船員さんも大変である。 -
船内には自販機コーナーもある。ただし数は少ない。通常の利用客数の少なさに加え、夜行フェリーにしては乗船時間も短めであることを反映している。
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ただし自販機コーナーにはカップラーメンもあるので、何も食料もなしに船内に乗り込んでも空腹には困らない。
ちなみにこの航路はおでんを販売していた。美味であると評判であったが、残念なことに船のリニューアルに合わせて閉鎖されてしまった。 -
フロント付近には現在位置を示すモニターまで付いている。古いこのフェリーの中では一番新しい設備だ(笑)
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21時55分に松山観光港を出港した。デッキに出ると、冬場ゆえに寒いため、そこまで客はいなかった。
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ファンネルが、コスモラインの鹿児島種子島航路「プリンセスわかさ」と似ている、というよりほぼ同じ(笑)
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フェリーは白い波を立てて、松山観光港を離れる。さらば、四国。
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船内に戻ると、フロントの横にテーブルのある畳のスペースがある。船内に食事を持ち込んで食べる時や、終夜話をしたいならこの場所が良かろう。
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喫煙スペース。ここはかつての船図を見るとラウンジがあったようだ。昔の観光航路として活躍していた頃の栄華の名残だが、今では合理化のために殺風景なブースとなっている。
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これが昔の船の配置図だ。よく見たら今との違いが面白いのだが、逆に今の船の船室案内が全くない。自分の2等の場所が分からずに右往左往した。
はっきり言って船室の案内表示は不親切なので、場所は船員さんに聞くしかない。 -
ちなみに自分の今晩の寝床となる2等船室は急な階段の上にあった。バリアフリーもあったもんもない30年以上前のフェリー。
リニューアルしたとは言え、主に外観と布団類であり、その他内装等のアコモデーションはほぼ手を付けていなかったのが印象的だった。(続く)
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