2000/12/01 - 2002/10/01
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JIC旅行センターさん
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あの宇宙飛行士・毛利衛さんがJICのロシア語教育プログラムで勉強しているというと「へぇ?」と思われるかもしれません。毛利さんの場合、「あの」と言っても通じるぐらい日本人宇宙飛行士の代名詞のような方ですが、実はホントの話なのであります。
現在、日本の宇宙開発史上初めて、純粋メイドインジャパンの宇宙飛行士を筑波宇宙センターで養成中だというと、これまた「ヘぇ?」と思われるでしょう。
「でも、なんで初めてなの?日本人宇宙飛行士は秋山さんや向井さんなど、すでに宇宙を飛んだ人がいるじゃない」
という質問が返ってくるかもしれません。しかし、これまた、実はホントの話なのです。これは、ひょんなことから私たちJICが遭遇したロシア語と科学技術の最先端、宇宙開発の奇妙な物語です。
***
2000年の暮れも押し迫った12月の初旬、突然1本の電話がかかってきました。
相手「突然の電話で恐縮ですが、私、JAMSS・(株)有人宇宙システムの某と申します。実は、JICさんに私どもの宇宙飛行士のロシア語訓練を実施していただきたいと思いまして…」
なんと、電話の主はNASDA(宇宙開発事業団)から宇宙飛行士の訓練の一切を請け負っている特殊法人JAMSS「(株)有人宇宙システム」の担当者からでありました。さっそく、ロシア語講座担当者との打ち合わせが始まり、いつの間にかJICが日本の宇宙開発に協力するという夢のような話に発展したのです。
ここで先に、NASDAとかJAMSSといった聞きなれぬ横文字についてもう少し整理しておくと、NASDAといえば「宇宙開発事業団」、科学技術庁のもとに置かれた特殊法人で、本部は筑波にあります。その傘下には宇宙開発の個々の事業に関連した特殊法人がいくつもあり、そのなかで宇宙飛行士(候補者)の試験、選抜、訓練など一切を実務的に取り仕切っているのが、このJAMSS=(株)有人宇宙システムというわけです。実はNASDAはこれまで毛利さんも含めて日本人宇宙飛行士の養成、訓練を基本的にはアメリカのNASAに委託して行ってきたのです。独自の宇宙技術を持たない日本としてこれは当然の選択です。このようにして毛利さんや向井さんといった日本人宇宙飛行士が誕生したわけですが、一方、ロシアのロケットで宇宙を飛んだ秋山さんは、ロシアで訓練を受けた宇宙飛行士ということになります。
ところが、日本でも将来の有人宇宙飛行に備えて独自に飛行士の養成しようということになり、候補者の選抜、訓練が始まったというわけです。
■国際宇宙ステーションをめざして
では、なぜロシア語が必要なのか。簡単に言ってしまえば、将来の宇宙空間では、日本だけではなく、アメリカ、ロシア、ヨーロッパなど各国の宇宙飛行士が「国際宇宙ステーション」で共同の作業にあたることが想定されているからです。4年後には、国際宇宙ステーションでの最初の長期滞在が予定されており、その訓練のためにアメリカだけでなく当然ロシアにも出かけていく必要があります。これは5年先、10年先を見越した壮大な宇宙計画の一部なのです。
実は、JAMSSでは、すでに1年ほど前からロシア語訓練を別の会社に委託して行ってきたそうですが、さらにスピードアップするためにJICに相談が舞い込んだ、という次第です。最初は、そのあまりの荷の重さに躊躇しないわけではなかったのですが、
「JICを信頼して相談の連絡があった以上、ここは受けて立つしかない」
と担当者も奮い立ちました。さっそく筑波まで足を運んで担当者と打ち合わせです。
■宇宙飛行士ロシア語訓練計画書を作成
まず最初の仕事は、所定の期間内にロシア語教育の成果をあげるための訓練計画書(全体計画、短期計画、毎回の訓練計画など)の策定です。求められているのは、まず会話力、ロシア語でのコミュニケーション能力です。JICとしてはロシアに留学するのと同じ方法?つまり、ネイティブのロシア人教師が、ロシア語でロシア語を教える方法を提案しました。
JICスタッフ「ロシアに限ったことではありませんが、ロシアに留学すると、ロシア語を学ぶ外国人のための専門テキストがあり、当たり前の話ですが、文法の解説も含めて全てがロシア語で書かれています。また、授業はすべてロシア語で進められます。英語はもちろん、日本語でも説明は一切ありません。こうしたやり方を踏襲したほうが遠回りのようでも、効果的、実際的と思います。少なくとも現地の大学ではそういう教授法です。」
「というのも、これはロシア語自体の特殊性ともいえますが、言葉は使って覚えるしか方法がないのです。目でみて、手で書いてというのももちろん大事ですが、決定的に英語などと違うのは耳と口で文法をも含めて丸ごと覚えてしまうという作業が必要だと思うのです。ですから、同じことを繰り返し反復練習するという地道な方法が求められます。」
担当者「なるほど。」
ということで、すでにロシア語訓練を受けてきた3名の宇宙飛行士候補の方々に会い、まずそのロシア語レベルをチェックし、それを踏まえて、実はここが具体的な目標なのですが、「OPI試験」において所定の期限までに所定のランクを獲得できるように訓練計画を策定するということになりました。訓練計画自体は4年ほどの長期計画ですが、ロシア語訓練も各年度ごとの到達目標、そのための毎回の授業内容や授業時間数などを決めなければなりません。そして、その具体的指標として、NASAでもNASDAでも、この「OPI試験」による成績評価が行われているのです。
「OPI試験」とは、簡単に言えば、アメリカで行われている当該言語を母国語としない人のための口述による言語能力試験のことです。OPIは「Oral Proficiency Interviews」の略で、ACTFUL(American Council on the Teaching of Foreign Language)によって実施されるもので、10項目にわたり受験者のヒアリングとスピーキング能力を評価するものなのです。試験はACTFUL所属のオフィシャル「OPIテスター(試験官)」によって電話インタビューまたは直接のインタビューによって実施されます。
さて、3名の宇宙飛行士の最初のロシア語レベルチェックは、JICロシア語講座の講師ナージャ・イゾートヴァ先生に筑波まで同行していただいて行いました。
■宇宙飛行士の皆さんの言語能力の高さにビックリ
1人の持ち時間は約30分。JICの担当者も同席しましたが、全くのロシア語初心者が1年間週1?2回のレッスンで本当にここまで理解できるようになるのかと思うほど、3名の方々は講師の発するロシア語の質問にロシア語できちんと答えていきました。もちろん、発音はゆっくりだし、文法的に必ずしも正しくはないのですが、それでも驚きを禁じえないほど、宇宙飛行士の皆さんの言語能力は高かったのです。こうして各人のレベルチェックが終了し、後日、それにもとづいて、各飛行士の会話能力、文法力そして今後の課題をレポートの形で明らかにしました。各人のこれまでの授業時間数、授業内容、OPI試験の結果なども踏まえて、具体的な訓練計画書の策定に取りかかりました。JAMSSの担当者、JICの講師陣と何度か議論を重ね、ついに「日本人宇宙ステーション宇宙飛行士の維持・向上訓練?ロシア語訓練実施支援要綱」が完成しました。こうして、JAMSSからJICに日本人宇宙飛行士のロシア語教育訓練プログラムが正式に発注されたわけです。
■毛利衛さんも参加、訓練は今も続く
2001年1月25日、最初のレッスンがスタートし、JICが協力するNASDAのロシア語教育訓練が始まりました。2?3名の講師が毎週、各飛行士の個人レッスンに筑波まで通う形で授業は行われ、それは現在も続いています。そして2001年秋からはあの毛利さんも訓練に参加され始めました。毛利さんの場合は、すでにロシア語を習得されていましたが、語学力を低下させないために訓練を継続するということになったのです。忙しい毛利さんのことですから、訓練場所は筑波宇宙センターだけでなく、浜松町のJAMSS本社や、毛利さんが館長を務めておられるお台場の科学未来館などでも行われています。こんなわけで、わがJICは、微力ながらも日本の宇宙開発の一端を担うという栄誉に浴することができたのでありました。
さて、その後の訓練ですが、2002年10月現在も毎週継続して行われています。都内からバスにゆられること約2時間、わがJICのロシア語講師陣は、3年後の国際宇宙ステーションの成功を目指して、今もロシア語訓練を続けています。
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