2017/09/23 - 2017/09/23
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frau.himmelさん
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コルマール最終日、後編です。
コルマールでし残したことがいくつかあります。
まずは、目指すシナゴーグを訪れます。
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家と家の間を小さな木組みの家がつないで、その下は通り抜けできるようになっている・・、面白い造りです。
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目指す建物に到着しました。
正面の、屋根の上に小さな鐘楼が付いた建物、シナゴーグ、ユダヤ人の教会です。
私は今まで何回か旅行記の中で、ユダヤ人のことやホロコーストのことを書いてまいりましたので、シナゴーグには興味があります。 -
第三帝国時代ドイツ領だったアルザスでは、ユダヤ人はどういう運命をたどったのだろう?
1941年第二次大戦でフランスの降伏により、アルザス地方はドイツの領土となりました。そしてコルマールにはドイツ国防軍が進駐していました。
ドイツ国内に限らず、ドイツ占領下にあったヨーロッパ諸国のユダヤ人の施設、シナゴーグなどは焼き討ちにあったり破壊されつくしました。
ところがコルマールのシナゴーグはドイツ軍が倉庫として使用していたため、破壊されずに済んだということです。 -
厳重な扉が固く閉まっていました。
隙間から覗くと教会の入り口には、フランス語とヘブライ語で何やら碑文らしき文字が書かれています。
門扉には案内板があり、中を見学したい人は電話をかけてくださいという意味なのでしょうか。
アルザスは中世のころよりユダヤ人が多く居住していた地域でした。
普仏戦争でのフランスの敗北によって、アルザスのユダヤ人はドイツを選択するか、フランスを選択するかを決めなければならなかった。
多くのユダヤ人はフランスを選択してパリなどに出ていった。
しかしドイツ国籍を選択してアルザスに残ったユダヤ人も多かった。
第三帝国時代、1941年から1944年の間、フランスがドイツに敗北してドイツの占領下になりました。
フランスでもドイツと同じようにユダヤ人狩りが始まり、ユダヤ人は迫害され追放され、強制収容所に送られることになりました。 -
教会の前に石のモニュメントがありました。
フランス語は全くわかりません。
Hommage aux Justes。
あてにならない翻訳機にかけると「正義へのオマージュ(賛辞)」と訳してくれます。
このプレートには「nazie(ナチス)」という字も見えますので、きっとホロコーストの犠牲者に対する追悼の碑だろうと思いました。
しかし、末尾の名前「Simone Veil」が気になり調べてみたら大変興味深いことがわかりました。 -
シモーヌ・ヴェイユ。
きっとこの名前、聞いたことがある方もいらっしゃるのでは?
フランスの保健大臣・国務大臣を務め、また欧州議会の初代議長を務めた女性です。
そしてホロコーストの生き残り、アウシュヴィッツの生き証人だったのです。 -
ネットより写真を拝借しました。
ユダヤ人として1927年パリに生まれたシモーヌ・ヴェイユは、16歳の時に両親、兄姉と共にゲシュタポに逮捕され、アウシュヴィッツに強制送還されました。
父母と兄は収容所でなくなり、シモーヌは奇跡的に助かります。
その後政治家となった彼女はジスカール・デスタン大統領によって保健・家族相に任命されます。
女性議員が少ない中、女性のために中絶解禁に向けて取り組みました。
心無い男性議員からは「中絶はナチズムの復活と同じ。あなたは胎児をアウシュヴィッツに送るつもりか」というヤジも飛んだそうです。
シモーヌ・ヴェイユは2017年6月30日89歳でなくなりました。
私たちがここを訪れる3か月前のことでした。 -
1940-1944年と年号がはいっていますので、こちらが追悼の碑ですね。
フランス語が判らないことをいいことにいい加減なことを書いています(笑)。 -
シナゴーグを後にして。
入り口の面白い造りの木組みの家。
ここにシナゴーグがあるということは、もしかしたらこのあたりはゲットー地区(ユダヤ人居住区)?
調べたら違いました。
ユダヤ人居住地区は旧市街の賑やかなBerhe Molly地区にあったそうです。 -
ここから見える赤砂岩の教会はサン・マチュー教会。
そちらの方に行ってみます。 -
入り口を探していたら、こんなところに出てきました。
地図を見ると、ここはメディアライブラリーだそうです。
何か面白そうなことをやっているみたいですね。 -
え~なになに!
むくつけき男性が、アルザスの可憐な少女が付ける黒い大きなリボンを頭につけて・・。 -
面白そうだからちょっと覗いてみましょうか。
(時計回りに)
えーと、女性が手にしているのはコウノトリの人形。
それを見守っている大きなリボンの変な男性。
女性がコウノトリを手に持って、砲丸投げのようにできるだけ遠くに投げます。
どこまで飛んだか判定するのはアルザスリボンの男性たち。
次に別な男性が挑戦します。 -
その様子を私たちは、緑がいっぱいのこのベンチに座ってみています。
歩き疲れているので、いい休憩です。 -
私たちがいる広場は、2月2日広場。
1945年2月2日は、コルマールが占領されていたナチスドイツから、フランス・イギリス・アメリカの合同軍によって解放された記念すべき日なのです。
他のアルザス地方は、カイザースベルクは12月18日、リクヴィール・リボーヴィレ・ウナヴィールは12月3日に解放されています。
コルマールにはドイツ軍が進駐していたので、一番遅い解放となりました。 -
ナチスドイツからの解放を記念して造られた2月2日広場。
今では市民の憩いの場所になっています。
参考:コルマールの戦い。Wikiより
現在のフランス東部のアルザスにあるコルマール周辺で行われた、第二次世界大戦中の1945年1月20日から45年2月9日の期間に、連合国軍とドイツ軍との間で起こった戦い。
当時コルマールを含むアルザス=ロレーヌ地方はドイツ領であり、ライン川に架かる橋を守る重要拠点であったため、周辺には幅65km、深さ50kmにわたるドイツ軍の橋頭堡が築かれていた。
激しい戦いの末、フランス第1軍とアメリカ第11軍団は守備するドイツ第19軍団を敗走させることに成功した。
連合軍は死傷者21,000、ドイツ軍は38,000の損害(捕虜と戦死者を含む)を出した。 -
広場からみえるゴシック様式の教会はサン・マチュー教会。
福音派プロテスタント教会です。
赤みがかった柔らかい壁の色に、何か安らぎみたいなものを感じます。 -
そしてこちらは旧施療院で、2012年からはエドモンド・ジェレ市立メディアセンターとなっています。
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しばらくまったりしていましたが、2月2日広場から腰を上げて、もう1か所行きたいところがあります。
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イエローとサーモンピンクの小さなコロンバージュの家、鎧戸の小さなハートマークが可愛い。
間が繋がっているのはきっと1軒のおうちなのでしょうね。 -
細い路地を通って広い通りに出ます。
コロンバージュとは1階が石造りで2階以上が木骨造りの建築製法だとか。
1階より2階が、2階より3階が、床がせり出して広くなっています。
これは昔は1階の床面積に対して税金がかけられていたので、お得に少しでも広いところで生活をしたい昔の人の生活の知恵だったのですね。 -
観光客が大勢の大通り、グランリュに出てきました。
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ピンク色の建物。
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奥の方にサン・マルタン教会が見えてきました。
この辺はコルマール滞在中、何度通ったことだろう。 -
ホテル・サンマルタンの看板。
これを見て、サンマルタンとは聖マルティンだったのかと。
厳冬のある日、寒さに震える乞食に自分のマントを半分切り裂いて与えたマルティンの前に、翌日キリストがこの半分のマントを纏って現れた・・、という伝説があります。
この看板の絵も、まさにマントを切り裂き乞食に与えているところです。 -
サンマルタン教会入り口の顔の像。
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ちょっとだけ中に入って厳かな内陣のベンチに座りました。
何とも贅沢な休憩です。 -
旧税関(コイフュス)の前を通り・・・。
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鎧戸をハートや花で飾られたお土産屋さんを横目に見て・・・。
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大勢の人が街に繰り出しています。
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私たちが目指したのはこのスーパー・モノプリです。
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ここで私が買いたかったものはアルザス名産のマンステールチーズ。
コルマール近くのマンステールという地方で作られるチーズです。
モノプリのチーズ専門店でこの小さめのマンステールを買い求めました。 -
今夜の夕食はこのチーズもあるし、パンとかお惣菜を買ってホテルで食べよう。
いろいろ買い物をしました。 -
ショッピングカートを引っ張るほど買い物がない場合は、このバスケットに車が付いた買い物かごを使います。
会計の時に日本人のご夫婦にお会いしました。
昨日リクヴィールに行かれたそうで、私たちも行ってきたんですよ~って話が弾みました。
ご夫婦は明日帰国されるそうです。
私たちが26日間かけてヨーロッパをグルグル回ると話したら、驚いていました。
何たって年金受給者夫婦ですから暇だけはたくさんありますから。 -
またテアターからバスに乗ってホテルに戻りました。
疲れた~~。
コルマール市内交通1日券を持っているとは言っても、バスが入る地域は限定されますし、それにホテルも駅からちょっと(1,000歩くらい)離れていますので、結局歩くことが多いのです。
この日は2万歩くらいになりました。 -
ところでアルザス名物のチーズ「マンステール」。
中はクリーミーで確かに美味しいチーズでした。
でもその強烈な匂いたるや・・・・。
この後大変苦労することになります。
これは翌日撮った写真です。 -
ホテルで一休みして、モノプリで買ってきたお惣菜やマンステールチーズなどで食事をして、そのままホテルでまったりしようと思いましたが、どうしてももう一つやり残したことがあります。
バスの一日券がありますので、こういう時は腰が軽いです。
夕闇迫るコルマールの街、さっきの喧騒はどこへやら、静かになった旧市街に繰り出します。 -
この明るいお店は、お茶の有名ブランド「Kusmi Tea」。
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「頭の家」の前を通って・・・。
さすがに夕刻なので観光客も引き上げたのか、人影なし。 -
看板が可愛い~~!
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で、私たちはどうしたかと申しますと・・
サンマルタン教会前の「Jupiler Cafe」の空いている席に座りました。
出発前にテレビで見て、どうしてもコルマールで試したいコーヒーがあるのです。 -
メニューを広げて・・・。
ありました~~!一番下に「Alsace coffe」と。
7.2ユーロ(1,000円)ですからコーヒーにしてはちょっとお高めです。 -
これが「アルザス・コーヒー」。
アルザスコーヒーとは、ワインを作る過程で、ブドウを圧縮した際に出るぶどうの果皮や種を発酵させて作るマールという強いアルコールに、サトウキビで作られる糖を加え、クリームを乗せたもの。
テレビの旅番組で知り、これは試してみなければと思ったのでした。
夫はいつもながらのビールです。 -
前のブラッスリーにも大勢の人、人気店なのねー。
と店名を見たら、テレビに出ていたお店はあちらでした。
あら残念! -
結構強いアルコールでしたが、甘くてコクがあり、美味しいコーヒーでした。
暗くなり、お店の前のサンマルタン教会がライトアップされました。
コルマールでは毎週金曜日と土曜日の夜、市内の主な場所がライトアップされ、光のイルミネーションを見ることができるのだそうです。 -
今日は土曜日。アルザスコーヒーが飲みたくてこの時間出てきて運がよかったですね。
いつもでしたら、あの時間いったんホテルに帰ったらもう街中に出ようとは思いませんもの。
飲み終わってJupiler Cafeを後にします。 -
日本食レストラン「NAGOYA」も、薄紫とブルーの上品な光でライトアップされています。
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後ろ髪引かれるお酒屋さんのショーウィンドー。
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ライトアップされたテアター(市立劇場)。
ここからバスに乗り・・・。 -
ライトアップされているコルマール駅前でバスを降ります。
今8時半です。 -
駅のファサードのステンドグラス。
歴史画と思っていたら、現代画でした。
機関車の絵は産業革命時のもの?
でも男性は背広で走っているし、縛られて転がされている女性は、異国情緒豊かなジプシー風だし・・。
よくわからない絵でした。 -
これらの女性二人は・・?
連作なのかしら?
ま、そんなことより明日は移動日で早いのです。
ホテルに帰って荷物の整理をいたしましょう。
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この旅行記へのコメント (2)
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- norisaさん 2018/02/06 06:48:43
- 歴史の爪痕
- frau himmelさん
おはようございます。
いつもながら歴史をひもといて解説していただけるので何となく歴史が少しずつ身についてきました(笑)
ユダヤの民の悲劇は至る所にありますね。
無理無理改宗を迫ったイスラム教。
選民思想という独善がちだったユダヤ教。
そんな言われ方もしますがキリスト教含め多くの宗教も後ろめたいところがないはずがありません。
そんな偏見、さらには財力はありながら政治に関与させてもらえなかったユダヤ人への迫害は歴史の必然かもしれなかったーー!?
しかし、今やシモーヌ・ヴェイユさんはもちろんアメリカではクシュナー夫妻はじめ政治にもユダヤ教が進出していますね。
これからの宗教の争いはどうなることでしょうーー。
そうした背景を感じさせないコルマールの昼間ののんびりした光景、そして華やかで落ち着いた夜景。
歴史の爪痕を感じつつも今を楽しむことこそ旅の醍醐味と感じさせていただけるご旅行記でした!
norisa
- frau.himmelさん からの返信 2018/02/06 22:11:21
- RE: 歴史の爪痕
- norisaさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
本当に宗教問題は難しいことがいろいろありますね。
キリスト教、ユダヤ教、イスラム教・・・。
それらがみな、我らが宗教が一番だと信じて疑わないのですから、古代のころより争いが起きないほうがおかしいですね。
私が旅行記で書くことは、ユダヤ人問題にしろホロコーストにしろ、旅行に行った先々で出会ったことをもとに勉強した、付け焼刃の浅い知識ですから、norisaさんのように、系統だって説明できないのがもどかしいです。
でも、勉強することがボケ防止ですね(笑)。
シモーヌ・ヴェイユさん、実は私、知りませんでした。
写真を見て、見たことがある人だなーとは思いましたが、アウシュヴィッツの奇跡的な生還者で、そんな方がフランスの重要な女性政治家だっただけでなく、欧州議会での議長としても活躍なさったなんて、やはりユダヤ人って優秀な人種なのですね。
ヒトラーは(もっと前からユダヤ人は迫害されていたようですが)劣悪人種なんて言い訳で迫害の対象にしたようですが、その優秀さを恐れたのですね。
norisaさん、またいろいろと興味深いこと教えてくださいね。
himmel
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