2018/06/14 - 2018/06/17
211位(同エリア3819件中)
mishmishさん
- mishmishさんTOP
- 旅行記60冊
- クチコミ52件
- Q&A回答0件
- 168,561アクセス
- フォロワー97人
トルコのシェケル・バイラム(ラマダーン明け休暇)を利用して、3泊4日の弾丸イタリア旅行。
昨年夏に弾丸イタリア旅行でヴェネツィア、ミラノを訪れ、重度の「イタリアかぶれ」を患ったまま10カ月が経過。禁断症状が出る前に再訪です。今回の旅は、フィレンツェとローマ。
旅程:
●6/14 トルコからローマへ→フィレンツェ泊
●6/15 フィレンツェ観光→ローマ泊
〇6/16 ローマ、ヴァチカン観光→ローマ泊
〇6/17 ローマ観光→トルコへ帰る
Part 1は約24時間のフィレンツェ滞在。ラインナップは以下のとおり。
*まずは街を知ろう!フィレンツェ散歩
*念願のウフィツィ美術館でルネサンスを感じる
*ヴェッキオ宮でインフェルノツアー
*眺望対決:ジョットの鐘楼vs.ドゥオーモ
以上です。
旅の参考文献は、ヤマザキマリ先生著『偏愛ルネサンス美術論』
この本が好きすぎて、フィレンツェに来たのも同然!オススメです。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 徒歩 飛行機
- 航空会社
- ターキッシュ エアラインズ
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
1日目、6月14日(木)
ただいま、イタリア~!
まずは、ローマ空港からLeonardo Expressに乗って、ローマ・テルミニ駅に向かいます。
駅の券売機で買ったチケットは、写真の右に映っている自動検札機でピピっと刻印する必要があります。忘れると罰金だそう。
ちなみに、私達のフライトは13時頃ローマ到着でしたが、空港での入国審査に40分もかかって、びっくりでした!4つ窓口があるのに、1つしか稼働していない時があったり。こんなに待ったのは久々です。帰りはもっと待つことになるのですが・・・!フィウミチーノ空港 空港
-
テルミニ駅でちょっと休憩。
久々のイタリアで、至福のエスプレッソ。
15:50ローマ発、17:22フィレンツェ着の高速列車で、まずはフィレンツェに向かいます。セカンドクラスの一番後ろの席に座ったのですが、車両の反対側にしか荷物置き場がなく、乗客で込み合う中、荷物を置きに行くのが大変でした・・・。帰りはプレミアムだったので、同様の問題はなかったのですが。テルミニ駅 駅
-
フィレンツェのホテルにチェックイン後、まだ明るいので街をぶらぶら散歩します。
まずは、イタリアと言えば!のグラニータ。お味はブラッドオレンジ。
そして、奥の方に見えてきましたね・・・! -
じゃじゃーん!
サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(花の聖母教会)
ドゥオーモ、ジョットの鐘楼、洗礼堂の3つで構成されます。
無理やり全部入れてみました笑。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
ドゥオーモ(大聖堂)
白、ピンク、緑の大理石を使った淡い色合いのファサード。「花の都」にふさわしい佇まいですね。
1926年から172年もの歳月をかけて建設された、晩期ゴシックおよび初期ルネサンス建築だそうです。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
ここで早速ジェラート休憩です。
ドゥオーモ近くの、EDOARDO。
クリーミーかつあっさりしていて、美味!フィレンツェを去る前にもう一度食べたかったです。
http://www.edoardobio.it/ジェラテリア エドアルド スイーツ
-
ヴェッキオ宮
1299年~1314年に建設。かつてのフィレンツェ中央政庁があった宮殿。
ここは翌日じっくり見学します。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ヴェッキオ宮の隣は、「ランツィの回廊」
今は、古代およびルネッサンス彫刻を屋外で展示しています。
写真は、『メドゥーサの首を持つペルセウス』です。迫力がありますね!ランツィの回廊 (ロッジア ディ ランツィ) 博物館・美術館・ギャラリー
-
玉を転がす第一ネコ、発見です。
ランツィの回廊 (ロッジア ディ ランツィ) 博物館・美術館・ギャラリー
-
迫力満点の風の神さま
フィレンツェは街に溢れる彫刻を見るのも楽しみの一つです。 -
ヴェッキオ橋が見えてきました。
増築を重ねました、って感じの雰囲気が好きです。
かつてはウッフィツィ美術館とピッティ宮を結ぶ通路で、ジョージ・ヴァザーリが建設したものです。
ジョージ・ヴァザーリー。この方のお名前、この旅でたくさん出てきます。ヴェッキオ橋 建造物
-
ヴェッキオ橋を渡ってみましょう。今では宝石店が軒を連ねています。
こちらのお店は店仕舞いでしょうか。シャッターが木製で、宝箱のような重厚感です!ヴェッキオ橋 建造物
-
ヴェッキオ橋から見たアルノ川とサンタ・トリニタ橋。
橋を渡り切って、ピッティ宮まで来てたら、この日の散歩はおしまい。ヴェッキオ橋 建造物
-
話が逸れますが・・・
フィレンツェで何気に興奮したこと。
それは、スーツ姿の男性達がカッコいいこと。フォーマルに、そしてカジュアルに、スーツを着こなしているんですよね。それがフィレンツェの街並みによく合います。そして、スーツを着てバイクやスクーターに乗ってたりして。目の保養になりました。サンタ トリニタ橋 建造物
-
共和国広場
メリーゴーランドがレトロな雰囲気を醸し出しています。レプッブリカ広場 (フィレンツェ) 広場・公園
-
可愛いショーウィンドウ
ビスコッティ、大好物です。ジッリ カフェ
-
迫力のあるドアノブ。
何のモチーフでしょうか。この不気味さが可愛くもあります。 -
ドゥオーモまで戻ってきました。
夕日に照らされて、美しさが一層増しますね。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
美味しそうなお惣菜たち!
というわけで、ホテルに戻る前にスーパーでお買い物です。
夫がトルコ人の同僚達にオリーブオイルのお土産を買っていました。なんと彼らのリクエストらしいです。美味しいオリーブオイルならトルコにもあるじゃん!って思いましたが、中に何が入っているか分からないお菓子やチョコよりも、オリーブオイルの方がよほど安心で実用性があるのでしょうね。
Conado Sapori& Dintoriniコナド シティ スーパー・コンビニ
-
遅めの夕食はホテル近くのトラットリアでいただきました。
偶然入ったお店ですが、家族経営のような雰囲気で、地元客が多かったです。気軽にお料理とお酒を楽しめるお店で、オススメです。地元の皆さんは、フィレンツェ名物のTボーンステーキを頬張っていて幸せそうでした。
Trattoria Enzo & Piero
http://www.trattoriaenzoepiero.it/ -
私達は前菜、パスタ、トリッパを注文したのですが、このアーティチョークの前菜がとーっても美味しかったです!
アーティチョークってこんなに美味しかったっけ!?と感動。 -
2日目、6月15日(金)
おはようございます!
朝食はホテルでいただいたのですが、朝食会場にエスプレッソを淹れてくれるお姉さんがいて、「さすがイタリア~」って感動しました。(セルフのマシーンもあるのですが、味が全然違いますね!)
ただ、フィレンツェのホテルは高いです。。。ホテル パラッツォ ヴェッキオ ホテル
-
この日はモリモリ、フィレンツェを観光します。
まずは、念願、ウフィツィ美術館にやってきました。
予めネット予約した入場時間8:30-8:45に合わせてきたのですが、チケット受け取りにも長蛇の列!「入場の10分前には」と書いてありますが、そんなの無理・・・。
結局遅れて入りましたが、問題はありませんでした。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ウフィツィ美術館と言えば、彫刻が展示されているこの回廊ですよね。U字型のルネッサンス様式の建築物。画家・芸術家であり『芸術家列伝』の著者ジョルジョ・ヴァザーリーの設計です。
かつてメディチ家の行政局Uffici(英語のOfficeの語源)が置かれていたことから、ウフィツィ美術館と呼ばれるそうです。メディチ家が財力をかけて収集したルネサンス美術が詰まった美術館です。
私は近代絵画の方が好きなのですが、ヤマザキマリ先生著『偏愛ルネサンス美術論』を読んで以来、ルネサンス絵画への憧れとウフィツィ美術館へ行きたいという思いが強くあったのです!
というわけで、今回はヤマザキマリ先生の著書を参考にしつつ、気になった絵画を勝手にピックアップです。
テーマ①:「恋するお坊さん」フィリッポ・リッピ
テーマ②:漫画チックに美しく描くサンドロ・ボッティチェリ
テーマ③:ウフィツィの「受胎告知」
テーマ④:ウフィツィのレオナルド・ダ・ヴィンチ
※この旅行記に出てくる(〇頁)は、ヤマザキマリ先生著『偏愛ルネサンス美術論』からの引用を意味します。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
【テーマ①:「恋するお坊さん」フィリッポ・リッピ】
ヤマザキマリ先生の本を読んで以来、一番見たかった作品がこちらです。
『聖母子と二天使』1460-1465年
ヤマザキ先生は、フィリッポ・リッピこそがルネサンス絵画の幕開けを語るにふさわしい人物だと語っています。
◆「聖母マリア(マドンナ)の絵を描かせると、彼はとてつもなく上手でした。ただしそのモデルは自分の愛する女性で、その人以外を描くと、言っては悪いけど、まるで下手くそ。そう、彼は「自分の愛する人」しか綺麗に描けないという、当時の画家としては例外的な存在ーつまり「変人」だったのです。」(30頁)
◆「恋する「お坊さん」が描いた『聖母子と二天使』には、本来の宗教心とはかけはなれた猥雑な気持ちが混ざっています。けれども、そうした猥雑さこそが、ルネサンスという「人間復興」の気運を駆り立てていく原動力でした。」(31頁)
この先品のモデルは、妻ルクレツィアと子フィリッピーノだと言われているそうです。イコン画とは違い、生き生きとした美しさがありますよね。キリストも腕がムチムチしていて、いかにも赤ん坊って感じです。
フィリッポは修道士でありながら、30歳も年下の修道女ルクレツィアと駆け落ちをするという、ルネサンス史上最大の恋愛スキャンダルを起こします。しかし、当時パトロンであったフィレンツェの権力者コジモ・デ・メディチの計らいで、ローマ教皇から還俗が認められ、二人は結婚することができました。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
フィリッポ・リッピ作
『幼児キリストを礼拝する聖母マリア』1463年ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
フィリッポ・リッピ作
『幼子キリストの礼拝』1455年
ウフィツィ美術館にはこの他にも、フィリッポ・リッピの作品がありましたが、愛する妻と子をモデルにした『聖母子と二天使』が、圧倒的に彼の代表作なのかと思います。絵のモデルとなった息子で、画家のフィリピーノ・リッピの作品も興味深かったです。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ピエロ・デッラ・フランチェスカ作
『ウルビーノ公夫妻の肖像』1465-1466年
正確な遠近法で描かれたと言われている肖像画です。夫人のおでこの部分が広いのは、当時の流行だそうで。
夫人は7人の子供を産んだ後、27歳の若さで亡くなりました。妻を惜しんだフェデリーコ公爵は、夫妻が向き合うように絵を描くように依頼したそうです。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
【テーマ②:漫画チックに美しく描くサンドロ・ボッティチェリ】
女性を美しく、繊細に描くボッティチェリ。フィリッポ・リッピのお弟子さんだったと聞けば納得ですよね。
ボッティチェリ作
『パラスとケンタウルス』1482-85年
パラスはギリシャ神話における戦いと知性の女神、ケンタウルスは半人半馬の怪物。この絵は「理性の勝利」を意味しており、当時としては珍しい題材だったようです。パラスの衣装には4つのダイヤの指輪が連なっていますが、これはメディチ家の紋章です。
ヤマザキマリ先生曰はく、ボッティチェリの絵の大きな特徴は漫画のような「輪郭を描く」ことで、それがボッティチェリの絵が日本人に受けた理由の一つだとしています。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ボッティチェリ作
『ユディトの帰還』1472年
ユディトはダマスカス留学時代の下宿先のドイツ人の名前。そんなことをふと思い出しながら懐かしく鑑賞しました。確か彼女から「聖書に出てくる女性戦士の名前」と教えてもらった記憶があります。
ユディトはベツリアの町に住む美しい未亡人。ある日、ホロフェルネス将軍率いるアッシリア軍がベツリアの町を包囲し、人々は降伏しようとしますが、諦めなかったユディトは将軍のもとへ行き、「町の攻略方法を教える」と嘘をつきます。喜んだ将軍は、ユディトを宴会に招きますが、そこで酔っ払い、ユディトに首を取られてしまう、というストーリー。
右の絵は、ホロフェルネス将軍の首を持って町へ戻るユディトと侍女。
サロメと同様、生首系の絵。ウフィツィ美術館には幾つもありました。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ボッティチェリ作
『春』1477-1478年
ボッティチェリと言えば!の大作2点もこの美術館にあります。
ボッティチェリは、コジモ・デ・メディチが創設した「新プラトン主義アカデミア」という学問サークルに所属し、古代ギリシャの思想や文化を仲間たちと学びました。コジモの孫ロレンツォとボッティチェリはここで意気投合し、パトロンと画家の関係を越え「悪友」だったそうです。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ボッティチェリ作
『ヴィーナスの誕生』1485年
『春』、『ヴィーナスの誕生』ともに、ロレンツォのために描かれたそうです。
ヤマザキマリ先生曰はく「いずれもギリシャ神話の愛の女神ヴィーナスを描いた大作ですが、衣服をまとった前者は地上の、裸体である後者は天上のヴィーナスを、それぞれ意味しています。天上と地上をこのように対比させる発想は、まさに新プラトン主義のものでした。」(48頁)とのこと。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ボッティチェリ作
『ざくろの聖母』1487年
この作品、イケメン天使大集合って感じで結構好きです。
ざくろは「キリストの復活」を意味するそう。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ギルランダイオ作
『玉座の聖母子と天使と聖人たち』1486年
カーペット部分のみクローズアップ
だって、このカーペット、柄が凝っていて素敵ではありませんか。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
この完結した空間自体が芸術ですね。
ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
回廊からは、ヴェッキオ橋を見ることができます。
ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
【テーマ③:ウフィツィの「受胎告知」】
大塚国際美術館で「受胎告知」の絵画をまとめて鑑賞して以来、ハマっております。
シモーネ・マルティーニ作『受胎告知』1333年
この作品は有名ですね。私はこの聖母マリアの「えー無理」って感じの素直な反応が一番しっくる気がします。驚きが動作だけじゃなくて、顔に出てしまっていますもんね。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
ボッティチェリ作
『受胎告知』1481年
フレスコ画。San Martino alla Scala病院に飾られていたもの。
天使ガブリエルが両手を胸にクロスしている場合、キリストがマリアの体内に入ってきたこと(その瞬間)を表し、「托身」と言います。
絨毯や柱の装飾も美しいですね。フィレンツェの貴族の邸宅を知る材料にもなるそう。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
アレッソ・バルドヴィネッティ作
『受胎告知』1457年
天使ガブリエルの赤の衣装と、聖母マリアの青とピンクの衣装の対比が美しいです。それにしても二人とも脚が長いです。
天使ガブリエル、腕組してますかね。軽やかな登場です。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
アーニョロ・ブロンズィーノ作
『受胎告知』1540-1541年
フィレンツェらしい様式のお部屋に、雲に乗って天使ガブリエルがやってきた!みたいな図。しかも、精霊(でいいのかしら?)と天使達も登場し、明るい光で照らしています。美しくも、賑やかな受胎告知ですね。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
レオナルド・ダ・ヴィンチ作
『受胎告知』1472年
2007年に上野の東京国立博物館で鑑賞して以来です!あの時の行列は、すさまじかったです・・・。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
マティアス・ストーマー作
『受胎告知』1635-1640年
カラバッジョのスタイルを愛する画家だそうです。真ん中のロウソクが天使ガブリエルと聖母マリアの顔を照らす新しいタイプの受胎告知ですね。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
Gherardo di Giovanni作
1470-1475年
中央に聖母マリアとキリスト、右側に洗礼者ヨハネとマグダラのマリア。
このマグダラのマリア、綺麗だな~ってただただうっとり。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
半分ちょっと見たところで、トイレ、カフェなどの休憩スペースが現れます。はぁ、たくさん歩きました。
見どころが多すぎて、クラクラしてきます。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
アンドレア・デル・カスターニョ作
1445-1448年
聖母子と聖人達が描かれています。
上に描かれている円が、満月のようで、印象に残っている作品の一つです。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
Giovanni del Biondo作
1365-1370年
洗礼者ヨハネの一生を描いています。それにしても、足の指が長い。。。
踏まれているのはヘロデ王。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
【テーマ④:ウフィツィのレオナルド・ダ・ヴィンチ】
今回、ウフィツィ美術館で見たレオナルド・ダ・ヴィンチの作品は、3作品。先ほどの受胎告知が一つ目。
こちらは、アンドレア・デル・ヴェロッキオ作
『キリストの洗礼』1470-1475年
この絵の天使は、弟子のレオナルド・ダ・ヴィンチが描いたと言われています。あとは、イエスの足元と身体、奥の遠景ですね。レオナルドが描いた部分は繊細で柔らかいのが特徴です。
師匠のヴェロッキオは、レオナルドが描いた天使を見て、彼の才能には敵わないと、二度と絵筆をとらなかったと言われています。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
レオナルド・ダ・ヴィンチ作『マギの礼拝』
今回、恐らく一番衝撃を受けた作品。
こんな不思議な作品があるなんて、勉強不足で知りませんでした。
未完成と言われています。
中央に聖母マリアとイエス・キリスト。その周りを東方三博士が囲み祈りを捧げています。
聖母子像ってもっと光に包まれて、幸せそうに見えるものだと思っていたのですが。色合いといい、描かれている人々の表情といい、見ていて心がざわざわします。でも、惹きつけられる魅力があります。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
下絵の段階だからでしょうか、聖母子を囲む周りの人々の表情が怖くも見えますが(若干ホラー・・・)、陽気な表情を見せている人もいて温かさも感じられます。
とても謎めいた絵です。ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
カラヴァッジョ作
『メドゥーサの首』1595-1598年
ウフィツィと言えばのメドゥーサ。迫力満点です!
メドゥーサのこの顔を真似るのが一時期我が家で流行りました。もちろんやるのは、変顔担当の私ですが~ウフィツィ美術館 博物館・美術館・ギャラリー
-
名画を鑑賞後は、セルフサービスのお店でいただきました。
サクッとガッツリ食べたい時におススメです。ホット ポット イタリアン
-
続いて、礼拝堂の見学。
外は白の大理石で美しいのですが、中も素晴らしかったです。天井のモザイクがビザンツ風で、トルコ在住の私にはアヤソフィアを彷彿とさせます。
フィレンツェの守護聖人である聖ジョバンニ(洗礼者ヨハネ)に捧げられた教会だそうです。
『神曲』を発表した、ルネサンス文学の祖であるダンテ・アリギエーリも、ここで洗礼を受けたと言われています。
※チケットは、共通券18ユーロで、ドゥオーモ、ジョットの鐘楼、洗礼堂を見学することができます。(私達はネット購入し、ドゥオーモのクーポラに上る時間を予約しました。)サン ジョヴァンニ洗礼堂 (フィレンツェ) 城・宮殿
-
続いてやってきたのは、ヴェッキオ宮。
かつてのフィレンツェ中央政庁があった宮殿。
しかーし!一番の目玉である「五百人広間」が式典のため見られないとのこと。なんてこった。。。
でも気を取り直して。この日は14時からの「インフェルノツアー」を予約して来たのです!ツアーは所要時間75分、入場料+4ユーロです。『インフェルノ』はダン・ブラウンの小説で、映画化もされています。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
このシリーズでは、主人公で宗教象徴学専門のラングドン教授が、美女と一緒に謎解きをしながら、有名観光地を駆け巡るのが見どころの一つですが、『インフェルノ』においても、舞台をフィレンツェ、ヴェネツィア、イスタンブールに移しながら物語が進みます。特にフィレンツェでは、観光では見られない古い抜け道や隠し扉を抜けながら街を駆け巡るので、お宝映像を見ているような気分になります。
偶然にも私達はすでにイスタンブール、ヴェネツィアは観光済み。今回、フィレンツェを巡れば、『インフェルノ』制覇だったのです。ですから、「インフェルノツアー」は旅のハイライト。
*映画の公式HP
http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/inferno-movie/#!/ -
その日のインフェルノツアー(英語)には15人程集まりました。
まずヴェッキオ宮がいかに増築されていったか説明を受けました。
写真の奥の方、色や材質が違いますよね
ここは、フィレンツェ中央政庁があった宮殿ですが、16世紀にメディチ家のコジモ1世が政治を取るようになってからは、中央政庁兼住居として利用しました。その際にコジモ1世は、お気に入りのジョルジョ・ヴァザーリーに増改築を依頼しました。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
このツアーのポイントは、ラングドン教授が巡った「秘密の通路」が見られること。
早速、通常は入れない、この狭い入り口から中に入ります!ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
地上にある入り口二つのうち、左の小さい方から入って、螺旋階段を上まで上がっていきます。
英語だったので良く覚えていないのですが、、、上の階まで来たところで、コジモ1世の正妻エレオノーラ・ディ・トレドの居住スペースの説明を受けた気が。。
コジモ1世は、エレオノーラと結婚後、住居をヴェッキオ宮に移したのです。(その後ピッティ宮殿に移りますが。)ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
そして、「五百人広間」にやってきました!
ラッキー、ちょうど式典が終わった後のようです。
この豪華絢爛なホールは、コジモ1世がジョルジョ・ヴァザーリーに依頼して1555年から1572年にかけて改修されました。
フィレンツェのピサとシエーナに対する勝利とコジモ1世の礼賛ため、天井も周囲の壁面もすべてヴァザーリと彼の弟子たちによる絵画で埋めつくされました。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
天上を見上げると、中央にコジモ1世。
天使が彼に王冠を授けようとしています。なんかなー…って感じの絵。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
実はヴァザーリーが改修を行う約50年前、フィレンツェ共和国は、レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロに壁画の作成を依頼したのですが、いずれも未完に終わってしまいます。
そして、ヴァザーリーは右側の壁画に「マルチャーノ・デッラ・キアーナの戦い」を描くのですが、なんとその絵の下に、レオナルド・ダ・ヴィンチの「アンギアーリの戦い」が隠されているそうなのです。調査結果によると、壁画の裏の壁に奥行き2.5cm程の空洞があるとか。
レオナルドの作品は、ヴァザーリーの作品で覆われるまで約50年人々の見るところになり、多くの画家に模写されたそうです。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ヴァザーリーは、壁画の中に暗号とも取れる文字を残しています。もはや肉眼では見えないのですが、カメラでズームすると、緑色の軍旗に「CERCA TROVA」(Seek and You Shall Findの意)と書かれているのが分かります。
「この下に絵があるよー」とほのめかしているかのようです。
『インフェルノ』では、ダンテの『神曲』にちなんだ謎解きで物語が進んでいくのですが、「CERCA TROVA」も物語の序盤で、謎解きの大きな鍵となります。ファンにとっては必見の場所なのです。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ちなみに左の壁画は、元々ミケランジェロが「カッシーナの戦い」を描いたのですが、彼の才能を妬んだバルトロメオ・バンディネッリによって切り刻まれてしまったそうです。
ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ピサの戦いを描いていますが
ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
カメラでズームすると、ちゃんとピサの斜塔が写っています!
ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
続いて、五百人広間の天井裏にやってきました。
ツアー参加者だけ入ることができます。
ここも物語に出てくる場所。ラングドン教授と女医のシエナが追い手のヴァエンサから逃げる際にこの天井裏の梁を渡ります。
映画ではセットを作って、別の場所で撮影したそうです。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
レオナルド・ダ・ヴィンチの『アンギアーリの戦い』に基づいて作成された『タヴォラ・ドーリア』(作者不詳)
実はこの作品、私達が訪れた際は、なんと「日本に貸し出し中」でした~!
そう説明を受けて「日本に帰ったら見なきゃね、ははは。」と頭を下げておきました。
もう、どの美術展かしら!と後で調べたら、これでした。もう終わってしまいましたが、ぜひ行ってみたかったです。
http://www.fujibi.or.jp/anghiari.htmlヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ダンテのマスク
物語の中で、「CERCA TROVA」に続き、謎解きの大きな鍵を握ります。マスクの裏に文字が書いてあるのですが、もちろん本物の裏には何も書いてありません。
ダンテの『神曲』は、「地獄篇」、「煉獄篇」、「天国篇」から成る長編叙事詩ですが、ダンテが描く地獄は、その後の文学や芸術に大きな影響を与え、キリスト教世界における地獄のイメージを作ったと言えます。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
そして最後に「地図の間」
16世紀に描かれた世界中の地図が飾られています。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
例えば、日本。
写真右の地図の右下に横長な島が描かれているのが分かりますでしょうか。これが「GIAPAN」です!
どうしたらこうなるんだ・・・と思いますが。ヨーロッパはもっと正確に描かれています笑ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
そして、ありました、アルメニアの地図!
物語と同様、ここが隠し扉となっているのです。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ここは、ツアー参加者だけ通ることができます!
ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
映画とは異なりますが、まずお庭に出てきて、奥に個室があります。
ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
個室の中はこんな感じ。
ここは、ビアンカ・カペッロの部屋。コジモ1世の長男で後継者のフランチェスコ1世の愛人(後に結婚して、大公妃)です。
このビアンカさん、悪女と言われています。錬金術にも興味があったそうで、この部屋の天井は怪しい絵がたくさん描かれています。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
極め付きはこの小窓!なんと五百人広間が見えるのです。
ビアンカはここから評議会の様子を盗み見し、フィレンツェの政治に口を出していたのでは…と言われているそうです。
地図の間でツアーは終了です!
ツアーの中で通常の見学ルートも一通り見られますが、時間があれば戻ってゆっくり見学するのをオススメします。ヴェッキオ宮殿 城・宮殿
-
ここでまたジェラート休憩です。
フィレンツェは、トイレ休憩をカフェなどでしなければならないのが難点。あまり公共トイレがないんですよね。 -
ジョットの鐘楼
ジョットが設計したゴシック様式の鐘楼。
少し時間がありますし、共通券も購入済みですので、上っちゃいましょうか。
※チケットは、共通券18ユーロで、ドゥオーモ、ジョットの鐘楼、洗礼堂を見学することができます。ジョットの鐘楼 建造物
-
と、軽い気持ちで上ったのが、甘かったです・・・!
なんと、414段ありました。エレベーターなんてもちろんありません。
細い螺旋階段をひたすら上っていくのですが、何が大変かって、上りも下りも同じ階段なので、スイスイ上れないんですよね。。。ジョットの鐘楼 建造物
-
それでも、眺望が素晴らしいので、上る甲斐はあります!
サン・ジョヴァンニ洗礼堂
聖ジョヴァンニ(洗礼者ヨハネ)に捧げるために建設された礼拝堂。八角形をしたロマネスク様式です。ジョットの鐘楼 建造物
-
そして、ジョットの鐘楼を上る一番のポイントは、ドゥオーモが間近に見えることです!(ドゥオーモに上っても、ドゥオーモは見えませんからね。)
天蓋の天頂にあるブロンズ製の玉は彫刻家ヴェロッキオの製作。ヴェロッキオの弟子であったレオナルド・ダ・ヴィンチは、ブロンズ球のデザインに係わっていたとの手稿を残しています。ジョットの鐘楼 建造物
-
とっても良い天気です!
ジョットの鐘楼 建造物
-
ヴェッキオ宮も見えます。
ジョットの鐘楼 建造物
-
続いてはドゥオーモ
ドゥオーモの中を見学したかったのですが、何時間並ぶんだろう…というくらいの長蛇の列(しかも17時終了)。
でも私達は17:30にクーポラに上るための予約をしてあったので、専用の列に並びます!
結果的に予約しておいて良かった、クーポラに上って良かったと思えたのは、、、クーポラに上る際に大聖堂の中もチラ見することができたからです!無理してドゥオーモの列に並ばなくて良かったです。
※チケットは、共通券18ユーロで、ドゥオーモ、ジョットの鐘楼、洗礼堂を見学することができます。(私達はネット購入し、ドゥオーモのクーポラに上る時間を予約しました。)ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
まず、見られて良かったのが、こちらの絵。
ドメニコ・ディ・ミケリーノ作『ダンテと神曲』
政治家であったダンテは、当時の政変(黒派と白派の対立)によって、故国フィレンツェから追放、死刑宣告を受けてしまいます。そして亡命先で書き上げたのが『神曲』です。
ダンテは『神曲』をラテン語ではなく、フィレンツェのあるトスカーナ地方の方言で書きました。そして、ダンテが用いたトスカーナ方言はラテン語に替わるものとして、イタリアで用いられるようになりました。つまり、ダンテは、「イタリア語」を作った偉大な人物なのです。
ヤマザキマリ先生も著書の中で「ダンテの登場がヨーロッパの歴史にとって画期的なのはラテン語による教会の「知」の独占を打ち破り、自分たちが日常的に使っている言葉で考え、表現する手段をイタリア人に与えたことです」と書いています(176頁)。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
そしてクーポラ内部のフレスコ画『最後の審判』も見ることができます。これもヴァザーリーとその弟子達によるものです。
地上からでなく、クーポラに上る途中に近寄って見れるというメリットがあります。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
これには感動です。
この時点で「ジョットの鐘楼」と「ドゥオーモ」の眺望対決は、「ドゥオーモ」の勝利ですね!ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
やはり地獄の様子が気になってしまいます。悪魔や骸骨を描かれていて、漫画のようです。
ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
ドゥオーモのクーポラ頂上から眺めるフィレンツェの街並みです。
なんと、463段上りました!こちらもエレベーターなし。。。見える景色は大体同じです笑。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
「ジョットの鐘楼」と「ドゥオーモのクーポラ」、どちらか一つに上るのであれば、私は「ドゥオーモのクーポラ」を選びます!
ジョットの鐘楼:414段
ドゥオーモのクーポラ:463段
合計:877段!
もう足がガクガクです。。。どうして2つとも上ってしまったんだ。。。ドゥオーモ (フィレンツェ) 寺院・教会
-
最後にサンタ・マリア・ノヴェッラ教会と近くにある付属施薬院(薬局)をぶらっと見て、軽食を買って、20:08フィレンツェ発、21:40ローマ着の高速列車に乗り込みました~
こうして、約24時間のフィレンツェ滞在は終了です。
花の都を満喫するには短すぎました。ハイキングして終わったような気分です。
弾丸イタリア旅行、続いてはローマです!
つづくサンタ マリア ノヴェッラ教会 寺院・教会
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- salsaladyさん 2018/08/17 09:46:18
- ポンテヴェッキオは大丈夫?
- ☆イスタンブール駐在でしたかしら?
☆オペラの中のアリア”O mio babbino caro"に出てくるヴェッキオ橋を訪れたいと思っていたけれど、最近イタリアでは大がかりな橋の崩落や建造物が危ないとか~
☆其れはそうでしょう。日本の数十倍長い歴史を支えて来た斜塔?やポンテがそろそろ崩れ始めるのでは?と訪問を控えています。
☆イスタンブールも貨幣価値崩落で~日本は異常気象で~いずこも大変~see you~
- mishmishさん からの返信 2018/08/18 02:43:08
- RE: ポンテヴェッキオは大丈夫?
- salsaladyさん、こんにちは!
フィレンツェの旅行記読んでくださりありがとうございます!
ジェノヴァの橋崩落、怖いですよね〜。歴史が長く、しかもそれを売りにしている分、老朽化が心配ではありますよね。ヴェッキオ橋はどうでしょう。。。傍から見る分には美しいですが。
ドゥオーモのクーポラも内側にひびが入っていたりして、大丈夫なのかしらって内心思いました。
salsaladyさんはオペラに詳しくていらっしゃいますもんね!(先日の発表会の旅行記も素敵でした〜!)ご自身が歌ったり聞いたりした曲に出てくる場所を訪れるのは、きっと感慨深いでしょうね。
salsaladyさんの仰るとおり、トルコリラの暴落に戦々恐々としてます。そのうち溶けてなくなってしまうのではないかしら・・・笑。まだ物価は上がっていないので大丈夫ですが、今のトルコリラを換金して、ヨーロッパ旅行をしようと思うと急に貧乏になった気分になりますx_x
日本も酷暑に、台風に、、不安定な気候が続いてますが、お体にお気をつけてお過ごしくださいね!
mishmishより
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
mishmishさんの関連旅行記
この旅行で行ったホテル
-
ホテル パラッツォ ヴェッキオ
3.3
この旅行で行ったスポット
もっと見る
この旅行で行ったグルメ・レストラン
フィレンツェ(イタリア) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
2
89