岡山大学　Ｊホール（Junko Fukutake Hall）見学記

2013/11/10 - 2013/11/10

退職を機に資料を整理していると、昔関わったSANAA建築の写真が出てきました。

岡山大学の病院等がある鹿田キャンパスの敷地内に建設された「Junko Fukutake Hall」の完成式典時の写真です。

斬新でありながら、周辺の歴史ある建物と調和を図った建物で、さすがプリツカー建築賞の先生方の設計と思います。
3年間、構想から設計、施工途中まで関わらせて頂いた中で、事務所の若いｽﾀｯﾌさんからも色々勉強させて頂きました。

設計者として建物の見させ方、収まりへの拘り等々、随所にSANAA色が出ていると思います。

退職時、当時お世話になった医学部の先生から、音楽ﾎｰﾙとして凄く良い環境になっており、見学者の絶えない大学の顔となっているとのお話を聞き、建築の持つ力という事を再認識いたしました。

当時見学に行ったＳＡＮＡＡ建築の見学記↓
https://4travel.jp/travelogue/10628648
https://4travel.jp/travelogue/10594915

エリア 岡山市(岡山)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 自家用車 徒歩

鹿田キャンパスの医学部正門から入ると、右手に見えてきます。

不思議と周辺は歴史ある登録文化財でもある守衛所、医学資料館、学生サークル棟、図書館がありますが、それらと一体となって、斬新なデザインでありながら、調和しています。

また、岡山大学医学部は2020年の創立150周年に向け、鹿田会館（旧生化学棟）整備改修等、このホールを中核とした「美しい学都」を担う岡山大学・病院として、キャンパスの整備を進められているようです。
・世界に発信できる教育体制の確立と研究環境の整備支援
・伝統的建築物の整備・保存と有効活用
・市民が集える潤いあるキャンパスの創造

建物のコンセプト等は、岡山大学のＨＰ↓を参照してください。
http://j-hall.med.okayama-u.ac.jp/

以下、外観。

○○先生の願いであった、紅葉が綺麗なポプラも見頃です。

この細い柱で大屋根を支えています。

私では絶対できない構造形式です。
佐々木先生でないとできないと思います。

縁石とかトラフ等不要ですね。

床下にも空調機械を収納していますが、大きな機械は外部に設けたこの空間に収納しています。

床はコンクリートコテ押さえ。

落ち葉が綺麗です。

コア部分。
主にトイレです。

寄付者の福武教育文化振興財団副理事長（当時）の、福武純子さんの願いを刻んだ銘板。
「合理的で寛容でボーダレスな出会いの場」
「自由で愉快なコミュニケーションを誘発する場」
「セレンディピティを生み出す場」

外部空間と一体となり、建物内部に誘う空間。

出入口も一枚の絵のようです。

コア部分の正面からずらして、隠れた位置に設置された流し台。

この椅子にも、結構思いがあります。

横浜芸術劇場を見学し、メーカーショールームで打ち合わせ、色々議論して楽しかったです。

前部の椅子には、収納できる机が設置されています。

空調の吹き出し。
簡単に言えば、椅子の背板に風をぶつけて、気流を発生させて低い空間で循環させるように考えられています。

床、幅木周りのこだわり。

フローリングとコンクリート部の収まり。

全て、目地や見切りはシンプルに、シングルラインです。

トイレ。

トイレ。

トイレ洗面台。

ホール部分はカーテンで区切って使用できます。

屋根勾配があるのでカーテンも複雑な形状となっています。

オープニングレセプションでは、建築工程をスライドで振り返っていました。

これは埋蔵文化財調査の頃ですね。
今まで私が携わってきた全ての建物にも、色々なドラマや想いがあります。
40数年の時間を越えて、思い出すことが出来るのは、建築技術者の特権かもしれません。
失敗もありましたが、次への糧となったように思います。

定年を迎えて4月から、私が採用された場所で、携わっていた事業に再び関わることになったのも不思議な縁ですが、小学生の頃に抱いた建築へ憧れた気持ちは今も健在です。

もう少し、楽しみたいと思います。

本日これまで！。