2018/01/11 - 2018/01/12
112位(同エリア1055件中)
玄白さん
ほぼ毎月、修善寺の老人ホームに入所している義母の元気見舞い。昨年は、友人の山中湖ロッジを拠点に日帰りだったが、冬はロッジがクローズされているので、自宅からということになる。今年の正月は帰省せず、家でゴロゴロ。帰省費用が浮いた分で、義母の見舞いついでに伊豆をドライブ旅行することにした。この小旅行の楽しみは、漁師民宿の新鮮な海の幸を堪能することである。我が夫婦は、海鮮料理には目がなく、毎日食べても飽きないのである。そして、もう一つの目的は、西伊豆の夕陽、海越しに見える富士山、澄んだ大気の冬ならではの星空撮影である。2日目は、下田の爪木崎で満開を迎えている水仙の群落を見ること。
西伊豆で波濤砕ける海岸の絶景、夕景、星空を撮影し、浮島温泉民宿で、新鮮な海鮮料理を堪能した後、下田の爪木崎へ。ここは、年末から一月いっぱい、真冬に咲く日本水仙が見られることで有名なところ。ところが、ここでとんでもない事態が発生することに・・・
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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西伊豆ドライブの最後にちょっとがっかりの波勝崎野猿公園に立ち寄った後、ランチを軽く済ませて、下田の爪木崎へ。
爪木崎は、日本水仙の群落があり、温暖な気候のため、年末から1月いっぱい、花が咲き乱れる。爪木崎 名所・史跡
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丘の上から眺めた水仙群生地。丘の下にも有料駐車場(\500)があり、車で降りて行ける。赤い花はアロエの花。磯は海水浴場。夏と水仙が咲く1月のみ観光客で賑わう。
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いつ頃から、この地に水仙が咲くようになったのか定かではないが、何かのきっかけで丘の斜面に自然に咲くようになったらしい。徐々に増えて観光資源になるということで、平地部には、人の手によって植えられ、今では300万本の水仙が花を咲かせる一大日本水仙の群生地になっている。
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日本水仙といっても日本固有種ではなく、地中海沿岸が原産である。室町時代以前に中国経由で日本に入って来たと言われている。球根が、海流に乗って自然に流れ着いたという説もあるらしい。
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日本水仙はヒガンバナと同様、三倍体なので花を咲かせても種ができず、球根でしか増えない。
蛇足:三倍体とは、基本の染色体数の3倍の染色体を有する生物のこと、人間を始めすべての動物は父と母から受け継いだ染色体の二倍体、植物は四倍体というのもあるというが、奇数媒体だと有性生殖はきわめて難しい。 -
この辺りの水仙は規則正しく生えているので、明らかに人工的に植えられたもの。
岬の突端に浮かぶ小島は爪木島という名がついている。 -
水仙については有名なギリシア神話がある。ナルキッソスという美少年が、水辺の水面に写った自分の美しい容姿を見て自らに恋してしまう。しかし、水面に写った自分への恋が成就することなく、憔悴して死んでしまい、その姿が水仙に変わったというもの。
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心理学的に自己愛が異常に強い人はナルシストと言われているが、転じてうぬぼれが強い人という意味でも使われるようになった。その語源は、このギリシア神話であるが、心理学用語として初めてナルシストないしナルシズムという言葉を使ったのは著名な心理学者フロイトだという。
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この数日の大寒波で、爪木崎もかなり強い風が吹きつけている。そのため、風にあおられて花が傷んでいるものもけっこうある。
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傷んでいない花を選んで何枚かアップで撮影。
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イチオシ
清楚な感じの花だが、全体に毒がある。花にも葉にも球根にも毒はあるが、特に鱗茎の部分の毒性が強いそうだ。
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わざわざ、水仙を食べようなどという人はいないが、家庭菜園などでニラを栽培し、そのそばに水仙を植えてあったため、水仙の葉をニラと間違えて食べてしまうという事故もまれにあるらしい。
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しかし、食べるとすぐに強烈な吐き気に襲われ、嘔吐するので大事には至らないらしい。
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群生地全体が公園になっているが、ところどころアロエが植えられており、水仙が咲く頃に合わせて赤い花を咲かせている。
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アロエの群生
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イチオシ
アロエは南アフリカからアラビア半島付近のアフリカ東岸、とくにマダガスカルに多く生育する多肉植物の一種で300種とも500種ともいわれる多くの品種がある。
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日本には薬用植物として鎌倉時代に伝わったらしい。繁殖力が強いらしく、今では伊豆、房総、瀬戸内海、九州の海岸に自生する帰化植物である。
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いかにも熱帯性植物の花という風情でいささか毒々しい感じがして、あまり好みの花ではない。
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アロエは鑑賞用というより、薬草としての意味付けが大きい植物であろう。下剤、健胃剤として用いられるという。日本薬局方で定められたれっきとした生薬である。
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子供の頃、自宅の庭にも植えられていて、転んで傷を負ったりやけどをしたとき、アロエの葉肉を患部を当てる手当を祖母にしてもらったことを思い出す。優れた生薬であることから、通称「医者いらず」とも言われている。
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ここ爪木崎海岸は夏は海水浴場になる。海の水はとても透明度が高い。遠くに見える山並みは天城連山。
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丘を登って爪木崎の先端まで来た。爪木崎灯台。昭和12年に建設、初点灯された白亜の美しい灯台である。鷹さは17.3mで、25km先まで光が届くという。
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灯台からの眺めは素晴らしい。真っ青な海の白い波が岩礁に砕け、色のコントラストがまことにきれいだ。
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強風で、岩に砕け散る波しぶきは迫力がある。
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沖合には伊豆七島の大島、三宅島、利島、新島、神津島などが望める。写真の島影は大島。
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爪木崎灯台から須崎漁港まで2.7kmほどのハイキングコースがある。ここは5年前にかつての職場の仲間たちとのOB親睦旅行の際に歩いたが、今回はちょっとだけ歩いて引き返した。
遠くの島影は利島。 -
伊豆半島は、地質学的には南方からプレートに乗って北上し、本州にぶつかったのである。そのため、活発な火山活動が誘発され、随所に火山性の地形が見られるのだが、ここもその一つである。西側の磯を眼下に見下ろすと、見事にきれいな五角形の柱状節理の岩礁が見下ろせる。
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ふたたび、水仙群生地に戻って来た。日が西に傾き、水仙の丘の斜面に影が伸びてきた。
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イチオシ
水仙の丘に日が沈みつつある。
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まだ日が当たっているところもあるが、徐々に日陰のエリアが広がっていく。
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一条の光だけが残る水仙の丘
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最後の残光に照らされて輝く水仙をアップでパチリ。
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海岸に近い方はまだ日が当たっている。最後にもう一枚海をバックにアロエの花をパチリ。
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すこし早いが、今宵の宿、温泉漁師民宿「ぜいもや」にチェックイン。須崎漁港の目の前にある。写真右側の赤い屋根の建物である。民宿の主が漁師で、朝採った魚は運搬時間1分で宿に届くのである。
漁師の宿 天然温泉 ぜいもや 宿・ホテル
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須崎漁港
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この漁港の左側から爪木崎に通じるハイキングルートがある。まだ早いので、少し歩いてみる。このルートにはツワブキが多い。もう花期は終わっているが、少しだけ咲き残った花があった。
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こちらも波が荒い。沖合に利島が見えている。
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波に洗われる岩礁
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この付近は、駿河湾と相模湾を行き来する船舶の往来が多い。
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ごくたまにすさまじい大波が寄せてくる。
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300mほど歩くと階段で崖の上に上がり樹林帯の中に入ってしまう。今回はハイキングが目的ではないので、宿に引き返し温泉に浸かることにしよう。
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イチオシ
温泉ではあるが、風呂場は一般家庭のようなこじんまりした湯船であった。
部屋の窓からの夕暮れの須崎港の眺め。宿の女将さんによると、夕焼けになるときは、港の水面まで真っ赤に染まるそうだが、今日は夕焼けにはならなかった。 -
お待ちかねの夕食。昨日の西伊豆浮島温泉の民宿に負けず劣らず、豪勢な舟盛りが運ばれてきた。サザエ、チダイ、ヒラマサ、カンパチの刺身がテンコ盛り。これで二人前。マグロは余計だが、刺身盛り合わせにマグロは欠かせないというお客さんもいるのだろう。
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熱々のカサゴのから揚げ。頭からバリバリかぶりつく。骨までおいしく食べられる。
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その他、突き出しのサザエの壺焼き、焼き車エビ、ブダイの煮付け、ナマコの酢の物、素朴な野菜の煮物などなど・・・
うまい具合に昨晩の漁師民宿の料理とは素材が重なることはなかった。二日間で、様々な海鮮料理を心ゆくまで堪能したのであった。帰ったらダイエットをしなくてはなるまい。 -
イチオシ
この夜もまた、星空撮影のつもりで酔い覚ましに仮眠を摂り、11時に目覚ましをセットして起きるはずだった。ところが、うかつなことに寝過ごしてしまい、目覚めたのは午前2時。
慌てて身支度して、ふたたび爪木崎へ。ここで夜の水仙の咲く丘の上空に輝くオリオン座など冬の星座を撮影するはずだったが、オリオンはすでに丘の影に隠れてしまった。
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縦位置でも一枚。オリオン座のベテルギウス、おおいぬ座のシリウスも丘の影に隠れつつあるが、辛うじて冬の大三角が残っている。
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少し海岸の方に移動すると、まさに沈まんとしているオリオン座が丘の上で輝いている。
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アロエの花を手前に入れて一枚。
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夜中になっても風が強く、三脚がぶれるので、星の日周運動は撮影できない。
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灯台の方に行ってみる。あいにく薄雲が広がってきた。
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東の空から月が昇って来た。
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南にも薄雲が・・・
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月のそばで明るく輝いている星は木星。
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海上の月明りの道
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再び、水仙の群生地へ。月が昇って来たので、補助光なしでも水仙が写るようになってきた。
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イチオシ
月の暈と水仙
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アロエと星空。西側にも薄雲が広がってきた。
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東の空が明るくなってきた。
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寄り気味にしてもう一枚。日の出の瞬間は、ここで撮影するか、ふたたび灯台までいって海から昇る太陽を撮るか迷ったが・・・
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ふたたび、灯台の足元へ。
水平線上はわずかに雲があり、暦上の日の出の時間になっても太陽はみえないが、雲から上に向かって日の光が伸びている。 -
イチオシ
日の出。利島の左側から朝日が昇って来た。
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朝日で朱に染まった断崖
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再び、水仙群生地へおりて、岩陰から昇る朝日を撮影。少しづつ雲が厚くなってきたような。
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水仙群生地の丘の上にも朝日が当たり始めた。
ここで、突然のアクシデント発生! レンズ交換しようとして三脚から手を離してバッグから別のレンズを取り出そうとしたとき、突風が吹きカメラ共々三脚を倒してしまったのである。幸いカメラボディは無事だったが、レンズの前玉と保護フィルターが派手に破損してしまったのである。 -
実は、今回の旅行出発直前に連れ合いの知人のご主人が亡くなり、連れ合いはその葬儀に出席しなければならなくなっていた。朝10時半までに磯子の葬儀会場に行くことになっていて、連れ合いと別行動だった。車で横浜まで送っていくには間にあうか不安だったので、電車で移動してもらったのである。せめて下田駅まで送り届けてもよかったのだが、ちょうど日の出の撮影とバッティングしているので、タクシーを使ってもらった。大事なレンズを壊してしまったのは、連れ合いを駅まで送ってやらなかったバチがあたったのかも知れない。
昨晩の舟盛りで食べきれなかった刺身を宿の女将さんにづけにしてもらっていた。これが朝食のメインだが、一人で食べたのであった。このあと、一人気ままにあちこち撮影しながら自宅に戻るつもりだったが、壊れたレンズが常用のレンズだったので撮影は断念し、ひとり帰宅の途についたのであった。現在、愛用のレンズは入院中である。
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