2017 サハリン(等)の旅行 2

2017/08/09 - 2017/08/16

離陸後1時間足らずで，サハリン州都ユジノサハリンスク(南サハリンの町の意味)に着いた．2時間,時計の針を進めた．入国手続きはすぐ終わり，荷物を受け取ると，送迎の方が着ていた．到着後2時間で,夜行列車に乗る予定だったので，時間に遅れないよう頼むことにしていた．ガイドさんと運転手がいた．そして駅まで送ってもらえた。

日本と違い、８月でも肌寒い夜である。鉄道駅に入り、夜行列車に乗る。寝台列車は日本ではもうないが，一室4人で私ともう1人、下段の向い側にロシア人のおばあさんがいる．一般的にロシア人は、最初はshyでも一度話すとfriendlyである。どこに行くのかという話から，いつのまにかわからないが，熱心に話しかけてくださった．初級の辞書を持ってきており，何とか理解しようとはしたが．料金に含まれているという紅茶も変わって注文してくださった．その後休んだ．

日露戦争後からの約４０年、北緯５０度を挟んで、北サハリンはロシア領、南樺太は日本領であった。起きた頃には北緯50度も超えて，北サハリンにきていた．終点のノグリキまではいかない．途中のティモフスクでおりる．おばあさんも降りた。駅はプラットフォームもない。小さな駅舎にも入らず、すぐ外につながっている。ここから西海岸のアレクサンドロフスクに行くバスがある．定員は20人足らずの小型バスに，おばあさんも乗り込んだ．

バスは1時間ほど，途中の未舗装の山道も越え，西海岸にあるアレクサンドロフスクの市街地にはいった．サハリンは、19世紀まで、帝政ロシアで流刑処分になった囚人が移送され、当時のロシア領サハリンの中心都市だった。19世紀に劇作家のA.チェーホフが、若い頃、シベリアを横断してはるばるここまでやってきて、『サハリン島』というノンフィクションを書いた。終点のバスターミナルに行く前，中心部あたりでAさんにいわれて降りた．日本のガイドブックにもこの街はほとんど載っておらず、ネット上の簡単な地図をプリントして行った。ここに来たかった一つの理由は、そのチェーホフの記念館があったからだ．

エリア その他の観光地(ロシア)

ティモフスクとアレクサンドロフスクを結ぶバス。

チェーホフはロシア随一の劇作家で、ロシアの作家全体の中でも、知名度では五指にはいりそうだが、もともとモスクワ大学卒の医者である。もう作家として名前も知られ、しかも既に結核を患っていたのに、なぜか突然サハリンに向かう。当時のことで、行きも帰りも2か月以上かかり、島では3か月間滞在した。館内はゆったりとした雰囲気が流れている。彼が書いたノンフィクションの『サハリン島』の各国語版があるが、日本語版がない。持ってきていたので、寄贈しておけばよかったと、後で後悔した。

海の方向に歩いて行った。日本海の北端、もう少し北に行くと大陸とサハリン島を分かつ、日本でいう間宮海峡がある。海峡の一番狭い部分は5㎞ほどで、大陸が見える。水深が浅く、冬は凍結して歩いて渡れるらしい。以前、中村雅俊がそこを訪れたNHKのドキュメント番組があった。残念ながらそこまではいけないが、せめて海を見たかった。小川に沿って歩いていくと、砂浜に着いた。南側には、3つの岩が海に顔を出していて、”三兄弟の岩”といわれている。