2019/03/24 - 2019/03/24
2911位(同エリア5516件中)
ちゃんさん
この旅行記スケジュールを元に
西鉄天神大牟田線といえば、純然たる通勤・通学路線。最近では柳川や太宰府方面への観光電車も走らせているけど、いつもの電車をラッピングした程度のものでした。
だから、食事を提供するレストラントレインを走らせると聞いた時には、びっくり仰天!想像もつかないことでした。 しかもお値段は8千円(税抜)と、同じコンセプトの列車に比べるとかなりお安め。一体、どんな列車に仕上がったの!?
計画から2年半、長い準備期間を経て走り始めたTHE RAIL KITCHEN CHIKUGOの「開店」2日目に乗車してみました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 友人
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの走行区間は、福岡天神~大牟田間。途中に住む久留米市民は、一旦どちらかに出向かねばなりません。
今回予約したのは上りのディナーコースだったので、「いつもの」特急電車で30分、大牟田へと下りました。大牟田駅 駅
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大牟田駅の西口では、3月8日から、路面電車204号の展示が始まりました。大牟田で走ったのはわずか9年で、他都市を転々とした後、市民団体の手で大牟田に里帰りした電車です。
一般公開の開始は、THE RAIL KITCHEN CHIKUGOの開店に合わせたもの。観光の起爆剤にとの触れ込みに「路面電車1台展示したくらいで…」と冷ややかな感想も抱いていたのですが、おぉ、なかなかいい雰囲気! -
「旅するヴィンテージ ~the trip vintage~」なるマルシェで、物販だけではなく、体験型ワークショップなんかも開かれているみたい。
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玉屋のつり革、どの都市の頃のものだろう。
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車内は周辺市町村の観光パンフや、全盛期の大牟田の地図を展示。昨年の今頃は集中して大牟田の産業遺産を巡っていたので、地図を見れば炭鉱や港、街の位置関係が分かります。
同行者に「昔は大牟田と荒尾って、久留米よりすごい街だったんだぜ」なんて話してたら、おばあちゃんたちに甚く感心されました。 -
コーヒーのふるまいも頂きました。
マルシェは、今週と来週の週末4日間の開催。市や観光協会の主導だったみたいだけど、今後は民間主催のイベントにつながるといいな。 -
お目当てのTHE RAIL KITCHEN CHIKUGOは、すでに大牟田駅のホームに待機中。ランチコースとして14時14分に到着した後、16時40分のディナーコースまで、駅で停まったまま「開店準備」を行っているところです。
西鉄天神大牟田線 乗り物
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THE RAIL KITCHEN CHIKUGOは、既存の通勤電車の改造車。前面こそ「いつもの」左右非対称スタイルですが、側面はかなり頑張った…というか、見たことのない外観がインパクト大です。
THE RAIL KITCHEN CHIKUGO グルメ・レストラン
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ロゴはラッピングやシールではなく、立体的に加工されていて気合十分。よくよく見ると、酒の杯や葡萄、イチゴなどなど、筑後の特産品がデザインされてます。
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鉄道車両として見た時、窓ひとつないドアは衝撃。「店」感がすごい。
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2号車の厨房車両は、黒板風。天神の、ちょいと こじゃれた店みたいです。
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換気扇からは、いい匂いが…通勤途中でこの匂いを嗅がされたら、インスタどころではない飯テロになりそう。
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列車の傍らではクルーが台車を押して、準備の真っ最中。
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準備室は8番線側にあり、5番線に待機している列車までは距離があって大変です。THE RAIL KITCHEN CHIKUGOを8番線に着けることはできないのかな? 働き方改革!
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出発20分前頃には乗客も集まり始め、記念撮影のサービスも。西鉄天神大牟田線の駅らしくない光景が、違和感であり、新鮮です。
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ホーム上にはテーブルや黒板がしつらえられていて、クルーが予約の名前を聞いてきます。レストランっぽい演出に、心血注がれている感じ。
ちなみに乗車券の郵送はなく、確認に送られてくるメールが切符代わりです。再送はしないと書いてあり、間違って消しては一大事とヒヤヒヤしました。 -
指定されたのは、窓を背にした向かい合わせの席。家具の名産地、大川家具特製のテーブルと椅子は、JR九州の観光列車ような「豪華絢爛!」といったものではなく、シンプルだけど上質なもの。落ち着けます。
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こちらは3号車の車内。出入り口はまさにエントランスで、奥に縦長に広がる客席も、およそ列車らしくありません。
JRも私鉄も、水戸岡デザインばかりになってしまった九州にあって、ちょっと一味ちがう観光列車です。 -
1号車先頭の8人掛けテーブルは、通り抜けもなく落ち着けて、よりレストランの雰囲気が強いです。ちょっとした親戚の集まりにでも使えそうな雰囲気。
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テーブルには、すでにアミューズ(食前酒とともに出される軽いツマミ…って意味なんですね。こういうレストランに行き慣れていないので、コトバの意味から調べないと)がセッティング。
食前酒にあまおうプレミアムスパークリングワインをオーダーしました。 -
乾杯する頃には、16時40分の発車時刻。大牟田市の職員さんらに見送られて、大牟田駅を離れました。
この他で見送りがあったのは柳川くらいで、沿線との交流という点では、他の観光列車に乗り慣れている人には寂しく感じられるかも。都会派の観光列車です。 -
都市間高速列車の天神大牟田線らしからぬ、ガタコト、ゆったりとしたスピードで北上します。おかげで揺れも少なく、グラスが滑ることもありません。
特急なら1時間の大牟田~福岡間を、スピードを落としてゆっくり2時間半かけて走る、って言うじゃない… -
でも、きっかり30分毎のパターンダイヤが組まれている天神大牟田線では、言うほど簡単なことじゃありませんから! まして単線の久留米以南では、追い越しだけでなく交換もあり、ダイヤ作成は困難を極めたのでは?
その結果、江の浦や津福といった、まさかの駅で停まります。江の浦駅 駅
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さてアミューズを開けると、苺とトマトのタルティネ(パンにバターやジャムなどを塗って食べること…なるほど)が登場。ラディッシュは、北野町産。新鮮で…なるほど…おいしい…食レポの才覚はないので、感想はこれくらい。
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食前酒のスパークリングワイン以外の飲み物は、アラカルト。モノがいい分、お値段もそこそこ張ります。
アラカルトの会計が下車前にまとめてというのは、好ポイントです。オーダーの度に小銭ジャラジャラというのは、興ざめしてしまうんで。各地のレストラン列車に乗ったけど、四国まんなか千年ものがたりくらいでしか経験ありません。 -
心ゆくまでお酒も楽しみたければ、2~3千円程度の予算を見ておくのがよろしいかと。
沿線の地ビールとして、うきは産フルーツがベースの「うきはフルーツエール」がありました。うきはにブルワリーなんてあったっけ?と調べてみれば、八女のべんがら村での醸造だとか。いずれにせよ沿線の味であり、頼んでみました。 -
と、ここでアテンダントさんが、ビールをひっくり返してしまうアクシデント。食べかけの2皿目のベジタブルプレートは無傷だったけど、下が濡れたのでお取替えになりました。
ビールは、ぶどう果汁使用ながら甘ったるくなくて、食事にもぴったり。はじめて知った銘柄だったけど、いいじゃん。筑後の食材・名産の広告塔としての役割は、地元人の僕にもしっかり果たされたのでした。 -
そして、すでににんじん1本を食べていたはずのベジタブルプレートが「復活」(笑)。2人分が1皿で提供され、取り分けるスタイルです。
アスパラ、王リンギは大木町(駅で言えば八丁牟田あたり)産。お野菜が主役の、立派な1皿です。 -
通勤路線なので、絶景ポイントは少ない天神大牟田線。有明海沿岸道路の矢部川大橋や、矢部川に停留する漁船なんかは数少ない車窓名所だと思うけど、案内放送の類は一切ありません。
桟の入った窓は眺望を意識したものではないし、2号車に至っては「窓なし」の席もあります。たまたまそこに座ってた職場の先輩グループが不満げだったけど、いつも見てる景色だし、別にいいんじゃないっすか??(笑)。 -
3皿目は肉のプレート。博多和牛のローストです。メインディッシュではないというのが、この列車のすごい所。むしろソースの、柳川産おさしみ海苔の方がメインかもしれません。
博多和牛は久留米でも飼育されているので、筑後産のコンセプトから外れないはずだけど、確実に筑後産が入るわけじゃないということかな? -
メインディッシュを前に、ちょっと2号車をのぞいてみます。
ほぼ1両、まるごとキッチン。想像の倍の数のスタッフが、忙しそうに動いてました。 -
車両の真ん中には、メインディッシュのピザを焼き上げるための窯が、でんと占拠。ピザだけで4人のスタッフがついていて、気合いの入れ方が違います。
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ピザは、生の生地から焼き上げる本格派。できあがった料理を積み込むレストラン列車が多い中、車内調理へのこだわりもすごいです。
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2号車の洗面所は、まるごと久留米の城島瓦製。瓦ってこんなに自在な形に作れるのかと、感心します。壁のタイルも、もちろん城島瓦。
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変哲もない車内のトイレも、西鉄では画期的。全区間乗り通しても1時間しかかからないので、これまでトイレを装備した列車がなかったんです。
せっかく地上側の設備も整えたんなら、通常の列車にもトイレを設置してくれると助かるな。特に福岡での飲み会帰りに、終電に乗った時なんか… -
席に戻るとほどなくして、メインディッシュのピザが登場! 左は大木町のアスパラガス、右は八女の筍。肉分なしの、ヘルシーなピザです。写真は2人分。
旬の味って感じで、うーん、おいしい。肉を差し置いて野菜ピザをメインに据えるあたり、逆に攻めているポイントと思います。 -
巨峰ワインのローズ・ボッサ2018とともに。久留米・田主丸の伝統あるワイナリーの日本ワインで、巨峰の甘さを想像していたら裏切られるほどの、しっかりした辛口です。
背景は、地元・久留米の国道3号線。いつもなら満杯の買い物袋を手に、自転車を乗り回している道路を見下ろしながら、ひと時の貴族にでもなった気分でした。 -
アフターは八女・中村園のハーブティーというのも、風変り。3種の味から選べます。僕の選んだThe Waterwayは、煎茶+ペパーミントのブレンドで、すっきりした味わいでした。
コーヒーは別料金(ブランチコースではセット)。僕の家の近所の焙煎工房「コーヒーカウンティ」さんのオリジナルブレンドです。 -
デザートは、マカロン3種にチョコケーキ、和光茶のクッキーのアソート。見慣れた地元の食材を引き出す、地元の技が結集したコースでした。こりゃまずは、地元人が乗って食べるべき列車ですね!
そして野菜中心ということは、時期によって内容がガラっと変わるわけで、季節を変えてまた乗ってみたい感を強くしました。 -
ただディナーとしては、ボリュームが少し物足りなかったかな。ピザが倍量くらいあると嬉しいけど…30後半の中年太りの意見ですので、ご参考まで。
エントランスのテーブルでは、オリジナルグッズの販売が始まりました。城島瓦のコースターは、吸水性の高い実用品。手作りで1,000円はお手頃、こりゃいいな…と言いながら、いつの間にか買いそびれていました。 -
夕暮れの筑後川を渡れば、食後のまったりした時間。おつまみやパウンドケーキの販売もあって、物足りなかった人(僕含む)が手を伸ばします。
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地元のなんでもない田園も、レストランからの風景としては案外マッチするものなんだなぁと、ワインでぼんやりした頭で眺めました。
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夜の帳も降り、福岡が近づいてきました。車窓は郊外の住宅団地から、都心のビル街へと移り変わり、観光列車の車窓としての違和感がすごいです。
下り列車だと、次第に田園風景へと変わっていくわけで、気分もまた違うだろうと思います。春日原駅 駅
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というわけで2時間半の旅を終え、「いつもの」西鉄福岡(天神)駅に到着。大牟田方面の特急が発着する、3番乗り場へ滑り込みました。
この時間帯、30分に1本の特急を待つ列が伸びる時間帯です。優雅な旅から一転、僕らもこの列に並んで引き返すことになります。そしてもはや、座れる長さではない… -
2号車のスタッフは、起立して降りていく乗客に一礼。天神ど真ん中に停車している姿は、ホームに隣り合うレストランみたい。
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貴重な改札上の「広告一等地」も、レールキッチンの自社宣伝が掲げられていました。満を持して送り出された西鉄の観光列車、地元にも旅人にも愛されてほしいものです。
西鉄福岡(天神)駅 駅
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