2014/12/05 - 2014/12/05
36位(同エリア269件中)
鯨の味噌汁さん
- 鯨の味噌汁さんTOP
- 旅行記133冊
- クチコミ99件
- Q&A回答2件
- 268,619アクセス
- フォロワー82人
さて、このたび。
ナゾの秘密結社「夫婦で年1回は長めの旅に出たいよネ友の会」の決議により、12月、スペインのアンダルシア地方を襲撃することにした。
何かと仕事がたまる時期ではあるが、「行く」と決めればムリヤリでも休むことにしている。でなけりゃ旅に出られない。
まずどこへ行くかをざっと決めなくてはならない。
7年前、二人で初めて海外へ出かけたとき、スペインに2泊している。
夜行列車でパリから移動し、トレド、グラナダに泊まってポルトガルに抜けた。
その旅では、なぜか二人ともスペインのガイドブックを持っておらず、それが発覚したのがスペインに向かう夜行列車の中だった。
結果、ヒジョーに厳しい旅であった。(当たり前だ。フツーどっちかが用意する)
人間は学習するイキモノであるから、われわれ夫婦も次第に賢くなっており、今回はちゃんと「地球の歩かされ方」(仮名)を買い込む。
偉くなったもんだワシらも。(→感慨にふける)
まず、「アルハンブラ宮殿にリベンジ」とゆうことで、すんなりグラナダが決定。
さらに、移動ばっかりしてるとそれだけで旅が終わってしまうので、周辺のコルドバ、セビリア、それにロンダを加える。
これだと各都市の移動はせいぜい2時間であろう。日本でいえば、関空におりて大阪京都奈良、行って姫路あたりまでの感覚だろう。
次にヒコーキだ。調べてみると、トルコ航空がマラガに飛んでいるではないか。
時間的な乗り継ぎも良いし、ついでにイスタンブールにも一泊したい。
とゆうわけで、「マラガ発着・アンダルシア一筆書き・ロンダ-セビリア-コルドバ-グラナダ、ついでに飛んでイスタンブール」が、堂々決定した。
例によって、矢印を5本ばかり引き、堂々(こればっかり)、プラン作成終了だ。
あとは行ってから考えよう。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
なんてことをつぶやいてるうちに、あっとゆう間にスペインである。
いやいやよく考えたら「あっとゆうま」はウソで、夜の22:30に成田を出て、イスタンブールまで12時間、それから空港で5時間ホームレスふうにゴロ寝して、スペインまでさらに5時間、都合22時間かかっておる。
直行便がないからこんなことになる。
夜に出て昼過ぎに着くから、気分は夜行列車ですね。(寝れないけど) -
イスタンブールで乗り継ぎ、とりあえずマラガとゆう、いやらしい名前の町に降りる。
この町、年間300日晴天だそうで、つまり「年300日マラガはれてる」(→お下品)。
今回は小さな村を見物しながらクルマで北上する計画なので、とっとと空港内のレンタカー屋へ。愛想のいいオヤジが出迎える。クレカの番号なんぞも事前に打ち込んでいるから、あとはほぼサインをするだけだ。
相手の説明(綺麗な英語)はさっぱりわからんので、聞こえたフリをして頷いてればヨイ。(→ヒドイ客だ)
それでも、一応地図はないと困るので、「マップ!」と叫ぶ。(わがまま)
オヤジは首を振り
「地図はない。カーナビならある」
ケチだなぁ、日本では簡単な地図をタダでくれるのに。
「ハウマッチ」
「ナインユーロ、パーデイ」(これくらいならわかるぞ)
「エクスペン渋だ、いらない」 -
クルマはゴルフのポロだった。ワシが浦和で乗ってるクルマと一緒ではないか。
旅に出て、昔のオンナに出会った気分である。
「ふっ、オレのことが忘れられないらしいな、だったら思い出させてやるぜ、この指でよぉぉぉぉぉ」
などと妄想するが、見た目は一緒でもマニュアル車の左ハンドルであるから、いじってみるとほとんど他人だ。
つまりかろうじてナニはできるものの、言葉が通じない感じ。「ガイジンとしてる」キモチですね。(→お下劣)
よって、信号ストップのたびにクラッチを踏み損ねてエンストする。後ろから情け容赦ないクラクション。
が、しかし、こんなときは焦ってはいけない、
初めての土地、地図なし、マニュアル、言葉は喋れない、なんて状況は海外だったら当たり前なのだ。
要は慣れであって、左ハンドルも右車線走行も、最初の10分くらい、空港の付近をくるくる回って慣れればヨイ。
つまり前戯が大切なんです。「いきなり挿入してはなりません」、と昔々ドクトル・チエコさんもゆってました。
…などと配偶者に偉そうに説明しつつ走っていたら、ドンドン空港から離れ、勝手に高速に乗ってしまう。みんな140キロで飛ばしてる、怖いがな怖いがな。
最初のガソリンスタンドでマップを買う。 -
でもってその地図を頼りに100キロドライブ。午後5時、初日の宿泊地、ロンダにたどり着いた。
12月5日、クリスマスが近い週末。
そんな大きな街ではないが、通りごとにクリスマスのイルミネーションが飾られている。
やっぱきれいだなぁ、ヨーロッパのクリスマス。 -
新市街の駐車場に車を入れ、ヌエボ橋のたもとのB&Bにチェックインする。
この宿はネットで探したB&Bで、女主人は陽気、おしゃべり、好奇心たっぷり、三拍子そろった奥様で、スペイン版肝っ玉かあさん、といった風情の方であった。
とはいえキッチンにはパソコンが据えられており、町の見どころなどをgoogle mapで説明してくれる。
そもそもネットに自力で登録するくらいだから、ITスキルは高いんだろう。
おばさんが一人でやってる田舎町の小さな民宿が、日本から予約できる時代なのだ。
「クジラは日本のどこから来たの」
埼玉、と答えても分かるわけはないので、トウキョー、とちょっとウソをつく。だって池袋まで20分だし。
おばさん、大げさにうなづく。
配偶者はそれを見て
「所沢のおばさんにソックリだわー」
なんて感心している。
宿泊者の記帳ノートは、もう6冊溜まったという。
「ユア・ファーストゲスト・フロム・ジャパン」
おお、第一号がワシか。
なんだかかたじけない。
とゆうことは、ワシがこの宿においては「日本代表」であるわけだナ。
もし、トイレで雲古など流し忘れた場合、この女主人は
「日本人はハゲでデブで、雲古を流さないイキモノなのネ」
と記憶するであろう。
トイレの雲古はぜひ流して去ろう、とココロに誓う鯨の味噌汁である。 -
翌朝10時、宿を出て、師走の街に出る。ようやく日が照って暖かい。
街はヌエボ橋で新市街と旧市街に分かれており、この橋が観光のメインだ。
まずは渡ってみ、それから脇から眺め、下から眺め、あらゆる角度から堪能する。
どこから見てもすごい、何べん見てもすごい。
スペインに限らず、ヨーロッパの町は「敵の侵入を防ぐ」目的でトンデモないとこに街を作ったりするが、ここはホントに極端だ。
崖の上で過ごす人生ってどんなんかしら、と思う。 -
午後からは、ロンダ郊外のピレタ洞窟を目指す。
西ヨーロッパには、クロマニヨン人の壁画っていくつか残ってる。が、アルタミラ やラスコーは、実物の見学はできない。コピーを見てガマンするしかないのである。が、ここは実物をこの目で見られるのがウリだ。
だからこの旅が決まったとき、前半の行程をわざわざレンタカーにしたのだ。バスも通ってない山奥、タクシーをチャーターしようものなら一泊分の予算が飛んで行く。 -
ナビゲーターはトーゼン配偶者なのだが、問題が3つほどある。
彼女は(1)地図が読めず、(2)最強の方向オンチであり、(3)車に乗ると5分で寝てしまう特異体質なのだ。
海外で車を運転するに当たり、ナビゲーターに向いていない日本人ベストテンを選ぶとしたら、必ずや上位にランキングされるであろう逸材なのである。 -
案の定、クルマが郊外に差し掛かると、彼女は2分でフネを漕ぎ出す。
そんな簡単にオチルなよ、お願いだから。
ほら三叉路だよ、どっちなんだよどっち。
「寝るな寝るな寝るなーーーー」
ハンドルにしがみつきつつ、配偶者を叱咤激励。
やがて国道をそれ、クルマは石灰岩の荒地に差し掛かる。
いわゆるカルスト台地だが、あまりに奇怪な岩山の連続であって、なんだか他の惑星を旅してる気分だ。
そんな荒無の地にも、ぽつりぽつりとムラがある。スペインのイナカってこんなんなんだな、と、エチゴの山奥から這い出したオヤジは感慨にふけるのだった。
そしてまた、クロマニヨン人はこげなとこに住んでいたんだな、とも思う。
彼らの生きていた3万年前、ここはもう荒地だったのかしら。 -
小さなムラをいくつか抜けると、洞窟への看板が見つかった。時間は12:50。
13時からの見学ツアーに間に合いそうだ。
駐車場にクルマを置き、岩山を登り、洞窟の入り口にたどり着く。係員のお姉さんがちょうど入り口にカギをかけるところであった。よっかた、間に合った。
が、洞窟の中で、ワシらが料金の支払いを申し出ると、お姉さんは残念そうに宣告した。
「定員25人。あなた方は次のツアーだ」
「次って何時ですか」
「フォーオクロック」
冗談ではない、ここから150キロ走って、午後6時にセビリアでレンタカーを返却しなくてはならないのに。
「ファー・イースト・ジャパンから、ここを目指してはるばるやってきたのに!」
涙ながらに主張したが、お姉さんは無情に首を振り、もう一度カギを開け、ワシらを穴の外に追い出したのであった。
ふと気づく。ホンバン寸前に、アナの外で待たされる二人連れって、そのままキンタマではないか。
キンタマの気持ちが痛いほど分かる鯨の味噌汁並びに配偶者である。 -
しかし、いつまでも夫婦してキンタマの気持ちでいるのも「いかがなものか」なので、おとなしく諦め、来た道を引き返す。
遺跡を守るって大事だ。
保護しなきゃいけない。
だから、1組25人も分かる分かる。
しょうがないよね。
いつかまた来るぜ。待ってろクロマニヨン人!
まあ、ガッカリしたとはいえ、返しのクルマであるから、今度はノンビリだ。
付近に行きたいところはもうない。要は夕方にセビリアへたどり着ければ良い。
ガイドブックには「アンダルシアの白い村があちこち・そこここ・こなたかなた・ぞろぞろ・あります」などと紹介されている。
が、クルマで走ってみたら分かるが、ここら辺の山道を入っていくと、限界集落みたいにあるムラは、全部白い。
石灰岩の台地で原料が白いからだと思われる。
鉄を含んだ土地の屋根が赤で統一されるのと一緒だ。
日本でゆうとこの「播州赤瓦」なんぞがそれだよね。 -
つまり「アンダルシアの白いムラ」は、石灰岩の荒れた土地が作った色なのだ。観光用のお化粧を落とすと、おそらくはみんな同じ顔なんだろう。
「どっか、小さなムラでメシを食おう」
とゆうわけで、セビリアまで100キロを切ったあたりで、「モンテクロス」とゆう、たいそーな名前のムラに入り込む。直訳すると「十字架の山」。
小さなムラのお約束で、広場に面して教会があり、1軒だけバルが営業していた。
広場にクルマを止め、そのバルに潜り込む。
観光客が来るようなところはないので、土曜日の午後、中はジモピーオヤジでいっぱいだった。
バルは指差しで注文できるから便利だ。ポテトサラダとホットサンド、飲み物も頼んで二人で5ユーロだった。 -
バルの隣に村役場の出先みたいなのがあり、その一画に無人のツーリスト・インフォメーションがあった。
手作りのチラシが置いてある。
手にとって読むと、このムラから10キロ奥に、ローマ遺跡があるらしい。
いじらしく写真も貼ってあるが、安物のプリンターで刷ったらしく、紫色がにじんでる。地元の小学生の作かもしれない。
「こんなところに遺跡あったかなー」
2冊持ってきたガイドブックにも載っていない。
でも劇場跡の写真が載ってるし、それなりの規模らしい。マラガで買った手持地図には、一応遺跡のマーキングが付いていた。
「行ってみようか」
彼女に聞くと、うん、と頷く。
そうだった、わが配偶者はローマ遺跡大好きおばさんなのだ。 -
とゆうわけで、地図を頼りに、曲がりくねった田舎道をクルマを走らせる。人家は絶え、対向車も来ない。ときどき道は未舗装になる。
やがて、はるか向こう、一段高い丘の上に、遺跡らしきものが見えてきた。 -
ふもとまでクルマを寄せると、どうやら馬の放牧場らしい。柵を乗り越え、丘の上までとぼとぼ歩いていく。
頂上に、ローマの劇場跡があった。かなり大きい。
が、あたりに建物はない。あるのはガレキの山ばかりだ。
馬が2頭、遺跡に寄り添うように佇んでいる。
振り返ってみると、やや丸みを帯びたアンダルシアの大地が一望できた。
なるほど。
ここにやってきたローマ人は、見晴らしの利くこの丘の上に、町と劇場を作ったらしい。 -
イチオシ
が、今は何もない。馬が墓守をしているだけ。
ドイツ人はローマを誇る、という話を聞いたことがあるが、スペイン人は違うのかな。
それとも、ここが放置される別の理由があるのかな。
クロマニヨン人には嫌われたが、ローマ人には好かれているらしい二人は、首をひねりつつ、クルマへと戻っていったのである。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (4)
-
- にゃごっこさん 2014/12/24 18:31:36
- 初めまして
- 4travelの旅行記でげらげら笑ったの初めてです!
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2014/12/25 12:48:30
- RE: 初めまして
- にゃごっこさん、こちらこそ初めまして。
> 4travelの旅行記でげらげら笑ったの初めてです!
久しぶりの旅行だったんでお下品路線がやや暴走してます。
引き続きあたたかく見守ってあげてください。
-
- captainfutureさん 2014/12/20 10:50:39
- クロマニヨン人に嫌われても・・・
- 鯨さん、ご無沙汰しております♪
おお〜〜、いよいよ始まりました〜。
朝から妖艶な話に、顔を赤らめ胸をドキドキさせながら読んでおります。
ああ、この後もクロマニヨン人には会えなかったのですか。。。無念でした。
二人で5ユーロとは。ヨーロッパの外食でもこんな良心的な値段のところもあるんですね。
>石灰岩の台地で原料が白いからだと思われる。
なるほど〜。てっきり手入れが行き届いて白く保っているとばかり思っていました。
ついでに「播州赤瓦」も興味を持ってネット検索してみると、確かに鉄っぽい赤色してますね〜。
旅行って結構そこまでたどり着く過程が一番楽しかったりするんですよね。僕なんかいつもそうなんです。
ちょっとエッチな家庭教師のお姉さんにいろいろな豆知識を教えてもらっている気分で拝見しております(笑)
次回もドキドキしながら楽しみにしております♪
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2014/12/21 10:51:52
- RE: クロマニヨン人に嫌われても・・・
- captainfutureさん
こちらこそご無沙汰しております!
> 朝から妖艶な話に、顔を赤らめ胸をドキドキさせながら読んでおります。
相変わらず一点の曇りなきお下劣路線まっしぐら、いっそ爽やかではないかと。(んなこたあない)
> ああ、この後もクロマニヨン人には会えなかったのですか。。。無念でした。
> 旅行って結構そこまでたどり着く過程が一番楽しかったりするんですよね。僕なんかいつもそうなんです。
おっしゃる通り、ここにたどり着くまでの風景が素晴らしかったので、不思議と満足感がありました。
イベリア半島って、クロマニヨン人とネアンデルタール人がある時期まで混住していた地域だったんですって。
アフリカを出た人類が、寒さを避けながらたどり着いた、西の果てだったんでしょうねー。彼らは大西洋を越えられなかったでしょうから。
なんか、その空気を吸えた気がしました。
> 二人で5ユーロとは。ヨーロッパの外食でもこんな良心的な値段のところもあるんですね。
観光地のバルだとちょうど倍かと。
なんか「このお客からカネとってもいいんかな」みたいな扱いでした。
のみもの1ユーロ、サンドイッチ2ユーロ、サラダ1ユーロ。
> ついでに「播州赤瓦」も興味を持ってネット検索してみると、確かに鉄っぽい赤色してますね〜。
中国地方って古くから製鉄が盛んな土地で、それは砂鉄がよく採れたからなんですけれども、砂鉄が採れるってことは、山中に鉄鉱石があるってことですものね。
確かにあそこらへんの土地は、関東ローム層とも違う赤茶けた色が目立ちます。
昔は建築資材は全国に流通してなかったでしょうから、地域ごとに家は同じ顔になったんでしょう。
ワシの実家のエチゴの山奥も、昔はみんな藁葺でしたもの。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
旅行記グループ アンダルシア一筆書き
4
16