2017/10/03 - 2017/10/04
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鯨の味噌汁さん
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火曜日。曇り空からときどき日が差す。
ヴェズレーから一気に500キロ南下し、ローヌ川支流の小さな町、ヴァロン=ポン=ダルクを目指す。
ここもまた、配偶者のリクエストだ。
この町の校外に、クロマニヨン人の洞窟壁画がある。名をショーヴェ洞窟とゆう。
1994年にショーヴェさんとゆう考古学者が見つけたそうだ。
そういえば、日本でも「ラスコーより古い洞窟壁画発見」と話題になったっけ。ラスコーは2万年、ショーヴェは3万6000年だそうな。
洞窟壁画といえば。
2014年12月、スペイン・ロンダ郊外のピエタ洞窟で、定員オーバーのため入場できなかった痛恨の失敗がある。
夫婦二人、穴の外に締め出され、江戸川柳における「ホンバンの外で待ってる二人組」、つまりは夫婦でキンタマになってしまった。
https://4travel.jp/travelogue/10962689
今回もキンタマになるとシャレにならんので、ネットで公式サイトを探してみる。
すると、やはり壁画見学はツアー形式になっており、ネットで予約しろ、なんてことになっているではないか。危ねー危ねー。
http://en.cavernedupontdarc.fr/book-your-tickets/
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー
-
この洞窟もまた、交通アクセスの悪いところにある。
ヴェズレーから500キロを移動するなら、どう考えても鉄道が楽なのだが、途中で小さな村を見物しながらクルマで移動するのも良いだろう、とゆうことで、南に向かって高速を飛ばした。 -
だがしかし。
リヨンの手前で、南下するべき高速道路が、いきなり閉鎖されているではないか。
これが日本であれば、とっとと一般道に降り、迂回ルートを探すんだけど、なにしろリヨンであるからさっぱりわからん。ってか、わかるわけがないだろコラ。
やむなく下道にそれると、ナビは激怒して、
「戻れよ、戻るんだよ、ゆうこと聞け、このカス」
などと凄んでくる。
従順だったフランス娘にいきなり騎乗位で襲われてる気分である。
そのド迫力に押されナビに従うと、なんとなんと、高速が閉鎖されてるとこまで誘導されてしまった。
信じたワシがバカだった。
するとそれまで黙ってた配偶者が、すっくと顔をあげ、標識を指差し
「アビニョンって出てるよ。方向一緒でしょ」
なんてことをゆう。
おおおおおーーーーー。覚醒。ついにナビゲーターに目覚めたか。
オンチ三冠王のタイトルは返上だ。 -
とゆうわけで、無事に高速に乗り、ローヌ川沿いにたらたらと南下。
夕日と競走するようにヴァロン=ポン=ダルクを目指した。
この日の宿は、B&Bを予約していた。
洞窟から5キロほど離れた、サラバとゆう村。
迷いつつたどり着くと、B&Bは畑の中の一軒家だった。周囲は見事に何もない。
出迎えてくれたのは、40代後半のマダムにワンコとネコが一匹ずつ。 -
マダムは大柄でパツキンの、なかなかに美しい方であった。
ご主人はどうやら長期不在、娘さんも都会の学校に行ってる、とゆうことでB&Bをやってるらしい。
庭をきれいに手入れし、室内も趣味のいいインテリアで統一されている。 -
「フランス語、しゃべりますか」
「いえ。じぇんじぇん」
するとマダムはガッカリしながらも、カタコトの英語で一生懸命しゃべる。
「日本人は初めてです、とてもとてもうれしい、信じられない」
どうも営業トークじゃないらしく、ホントにうれしそうにしてる。
こんだけ喜ばれると、よりによってジャポン最初の客がワシだなんて、却って申し訳ない気持ちになる。
奥さん奥さん、日本人がみんなハゲデブってわけじゃないですからね。
「娘が日本語を習ってます、自慢できます」
試しに千代紙で折った舞妓さんを差し上げたら、泣きださんばかりに感激してくれた。 -
このあたり一帯は、渓谷美がウリで、秩父の長瀞みたいな場所らしい。
川沿いにキャンプ場やらゴムボート貸やらの看板が並んでいる。
とはいえ、オフシーズンの平日であるから、宿の客はわれわれだけだった。 -
宿の周りはブドウ畑と牧草地で、レストランどころかスーパー・雑貨屋もない。
-
窓を開けると、きれいな夕焼けが畑を照らしていた。
町に出るのはよして、ヴェズレーで買ったワインを開け、カップ麺をサカナに乾杯した。 -
翌日はこの旅で初めての快晴だった。宿から30分ほど走って、お目当てのショーヴェ洞窟にたどりつく。
ここの壁画は大規模だけど、公開されているのは全て複製だという。
3万年、外気に触れずに保存されてたのを公開してしまうと一気に劣化するんだそうな。
つまりは人類が生きて本物を拝むことはもうないのだ。
何万年か後にこの星にやってくる新しい住人が、この保存を評価してくれるんだろうか。
ここの音声ガイドは日本語もあった。
「メニジャパニーズ、カミング?」
と職員に聞いたら、ニヤっとして、ベリリトル、なんて返ってきた。
2014年に世界遺産に登録され、複製を公開したのは2015年の春。
まだ観光地としては新しいんだろうな。
ツアーは5分おき。ネットで予約したチケットをプリントして待機する。
5分前に集合が掛かり、チケットをチェックし、音声ガイドが配られる。 -
イヤホンを耳に差し込むと、いきなりメタクソな日本語。
「ちさな・おきょしゃまは・まえのほで・ごらんくだしゃい」
ぎょぎょ。ずっとこれが続くのか、勘弁してくれ。
・・・が、展示施設に入ったら、男性のナレーターに変わった。
「この洞窟には、3万7000年前の、アーチストたちの魂が残されています」
おおおお、この声、聞き覚えあるぞ。藤原竜也じゃないか。
おそらくきっと、TBS「世界遺産」のナレーターをやってる縁で起用したんだろうな。
海外の「日本語音声ガイド」って、関西訛りがあったり、オネエ言葉だったりしてなかなかオモムキ深いものがあるものだが、まさか藤原くんにガイドされるとは思わなかった。
「・・・この洞窟は、時間が止まっています。」
から始まる1時間は、確かにタマシイの深いところまで届く体験だけど。
なんだか浦和の自宅で、日曜夕方にTBSを見てる気分にも近いのだった。それっておトクなのかしらん。
(内部は撮影禁止なので、写真集から) -
洞窟の中はすべて「精巧な復元」とゆうことになっているから、つまりはハリボテ。
レセプションにあった売店で購入した写真集には、そのハリボテの制作過程も記録されていて、これがなかなかスゴイ。
壁画はもちろん、鍾乳洞の質感・散らばった動物の骨まで、忠実に再現したんだという。
(写真集から) -
ショーベ洞窟からアルディーシュ川沿いにクルマを走らせると、流れをまたいだ天然アーチが見えてくる。おお絶景絶景。
10月のこの時期、水着で遊んでる兄ちゃんがおる。
だがしかし、残念ながら、ビキニはいない。 -
のんびり走って、夕方、オランジュの町に到着。ネットで予約したホテルを探す。
旧市街のまんなか、四つ星ツインで89ユーロ。
なんとか探し当てると、最上階のバルコニー付き、きれいなホテルだった。 -
配偶者はこの町で、「凱旋門」と「ローマ劇場」を見たいとゆう。
彼女にとって、南フランスを歩くのであれば、何はなくともローマ遺跡、なのである。 -
「凱旋門ってパリでけじゃないのかえ?」
などとマヌケな質問をすると、
「パリはナポレオンが作ったから新しいの。オランジュはカエサルが作ったんだよ」
なるほろ。 -
凱旋門は町の北の入り口、ランドアバウトの真ん中に建っていた。
何しろカエサルだから、パリなんぞとは歴史が違う。だがサイズは10分の1といったところか。
にじり寄り、サワサワと触らせていただく(チカンとちゃいます)。
長い時間を経て、土台の石灰岩はスカスカになっていた。
これじゃあ補修も大変だろう。世界遺産ってのはなにかとモノイリだろうなぁ。
ちなみにカエサルは、この門の北へまっすぐ、リヨンまで道を作ったんだそうな。(⇒ここら辺の情報はぜんぶ彼女の受け売り) -
いっぽう、ローマ劇場は凱旋門の反対側、旧市街を囲むガケに沿って作られている。
舞台の柱や壁が、当時のまんま残っているのがスゴイんだそうだ(⇒これも受け売り)。
そーいえば、以前訪ねたアルルもロンダも、柱が何本か立ってるだけだった。 -
なおかつここはバリバリの現役で、夏には音楽祭のメイン会場になる。
じっさい、一番下の楽団溜まりに立って、「ヤッホー」なんてゆってみると、音が観客席に綺麗に響く。
2000年前の建築物が、本来の目的で今も稼働してる。ローマおそるべし。 -
ローマ帝国は、軍隊が工兵を兼ねていた。
戦いが終わると、兵は武具を脱ぎ、石を運びしっくいを練って、劇場と競技場を作った。水道橋やら道やら、銭湯まで作った。 -
蛮族はその巨大な構築物にひれ伏し、進んで属州の民となったんだろう。
確かにこれを見たら
「こらあかん」
と思うに違いない。
「こいつらとはケンカにならんわ。大人しくしとこか」
みたいな感じだったんではないか。 -
軍隊が強いだけの国って、すぐ滅びる。
でも、こういった文明をドカンと持ってくる支配者は、嫌われないし、歴史に残るんだろうなぁ、なんてことをブツブツ考えつつ、ホテルへと戻って行った。
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