2017/05/03 - 2017/05/03
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ミズ旅撮る人さん
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2017年のGWは、九州縦断の旅をしました。関門海峡を渡って福岡県に入り、長崎のハウステンボスに寄り、佐賀・熊本・鹿児島と南下して来ました。
第6回は、JR熊本駅で2009年に再復活したSL人吉(ひとよし)に乗車し、途中駅で「かわせみ・やませみ」に乗り換えて、戻って来ると言うとってももったいない、乗車記です。
SL人吉は、熊本を発車すると新八代・八代・坂本・白石・一勝地・渡と停車して、人吉に到着します。
およそ2時間半の旅ですが、どうしても時間がないため、最初の停車駅、新八代で下車せざるを得ませんでした。
40分だけの乗車です。それだけに、熊本駅に人吉が現れてから、新八代で下車するまで、十二分に堪能しました。
帰りに乗った「かわせみ・やませみ」の乗車記と共に1話にするつもりでしたが、内容が濃いので、別々にすることにしました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- JRローカル 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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JR熊本駅です。隣の駅も熊本なんですね。熊本は広いなあ。
「武者返しの銀杏城の駅」と添えられています。銀杏城とは、熊本城のことです。 -
「SL人吉」は、9:45熊本発で、新八代・八代・坂本・白石・一勝地・渡に停車した後、12:09人吉到着です。
今回の旅では、どうしても時間の余裕がなく、全線に乗車することが出来ませんでした。
それでも、滅多に来られない九州のSLに、どうしても乗りたい。
そこで、10:25に新八代で下車して、上って来る「かわせみ・やませみ」に乗り換えて熊本に戻るという、実にもったいない行程を試みました。 -
熊本駅のホームは、木がふんだんに使われていて、とても気持ちがいいです。
停車している電車は、この旅行記シリーズの4回目、大町で言及した「CT」のマークが付いています。
この時、「南福岡車輛区はオレンジ、佐世保は赤、唐津は黒、熊本は緑、鹿児島は青」と書きましたが、ちゃんと熊本駅で、緑色のCT(Commuter Train)に会えました。 -
このホームは、「SL人吉」の他に、「A列車で行こう」も止まります。
今回は、「SL人吉」の後、10:35の発車なので、ここでは会えませんでした。(次回、チラッと姿を現します)
JR九州は、魅力的な列車がとても多いので、それらを網羅するのがたいへんです。 -
「SL人吉」の入線です。DE10に引かれて、後ろ向きに入って来ます。
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このDE101756は、人吉カラーになっているのですね。やっぱりお揃いはいいですね。
北斗星以来、機関車の色にまで気を遣ってくれるようになって、嬉しいです。 -
最後尾の客車は、全面ガラス張り。中の椅子まで見えます。でも、何故か小っこくない?
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おお!でっかい「SL人吉」の文字が通り過ぎて行きます。こんなの見たことない。
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あら、ここにも「SL人吉」が。余程の自信作とお見受けします。
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いよいよ、SLが入って来ます。う~ん、ピカピカだね!
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やった!運転中の運転席が撮れました。それにしては、ちょっとのんびりムード?
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今は、DE10が運転しているから、SLの機関士たちはただ座っているんですね。
窓から後ろを見ながら来るのかと思ってました。 -
去年、撮った「SLやまぐち号」の入線は、これだったので。この時は、DLは付いていませんでした。
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ホームにいた誘導員から、SLの運転士に、何か手渡されました。
昔なら、タブレットだったでしょうが、今は何でしょう? -
停車位置に着きました。煙突から白い煙が立ち上っています。SL独特のシュウ、シュウという音が心地いいです。
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何を話しているのかな?いい風景ですね。
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「SL人吉」のヘッドマークには、いろいろな文字が書き込まれています。
「KAGOSHIMA LINE 人吉 HISATSU LINE」
「STEAM LOCOMOTIVE HITOYOSHI」
「SINCE 2009」
このロゴマークもなかなか味わいのあるデザインですね。 -
「SL人吉」は、門鉄デフを付けていました。
「58654」は、大正11(1922)年に日立製造所で製造され、九州で活躍した後、昭和50(1975)年に廃車となりました。
その後は、肥薩線の矢岳駅で「人吉市SL展示館」にて静態保存されていましたが、動けるように修理を受けた上で、昭和63(1988)年8月28日に熊本~ 宮地間運行の快速「SLあそBOY」として営業運転に復帰しました。
しかし、2005年3月に車両故障を起こして修復不能と判断され、8月28日に運転終了となりました。 -
その後、58654は小倉工場で修復され、肥薩線が開業100周年を迎える2009年(平成21年)4月25日から熊本~人吉間で、リニューアルされた客車による「SL人吉」が新たに運転されました。
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58654は、「SLあそBOY」時代に立野越えという厳しい峠越えによって、台枠の第3動輪付近に歪みを生じさせていたそうです。
そのため、一部の動輪が台枠をえぐってしまい故障が頻発して、最後は営業運転が終わるごとに、小倉工場で修理をして次に臨む状態だったのだとか。
今回の復活に際しては、壊れた台枠は日本車輛によって新しく製造されました。
プレートには、お馴染みの「日車」のシンボルマークと2008年という文字が刻まれています。 -
この主連棒は入念なチェックの上、オリジナルが使われています。
ところどころ個別番号も見られます。 -
8620型の台枠は、鉄板を貼り合わせて造る「板台枠」という作り方で、以後の台枠の作り方とは異なります。
幸いなことに、日本車輛にその図面が残されていて、新造することが出来ました。
現在の考え方では理解されない部分も、現役OBたちの声によって擁護され、計算や合理的かどうかだけで判断するのではなく、長年の創意工夫の結果なのだとわかり、取り入れられることになったそうです。
正に「昔の人の知恵」ですね。 -
ボイラーは、「SLあそBOY」として復活した昭和63(1988)年製で、古くはなかったのですが、試験の結果、亀裂が発見され、殆どの部分を新造することになりました。
ボイラーの修復は、大阪の「サッパボイラ社」が行いました。
その他、リベット留めだった個所は溶接に変わるなどの、現代の技術が取り入れられています。
SL全盛期の新しいSLを見たことがある訳ではないので、個人的な考えでは、これ程車体がピカピカなのは、現代ならではの言わば「化粧」のようなものではないかと思うのです。
当時は、実用品だったので、「見栄え」を勘案してはいなかったでしょう。
「今の君は、ピカピカに光って~」知っている人は知っている昔のフレーズです。 -
一際高く、汽笛が鳴りました。音が聞かせられなくて残念です。
この音は、背中を駆け上がり、頭の中を興奮の渦に巻き込みます。
強烈な音が、すべてを包み、そこにいるすべての人の気持ちを一瞬で惹きつけます。
SLの魅力は、画像だけではなく、動画でもなく、音や臭い、熱など、実際にそこにいて初めて感じる事の出来るものだと心の底から感じます。 -
金色に光る計器類。運転士はトランシーバーで連絡を取ります。
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「缶(罐)焚き(かまたき)」と呼ばれる「機関助士」。
昭和になってから、「自動給炭機(ストーカー)」という、スクリュー式コンベアーで石炭を火室に投入する装置が開発されて、投炭の負担が軽減されました。
ストーカーは、1948年製のC62形・C61形から、戦時型のD52形、D62形への改造時に装備されました。D51形の一部にも搭載されました。
小樽市総合博物館本館(旧小樽交通記念館)だったと思いますが、「缶焚き」の訓練風景の映像がありました。
投炭は、釜の中にまんべんなく石炭を散らす配分が特に求められ、そのための厳しい訓練が行われていました。
また、工程によって必要とされる石炭をくべる場所が違うそうで、それを的確にこなせなければ認められなかったそうです。 -
「SL人吉」の客車は、全部で3輌。
1号車のSLに近い部分は展望ラウンジで、大きな窓から炭水車の後ろ姿が見えます。これは後ほど。
(JR九州のHPで紹介されている編成の並びとは、この日は正反対でした) -
1号車のおでこのロゴ。一つ一つに細部まで考えられたデザイン性を感じます。
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客車は、1号車: オハフ50 701、 2号車 : オハ50 701、 3号車 : オハフ50 702 です。
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「黒」のイメージが強いSLに、焦げ茶色の客車。地味なようで、底力を感じさせる色使いです。
「86」を囲んだ梅の花のようなマークは、何のモチーフなのかな?
全体的には九州男児らしい無骨さを感じさせるのに、これだけが可愛いマークです。 -
「新潟鉄工所 昭和54年」そして「JR九州小倉工場、平成21年改造」。長年、手を掛けて58654は維持されています。
JR九州は、「SLあそぼーい」が廃止となってからも、車籍を抜かず、復活する日を待っていたそうです。
平成21(2009)年4月25日、その夢は果たされました。 -
2号車。展望ラウンジがない分、1・3号車より座席数は多いですが、代わりにビュッフェがあります。
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2号車の巨大なロゴマーク。「SL人吉」はわかりますが、隣のたくさんの「人」は何?
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3号車。この後ろにDE10が付いています。
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DE10 1756です。川崎重工業製造、昭和52年。
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昭和41(1966)~53(1978)年に708両が製作されたディーゼル機関車です。
DLの中で唯一、JR7社すべてで使用されてきましたが、近年JR東海で全車廃止されています。
JR北海道では「ノロッコ号」を、JR東日本では「寝台特急あけぼの」を、JR西日本では「奥出雲おろち号」を、JR四国では「アイランドエクスプレス四国」を牽引しました。 -
DE10が3号車から切り離されました。ここからは、58654だけで、牽引します。
これで、「展望ラウンジ」の面目躍如ですね。 -
3号車に乗り込みます。まず目に入るのが「SL文庫」です。置いてあるのは、子供向けの絵本だけみたい。
「鉄ちゃん」向けの書籍だと盗まれちゃうのかな? -
天井のレリーフには、あの「86」の花マークが使われています。
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座席に設置されているテーブルは折り畳み式で、立ち座りが楽に出来るようになっています。
戸棚には、SLの模型が展示されています。 -
イチオシ
3号車の後半辺りから、展望ラウンジを通して、DE10を臨みます。
とても贅沢な空間が、そこにはあります。 -
鉄道を愛する者にとって、「聖域」のような景色が見えて来ました。
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展望ラウンジ手前の壁には、人吉の姿を描いた絵が掛けられています。
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展望ラウンジです。手前にソファ、その向こうに一人掛けの椅子が置かれています。
高級ホテルのロビーのような佇まいです。 -
最前列には子供用の小さな椅子が2脚。
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背もたれ部にも、「STEAM LOCOMOTIVE HITOYOSHI」の文字が。
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車内のあちこちに、58654の絵が掲げられています。
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雪原を走っているのかと思った。
人吉の運行は、3~11月限定なので、雪景色とSLという風景はあまりないでしょう。 -
2号車のビュッフェです。車内限定販売の「おごっつお弁当」や、焼酎アイスなどを売っています。
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アートなポスター。車両のデザインは水戸岡鋭治さんですが、こうした小物まで手が込んでいますね。
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「今日の機関士・機関助士」。一人一人のコメントまで付いています。是非読んでください。
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「Oh!Japan!!」と、外人さんが喜びそうな絵ですね。
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2号車の座席は、革張りです。実は座席のシートの仕様と色は、号車毎に異なります。
1号車は1~6番が皮で黒、7~12番が布地で茶色、
2号車は1~10番が布地で緑、11~17番が皮でワインレッド、
3号車は布地で茶色、になっています。 -
シートが布地で緑。2号車の1~10番ですね。
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絵の中に、物語が描き込まれていますね。ただの風景がでないところが好きです。
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3号車は、荷物棚の色がこげ茶で、壁も濃い木目調、天井はクリーム色、
2号車は、荷物棚はオレンジで、壁は明るい白木、天井は白、
1号車は、荷物棚は壁と同じ明るい白木で、天井は白になっています。
そして、天井に嵌め込まれている「86」の花マークのレリーフは、1号車だけ白色になっています。
それぞれ車内の雰囲気が異なりますので、その違いも楽しんでください。
JR九州のHPに、車内のストリートビューが掲載されています。実際に乗らなくても、見ることが出来ますよ。 -
1号車の布地、茶色のシートです。車内はどこも木が使われていて、とても落ち着きます。
折り畳み式のテーブルは、開くとこんな感じです。 -
1号車の黒皮シートです。その向こうに展望ラウンジがあります。
見ての通り、1号車の展望ラウンジには、真ん中にテーブルがあって、3号車のように、ずっと先まですっきり見通すことが出来ません。残念だなあ。 -
既に展望ラウンジは、人がいっぱい。両側にベンチ席があります。
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そして、ここにも子供用の椅子が。1号車は白で、3号車は赤ですね。
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展望ラウンジの上部です。
ここにも「STEAM LOCOMOTIVE HITOYOSHI」の金文字と、SLの姿をイメージしたオブジェが飾られています。
オブジェにあしらわれているロゴマークは、前方が「86」、後方が「人」です。
照明と天井は、明治時代の汽車のデザインと似ていて、古風ですが、優美で落ち着いた雰囲気です。 -
前方には炭水車しか見えないのですが、機関車が吐く煙は間近に見られます。
走り出すと、煙で前が真っ白になることも。
炭水車のライトに、展望ラウンジの照明が重なって、おもしろい写真になりました。 -
展望ラウンジに来たら、絶対に撮りたかったのがこのプレートです。炭水車の後ろに取り付けられています。
客車を牽引している時には、脇から覗き込んでもなかなか読めないのです。
「この機関車は大正11年日立製作所で製作され、昭和50年3月9日の最後の運転までの間、九州各地で活躍しました。その間の走行キロは334万キロで、これは地球の周りを約84周回ったことになります。
その後、矢岳駅前の人吉市SL展示館に保存展示されていたものを、小倉工場で修復し復活したものです。
昭和63年8月 九州旅客鉄道株式会社」
球磨川の川下りの様子を彫り込んだプレートには、諦めずに再復活を果たした鉄道マンたちの誇りが刻まれていました。 -
9:45。SL人吉は、熊本駅を発車しました。
ホームには見事な再復活を遂げたSLを見送る人々がたくさん手を振っていました。
元は明るい写真ですが、顔がわからないようにわざと暗くしてあります。 -
検札が来て、このハンコを指定席券に押してもらいました。ここまで「人吉」です。さすが。
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1区間しか乗らなくても、ちゃんと記念乗車証をもらえました。
先程のポスターと同じ絵柄です。 -
スタンプも裏面に押しました。
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この荷物棚の色を見ただけで、何号車にいるのかわかるようになると「人吉通」ですね。
2号車のビュッフェの前にいます。
窓のカーテンは、カラフルな色合いですが、細い縞模様の中に「86」の花マークと、「人」のモチーフが織り込まれています。 -
せっかく乗車したのですから、何か買いたくてやって来ました。
珍しい「晩白柚サイダー」をお買い上げ。「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、大きなみかん(?)で、最近では時期になるとスーパーで見掛けるようになりましたが、あまりに高価なので食べません。
高知に行ってから、「文旦」にハマっているので、同じような味かなと思っています。 -
記念にピンズを買いました。
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これだけ立派だと、取り出して使えないなあ。
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ちょうど、プレートを持って記念撮影をする人がいたので、終わった時にちょっとプレートだけお借りしました。
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あっという間に、新八代駅に到着しました。ここで乗る人はいても降りる人はいないだろうなあ。
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駅名標には「晩白柚」が描かれています。熊本県八代地方は、晩白柚の特産地だそうです。
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「SL人吉」は、新八代駅を離れて行きました。後には機関車が吐いた煙が漂い、石炭の燃える臭いが残りました。
これから、「SL人吉」は、球磨川に沿って、風光明媚な車窓を楽しめます。
いつか、終着駅の人吉まで、ゆったり座って行きたいと強く思いました。でも、きっと座ってはいられないんだろうなあ。
平成28(2016)年4月15日、 熊本地震の影響により運休となりました。
運行を再開できたのは、 4月29日だったそうです。
熊本~宮地間を運行する「あそぼーい」は、2017年秋現在でも、元の運行区間を走ることが出来ません。
九州を走る唯一のSLが無事で、本当に良かったです。
次回は、新八代駅から「かわせみ・やませみ」に乗り換えて熊本駅に向かいます。
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