2017/11/10 - 2017/11/10
96位(同エリア300件中)
ちゃんさん
7月の九州北部豪雨では、鉄道各線も大きな被害を受け、日田彦山線・久大本線の一部区間が現在も不通になっています。
失神するような猛暑の中、何度かボランティアに通った被災地も、もう秋。久留米から下関へ向かう道すがら、分断された鉄路へ寄り道して、日田・東峰の今を訪ねてみました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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JR九州各線の現在の運行状況は、上図の通り。九州北部豪雨だけではなく、その後の台風18号、さらに昨年の熊本地震に伴う不通区間もあり、JRの路線網はズタズタ状態です。
今日は久留米から久大本線で光岡へ、そこから代行バスで日田へ。日田彦山線の代行バスで折り返し、東峰村宝珠山(大行司)経由で北九州方面へ抜けていきます。 -
久留米発9時07分の普通列車「日田行き」を待ちます。光岡~日田の1駅間はバス代行。LED案内板でも、繰り返し案内が流れていました。
久留米駅 駅
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久留米に到着した真っ赤なキハ220系2両編成は、ぎっしり満員。折り返しの久留米発に乗り込む人も多く、久留米都市圏での需要は旺盛です。
水害で一部区間不通の影響を受け、営業区間もかなりの間引き運行中。久留米口の通勤通学客にとっても、影響は小さくありません。 -
久留米大学や筑後吉井で大勢の通学客を降ろしたものの、2両編成の列車はまだ席がさらりと埋まっています。特急が走っていない今、分断されていても普通列車が頼りです。
管理所が被災し「全開状態」だった夜明ダム(秋の久住編の記事参照⇒https://4travel.jp/travelogue/11291640)は、11月になって運用再開。あっという間に以前の湖面を取り戻しました。 -
日田彦山線との乗り換え駅、夜明で小休止。日田彦山線の線路は赤錆びてこそいるものの、夏にはぼうぼうに生えていた草が刈り取られていました。
夜明駅 駅
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花月川が見えてくれば、日田の市街地は目前。今日は穏やかな流れの川も、7月には表情を一変させました。
結果、久大本線の線路は光岡(てるおか)~日田間の1駅間のみが断たれています。 -
というわけで、現在の終点・光岡駅で下車。
光岡駅 駅
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意外なことに接続の代行バスの姿はなく、日当たりのいい駅前広場でしばし待機。
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上りは日田市街地の渋滞で遅れ気味だったようで、発車時刻の10時20分の直前になって代行バスが来ました。西鉄グループの日田バスによる運行で、収容力の大きい路線バスタイプの車両です。
欧米系と中華系の観光客の姿もあり、不通であっても観光需要は旺盛な路線ではあります。 -
混みがちな郊外の幹線道路を走り、約15分で日田駅着。今日は一人だけど、ヨメさんと来てたら「I」になって写真撮ってたな。
日田駅 駅
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日田駅は一昨年3月にリニューアルされたばかり。豪華で、ゆったりくつろげる待合室になっています。
不通の影響で、大分方面への特急が出た後は数時間、列車がありません。しかし待合室で過ごす人は多く、ご近所のサロン的な使われ方もしているみたいです。学生さんにとっても、テーブル付きの椅子はありがたいでしょうね。 -
キオスクがなくなったのは残念。近隣にコンビニもなく、特急であっても車内販売はないので、食糧調達は駅近くのスーパーが頼りです。
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久大本線が不通の今、日田~福岡間の移動は高速バス頼み。通常時でも特急は1日6往復しかないのに対し、バスは30分~1時間に1本走っている上に安いので、もともとメインルートではあります。
駅前にあるバスセンターは古びた感じだけど、駅よりずっと賑わっています。野菜の直売所が出ていて、素朴な感じ。 -
JRとバスが連携するような広告看板が出ていました。JRと西鉄は積年のライバルだけど、JR日田駅と日田バスという単位では、連携していこうという方針なのかな。
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11時25分の発車時刻まで10分以上の余裕を持って、日田彦山線の代行バスが駅前広場に入ってきました。代行バスであることが、一目で分かるような外観です。
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9月にボランティア帰りで乗った時には、田川構内タクシーの9人乗りジャンボタクシーでした。マイクロバスなら21席+補助席5の席があり、よほどの団体さんが乗ってこなければ大丈夫でしょう。
本数も10月2日以降、2往復から4往復に増えており、一定の需要はあるようです。 -
乗客は、僕も含め3人。うち1人は光岡で降りてしまい、夜明から先の日田彦山線区間まで乗り進めたのは2人でした。これならジャンボタクシーでもいいかもと思ってしまいます。
日田彦山線のと平行する国道211号沿いも、被害が大きかった地域。川の護岸は崩れ、落橋したまま復旧されていない橋もあります。 -
大行司駅の代替バス停は、西鉄バスの大行司と東峰村役場前の2ヶ所。役場前で下車しました。
夏頃には村全体を覆っていた埃っぽさがなくなり、一見するとだいぶ落ち着いたように見えます。 -
大行司駅に向かって歩いてみます。国道から分岐する県道52号線は、日田彦山線と平行して筑前岩屋方面へと抜ける道です。2年前にはJR九州ウォーキングで歩き、棚田親水公園で開かれたほたる祭りを訪ねたことを思い出します。
岩屋キャンプ場も、10年以上に列車でキャンプしに行った思い出の地。いずれも営業再開されているようなので、また訪ねてみたいです。 -
大行司駅は、駅舎が土砂崩れに巻き込まれ全壊。今は基礎を残すのみです。
大行司駅 駅
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ホームは築堤上にあって、階段を登っていきます。立ち入りは禁止になっていません。
線路こそ赤錆びてはいるものの、草はきれいに刈り取られ、ホームの清掃も行われていました。 -
被害が大きな岩屋方向の線路も、今にも列車が走ってきそうです。廃線跡ではなく、いろんな選択肢の中で「復旧」も検討の候補にある、現役の線路であることが伝わってきました。
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駅舎を全壊に追いやった土砂崩れも、路盤へ与えた被害は軽微なように見えます。
ただ前日、日田彦山線の全線復旧には70億円を要し、JRの単独復旧は困難であるとの見解が示されたばかり。復旧への道が開かれたわけではありません。 -
ホームからは、集落を見下ろせます。旧宝珠山小学校の跡地には木造の仮設住宅が完成、仮の暮らしが始まっていました。
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駅周辺にコンビニこそ見当たりませんが、食堂が2軒、商店もいくつか見られ、旧宝珠山村の中心部らしい集落です。
ランチは、500円なりのラーメンをぞぞっとすすりました。 -
役場裏手の東峰学園。2つの小学校と1つの中学校を統合した、小中一貫校です。
夏の間はボランティアセンターになっていて、全国各地から集結したボランティアで校庭がいっぱいになっていました。今は本来の学校の姿に戻っています。 -
山村文化交流の郷、いぶき館に立ち寄り。
2017年九州北部豪雨の被害もなく、通常通り見学OK by ちゃんさん山村文化交流の郷いぶき館 美術館・博物館
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もともとは飯塚の炭鉱王、伊藤伝衛門邸の別邸だったもので、宝珠山炭鉱の最盛期には社交場として使われていた建物です。宝珠山が炭鉱地帯だったとは、あまり認識していませんでした。事故の少ない、優良経営の炭鉱だったとか。
展示棟では、高倉健展を開催中。ロングラン展示…というか、事実上の常設展になっているみたい。 -
隣の公園に行ってみれば坑道への入口跡があり、なるほど日本の近代を支えた炭鉱の一つだったことが分かります。
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川に立つ炭鉱の名残りの橋脚には、夏の水害の痕跡も残っていました。
普段は澄んだ水が流れる、穏やかな川なのですが。 -
13時50分の代行バスで、添田を目指します。代行バスの東峰村役場前は、西鉄バスの「宝珠焼前」。しかしバス停のポールにはサブの停留所名「いずみ館前」としか出ておらず、分かりにくいです。
代行バスの案内も、本駅の方には出ているのですが、実際に発着するバス停には一切なし。もともとのバス路線がない今山駅あたりだと、目印になるものは何もありません。代行バス輸送も長期戦になりそうな中、もう少し改善できないもんでしょうか。 -
僕以外の乗客は1名。秋晴れの澄んだ空の下、代行バスは東峰村の旧小石原村に向かって快調に走ります。
筑前岩屋から彦山トンネルをショートカットしていた日田彦山線に比べると、かなり迂回するルートです。 -
焼き物で有名な小石原の中心部を通るのに、代行バスでは迂回ルートなので、バスは止まりません。平行する西鉄バスとの営業権の兼ね合いもあるのかもしれないけど、ちょっともったいない気もします。
バスか鉄道かの選択を求められている中、代行バスの利便性を向上させておけば、より現実に即した判断もできそうに思うのですが。 -
紅葉の始まった峠道を下ります。
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彦山登山の玄関口、彦山駅での乗り降りはなし。立派な駅舎も、どこか寂しげです。
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ミニ遊園地もある「道の駅併設の駅」、歓遊舎ひこさんでは、おばさま方のグループ9人が乗り込んできて、バスの車内は一気に賑やかになりました。ジャンボタクシーからマイクロバスに切り替えた甲斐があるってもんです。
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役場前から約40分、日田から乗り通したとすれば1時間20分で添田着。
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接続の列車までは30分もあります。渋滞などでバスが遅れることを見込めば、仕方ないこと。ただ列車に比べ、時間がかかってしまう原因の一つではあります。
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日田彦山線に乗っていれば小倉まで運んでくれますが、北九州市小倉南区内の志井公園駅で下車してみました。
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志井公園駅から、北九州モノレールの終点・企救丘駅は至近。ひさびさの空中散歩を楽しみました。
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小倉駅に到着。
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下関での集合時間まではまだ少し時間があったので、門司で途中下車。駅北側の、門司赤煉瓦プレイスを訪ねてみました。
門司赤煉瓦プレイス 名所・史跡
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かつて駅裏にあったサッポロビール工場の跡地を再開発した、観光施設です。跡地の一部は住宅地として再開発されており、高層マンションと古びた赤レンガが好対照を見せています。
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門司麦酒煉瓦館は、残念ながら閉館時間を過ぎた後。一方、カフェ・ド・ブリックは夕方の営業前で、どこにも入れなかったのは残念でした。すでに口がビールモードになってたんだけどな。
口は下関に渡ってから潤し、下関港国際ターミナルへ。ようやく本番の、韓国への旅のスタートを切ったのでした。つづく⇒https://4travel.jp/travelogue/11302686/
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