「坂の上の雲」の舞台を訪ねる　２日目

2018/11/07 - 2018/11/10

昨年秋、西安へ行く途中に半日だけ立ち寄った大連を中心に、「坂の上の雲」の舞台になった日清・日露戦争の史跡を巡り、街歩きも楽しみました。
今回は、Ｈ社のお得なツアーに夫婦で参加、小グループだったので小回りも利いて快適な旅行でした。

エリア 大連(中国)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 観光バス 徒歩
• 航空会社: 中国南方航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行なし）
• 利用旅行会社: 阪急交通社

2日目の朝、天気は曇り、午後から雨の予報。今週から大連市ではスチームによる暖房の供給が開始され石炭火力で蒸気を造っているせいか、PM2.5の濃度はやや高め、もやがかかったような感じだ。
7時半頃からゆっくりと朝食をとる。朝食は美味しいし満足できる。

グランド メルキュール テーダ ダリアン ホテル

迎えのバスに乗り込み、朝一番に訪ねたのは旧満鉄病院、現在は大連大学附属中山医院。満鉄時代の1925年に建設され、地下1階、地上4階建て、延べ床面積約9万㎡という巨大な建築物だ。今でもこうして現役で使っていただいているのは嬉しいことだ。ガイドさんが言うには「日本人が大連に来て病気になったり、けがをしたときは、ほとんどこの病院に連れて来ます」とのこと。

旧満鉄病院（現大連中山医院） 建造物

黄葉が見頃だ。

旧満鉄病院（現大連中山医院） 建造物

そして、中山広場へ。旧大連ヤマトホテル（大連賓館）はすでに館内の見学ができなくなっていた。昨年10月に来た時は、館内見学をして溥儀が使っていた部屋を見たり2階のカフェでコーヒーを飲み、そこから中山広場全体を望むことができたのに閉館とは残念だ。

大連賓館 建造物

広場の周囲は歴史的な建造物ばかり。

中山広場 広場・公園

のどかな時間が流れている。

中山広場 広場・公園

お花の手入れも行き届いている。

中山広場 広場・公園

中山広場の次は旧満鉄本社ビルへ。この中央棟はシンメトリーで美しく重厚だ。もとはロシアの租借地時代に学校として設計され建設を始めたらしいが、のちに日本の租借地となり右側の建物を満鉄が建設して完成させ、満鉄本社として利用していたという。今は大連鉄路の事務所として使われている。

大連旧満鉄本社 博物館・美術館・ギャラリー

旅順口区の東鶏冠山へ向かう途中、星海湾大橋を渡る。この橋は昨夜、夜景を見に来たあの大橋で全長6.8km、向こうには星海広場が見える。

星海広場 広場・公園

東鶏冠山北堡塁に到着。帝政ロシア軍が日本軍から防御するために築造した堡塁（小さな要塞）だ。築造には多くの中国人が使役されたが、ガイドさんが言うには中国人はロシア軍に拉致されてこき使われたのだそうだ。面積は約9,900㎡、中には司令部をはじめ兵舎、弾薬庫、病院、井戸、台所などがあり篭城できる。また周囲は堀や塹壕で守られている。ここで、1904年の8月から12月にかけて数度の攻防戦が行われ、日本軍は約9,000人もの死傷者を出してようやく占領したという。なお、ロシア軍守備兵もほぼ全滅した。

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

無数の銃弾の痕が見られる。

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

不気味な兵舎や台所などが続く。

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

帝政ロシア軍の大砲

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

日本軍の280ミリ榴弾砲の直撃を受け戦死した守備隊司令官のコンドラチェンコ少将の慰霊碑。

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

まるで墓石のようにも思える石碑

東鶏冠山北堡塁 史跡・遺跡

旅順博物館へ向かう途中に見えた旅順駅。帝政ロシア時代に東清鉄道の終着駅として築造された。いかにもロシア風の建物で2005年に改築された。今も現役である。この駅の反対側は旅順港で、軍艦が多数係留されているが、撮影はご法度で気をつけなければならない。

旅順駅 駅

楽しみにしていた旅順博物館。国内外から収集された収蔵品は6万点以上、中国東北地方では代表的な博物館である。ここで、私が見たかったのは100年ほど前に京都西本願寺の大谷光瑞の探検隊が中央アジアで収集した文物、いわゆる大谷コレクションで、とりわけトルファンで発見したミイラと仏像である。ミイラは2体展示されており興味深かった（残念ながら撮影は不可）。

旅順博物館 博物館・美術館・ギャラリー

こじんまりした博物館である。

旅順博物館 博物館・美術館・ギャラリー

北魏時代の仏像

旅順博物館 博物館・美術館・ギャラリー

旅順博物館の近くにある旧関東軍司令部、中には入れなかった。

関東軍司令部博物館 博物館・美術館・ギャラリー

日露戦争の最大の陸戦地203高地に築造された「爾霊山」の記念碑。歩いて登ると想像以上に急峻だった。ここでおびただしい人命が失われたことを思うと不覚にも涙してしまった。
しかし、後の調査で、ロシア艦隊は8月の黄海海戦で大きな損害を受け修復もできずほぼ無力であったらしく、203高地を占領して旅順港のロシア艦隊を砲撃することにあまり意味がなかったようである。そう言ってしまうと、ここで死傷した日露両軍の犠牲とは何だったのかということになる。やりきれない思いだ。

203高地 文化・芸術・歴史

旅順港が一望できる。占領後、ここから港内のロシア軍艦に対して280ミリ榴弾砲で一発200kg超の砲弾を多数浴びせた。

203高地 文化・芸術・歴史

戦況を大きく変えた280ミリ榴弾砲

203高地 文化・芸術・歴史

旅順口区から大連市内に向かう途中、大連の路面電車に乗ってみた。202路の河口から鴻基書香園までの6区間。料金は前払いで1元（約17円）、安い。

夕食は春餅料理の店。美味しくいただきました。

大地春餅店 (東北路店) 中華