2016/09/17 - 2016/09/17
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わになのかさん
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「フライパンだよ、フライパン。」
ルードはいつもの人の好さそうな笑顔でそう言った。
「フライパン?」
突然の単語に着いていけなくなった僕は首をかしげる。聞き違えでなければ、あの調理器具の名前だったが、はて今はポルトガル旅行の話をしていたはずである。リスニングの苦手な僕のことだ。まったく別の単語の可能性はあった。
「そう。道でサニーサイドアップが焼けるくらい暑くなる。だからイベリア半島の夏はフライパンって言われてるのさ。」
なるほど。どうやら調理器具のことで合ってたらしい。少し安心した。同僚の一人であるルードは50歳には見えない精悍で浅黒い顔をほころばせて楽しそうに語る。
「あのあたりに夏行くのは覚悟が要るってこと。僕も同じ時期にポルトワインを飲みにポルトに行くんだけどね。あ、ワインって言ってもポルトは正確にはワインじゃなくて。。」
ワインの話になると長くなるので、さえぎってでも本筋に戻す。
「でももう9月だよ」
「9月じゃまだ向こうは夏だよ。40℃も十分あり得るさ。」
「そうなの?」
「そうさ。でも燦々と降り注ぐ太陽は、このオランダやドイツじゃなかなかお目にかかれないからね。僕は嫌いじゃないよ。」
確かに、北の方では日差しは貴重だ。
うん、楽しみになってきた。輝く太陽。照り付ける日差し。
…でも、やっぱり暑いものは暑いのだけれど。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 乳幼児連れ家族旅行
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
朝、サンタジュスタのエレベータ乗り場に着くと、そこには誰もいなかった。観光客どころか係員もである。
yellowbusにエレベータチケットは含まれているはずのため、特にお金を払う必要はないのだが、エレベータも動いているのかどうかわからない。最古のエレベータということで特に機械的なインジケーションがあるわけでもない。果たしてこれは止まっているのか、それとも上に停まっているのか。
まあしかし3日目ともなると、こんなことにも慣れたものである。ちょっと待って来なかったら諦めようぜと肩を竦める。そう、ここはリスボンである。鼻歌まじりに無骨な鉄塔の周りをくるくる回っていたら、いきなりゴゴンと音がしてエレベータが到着した。今動き出したのか、上階にいただけなのか、わからないけどもういいや。 -
上階に上がると、ちょうど街の屋根の上あたりに出た。これはちょっとおもしろい。なぜならヨーロッパの塔や教会の上などの見晴らし台は普通もっと高いところにある。大体が権力を示すために高く作るからである。対して実用性だけを考えられたこのエレベータ塔は街の屋根を越えられれば良い。これくらいの中途半端な高さからの眺めはあまり見たことがない。
でも、下を見るとやっぱり高い。いや、それよりもエレベータから高台への渡り廊下を支えるこの支柱、薄すぎませんか? -
イチオシ
塔で上がって、渡り廊下で高台へ抜ける。この構造もユニークである。
どこか懐かしいデザインの鉄骨と旧市街の組み合わせはどこかスチームパンクのイメージだ。 -
さて、高台に登ったそのまま歩いて、ビカのケーブルカーへ。
細い路地を行き交うレトロな車体とその向こうに覗くテージョ川の流れが、リスボンの代表的な景観となっているらしい。
随分と下からゆっくりと登ってくるケーブルカー。テージョ川からの光を後ろから受けて黄色の車体が、黄色の車体…黄色、じゃない?
「ドラ〇もん?!」
まあ、乗ってしまえば車体は見えない。乗り込んで下っていくさなか、すれ違ったもう一台のケーブルカーは黄色だったとさ。 -
さて、そこから少し歩いて、一軒のアズレージョ専門店を目指す。
サンタアナ
実はここで名前の入った表札を作ってくれるという情報があったからだ。アズレージョの表札。もともとヨーロッパの民芸品に目がない僕としては、ぜひとも欲しい一品である。
オープン時間より少し前に到着してしまったため、近くのエッグタルト屋さん"Manteigaria"の店先でエッグタルトを買って、熱々をほおばりながら待つことにした。もちろん、オープン時間になっても開かない。もう時間通り開く方がおかしい。そうだ、そう思おう。30分くらい経過して、ようやくおもむろに戸口が開いた。
中は大通りのお土産やさんに並ぶものとは違う、実用的なアズレージョが雑多に並んでいた。
「表札作ってもらえるって聞いたんですけど」
早速、店のおじさんに尋ねると。
「ああ、いいよ。そうすると、こんな感じなんだがね」
と一枚のアズレージョを見せてくれた。妻と顔を見合わせる。
「ちょっと…」
「そうね、ちょっと、デザインが野暮ったいというか…」
まあ、そんな感じだった。
「デザインはこれしかないんですか」
少し悩んだ結果、ダメ元で聞いてみると、おじさんはきょとんとして
「いや、できるよ。」
「たとえば?」
「なんでも、ここにある中でどんなデザインでも」
と店内を手で示した。
「いいね!」
「やったね!」
妻と僕は喜んで、一つのアズレージョを指さす。
「じゃあ、こんな感じのものを…」
「それはダメだな」
なんでやねんーー!
「今、なんでもいいって言ったわよね」
「うん、めっちゃ手を広げて自慢気に言ってたよね」
おじさんが言うには、名前を書くスペースを考えると装飾は縁取りになる。そうすると細かくて小さいデザインか、ベタ塗りの組み合わせみたいなのじゃないと厳しいらしい。うん、まあ、そうか、考えてみればそうだな。
そのあと、かなりの回数の「これは?」「ダメだな」を繰り返した。おじさんから、もう最初のこれでいいじゃん、ポルトガルの伝統デザインだよ、的なことを言われても、逆に「ダメだな」と首を振って他のを探す妻と僕。ポルトガルの伝統デザイン嫌なんかーい、とおじさんがしゅんとなる始末だった。最終的には僕も妻も満足のいく良いものが見つかってほっとした。でも一番ほっとしたのはおじさんだっただろう。ちなみに何か壊さないように恐る恐る歩かされていた娘もほっとしていたはずだ。すみませんでした。
描いてもらう名前のスペルと、住所を書いてお金を払う。絵付けと焼きを合わせて大体一か月でできて、家に送付してくれるとのこと。なるほど、二か月は見ておいた方が良いということですね。わかります。 -
その後、街歩きを継続。狭い路地を散策したり、高台へ出たりして、今日も快晴のリスボンを歩いた。
-
最後にトラムに乗って、少し離れたセニョーラ・ド・モンテ展望台へ向かった。アルファマでは最高地点だそうだ。トラムの駅から少し離れていて、住宅街の急な登りを抜けた先の小さな公園がそれだった。街とテージョ川が一望できるなかなかの眺め。
-
今まで歩いた場所や、ロシオ広場なんかが見えるのが楽しい。いつものごとく色々と調べて連れてきてくれた妻に感謝である。やはり交通の便が悪いこともあってタクシーで来てる家族なんかもいた。もちろん、トラムと徒歩で来る方が味がある。
-
アルファマへ降りてレストランでリスボン最後の外食。一日目に、開店時間が違って入れなかった、坂の途中のあのレストランである。
Alpendre
妻が調べておいてくれたシーフードが旨いというお店。今回はちゃんと入ることができた。レストランというより地元の小さな食堂という感じ。
冷えたビール(グラスじゃないのがまたいい)とカタプラーナベースの漁師風おじや。 -
そして、イワシの塩焼きだ。身がふっくらとして本当に旨い。カタプラーナも昨夜の店よりも美味しかった。店員さんも気さくで、いろいろと娘と息子の相手をして楽しませてくれたりする良い雰囲気の店だった。
そしてやっぱりシーフードは美味しいね。 -
食事のあとはデザートを。ということで、これも美味しいと評判の
Santini -
そして、まだまだデザートは続く。エッグタルトの店、
NATA
そのままの店名である。
今回、エッグタルト=パステル・デ・ナタを色んなところで食べたけれど、どこも少しずつ味や食感が違っていて楽しかった。でもなにはともあれ、熱々をほおばるのが旨いことには変わりない!カリっとした皮にトロッとしたクリーム。香るシナモンに粉砂糖の甘さ。あー、もう一度食べにいきたい。 -
お土産に立ち寄った
Conserveira de Lisboa
缶詰専門店である。いわしのオイル漬け、いわゆるオイルサーディンを始めとするシーフード缶を主に扱っていたが、パッケージがレトロでおもしろいのだ。有名店のようで人もたくさん入っていた。いくつか見繕って購入。家に帰ったらこれで一杯やろうとか考えてたら、
「次の旅行のときに持っていくんだからね」
と、普通に心を読んでくる妻。 -
翌日の早朝。あまりに早い時間なのでタクシーをアパートの管理人に予約してもらった。余裕をもって時間を指定していたとはいえ、ちゃんと来るか心配していたタクシーは、予約時間通りにアパートの前に来た。
帰りはポルトガル航空TAPでドイツへ。
思えば遠くまで来たものである。
世界地図を眺めながらそう思う。ユーラシア大陸の西も西。西の果て。テスト勉強のために無理やり覚えたイベリア半島と大西洋だが、まさか自分がこんなところに来るなんてその頃は思っていなかった。こうして世界を見てまわる楽しさを知っていたなら、もう少し真面目に地理も英語も勉強しただろうか。そしたら日本を飛び出しただろうか。
「いや無理でしょ、小心者。」
「…つっこみ早いし。あと言い方。」
「お金は?仕事はどうすんの?」
「…それ言うなし」
「あ、あと行政手続きとか。医療保険にも入らなきゃ。それに社会保険はどうするのかしら(ぶつぶつ)」
「…」
「何笑ってんの」
「笑ってないよ、別に」
「笑ってんじゃんー!」
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