2017秋の欧州7か国(42)　暴風雨Xavierの影響と 街歩き（後）ベルリン中央駅の様子・森鴎外記念館・ポツダム広場

2017/10/06 - 2017/10/06

ヨーロッパ中に大きな被害をもたらした大暴風雨「Xavier（ザヴィエル）」。
特にドイツでは7人の犠牲者を出し、ドイツ中の長距離列車を運行不能に陥れ、ベルリンやハンブルクなどでは市内交通を麻痺させました。

翌日になりベルリン市内の交通網は復旧したけれど、長距離列車は不通のまま。ベルリン中央駅は終日、不安を抱えた人達で混乱していました。

私たちも、明日ベルリンからブリュッセルへの移動の予定をたてています。長距離列車がこのまま動かなかったらどうしたらいいのか、不安感に苛まれます。

エリア ベルリン(ドイツ)

タクシーで中央駅近くのホテル・モーテルワンに着きました。

最近ベルリンで常宿と言ってもいいほどよく使うホテルです。
今回も3泊ともここにしたかったけど、この日しか空いていませんでした。

豪華ではないけど、いわゆる機能性を重視したホテルで、ビジネス客の比率が高いように思います。
何と言ってもベルリン中央駅に近いことは助かります。

私たちは、明日は朝早くにブリュッセルに移動しなければなりません。
そのために一晩だけですが、ここに移ることにしたのです。
それが大正解でした。

荷物を部屋に放り投げて、まずはベルリン中央駅に行ってみます。

駅は大勢の人々で混雑しています。
みんなが心配そうに眺めている駅の時刻表には、長距離列車が軒並み動かないとの文字が掲示されています。

私たちも明日のブリュッセル行きがどうなるか心配ですけど、今心配してもしようがない、後でまた寄ってみます。

今日は遠出をしないのでベルリン1日券ABゾーンを購入します。

長距離は何時復旧するかも判らない混沌とした状況ですが、幸いにしてベルリン市内の公共交通機関は動いていました。

そしてやってきたところは、昨日せっかく訪れたのにもう閉館していた「森鴎外記念館」。

正式には「ベルリン・フンボルト大学 森鴎外記念館」と言うのですね。
下に日本語の文章がありますので、そのまま写します。

「この角の建物の二階には、医学者であり後の文豪である森鴎外が1887年に滞在したベルリン時代の最初の下宿がある。1984年ルイーゼン通り39番地に記念室、今の記念館ができる。」

入り口には
「ブザーを押してください。ブザーが鳴っている間にドアを強く押して入ってください。（自動ドアではありません）」とあります。

記念館の入り口は2階です。

日本語がとても堪能な学芸員さんがいらっしゃって、「どうやってここまで来られましたか？大変だったでしょう」とねぎらってくださいました。

夫以外から聞く久しぶりの日本語。
嬉しくなってつい、昨日も来たのですけど、大変でした～、って話をしました。

ついでに写真はOKかと訊きましたら、
「ご自分の記録としてお撮りになるのは構いませんが、公共の場の発表は控えてください。世間に未発表の重要なものもありますから」とのことでした。

夫も私もいつものように多くの写真を撮りました。
他にも何人も訪問者がありましたが、その方たちも撮影していらっしゃいました。

ところで、この私の旅日記も公共の場になるのかしら。
私としては自分自身の日記のつもりで書いているので判断に困ります。
そこで自分なりに判断をくだしました。ネットなどで既に公になっているものは出してもよいだろうと。

館内には森鴎外の部屋がそのまま残されています。
これはよく写真で見るからOKだろう・・・。

森鴎外（1862-1922）こと、森林太郎は明治17年10月から明治21年7月まで約3年9カ月、陸軍省の軍医としてドイツに留学しました。
22歳から26歳、まさに森鴎外の青春そのものでした。

「舞姫」はベルリンが舞台の小説。
そのころの鴎外の体験をもとに生まれた小説だと言われています。
結局、主人公豊太郎と美しいドイツ人女性エリスとの恋は悲恋に終わりました。

ゲーテと森鴎外の関係もよく知られていますよね。
ゲーテの「ファウスト」を日本語に翻訳したのは森鴎外。

ライプチヒにアウアーバッハス・ケラーという有名な酒場があります。
そこには鴎外と「ファウスト」の登場人物の絵が飾られています。

これがその絵です。数年前ライプチヒで撮った写真です。

ドイツ留学中の若き軍服姿の鴎外と、鴎外にファウストの翻訳を進めた友人の井上哲次郎、そしてその後ろには悪魔メフィストフェレスとファウスト博士が立っています。
もう一人の和服姿の鴎外は、過去の自分を振り返る晩年の鴎外ということらしいです。

この写真が晩年の鴎外のモデルとされました。

えっと「津和野町史」・・・。

森鴎外は、島根県津和野町で代々津和野藩主に仕える御典医の長男として生まれました。

森鴎外記念館、ここではこれくらいしか発表できないのは残念だけど、鴎外に関する資料など充実しており、大変見ごたえのある展示でした。
何よりも日本のものが見られるのが嬉しい。

日本語の堪能な学芸員さんにお礼を言って、外に出ます。

階段にはなにやら日本語で書かれた文字。

「げに東に還る今の我は、西に航せし昔の我ならず、學問こそ猶心に飽き足らぬところも多かれ、

浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり、われとわが心さへ變り易きをも悟り得たり。

きのふの是はけふの非なる我が瞬間の感觸を、筆に寫して誰にか見せむ。」

これは「舞姫」の一節だそうです。

この後、フリードリヒシュトラーセ駅構内のスーパーマーケット「EDEKA」で買い物。
結構大きなスーパーです。販売している品数も多いです。
ここは日曜日も開いているので大変便利です。（2016年の写真）

そしてSバーンで中央駅へ。
相変わらず大きなスーツケースを持った大勢の旅行客で、チケット売り場は混雑しています。

写真が見難いですが、駅の時刻表。
右側の白抜きはまだ復旧に時間がかかっている列車か、大幅に遅れている列車など、動いていない列車です。

ブリュッセル行きに接続するケルン行きもまだ動いていないようです。

私たちはどうなるの？
しかし駅の案内所で様子を聞きたくても、この行列ではいつになるかわからない。
ともかくホテルに戻って、日本に発送する荷造りをしよう。
先ほどEDEKAで買ってきた食料品などこまごまとしたものもいれてしまわなければならないし。

ホテルの部屋で荷造りをしながらテレビをつけました。

相変わらず[Xavier」の影響で長距離交通機関が乱れていることなどのニュースばかり。
その中に2017年ノーベル平和賞を受賞する「ICAN（核兵器廃絶国際キャンペーン）」のことをやっていました。

被爆国日本も関係する興味深いニュースです。

箱詰めにした荷物を持って再び中央駅へ。

私たち出した結論。
明日列車が動くかどうか不確定だけど、ともかく座席指定だけは取っておいたほうがいいよね。チケットはジャーマンレイルパスだから何とでもなるし。
私たちが指定した列車が明日まるっきり動く可能性が無いのだったら、窓口の係員から何か説明があるでしょう。

しかし相変わらずチケット売り場の窓口はこの混雑ぶり。長い時間並ばなければならないよう。

そうだ！
フリードリヒシュトラーセ駅ならもっと空いているかも。

またまたフリードリヒシュトラーセ駅にやってきました。

昨日探した郵便局から日本の自宅あてに荷物を発送するためです。
旅も長くなるといろんな紙の資料も増えますし、もう着ない洋服や下着などを入れたり、スーパーやデパートで購入したチョコレートや蜂蜜など、こまごましたお土産など送ってしまいます。

郵送料は10kg以内（今回は9.2kgでした）で62.99ユーロ。
明日からは軽くなったスーツケースで動けます。

そして予想したように、フリードリヒシュトラーセ駅のライゼツェントルムの窓口はそんなに混んでいませんでした。
まあ少しは並びましたが、中央駅のあの混雑から思えば拍子抜けするくらい。

券売機で印刷した列車時刻表を見せて、ベルリン→ゲッティンゲン→ヴュルツブルクの座席指定とフランクフルト→ブリュッセルの座席指定の2通を手に入れることができました。

この指定席料金を払うとき、係員に明日大丈夫でしょうか？と聞いたけど、明確な答えはありませんでした。

中央駅に戻ってきました。

今5時20分。
この時点でもまだ長距離列車の案内は全て白くなって、出発ホームの表示はされないまま。

明日動くのか心配だなー。
ホテルはブリュッセルに取ってあるし、明日も動かないとなるとブリュッセルをキャンセルしてどこかに取り直さなければならない。

しかし気休めで取った座席指定があるからか、なんとなくほっとした気持ちも正直あります。

ニュースのキャスターが「Xavier」で未だに混沌としている中央駅の様子をレポートしていました。

あ、あの人テレビで見たことがある！
明日の心配を忘れて、私は野次馬ミーちゃんハーちゃんです。

ほらほら、ホテルに帰ってテレビを点けたら、さっきの中央駅の様子が映っている。
あのアナウンサーからインタビューされている人。
マイクが同じだったので気が付きました。

明日のことは心配だけど、一応今日はベルリン最後の夜。
どこに食事に行こうかと考えて、やはりあそこよね。

ポツダム広場。

いつも大勢の人で賑わっているソニーセンターもXavierの影響か、なんとなく人が少なく感じる。
今午後7時。最も賑わうはずの時間帯ですよ。

でもそれは私たちには好都合。
いつも満員御礼で座れないリンデンブロイも、今日は難なく座れた。

飲み物はもちろん自家製ビール。

お料理は、飽きもせずザウアーブラーテンと・・。

サラダの盛り合わせを取って、二人でシェアします。
いつもこのパターン、楽でいいです。

食事を終えて帰るころには、富士山を模した（と私は思っている）ソニーセンターの巨大パラソルも、きれいな色に包まれ始めました。

壁の崩壊後、統一ドイツの象徴としていち早く再開発されたポツダム広場。とりわけソニーセンターはポツダム広場の象徴です。

日本のソニーとダイムラーの出資により2000年に完成したソニーセンターでしたが、現在はソニーセンターの名前の下にはハングル語が書かれています。

今回は大好きなベルリンもXavierの影響で思うように楽しめなかったけど、また訪れる時もあるでしょう。
そのためには健康に気を付けて元気でいなければね。

ポツダム広場のライトアップされた高層ビルを後にして、バスでホテルのある中央駅に帰ります。

ホテルで無料wi-fiが使えるのは本当に助かります。
明日の長距離列車は復旧するのか、ドイツ鉄道のサイトで刻々と情報を知らせてくれます。

12時ごろまでは、明日の私たちが座席予約したICEの情報が出ませんでしたが、3時ごろ目覚めてDBナビゲーターで調べてみたら、ゲッティンゲン経由がフルダ経由に変更されたものの動くようになったようです。

明日は予定通りブリュッセルに移動できます。
よかった～。
（写真は当日のものとは関係ありません）

この旅行記へのコメント （2）

• ハッピーねこさん 2019/01/24 23:58:50

  ハラハラ、ドキドキ

  himmelさん、こんばんは。
  Xavierの吹き荒れた翌日のカオスの中のベルリン。
  ハラハラ、ドキドキ拝見しました。
  中央駅にはあんなに人が！
  でもそんな中、「森鴎外記念館」をじっくりご覧になり、列車の座席指定はフリードリヒシュトラーセ駅へのご英断、日本へのお荷物も送られ夜はこんな時だからこそゆっくりできるポツダム広場の「リンデイブロイ」。
  さすがドイツ旅の達人です。勉強になります。
  
  ホテルも翌日のご移動に備え予め中央駅近くにお取りになっていたのですね。
  モーテルワンは私も一度だけドレスデンで泊まりましたが、スタイリッシュで機能的、料金もリーズナブルでスタッフも感じがよく、いいお宿ですよね。
  またどこかの街で利用したいです。
  
  ブリュッセルへは、道中スムーズでしたのでしょうか？
  今から気になっております。
  ベルリンからフルダ経由でヴュルツブルク、フランクフルトからブリュッセルと、かなり長い経路ですが、これもXavierの影響でしょうか？
  次の記を心待ちにさせていただきます。
  
  ハッピーねこ
  

  frau.himmelさん からの返信 2019/01/25 19:48:16

  RE: ハラハラ、ドキドキ

  ハッピーねこさん、こんばんは。
  いつもコメントありがとうございます。
  
  ＞さすがドイツ旅の達人です。勉強になります。
  
  いえいえ、お恥ずかしい・・・。
  もうオロオロの連続でした。何度中央駅とフリードリヒシュトラーセ駅を、往復したことか・・・。
  
  中央駅のモーテルワン、本当は3泊したかったのですが、たまたま移動日の前日しか空いていなくて・・、でも本当にあそこでよかった。
  駅近ですから、列車の運行状況を調べるために、すぐ駆けつけられましたから。
  
  モーテルワンって本当に便利なところにありますよね、それにリーズナブルだし・・・。
  最初はあのネーミングに抵抗を覚えたのですが、最近はどこのモーテルワンも人気ホテルでなかなか予約できません。
  昨年のシニア3人旅では（これもいつ旅行記に取り掛かれるのか…泣）ウィーンのオペラ座近くのモーテルワンに泊まりました。
  
  ＞ブリュッセルへは、道中スムーズでしたのでしょうか？
  
  これもスムーズとは・・・・（笑）。ブリュッセルに到着してからもいろいろあり・・・。
  次回編を今練っている最中です。また失敗を笑ってください（自虐）。
  
  ハッピーねこさんはもう完了なさったのですね。あとは余裕で今年のスケジュール作成。
  羨ましい〜〜。
  
  インフルエンザが流行っておりますね。どうかお身体にお気を付けください。
  
  himmel