全貌の知れぬ被災地

2018/10/20 - 2018/10/22

札幌に用があり、それに合わせて9月の地震の被災地を見て回った。
20日は新千歳から安平、厚真、むかわ。21日は清田区。22日は東区を巡った。
思っていた以上に被災地はまだ生々しい一方、それぞれの地域でまったく違った被害の様相だった。
特に衝撃的だったのが清田区。大まかな地名だけを頼りに向かったが、わずかに道路が荒れているだけで、ほとんど被害が見当たらない。
改めて正確な住所を調べて向かうと、わずか数百メートルほどの1本の道の周辺だけが激しく損壊し、被災した家が文字通り横倒しになり、道路も一部通行止めのままだった。1本横の通りに行くと、少なくとも外見上は被害が見当たらない。住宅街であり写真を撮ることがためらわれ1枚もないが、初めて見る光景だった。

エリア 苫小牧(北海道)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 5.0
• グルメ: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

新千歳空港から、国道10号を通り、安平町を抜けて厚真を目指した。

この辺りまでは橋と道路の継ぎ目がずれていたりとかマンホールの高さがやや変わったりという程度で、大きな被害は目につかない。

安平町内に入ると一気に被害が大きくなったように思われた。
古い家など傾いたりしている。
雪が多く家自体が丈夫なせいだろうか、家自体が壊れているところは通りからは見えなかった。

グーグルのナビはときわ公園の南側の道を通って厚真に行くように案内していたが、通行止めになっていた。
自転車なので大丈夫かとも思ったが、災害時なので国道10号を通って行くことにした。

安平から厚真への道は小さな峠を越える感じだったが、この辺りから大きな被害がはっきり見えるようになる。

砂のような土で木の根も浅い。それが滑り落ちたような崩れ方だった。
こうした崩落の跡がむかわ近くまでずっと続いていた。

お昼すぎに厚真の中心地に到着した。
食事は「潮騒ラーメン」というところに入った。土曜なのに作業着を着た人たちで満員。感じからすると作業にあたっているよりも、検査などをしているひとが多かったのではないかと思う。
かなりボリュームがあり、味も良かった。

むかわ町。日高線は橋がずれてしまって運休。レールも錆びてしまっている。

駅周辺には赤い紙が貼られた家が多い。古い建物が多いということもあるのだろうか。

鵡川駅から代行バスに乗ろうとしたが、もともと本数が少ない上に、何本か間引き運転になっていた。1時間以上時間があるので、もう少し先まで走り、浜厚真でバスに乗った。

浜厚真駅の前から苫東厚真発電所が見えた。
代行バスは地元の観光バスを借りて運行。無人駅なのでちょっと不安だったが、スピーカーから、今鵡川駅を出発しましたみたいな感じで逐一教えてくれるのがありがたかった。
列車に比べると遅れがちで、苫小牧市内に入ってからは渋滞でさらに遅れた。
観光バスなので料金はそこでは徴収せず、駅の窓口で支払うということだった。関係者によると、やはり料金を払わない人が多いらしく、分かってはいるがどうしようもないとのことだった。見ていると、観光客はちゃんと払っている様子だった。

夕食は札幌すすきの近くのいつもの「福ちゃん」。相変わらずお元気そうで安心した。

東区にある、札幌厚成福祉会保育所。
外見はなにもないが、内部が損壊し、全員が転園することになった。五十数名いて、この日の時点であと3人だということだった。大きな地震の恐怖のあと、友達と別れ別れになるのも辛いことだと思う。

東区は、特に地下鉄東豊線に沿って液状化が起こっている。道路は仮舗装が行われ、見た目にはむしろきれいになっているが、周辺にはまだ大きな爪痕が残っている。また、ぐちゃぐちゃになった室内から荷物を運び出している家もいくつか見かけた。

これは最も被害の大きかった元町駅周辺。

21日の夜、宿の近くの立ち飲み屋で飲んでいたら、雪虫が飛んでいたから雪が近いという。
北海道は雪と凍結、さらに雪解けで再び道路などが痛むため、本格的な工事は春までやらないそうだ。
観光客は急速に戻ってきているようだが、札幌など比較的被害が少なかったところに集中しているようだ。また、小さなところは復旧が進まず、一部の設備を使わないままというところも多いらしい。
ふっこう割は割と使い勝手がいいようなので、代行バスなどいささか不便な旅を楽しんでみるのもいいのではないだろうか。むかわ町はししゃもが旬だとのこと。今の時期は刺身もいいそうだ。