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ここに地終わり、海始まる。<br />大詩人をしてそう言わしめるほど、まさに地の果てであったポルトガル。ヨーロッパ大陸を向けばスペインを始めとする列強が立ちふさがる地理の中で、彼らは大海原の先に夢を見て冒険に漕ぎ出した。それを送り出してきたのがテージョ川であり、ベレン地区であったという。リスボンを流れるテージョ川は川といえど最下流であり、ベレンは北大西洋に抜ける河口であった。冒険者たちはここから旅立ち、そしてここへ帰ってきたのである。<br /><br />インドやアジアへの大航海で知っているものと言えばヴァスコ・ダ・ガマの喜望峰の話か。ここから遥か南のアフリカ大陸南端を廻る航路を開拓してアジアへ向かったのだ。そういえば、日本から船便で送られてきた我々の引越し荷物も大海原を旅してきたに違いない。<br />「我が家の家具も、その喜望峰を越えてきたんだなあ。そう考えると感慨深いな」<br />「いや、今の航路はスエズ運河経由でしょ。」<br />「え?」<br />「・・・え?」

ザビエルはいるか リスボン4

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2016/09/17 - 2016/09/17

1732位(同エリア2655件中)

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わになのか

わになのかさん

ここに地終わり、海始まる。
大詩人をしてそう言わしめるほど、まさに地の果てであったポルトガル。ヨーロッパ大陸を向けばスペインを始めとする列強が立ちふさがる地理の中で、彼らは大海原の先に夢を見て冒険に漕ぎ出した。それを送り出してきたのがテージョ川であり、ベレン地区であったという。リスボンを流れるテージョ川は川といえど最下流であり、ベレンは北大西洋に抜ける河口であった。冒険者たちはここから旅立ち、そしてここへ帰ってきたのである。

インドやアジアへの大航海で知っているものと言えばヴァスコ・ダ・ガマの喜望峰の話か。ここから遥か南のアフリカ大陸南端を廻る航路を開拓してアジアへ向かったのだ。そういえば、日本から船便で送られてきた我々の引越し荷物も大海原を旅してきたに違いない。
「我が家の家具も、その喜望峰を越えてきたんだなあ。そう考えると感慨深いな」
「いや、今の航路はスエズ運河経由でしょ。」
「え?」
「・・・え?」

旅行の満足度
4.0
同行者
乳幼児連れ家族旅行
旅行の手配内容
個別手配

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  • 今日は朝からベレン地区へ行くことにしていた。もうすっかりなじみになったフィゲイロ広場から出発。各方面へ出るトラムがひっきりなしに入ってくる中で、ベレン行きのトラムに飛び乗った。

    今日は朝からベレン地区へ行くことにしていた。もうすっかりなじみになったフィゲイロ広場から出発。各方面へ出るトラムがひっきりなしに入ってくる中で、ベレン行きのトラムに飛び乗った。

  • トラムはしばらく海沿いを走ったあと、ジェロニモス修道院に到着。

    イチオシ

    トラムはしばらく海沿いを走ったあと、ジェロニモス修道院に到着。

  • マヌエル建築の傑作と言われる修道院は、真っ白な壁面の各所に精緻な彫刻が施された白亜の建造物だった。

    マヌエル建築の傑作と言われる修道院は、真っ白な壁面の各所に精緻な彫刻が施された白亜の建造物だった。

  • 見どころとなる内部は料金を払って入るようだったが、朝早いこともあってまだ開かないとのこと。でも教会には自由に入ることができた。

    見どころとなる内部は料金を払って入るようだったが、朝早いこともあってまだ開かないとのこと。でも教会には自由に入ることができた。

  • 静謐で巨大な空間を支える柱にも精密な彫刻。マヌエル建築は随所に海や船、そして遠い異国の産物のモチーフが彫られていることが特徴なのだそうだ。上に延びた柱はそのまま網の目のように広がり天井を形成する。力学的に計算し尽された石造り特有の構造だが、表面の精緻な凹凸と多数の曲線が有機的な印象を与え、どことなく血管や神経が張り巡らされた体内を思わせる。<br />少し覗いてから、僕らは静かに教会を後にした。<br />ベレン地区にはジェロニモス修道院のほかにも、発見のモニュメント、ベレンの塔などの見どころがある。発見のモニュメントは修道院の向かいの公園を抜けた先、テージョ川沿いにあるはずであった。

    静謐で巨大な空間を支える柱にも精密な彫刻。マヌエル建築は随所に海や船、そして遠い異国の産物のモチーフが彫られていることが特徴なのだそうだ。上に延びた柱はそのまま網の目のように広がり天井を形成する。力学的に計算し尽された石造り特有の構造だが、表面の精緻な凹凸と多数の曲線が有機的な印象を与え、どことなく血管や神経が張り巡らされた体内を思わせる。
    少し覗いてから、僕らは静かに教会を後にした。
    ベレン地区にはジェロニモス修道院のほかにも、発見のモニュメント、ベレンの塔などの見どころがある。発見のモニュメントは修道院の向かいの公園を抜けた先、テージョ川沿いにあるはずであった。

  • 「なん……だと?」<br />発見のモニュメントは絶賛工事中であった。<br />発見のモニュメントとは海(テージョ川)に突き出して作られた壁の両側に、エンリケ航海王子を筆頭にした航海史の英雄たちの彫刻を並べたものである。<br />「いや、その表面が全然見えないよ?ほら、足場の隙間から顔がちらほら見えるくらいよ?」<br />「まあ確かに、こんなに一気にやることないのにね、って感じはするわね」<br />「もうこれはこれでそういうモニュメントみたいになってるだろ。そして、あんなに足場が組まれてるのに、だれも作業してる人いないよ?」<br />「…朝だからかしらね」<br />「もう九時やで?」<br />「…ポルトガルだからかしらね」<br />中にはヴァスコ・ダ・ガマや、あのフランシスコ・ザビエルもいるそうだが、いったいどこなのか。<br />足場に羽交い絞めにされて、「いやー参りましたね」「いやまったくですね」と語り合う英雄たちがそこにはあった。

    「なん……だと?」
    発見のモニュメントは絶賛工事中であった。
    発見のモニュメントとは海(テージョ川)に突き出して作られた壁の両側に、エンリケ航海王子を筆頭にした航海史の英雄たちの彫刻を並べたものである。
    「いや、その表面が全然見えないよ?ほら、足場の隙間から顔がちらほら見えるくらいよ?」
    「まあ確かに、こんなに一気にやることないのにね、って感じはするわね」
    「もうこれはこれでそういうモニュメントみたいになってるだろ。そして、あんなに足場が組まれてるのに、だれも作業してる人いないよ?」
    「…朝だからかしらね」
    「もう九時やで?」
    「…ポルトガルだからかしらね」
    中にはヴァスコ・ダ・ガマや、あのフランシスコ・ザビエルもいるそうだが、いったいどこなのか。
    足場に羽交い絞めにされて、「いやー参りましたね」「いやまったくですね」と語り合う英雄たちがそこにはあった。

  • 足元を見ると、モニュメントの麓の地面は絵タイルになっていて、世界地図が描かれていた。航海史上でその場所に到達した年がどうも書かれているようである。日本は1541年。種子島への鉄砲伝来より少し早く、ポルトガル船が漂着した年だそうである。

    足元を見ると、モニュメントの麓の地面は絵タイルになっていて、世界地図が描かれていた。航海史上でその場所に到達した年がどうも書かれているようである。日本は1541年。種子島への鉄砲伝来より少し早く、ポルトガル船が漂着した年だそうである。

  • そのままテージョ川沿いを下流に向かって歩いてベレンの塔へ。<br />川沿いというか、景観としてはもう海沿いだ。ところどころにセーリングボートやヨットが停泊する船着き場がある。

    そのままテージョ川沿いを下流に向かって歩いてベレンの塔へ。
    川沿いというか、景観としてはもう海沿いだ。ところどころにセーリングボートやヨットが停泊する船着き場がある。

  • ベレンの塔に到着。行き交う船を監視する役目を負った建物だそうだが、長い航海を終えて帰ってきた船乗りたちは、この塔を見てやっと帰ってきたことを実感したという。故郷のシンボル的な存在だったのだろう。それにしてはちょっと小さい気もしなくもない。船からちゃんと見えるかな?<br />観光客が列をなして並んでいたので、外側から眺めるだけにした。しかし、今日も本当に良い天気。青空に白い塔が良く映えていた。

    ベレンの塔に到着。行き交う船を監視する役目を負った建物だそうだが、長い航海を終えて帰ってきた船乗りたちは、この塔を見てやっと帰ってきたことを実感したという。故郷のシンボル的な存在だったのだろう。それにしてはちょっと小さい気もしなくもない。船からちゃんと見えるかな?
    観光客が列をなして並んでいたので、外側から眺めるだけにした。しかし、今日も本当に良い天気。青空に白い塔が良く映えていた。

  • ベレンの塔からはyellowbusの乗り放題に含まれている乗り合いバスを利用して、再びジェロニモス修道院まで戻ってきた。お目当てはエッグタルトの有名店。<br />パスティス・デ・ベレン<br />小さな入り口はテイクアウトを求める人で溢れかえっていた。なんとか中へ入ると、その先は驚くほど奥行きがあり、いくつもの広いフロアにテーブルがあった。しかし、そのどれもがいっぱいだ。どんどん奥へ行くと、小さな中庭みたいなところに出て、そこに一つテーブルが空いていた。パスティス・デ・ナタ(エッグタルト)と、ポルトガルのアイスミルクコーヒー&quot;ガロン&quot;を注文。<br />頼んでもなかなか来なくて、相変わらずのポルトガルペースに、はあ~、となったが、それはそれ。味は絶品だ。<br />サクッとした生地にかぶりつけば、中から熱々トロトロのクリームがあふれ出す。テーブルの粉砂糖とシナモンをたっぷり振って食べるのがおススメ。<br />エッグタルトはリスボン市街にもいろいろと美味しいお店がある。店頭で数個頼んで、熱々を茶色の紙袋に入れてもらって、歩きながら頬張る、というのもまた良い。が、カフェに入ってコーヒーとともにいただくのもまた良い。結論、リスボンのパステル・デ・ナタは最高、ということである。<br />しかし、カフェに入るときは十分な余裕をもったときに。注文取りに始まり、皿が届くまで、そしてお勘定。そのすべてがめちゃくちゃ遅い。人気店で人が多ければなおさらである。ドイツなど他のヨーロッパで慣れていても、その上を行くレベル。<br />「これが南ヨーロッパなのね。」<br />「そうだね。でも素敵じゃないか。こうしてポルトガルの時間に身を委ねてだね。。」<br />「うん…もうすぐ船の時間なんだけど。」<br />「ちょっと、店員さーん!!」

    ベレンの塔からはyellowbusの乗り放題に含まれている乗り合いバスを利用して、再びジェロニモス修道院まで戻ってきた。お目当てはエッグタルトの有名店。
    パスティス・デ・ベレン
    小さな入り口はテイクアウトを求める人で溢れかえっていた。なんとか中へ入ると、その先は驚くほど奥行きがあり、いくつもの広いフロアにテーブルがあった。しかし、そのどれもがいっぱいだ。どんどん奥へ行くと、小さな中庭みたいなところに出て、そこに一つテーブルが空いていた。パスティス・デ・ナタ(エッグタルト)と、ポルトガルのアイスミルクコーヒー"ガロン"を注文。
    頼んでもなかなか来なくて、相変わらずのポルトガルペースに、はあ~、となったが、それはそれ。味は絶品だ。
    サクッとした生地にかぶりつけば、中から熱々トロトロのクリームがあふれ出す。テーブルの粉砂糖とシナモンをたっぷり振って食べるのがおススメ。
    エッグタルトはリスボン市街にもいろいろと美味しいお店がある。店頭で数個頼んで、熱々を茶色の紙袋に入れてもらって、歩きながら頬張る、というのもまた良い。が、カフェに入ってコーヒーとともにいただくのもまた良い。結論、リスボンのパステル・デ・ナタは最高、ということである。
    しかし、カフェに入るときは十分な余裕をもったときに。注文取りに始まり、皿が届くまで、そしてお勘定。そのすべてがめちゃくちゃ遅い。人気店で人が多ければなおさらである。ドイツなど他のヨーロッパで慣れていても、その上を行くレベル。
    「これが南ヨーロッパなのね。」
    「そうだね。でも素敵じゃないか。こうしてポルトガルの時間に身を委ねてだね。。」
    「うん…もうすぐ船の時間なんだけど。」
    「ちょっと、店員さーん!!」

  • 半ば強引につかまえた店員にお金を握らせるようにしてお勘定を済ませた僕たちは、テージョ川沿いの船着き場に向かった。帰りは、これまたyellobusのルートの一つであるテージョ川の遊覧船に乗ってリスボン市街へ戻る予定なのだ。<br />店を出ると、ちょうど楽団パレードが通るところだった。見続けたそうな娘の手を引っ張って船着き場へ急ぐ。

    半ば強引につかまえた店員にお金を握らせるようにしてお勘定を済ませた僕たちは、テージョ川沿いの船着き場に向かった。帰りは、これまたyellobusのルートの一つであるテージョ川の遊覧船に乗ってリスボン市街へ戻る予定なのだ。
    店を出ると、ちょうど楽団パレードが通るところだった。見続けたそうな娘の手を引っ張って船着き場へ急ぐ。

  • 船は定刻通りに来た。まったく、こんなときだけ時間に正確なのだ。しかし、コースはまた適当だった。地図によると、ここから直でリスボン市街へ向かう航路のはずだが、逆の河口側へ進みだした。<br />そのおかげで発見のモニュメントやベレンの塔をテージョ川から眺めることができた。嬉しい誤算だが、もう何も信じられませんね、これ。旅のプランを立てている僕らを鼻で笑う適当さ。

    船は定刻通りに来た。まったく、こんなときだけ時間に正確なのだ。しかし、コースはまた適当だった。地図によると、ここから直でリスボン市街へ向かう航路のはずだが、逆の河口側へ進みだした。
    そのおかげで発見のモニュメントやベレンの塔をテージョ川から眺めることができた。嬉しい誤算だが、もう何も信じられませんね、これ。旅のプランを立てている僕らを鼻で笑う適当さ。

  • まあ、ええじゃないか、ええじゃないかってなもんで、のんびりと船旅を楽しむ。これ、大事です。

    まあ、ええじゃないか、ええじゃないかってなもんで、のんびりと船旅を楽しむ。これ、大事です。

  • 無事にコメルシオ広場まで戻ってきた。<br />とにかくちょっとアパートに戻って休憩しよう。<br />まだまだ今日は終わらない。

    無事にコメルシオ広場まで戻ってきた。
    とにかくちょっとアパートに戻って休憩しよう。
    まだまだ今日は終わらない。

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